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第二十章 “最強”の二つ名は、どちらの戦士に冠されるのか
第二十章其の弐 血晶
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「蹂躙せよ!」
というジュエルの指示と共に、彼の周りで滞空していた無数の血晶体が、正に群れを成す雀蜂の如き一糸乱れぬ動きで、前方のオリジンに向かって飛来する。
「……」
オリジンは、自分に向かって迫り来る紅い霧を、その紅眼で一瞥すると僅かに左脚を後ろに下げ、やや半身になると、軽く両腕を挙げて構えを取る。
そして、
「フンッ――!」
間近に迫った赫血の雀蜂の群れに向かって、肚の底から吐いた裂帛の気合をぶつけた。
彼の放った気合のオーラに中てられた途端、群れの先頭を飛んでいた血晶体が、まるで火で炙った氷のようにボロボロと溶け始め、あっという間にただの血液に戻り、ぼたぼたと音を立てて地面に落ちる。
だが、その後に続いていた赫血の雀蜂たちは、オリジンの気合を潜り抜け、彼の身体に肉薄する。
そして、その濃紺の装甲を貫かんと殺到するが――その寸前、
「おおおおおおおおおっ!」
オリジンの両腕が、消えたと錯覚するほどの速さで動いた。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!
同時に、いくつもの固いものが、次々と衝突し弾き飛ばされる甲高い音が連続して鳴り響く。
一瞬後、オリジンの両拳に殴りつけられ打ち落とされた無数の血晶体が、オリジンの周囲の地面や木々に鈍い音を立ててめり込んだ。
そして――彼の身体に纏わりつく赫血の雀蜂の群れは、悉く打ち落とされてしまった。
――いや、
「……むう、五……いや、六発……打ち漏らしたか」
オリジンが悔しげな声を上げる。
彼の言葉の通り、彼の装甲の胸部や面頬などに、六個の血晶体がめり込んでいた。
……とはいえ、オリジンの纏う装甲は堅い。めり込んだ血晶体は、いずれもオリジンの装甲をへこませただけで、貫通までには到っていないようである。
――だが、
「……ふふふ。まったく、相変わらず規格外の戦闘能力ですね。この私が誇る赫血の雀蜂の群れに襲われながら、そのほとんどを拳で打ち払い、たった一桁しか被弾しないとは」
自分の技が破られたにも拘らず、ジュエルは冗談交じりの口調で肩を竦めた。
そんな彼を、オリジンはギロリと睨みつける。
「あまり僕を見くびるなよ、ジュエル。こんな散弾の出来損ないのような手品技に、この僕の装甲が貫けると思ったのか?」
「……“手品技”ですか……ふふふ」
怒気を孕んだオリジンの声を聞いたジュエルは、さも愉快そうに笑い始めた。
そして、ゆらりと首を傾げ、オリジンの顔を睨み返す。
「……貴方こそ、見くびらないで頂きたい。この――装甲戦士ジュエルの事を、ね!」
そう声を荒げたジュエルは、おもむろに右手を前に伸ばし、
「――刺し貫け!」
そう鋭い声で叫ぶと同時に、パチンと指を鳴らした。
「――グゥっ!」
オリジンの口から、くぐもった声が漏れる。
ジュエルの号令の声と共に、オリジンの装甲にめり込んだ七個の血晶体が、鋭利な先端を持つ楔へと形を変えたのだ。
ダイヤモンドの硬度を持つ血楔は、オリジンの堅固な装甲を貫き、その奥に隠された彼の肉体にまで達する。
血楔が突き立ったオリジンの濃紺の装甲の穴から、赤い鮮血が噴き出した。それは、ジュエルの赫血の雀蜂のそれとは、明らかに違うものだった。
それを見たジュエルは、興奮と愉悦に満ちた哄笑を上げる。
「はははははっ! もしかすると、この世界で私が初めてじゃないですか? 貴方の装甲を貫いてその生身に傷をつけ、流血までさせたのは!」
彼はそう叫ぶや、地面を蹴って、一気にオリジンの間合いに跳び込んだ。
そして、オリジンに追撃の拳撃を食らわそうと振りかぶるが――、
「――舐めるなぁっ!」
「ぐふっ!」
オリジンの放った強烈な裏拳がジュエルの鳩尾に炸裂する。
その凄まじい衝撃で、ジュエルの身体はくの字に折れた。
――ミシィッ!
