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エピソード8 謀事魔多し
兵と部隊長と出撃
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一方、その頃――メヒナ渓谷。
エルフ族収容所の監視塔の詰め所では、二十名ほどの警備兵たちが集まり、慌ただしく軍装を整えている。
「わ……我々も出撃するのですかッ? アヴァーシへ……」
その中のひとりが、緊張した面持ちで剣を研いでいる部隊長に向かって尋ねた。
部隊長は、剣を研ぐ手を止めると、声をかけてきた兵の引き攣った顔をジロリと見ながら、小さく頷く。
「……ああ。ついさっき、総督府からの緊急伝心士通信が届いた。『収容所のエルフ共を監視する最低限の人員だけを残し、それ以外の部隊は総員第一種戦闘兵装を装備の上で、直ちにアヴァーシに向かえ』……とな」
「な……なぜ……」
部隊長の言葉に、驚愕と当惑を隠せない様子で、兵は首を傾げた。
「なぜ、即戦態勢を整えた上で、アヴァーシまで出撃しなければならないんでしょうか……?」
「知らん」
兵の問いかけに、部隊長はぶっきらぼうに吐き捨てる。
「とにかく、経費がクソ高い伝心士を惜しげもなく使ってまで、俺たちをアヴァーシに集めなければならん理由が出来たんだろう? それがどうしてかなんて、俺たち末端には知らされんし、知る必要も無い。ただただ、上からの命令に従うだけだよ」
「……」
部隊長の言葉に、なおも納得いかない様子で眉根に皺を寄せた兵は、ふと呟くと、窓越しに夜空を見た。
そして、先ほど目の当たりにした光景を思い出しながらふと呟く。
「――ひょっとして、先ほどアヴァーシの方角に見えた稲光が関係あるんでしょうか……?」
「……かもな」
兵の言葉に頷くと、部隊長も窓の方に目を遣った。
「ここからでも分かるくらい太い稲妻が何本も……。自然に発生したものだとは、とても思えなかったな……」
「ですよね……」
部隊長の言葉に同意を示した兵は、ごくりと生唾を飲み込み、震える声で言葉を継ぐ。
「じゃ……じゃあ、やっぱりあれは、意志を持った何かによる襲撃だったという事では――?」
「……」
「で……でも、あれだけ強力な雷を操るような化け物は……それこそ伝説の古代龍級でもなければ――」
「……雷、か」
部隊長はそう呟くと、つと表情を曇らせた。心なしか、その顔色は紙のように白い。
「そういえば、あの時も……」
「あ……あの時も?」
その深刻な表情に、兵も不安を覚え、声を上ずらせる。
部隊長は、兵の顔をじっと見つめると、重々しく口を開いた。
「いや……少し前、魔族領のヴァンゲリンの丘ってところで、大きなドンパチがあったじゃねえか」
「ああ……確か、途中で丘が噴火して有耶無耶になった……」
兵は、目を大きく見開いた。
部隊長は頷くと、更に言葉を継ぐ。
「実はオレ、あのドンパチに居合わせてたんだよ。砦の守備兵としてな」
「あ、そうだったんですか!」
部隊長の言葉に、兵は驚きの声を上げた。
「確か……“伝説の四勇士”と魔族の王が戦ったんですよね?」
「ああ……」
兵の言葉に、部隊長は剣の刃をじっと見つめながら頷き、言葉を継ぐ。
「あの時の魔王も、物凄え雷を自在に操っていたな……」
「……ッ! ま、まさか――」
部隊長の呟きに、兵は驚きの声を上げた。
