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第六章 田中天狼のシリアスな日常・捜査編
生徒会のシリアスな現場検証
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「ま、まあ、今は、その話は置いといて……だ」
武杉副会長が、話を戻す。
「本当に大丈夫なのか? 二度ある事は三度あると言うし、三度目の正直で、今度は害意を以て押し入ってくるかもしれない……」
「大丈夫大丈夫! できるだけ二人以上で部室に入る事にするし、コッチには、イザとなったらナデシコも居るしな!」
そう言って、矢的先輩は、撫子先輩の肩を叩く。
行方会長は、首を傾げながら尋ねる。
「あれ? 撫子……君は、この部室に来る事を嫌がってたんじゃなかったかな?」
「……この部室に、幽霊的なモノは居ないというのは、理解しました。――ここに一人で居ろって言われたら、絶対拒否ですけど……。誰かと一緒なら、多分大丈夫です」
撫子先輩は、少し不安そうだったが、ニコリと微笑んだ。
が、武杉副会長は、なおも心配そうな顔で言う。
「し……しかし、幽霊ではなくて、万が一、武器を持った暴漢が押し入ってきたら……」
「あら? でも、その暴漢は、キチンと足がついた人間なんでしょ?」
撫子先輩は、また、ニッコリ笑って、言葉を続けた。
「私が、生きた人間に遅れを取るとでも思いますか?」
「……把握しました……」
「うーん……。部屋の中は特に荒らされてなさそうだな。……というか、そもそも荒らすモノもないというか……」
武杉副会長が、部屋の中を見回して言った。
「……つーか、ウチの部室は、核実験場じゃねえぞ……何だよ、その格好」
矢的先輩が、呆れた調子で言う。
「……しょうがないだろ。ネコアレルギーを舐めるな」
「いや……それにしても……」
矢的先輩が、ジト目で武杉先輩の格好を見る。
武杉副会長は、分厚いゴーグルを嵌め、某風の谷の蒼き衣を纏った姫様の様なゴツいマスクをかけていた。
正に、完全防護……。
「まあ、まだいいじゃない。未だに一歩も部屋の中に入れない人もいるんだしね」
「いや、そういう貴女も、一歩しか中に入れてないけどね!」
もう……ツッコミが追い付かん……!
「……でも、何でココを狙うんだろうね、あのフードの人……?」
春夏秋冬が、首を傾げる。
確かに、彼女の言う通りだ。
部室の中にあるのは、長テーブルと、パイプ椅子が4脚。後は、ネコの寝床であるニャンニャンホイホイと、ネコトイレだけ。
正直言って、わざわざ鍵を開けてまで盗ろうとする価値のあるモノは皆無と言っていい。
「この……ネコちゃんを狙ってきたのかな? かわいいもんねぇ」
春夏秋冬が、ニャンニャンホイホイの中で昼寝中のネコの頭を撫でながら言う。
ネコは、朝の興奮状態から、大分落ち着いたようで、ゴロゴロ言いながら、彼女に為されるまま頭を撫でられている。
う~ん、ネコと戯れる女子高生……イイね!
「……それは考えづらいと思うぞ」
ドアの向こうから、春夏秋冬の言葉を否定したのは、行方会長だ。
「君達が、不審者と鉢合わせした夜……。不審者はネコが飛びかかって来た事に驚いていたんだろう? ネコが目当てだったら、そんな反応はしないんじゃないか?」
「……確かに。そもそも、この部室にネコが居る事を知っていたのは、生徒会のメンバーと、私達だけだったはずだしね……」
「……じゃあ、不審者の目的は、何なんだろう……」
俺は、頭を傾げて考え込む。
――その時、
「……………………イーチ ニー サーン シー……」
窓の外から、何かのかけ声が聴こえてきた。
「……何だろ?」
春夏秋冬が、窓を開けて、外の様子を見て、
「――わッ!」
顔を真っ赤にして、顔を引っ込めた。
「ど、どうした?」
俺たち男性陣は、窓に駆け寄り、階下を見下ろした。
そこには――ふんどし姿のふくよかな男子生徒が、並んで四股を踏む姿があった……。
「……何だ、タダの相撲部じゃないか」
武杉副会長が、言った。
「……え? 相撲部? あったっけ、ウチの学校に?」
「先月……君たちよりも少し前に申請があって、創部したんだ」
矢的先輩の疑問に、行方会長が答えた。
「で……当然、ウチには土俵なんて無いからな。練習場所をどうしようという話になって、部室棟の奥の砂場……ちょうどその窓の真下だな……そこで暫く練習する事にさせたんだ」
「え~ッ! そんな話、聞いてないッスよ、会長~!」
会長の言葉に猛抗議する矢的先輩。
「反対ッスよ、俺は~! 毎日毎日放課後に、ムッさい野郎の裸がくんずほぐれずするのを見せられるんですか? カンベンして下さいよ~!」
「嫌なら、顔を出さなきゃいいだけの話だろうが……」
「いや~!窓一枚隔てた所で、野郎が裸でキャッキャウフフしてるって考えただけで……」
「……矢的くん」
「…………!」
撫子先輩が、微笑を湛えながら、矢的先輩を窘めた。
あ……(察し)。
「マジメに、格闘技に打ち込む人達をそんな風に言っては、駄目よ」
