碧の幻獣使い

星村直樹

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科学と魔法どっちが上

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「ヒロ、余った者同士。話をしよう。なにか聞きたいことがあるか? 今、コーヒーを用意させるぞ」
「いただきます」

 王の間の後ろに有る、喫茶室に案内された。ドレイク王も、大酒飲みだと思っていたが、意外と喫茶室には、本が置いてあって、読書家だとわかる。

「これでも、論文をいくつも書いているのだぞ。パグーは、魔法と、それに連なる知的生命体の宝庫じゃろ。研究には事欠かん」

「おれ、異世界人です。科学の方が先に進歩しました。魔法とどっちがいいですか」

「科学とか? そりゃあ、魔法だ。問題は、特定の個体が力を持ちすぎると、力社会になってしまうことだ。そこを打破しないと、真の進歩はない。時間は、かかるが火龍王達は旨くやっていると思うぞ。ヒロはこれからだな。自分で、空を飛んでみたいと思わないか」

「すっごく思います」

「では、ヒッグス粒子に、羽のような形にした電荷をぶつけてみなさい。飛べるから。反重力をものにしていたら、羽ばたけるぞ」

「おれ、飛べるんですか」
― レベル55すぎないと無理だ

「鳥や風竜のようにな。空を飛ぶと、世界が変わって見える」

「王様も飛べるんですか」

「今は、能力を封印している。わしらは機材でやるんじゃが、時期が来たらそうじゃ」

「フェーズ2とか3って、ガブが言ってたあれですか」

「そうじゃ。わしらは神の親民じゃ。必要以上の文明は持たん。世の中が、進歩した時、それを円滑にするのが我らの役目だからな。わしの民は、元々、酒とうまい飯を食っとれば、満足なんじゃ」

「そうなんですね」

「うーむ」
 ドレイク王が、頭をかきながら、何か言いたそうにしている。

「さっきの、魔法の方がいいという話じゃがな。例えばじゃ。ヒロの碧の幻獣使いのレベルで言ったら120クラスのエネミーがいたとする」

「碧の幻獣使いが、分かるんですか」

「ニューロネットのリンク状態は、光で表せる。それを読めば、その技術が分かるじゃろ」

― この人も、我々より格上だぞ
 ヌエの謎を聞きたい
「あの・・」

「まあ聞け、そのエネミーを科学の力で倒そうと思ったら、どんなことをすることになる?ただし、そのエネミーは、再生能力が半端ないとしてじゃぞ」

― メガトン級の水爆があればなんとかなるんじゃないか
「水爆ですか。でも、半端ない再生能力か1発じゃあ、きついかも」

「そうじゃ、メガトン級の水爆が2個必要になる。もしもじゃ、この星にそのようなエネミーが100体も200体もいたとする。そ奴らを倒すために、本当に、水爆を使ってよいか」

「まずいです。最悪地殻の変動が起きて、火山が、大噴火を起こします。水爆の死の灰どころか、惑星が、周囲20キロメートル級の小惑星に衝突されたのと同じ状態になり。生命の98%が、短期間で、滅亡します」

「魔法ならどうじゃ」

「えっ?」

「ヒロのライブラリーに聞いてみろ」

「コンピューター!」
― ものすごい、お宝が、大量にドロップするんじゃないか。それも再生アイテムだろ。この星は、一挙に進化するぞ

「滅亡するどころが、この星が、大発展するそうです。いったい何の話です?」

「エルフのことじゃ。この星に残ったエルフは、滅亡しとるじゃろ。それは、モロというエネミーを封印したためじゃ。そのため、みな、エネルギー体になってしもうた。もう、誰もエルフ様の声が聞こえん。フェーズ段階というのは、10段階ある。その中でも、フェーズ5は、モロとの対決を意味しとる。そのための今の世界じゃ。フェーズとは、1、狩猟、農耕からの自立発展。2、集落から、国への発展。そこで4属性の魔力の練りこむ。3、別れていた4属性全種族の交流による発展。言っていることがわかるか」

「じゃあ、王様たちは、フェーズ10の力を持っているということですか」
― そのフェーズ換算で行くと、このブルーサファイアのドワーフたちは、すくなくても、推定レベル256は、あるということになるぞ

「持っておらんよ。じゃが、それを与えられても、使いこなせる意識を持っとるそうなんじゃ。じゃから、エルフ様に選ばれた。実際、酒飲んで、飯食っとるだけの、わしらぐーたらの、どこがそんなに気にいったのかようわからんがな」

― わかる
「分かる気がします」

「なんで、こんな話をしたかというと。ミランダ姫のことじゃ。ヒロは、ミランダ姫の騎士なんじゃろ」〈はて、下僕って聞いたがの。この際じゃ〉

「自称ですけど」

「ここまで来たんじゃ。もっと胸を張れ。ミランダ姫なんじゃが、このままエルフとして生きていたら、必ず、エネルギー体になってしもうたエルフたちの声を聴くことになる。それは、大変重い話じゃろ。その時、傍にいてもらいたいんじゃ」

「はあ・・おれにも、とっても重い話だったんですけど」

「はは、そうじゃな。モロとの戦いは、レベル60になってやっと末席の戦士じゃ。最前線に出るんならレベル100はいる。どうせ、これから、海に出るのじゃろ。水竜たちは、この、モロの眷属と今も戦っとる。とにかくレベルをあげんといかん。最初は、セイレーンの町。海底遺跡に入りたいと水竜王に相談しなさい。レベルが格段に上がる。その前にわしの国で、鍛冶屋スキルをあげんとの。ロロの弟のロウガは、国一番の鍛冶屋じゃ。ロウガにいろいろ教えてもらいなさい」

「そのつもりでした。自分の狙いがわかっていましたか」

「それぐらい分からんと、一国の王は務まらん。そうは言ってもブルーサファイアは、1000人足らずの国じゃがな」


― レベル256の潜在能力を持った1000人って、どんだけモロの軍団は、強力なんだ。アメージングすぎるだろ

 やっぱり、レベルの話を詳しく聞かせろよ
― それはできない。大体、私は、レベル120までしか分かっていない。そこからの、臆測にしか過ぎないことで驚いている

 なんだか、楽しそうだな
― まあな

「すまん、コーヒーじゃったな。今、給仕を呼ぶ」
 ドレイク王が、鈴(リン)を鳴らした。


 コンピューターも推奨していたが、おれは、この、重すぎる話をミランダには、当分しないことにした。しかし・・・・

「王様、この話を火龍王にしていいですか。それが、フェーズ3の切っ掛けなのでしょう」

「モロの眷属との戦いを水竜王の水玉を通して見せてあげなさい。それが、切っ掛けだ」

「火龍王は、現在、その水竜の竜玉をひとつ、持っています」

「なんじゃと、詳しく聞かせろ」

 ここから、王とおれは、酒宴のことをすっかり忘れるぐらい話し合うことになった。
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