「あ、アヴァーシに、魔王が……ッ? で……でも、何で? 何でこんな北東の地方都市くんだりに、魔族の首領が――?」
「知らん」
上ずる兵の声に対し、部隊長は再びぶっきらぼうに吐き捨てる。
そして、その髭面をふっと和らげると、穏やかな声で続けた。
「……いや、魔王がどうのっていうのは、ただのオレの推測だ。お前の言う通り、魔王が自らこんな僻地まで攻めてくるなんて有り得ねえし、第一、魔王軍が攻めてきたのなら、ホトタモカヤ大草原の各砦の監視網に引っかからねえ筈が無えしな」
「ですよね……」
部隊長の言葉に、兵は安堵の表情を浮かべる。
だが、すぐにその表情は曇る。
彼は、不安を隠せない様子で、部隊長に尋ねた。
「でも……だったら、一体何が……」
「だから、知らねえって言ってんだろうが!」
部隊長は苛立たしげに声を荒げる。
そして、研ぎ終わった剣を鞘に納めると、勢いよく立ち上がり、兵の顔を見下ろしながら怒鳴りつけた。
「分からねえ事をいちいち考えてもしょうがねえだろうが! 余計な事を考えている暇があったら、サッサと仕度しやがれ! オレたちが殿軍なんだ。ここでいつまでもくだらねえお喋りを続けてたら、本隊に追いつけなくなるぞ!」
「は、ハッ! 了解しましたッ!」
怒声を浴びた兵は、ビクリと身体を震わせ、慌てて敬礼すると、クルリと踵を返す。
「……ったくよお」
慌てて部隊長の前を辞去し、同僚たちと同じようにそそくさと鎧を着こみ始める兵の姿を険しい顔で見た部隊長は、傍らのテーブルに載っていた酒瓶を手に取ると、窓際に歩み寄った。
そして、鎧戸の隙間から外を覗き込み、先ほど凄まじい雷鳴が轟いた東の空に目を遣ると、溜息交じりの呆れ声を上げる。
「最近の若い奴らは、動く前にあれこれと余計な事を考えていけねえ……」
そう呟いた部隊長だったが、つとその表情を曇らせた。
「だが……」
その脳裏に、数ヶ月前に小高い丘の砦で見た情景が過ぎる。
「まさか……本当に魔王が……」
あの時、まるで音楽隊の指揮者がタクトを振るうように雷と風を操る、頭に二本の大きな角が生えた有翼の男の姿が思い浮かんだ。
もしも、先ほど自分が半信半疑で漏らした推測が当たっていたのなら……。
「もしそうだったら……オレらがどれだけ束になろうと無駄なんじゃねえか……?」
何とも言えない不吉な推測に、思わず彼はブルリと身を震わせる。
「……ッ!」
部隊長は、青ざめた顔で手に持っていた酒瓶に口を付けると、そのままグイッと一気に呷った。
安ワインの酸味と雑味は、それでも彼の陰鬱な気分を幾分か和らげる。
「……そ、そうだ」
そして、彼は思い到った。
今、アヴァーシには、あの男が居るという事を。
「勇者シュータ……あの魔王とも互角以上に渡り合ったあの男が居れば、安し――」
『安心だ』と言いかけた部隊長だったが、その言葉は途中で立ち消える。
「……くそっ」
彼は顔を顰めて、忌々しげに毒づく。
胸がムカつくのは、安ワインに酔ったからではない。ヴァンゲリン砦で見かけた、周り全てを小馬鹿にするようなせせら笑いを浮かべる勇者の顔を思い出したからだ。
「また、あんなクソガキの力に縋らなきゃいけねえなんて……情けねえ」
そう憎々しげに呟いた部隊長は、もう一度ワインを呷り――盛大に噎せた。
「ごほっ! がはっ! ぶふっ……! ち……畜生め……」
胸を押さえて激しく咳き込んだ部隊長は、よろめきながら窓辺を離れる。
――そして、ある違和感を覚えた。
(……ん、なんだ? みょ、妙に静かじゃねえか?)