誰にも砕けないはずの硬度10の装甲に深い亀裂が入る音を聞きながら、ジュエルの意識は飛びかける。
だが、
「ぐぅ……っ」
奥歯を砕けんばかりに噛み締めて、必死の思いで意識を引き留めたジュエルは、両脚を踏ん張って体勢を整えると、オリジンの身体に向けて両手を伸ばした。
そして、裏拳を放ったオリジンの手首を右手で掴むと、もう一方の左手をオリジンの喉元に向けて伸ばす。
「くっ……!」
その事に気付いたオリジンが、咄嗟に空いている左手を伸ばして、ジュエルの左手を掴もうと動くが、体勢が逆の分、出遅れた。
ジュエルの左掌が、オリジンの首をがっしりと掴み、渾身の力を込めた指が食い込む。
「くっ……!」
オリジンは、くぐもった呻き声を上げながらも、自分の首元を掴んだジュエルの左腕を己の左掌で握り込む。
そして、そのままジュエルの腕を装甲ごと握りつぶさんとするかのように、掌に渾身の力を込めていくと、硬度10の装甲がミシミシという軋み音を立て始めた。
「放せ……ジュエル!」
「ぐ……あッ!」
強まるオリジンの握力に、ジュエルは堪らず苦悶の声を上げる。――だが、それでもオリジンの首を掴んだ左掌は決して離さない。
――そして、
「ぐ……ぐぅ……く、くく……く……」
「……何だ? どうしたんだ、ジュエル? 急に笑い声を上げて――」
ジュエルが上げる苦悶の声が嗤い声に変わった事に気付いたオリジンが、思わず怪訝な声を上げた。
「あまりの痛みに、気がおかしくなったか――」
「くく……そ、そんな事、あるはずないでしょう?」
荒い息を吐きながらも、ジュエルは不敵に笑ってみせる。
「こ……これは……貴方の命をこの手に捉えた事への歓喜の笑いですよ!」
彼はそう叫ぶと、オリジンの喉元に立てた指先を、更に深く食い込ませた。
そして、声高らかに叫ぶ。
「ブラッディ・ファウンテン――ッ!」
と!
というジュエルの指示と共に、彼の周りで滞空していた無数の血晶体が、正に群れを成す雀蜂の如き一糸乱れぬ動きで、前方のオリジンに向かって飛来する。
「……」
オリジンは、自分に向かって迫り来る紅い霧を、その紅眼で一瞥すると僅かに左脚を後ろに下げ、やや半身になると、軽く両腕を挙げて構えを取る。
そして、
「フンッ――!」
間近に迫った赫血の雀蜂の群れに向かって、肚の底から吐いた裂帛の気合をぶつけた。
彼の放った気合のオーラに中てられた途端、群れの先頭を飛んでいた血晶体が、まるで火で炙った氷のようにボロボロと溶け始め、あっという間にただの血液に戻り、ぼたぼたと音を立てて地面に落ちる。
だが、その後に続いていた赫血の雀蜂たちは、オリジンの気合を潜り抜け、彼の身体に肉薄する。
そして、その濃紺の装甲を貫かんと殺到するが――その寸前、
「おおおおおおおおおっ!」
オリジンの両腕が、消えたと錯覚するほどの速さで動いた。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!