「は――ハイッ! 失礼しましたッ!」
直立不動で最敬礼の矢的先輩。
はあ……何回、このパターンを見せられるのか……。
武杉副会長が、話を戻す。
「本当に大丈夫なのか? 二度ある事は三度あると言うし、三度目の正直で、今度は害意を以て押し入ってくるかもしれない……」
「大丈夫大丈夫! できるだけ二人以上で部室に入る事にするし、コッチには、イザとなったらナデシコも居るしな!」
そう言って、矢的先輩は、撫子先輩の肩を叩く。
行方会長は、首を傾げながら尋ねる。
「あれ? 撫子……君は、この部室に来る事を嫌がってたんじゃなかったかな?」
「……この部室に、幽霊的なモノは居ないというのは、理解しました。――ここに一人で居ろって言われたら、絶対拒否ですけど……。誰かと一緒なら、多分大丈夫です」
撫子先輩は、少し不安そうだったが、ニコリと微笑んだ。
が、武杉副会長は、なおも心配そうな顔で言う。
「し……しかし、幽霊ではなくて、万が一、武器を持った暴漢が押し入ってきたら……」
「あら? でも、その暴漢は、キチンと足がついた人間なんでしょ?」
撫子先輩は、また、ニッコリ笑って、言葉を続けた。
「私が、生きた人間に遅れを取るとでも思いますか?」
「……把握しました……」
「うーん……。部屋の中は特に荒らされてなさそうだな。……というか、そもそも荒らすモノもないというか……」
武杉副会長が、部屋の中を見回して言った。
「……つーか、ウチの部室は、核実験場じゃねえぞ……何だよ、その格好」
矢的先輩が、呆れた調子で言う。
「……しょうがないだろ。ネコアレルギーを舐めるな」
「いや……それにしても……」
矢的先輩が、ジト目で武杉先輩の格好を見る。
武杉副会長は、分厚いゴーグルを嵌め、某風の谷の蒼き衣を纏った姫様の様なゴツいマスクをかけていた。
正に、完全防護……。
「まあ、まだいいじゃない。未だに一歩も部屋の中に入れない人もいるんだしね」
「いや、そういう貴女も、一歩しか中に入れてないけどね!」
もう……ツッコミが追い付かん……!
「……でも、何でココを狙うんだろうね、あのフードの人……?」
春夏秋冬が、首を傾げる。
確かに、彼女の言う通りだ。
部室の中にあるのは、長テーブルと、パイプ椅子が4脚。後は、ネコの寝床であるニャンニャンホイホイと、ネコトイレだけ。
正直言って、わざわざ鍵を開けてまで盗ろうとする価値のあるモノは皆無と言っていい。
「この……ネコちゃんを狙ってきたのかな? かわいいもんねぇ」
春夏秋冬が、ニャンニャンホイホイの中で昼寝中のネコの頭を撫でながら言う。
ネコは、朝の興奮状態から、大分落ち着いたようで、ゴロゴロ言いながら、彼女に為されるまま頭を撫でられている。
う~ん、ネコと戯れる女子高生……イイね!
「……それは考えづらいと思うぞ」
ドアの向こうから、春夏秋冬の言葉を否定したのは、行方会長だ。
「君達が、不審者と鉢合わせした夜……。不審者はネコが飛びかかって来た事に驚いていたんだろう? ネコが目当てだったら、そんな反応はしないんじゃないか?」
「……確かに。そもそも、この部室にネコが居る事を知っていたのは、生徒会のメンバーと、私達だけだったはずだしね……」
「……じゃあ、不審者の目的は、何なんだろう……」
俺は、頭を傾げて考え込む。
――その時、
「……………………イーチ ニー サーン シー……」
窓の外から、何かのかけ声が聴こえてきた。
「……何だろ?」
春夏秋冬が、窓を開けて、外の様子を見て、
「――わッ!」
顔を真っ赤にして、顔を引っ込めた。
「ど、どうした?」
俺たち男性陣は、窓に駆け寄り、階下を見下ろした。
そこには――ふんどし姿のふくよかな男子生徒が、並んで四股を踏む姿があった……。
「……何だ、タダの相撲部じゃないか」
武杉副会長が、言った。
「……え? 相撲部? あったっけ、ウチの学校に?」
「先月……君たちよりも少し前に申請があって、創部したんだ」
矢的先輩の疑問に、行方会長が答えた。
「で……当然、ウチには土俵なんて無いからな。練習場所をどうしようという話になって、部室棟の奥の砂場……ちょうどその窓の真下だな……そこで暫く練習する事にさせたんだ」
「え~ッ! そんな話、聞いてないッスよ、会長~!」
会長の言葉に猛抗議する矢的先輩。
「反対ッスよ、俺は~! 毎日毎日放課後に、ムッさい野郎の裸がくんずほぐれずするのを見せられるんですか? カンベンして下さいよ~!」
「嫌なら、顔を出さなきゃいいだけの話だろうが……」
「いや~!窓一枚隔てた所で、野郎が裸でキャッキャウフフしてるって考えただけで……」
「……矢的くん」
「…………!」
撫子先輩が、微笑を湛えながら、矢的先輩を窘めた。
あ……(察し)。
「マジメに、格闘技に打ち込む人達をそんな風に言っては、駄目よ」
「は――ハイッ! 失礼しましたッ!」
直立不動で最敬礼の矢的先輩。
はあ……何回、このパターンを見せられるのか……。
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