この詰め所には、自分の配下である二十名の兵が居たはずだ。……だが、先ほどまで確かに聞こえていたはずの彼らが立てる喧噪が、何故か今は全く聞こえない。
「……」
部隊長は、何とも言えない嫌な予感を覚えながら、恐る恐る顔を上げ――
「な……?」
目の前の信じられない光景に、思わず声を失った。
「ど、どうしたんだ、お前ら……?」
驚くべきことに、先ほど言葉を交わした者を含めた全ての兵が、白目を剥き、泡を吹いて床に倒れている……。
「お……おい! しっかりしろ!」
彼は声を上ずらせながら、一番近くに倒れていた兵を抱え上げる。
――息はある。単に気を失っているだけのようだ。
周囲に目を配るが、他の兵たちも皆同じ状態の様だった。
部下たちが死んでいない事に、部隊長は安堵の息を吐く。だが、それは一瞬の事に過ぎず、すぐに新たな疑問と大きな不安が胸を苛んだ。
「い……一体……」
彼は、呆然とした顔で周囲を見回しながら、うわ言のように呟く。
「一体、何が起こったんだ……?」
「……教えてやろうか?」
「――ッ!」
誰も答えるはずのない疑問の言葉に応えた、若い男の者と思しき声に、部隊長は驚愕と恐怖で大きく目を見開いた。
だが、さすがに一隊の隊長を務める男。彼はすぐに衝撃から立ち直り、腰に差した剣を抜き放ちながら、一気に背後を振り返る――。
「う、うおおおぉ――ぐへぇっ!」
――だが、雄々しく吼えた彼の声は、途中で情けない悲鳴に変わる。振り返ったその顔面に、鋭い蹴撃が叩き込まれたからだ。
哀れ、部隊長は部下と同じような格好で床の上にノビてしまう。
一方、彼の顔面に全体重を乗せたハイキックを食らわした黒い影は、もう動く者が居ないことを確認すると、静かに臨戦の構えを解く。
「……こうしたんだよ」
彼は低い声でそう言って、気を失った部隊長の顔を見下ろすと、闇に溶け込むに適した黒装束の懐から束ねたロープを取り出した。
「さて……」
黒装束の男――真誓魔王国四天王・陰密将アルトゥーは、慣れた手つきでロープを解きながら、小さく息を吐く。
そして、
「それでは、仕事に取りかかるとしようか……」
そう、ぼそりと呟くと、その口元に不敵な薄笑みを浮かべるのだった。
エルフ族収容所の監視塔の詰め所では、二十名ほどの警備兵たちが集まり、慌ただしく軍装を整えている。
「わ……我々も出撃するのですかッ? アヴァーシへ……」
その中のひとりが、緊張した面持ちで剣を研いでいる部隊長に向かって尋ねた。
部隊長は、剣を研ぐ手を止めると、声をかけてきた兵の引き攣った顔をジロリと見ながら、小さく頷く。
「……ああ。ついさっき、総督府からの緊急伝心士通信が届いた。『収容所のエルフ共を監視する最低限の人員だけを残し、それ以外の部隊は総員第一種戦闘兵装を装備の上で、直ちにアヴァーシに向かえ』……とな」
「な……なぜ……」
部隊長の言葉に、驚愕と当惑を隠せない様子で、兵は首を傾げた。
「なぜ、即戦態勢を整えた上で、アヴァーシまで出撃しなければならないんでしょうか……?」
「知らん」
兵の問いかけに、部隊長はぶっきらぼうに吐き捨てる。
「とにかく、経費がクソ高い伝心士を惜しげもなく使ってまで、俺たちをアヴァーシに集めなければならん理由が出来たんだろう? それがどうしてかなんて、俺たち末端には知らされんし、知る必要も無い。ただただ、上からの命令に従うだけだよ」
「……」
部隊長の言葉に、なおも納得いかない様子で眉根に皺を寄せた兵は、ふと呟くと、窓越しに夜空を見た。
そして、先ほど目の当たりにした光景を思い出しながらふと呟く。
「――ひょっとして、先ほどアヴァーシの方角に見えた稲光が関係あるんでしょうか……?」
「……かもな」