同時に、いくつもの固いものが、次々と衝突し弾き飛ばされる甲高い音が連続して鳴り響く。
一瞬後、オリジンの両拳に殴りつけられ打ち落とされた無数の血晶体が、オリジンの周囲の地面や木々に鈍い音を立ててめり込んだ。
そして――彼の身体に纏わりつく赫血の雀蜂の群れは、悉く打ち落とされてしまった。
――いや、
「……むう、五……いや、六発……打ち漏らしたか」
オリジンが悔しげな声を上げる。
彼の言葉の通り、彼の装甲の胸部や面頬などに、六個の血晶体がめり込んでいた。
……とはいえ、オリジンの纏う装甲は堅い。めり込んだ血晶体は、いずれもオリジンの装甲をへこませただけで、貫通までには到っていないようである。
――だが、
「……ふふふ。まったく、相変わらず規格外の戦闘能力ですね。この私が誇る赫血の雀蜂の群れに襲われながら、そのほとんどを拳で打ち払い、たった一桁しか被弾しないとは」
自分の技が破られたにも拘らず、ジュエルは冗談交じりの口調で肩を竦めた。
そんな彼を、オリジンはギロリと睨みつける。
「あまり僕を見くびるなよ、ジュエル。こんな散弾の出来損ないのような手品技に、この僕の装甲が貫けると思ったのか?」
「……“手品技”ですか……ふふふ」
怒気を孕んだオリジンの声を聞いたジュエルは、さも愉快そうに笑い始めた。
そして、ゆらりと首を傾げ、オリジンの顔を睨み返す。
「……貴方こそ、見くびらないで頂きたい。この――装甲戦士ジュエルの事を、ね!」
そう声を荒げたジュエルは、おもむろに右手を前に伸ばし、
「――刺し貫け!」
そう鋭い声で叫ぶと同時に、パチンと指を鳴らした。
「――グゥっ!」
オリジンの口から、くぐもった声が漏れる。
ジュエルの号令の声と共に、オリジンの装甲にめり込んだ七個の血晶体が、鋭利な先端を持つ楔へと形を変えたのだ。
ダイヤモンドの硬度を持つ血楔は、オリジンの堅固な装甲を貫き、その奥に隠された彼の肉体にまで達する。
血楔が突き立ったオリジンの濃紺の装甲の穴から、赤い鮮血が噴き出した。それは、ジュエルの赫血の雀蜂のそれとは、明らかに違うものだった。
それを見たジュエルは、興奮と愉悦に満ちた哄笑を上げる。
「はははははっ! もしかすると、この世界で私が初めてじゃないですか? 貴方の装甲を貫いてその生身に傷をつけ、流血までさせたのは!」
彼はそう叫ぶや、地面を蹴って、一気にオリジンの間合いに跳び込んだ。
そして、オリジンに追撃の拳撃を食らわそうと振りかぶるが――、
「――舐めるなぁっ!」
「ぐふっ!」
オリジンの放った強烈な裏拳がジュエルの鳩尾に炸裂する。
その凄まじい衝撃で、ジュエルの身体はくの字に折れた。
――ミシィッ!
誰にも砕けないはずの硬度10の装甲に深い亀裂が入る音を聞きながら、ジュエルの意識は飛びかける。
だが、
「ぐぅ……っ」
奥歯を砕けんばかりに噛み締めて、必死の思いで意識を引き留めたジュエルは、両脚を踏ん張って体勢を整えると、オリジンの身体に向けて両手を伸ばした。
そして、裏拳を放ったオリジンの手首を右手で掴むと、もう一方の左手をオリジンの喉元に向けて伸ばす。
「くっ……!」
その事に気付いたオリジンが、咄嗟に空いている左手を伸ばして、ジュエルの左手を掴もうと動くが、体勢が逆の分、出遅れた。
ジュエルの左掌が、オリジンの首をがっしりと掴み、渾身の力を込めた指が食い込む。
「くっ……!」
オリジンは、くぐもった呻き声を上げながらも、自分の首元を掴んだジュエルの左腕を己の左掌で握り込む。
そして、そのままジュエルの腕を装甲ごと握りつぶさんとするかのように、掌に渾身の力を込めていくと、硬度10の装甲がミシミシという軋み音を立て始めた。
「放せ……ジュエル!」
「ぐ……あッ!」
強まるオリジンの握力に、ジュエルは堪らず苦悶の声を上げる。――だが、それでもオリジンの首を掴んだ左掌は決して離さない。
――そして、
「ぐ……ぐぅ……く、くく……く……」
「……何だ? どうしたんだ、ジュエル? 急に笑い声を上げて――」
ジュエルが上げる苦悶の声が嗤い声に変わった事に気付いたオリジンが、思わず怪訝な声を上げた。
「あまりの痛みに、気がおかしくなったか――」
「くく……そ、そんな事、あるはずないでしょう?」
荒い息を吐きながらも、ジュエルは不敵に笑ってみせる。
「こ……これは……貴方の命をこの手に捉えた事への歓喜の笑いですよ!」
彼はそう叫ぶと、オリジンの喉元に立てた指先を、更に深く食い込ませた。
そして、声高らかに叫ぶ。
「ブラッディ・ファウンテン――ッ!」
と!
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