兵の言葉に頷くと、部隊長も窓の方に目を遣った。
「ここからでも分かるくらい太い稲妻が何本も……。自然に発生したものだとは、とても思えなかったな……」
「ですよね……」
部隊長の言葉に同意を示した兵は、ごくりと生唾を飲み込み、震える声で言葉を継ぐ。
「じゃ……じゃあ、やっぱりあれは、意志を持った何かによる襲撃だったという事では――?」
「……」
「で……でも、あれだけ強力な雷を操るような化け物は……それこそ伝説の古代龍級でもなければ――」
「……雷、か」
部隊長はそう呟くと、つと表情を曇らせた。心なしか、その顔色は紙のように白い。
「そういえば、あの時も……」
「あ……あの時も?」
その深刻な表情に、兵も不安を覚え、声を上ずらせる。
部隊長は、兵の顔をじっと見つめると、重々しく口を開いた。
「いや……少し前、魔族領のヴァンゲリンの丘ってところで、大きなドンパチがあったじゃねえか」
「ああ……確か、途中で丘が噴火して有耶無耶になった……」
兵は、目を大きく見開いた。
部隊長は頷くと、更に言葉を継ぐ。
「実はオレ、あのドンパチに居合わせてたんだよ。砦の守備兵としてな」
「あ、そうだったんですか!」
部隊長の言葉に、兵は驚きの声を上げた。
「確か……“伝説の四勇士”と魔族の王が戦ったんですよね?」
「ああ……」
兵の言葉に、部隊長は剣の刃をじっと見つめながら頷き、言葉を継ぐ。
「あの時の魔王も、物凄え雷を自在に操っていたな……」
「……ッ! ま、まさか――」
部隊長の呟きに、兵は驚きの声を上げた。
「あ、アヴァーシに、魔王が……ッ? で……でも、何で? 何でこんな北東の地方都市くんだりに、魔族の首領が――?」
「知らん」
上ずる兵の声に対し、部隊長は再びぶっきらぼうに吐き捨てる。
そして、その髭面をふっと和らげると、穏やかな声で続けた。
「……いや、魔王がどうのっていうのは、ただのオレの推測だ。お前の言う通り、魔王が自らこんな僻地まで攻めてくるなんて有り得ねえし、第一、魔王軍が攻めてきたのなら、ホトタモカヤ大草原の各砦の監視網に引っかからねえ筈が無えしな」
「ですよね……」
部隊長の言葉に、兵は安堵の表情を浮かべる。
だが、すぐにその表情は曇る。
彼は、不安を隠せない様子で、部隊長に尋ねた。
「でも……だったら、一体何が……」
「だから、知らねえって言ってんだろうが!」
部隊長は苛立たしげに声を荒げる。
そして、研ぎ終わった剣を鞘に納めると、勢いよく立ち上がり、兵の顔を見下ろしながら怒鳴りつけた。
「分からねえ事をいちいち考えてもしょうがねえだろうが! 余計な事を考えている暇があったら、サッサと仕度しやがれ! オレたちが殿軍なんだ。ここでいつまでもくだらねえお喋りを続けてたら、本隊に追いつけなくなるぞ!」
「は、ハッ! 了解しましたッ!」
怒声を浴びた兵は、ビクリと身体を震わせ、慌てて敬礼すると、クルリと踵を返す。
「……ったくよお」
慌てて部隊長の前を辞去し、同僚たちと同じようにそそくさと鎧を着こみ始める兵の姿を険しい顔で見た部隊長は、傍らのテーブルに載っていた酒瓶を手に取ると、窓際に歩み寄った。
そして、鎧戸の隙間から外を覗き込み、先ほど凄まじい雷鳴が轟いた東の空に目を遣ると、溜息交じりの呆れ声を上げる。
「最近の若い奴らは、動く前にあれこれと余計な事を考えていけねえ……」
そう呟いた部隊長だったが、つとその表情を曇らせた。
「だが……」
その脳裏に、数ヶ月前に小高い丘の砦で見た情景が過ぎる。
「まさか……本当に魔王が……」
あの時、まるで音楽隊の指揮者がタクトを振るうように雷と風を操る、頭に二本の大きな角が生えた有翼の男の姿が思い浮かんだ。
もしも、先ほど自分が半信半疑で漏らした推測が当たっていたのなら……。
「もしそうだったら……オレらがどれだけ束になろうと無駄なんじゃねえか……?」
何とも言えない不吉な推測に、思わず彼はブルリと身を震わせる。
「……ッ!」
部隊長は、青ざめた顔で手に持っていた酒瓶に口を付けると、そのままグイッと一気に呷った。
安ワインの酸味と雑味は、それでも彼の陰鬱な気分を幾分か和らげる。
「……そ、そうだ」
そして、彼は思い到った。
今、アヴァーシには、あの男が居るという事を。
「勇者シュータ……あの魔王とも互角以上に渡り合ったあの男が居れば、安し――」
『安心だ』と言いかけた部隊長だったが、その言葉は途中で立ち消える。
「……くそっ」
彼は顔を顰めて、忌々しげに毒づく。
胸がムカつくのは、安ワインに酔ったからではない。ヴァンゲリン砦で見かけた、周り全てを小馬鹿にするようなせせら笑いを浮かべる勇者の顔を思い出したからだ。
「また、あんなクソガキの力に縋らなきゃいけねえなんて……情けねえ」
そう憎々しげに呟いた部隊長は、もう一度ワインを呷り――盛大に噎せた。
「ごほっ! がはっ! ぶふっ……! ち……畜生め……」
胸を押さえて激しく咳き込んだ部隊長は、よろめきながら窓辺を離れる。
――そして、ある違和感を覚えた。
(……ん、なんだ? みょ、妙に静かじゃねえか?)
この詰め所には、自分の配下である二十名の兵が居たはずだ。……だが、先ほどまで確かに聞こえていたはずの彼らが立てる喧噪が、何故か今は全く聞こえない。
「……」
部隊長は、何とも言えない嫌な予感を覚えながら、恐る恐る顔を上げ――
「な……?」
目の前の信じられない光景に、思わず声を失った。
「ど、どうしたんだ、お前ら……?」
驚くべきことに、先ほど言葉を交わした者を含めた全ての兵が、白目を剥き、泡を吹いて床に倒れている……。
「お……おい! しっかりしろ!」
彼は声を上ずらせながら、一番近くに倒れていた兵を抱え上げる。
――息はある。単に気を失っているだけのようだ。
周囲に目を配るが、他の兵たちも皆同じ状態の様だった。
部下たちが死んでいない事に、部隊長は安堵の息を吐く。だが、それは一瞬の事に過ぎず、すぐに新たな疑問と大きな不安が胸を苛んだ。
「い……一体……」
彼は、呆然とした顔で周囲を見回しながら、うわ言のように呟く。
「一体、何が起こったんだ……?」
「……教えてやろうか?」
「――ッ!」
誰も答えるはずのない疑問の言葉に応えた、若い男の者と思しき声に、部隊長は驚愕と恐怖で大きく目を見開いた。
だが、さすがに一隊の隊長を務める男。彼はすぐに衝撃から立ち直り、腰に差した剣を抜き放ちながら、一気に背後を振り返る――。
「う、うおおおぉ――ぐへぇっ!」
――だが、雄々しく吼えた彼の声は、途中で情けない悲鳴に変わる。振り返ったその顔面に、鋭い蹴撃が叩き込まれたからだ。
哀れ、部隊長は部下と同じような格好で床の上にノビてしまう。
一方、彼の顔面に全体重を乗せたハイキックを食らわした黒い影は、もう動く者が居ないことを確認すると、静かに臨戦の構えを解く。
「……こうしたんだよ」
彼は低い声でそう言って、気を失った部隊長の顔を見下ろすと、闇に溶け込むに適した黒装束の懐から束ねたロープを取り出した。
「さて……」
黒装束の男――真誓魔王国四天王・陰密将アルトゥーは、慣れた手つきでロープを解きながら、小さく息を吐く。
そして、
「それでは、仕事に取りかかるとしようか……」
そう、ぼそりと呟くと、その口元に不敵な薄笑みを浮かべるのだった。
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