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第二章 サンクトルまで何ケイム?
雌氣と雄氣
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ジャスミンは、アズール・タイガーに吹っ飛ばされて、生い茂る草の上で倒れ臥しながらも、必死で立ち上がろうと足掻いていた。
頭を打った衝撃で、視界はグラグラと揺れ、胸の辺りはぐっしょりと血で濡れている。ややもすれば失ってしまいそうな意識を必死で繋ぎ止めながら、ジャスミンは、霞む目を凝らして、若い神官の姿を探す。
そして、ぼやけた視界の片隅に、彼の纏う神官服の若草色を見つけた。――そして、その若草色のすぐ隣にじりじりとにじり寄る、深い蒼……。
「――パーム……!」
徐々に、ジャスミンの視力が回復する。その眼に飛び込んできたのは、恐怖で歪んだ表情で、前方を凝視するパームの姿と――牙を剥いて、今にも飛びかからんとしている、アズール・タイガーの姿だった。
(ま――マズい……!)
ジャスミンは、スコップの柄を握り直し、再び蒼い虎に打撃を与えようとするが――彼の両足は、その意に従わず、ガクガクと痙攣するだけだった。
(くそ、動け……動け、動けぇ!)
ジャスミンは、何とかパームの元に近づく為、足を動かす事を諦め、腹這いでジリジリ進もうとするが――。
(間に……合わねえ)
アズール・タイガーは、今にも獲物に飛びかかろうと、その背中を丸めていた。
(……パームは――!)
彼は、パームの方に視線を移す。
パームは、唯一自由になった右腕を、アズール・タイガーにまっすぐ向け、目を閉じて、何やら呟いている。
(アイツ……諦めちまったのか……!)
パームの行動は、死を前にしての、神への祈りに見えた。ジャスミンは、先程のように、『生きる希望を捨てるな!』と叫ぼうとした。
その時……パームの呟く言葉が、彼の耳に届く。
『……――ブシャムの聖眼 宿る右の掌――』
……その言葉の並びに、ジャスミンは聞き覚えがある……。
『――紅き月 集いし雄氣――』
(! そうだ、あの夜……最初に大教主と出会った時の――!)
『――邪気を滅するッ!』
ジャスミンが思い出したのと同時に、パームの詠唱が終わる。
次の瞬間――パームの右掌に刻まれた、紅月神ブシャムの聖眼が、目映い紅い光を放った。
その紅い光は凝集して、大きな光の球となり、前方――アズール・タイガーへ向かって放たれる!
「――ッ!」
紅い光球は、アズール・タイガーの眉間へ着弾し、衝撃波の様な紅い波が、アズール・タイガーの蒼い身体を舐め回すかのように広がった。
「グオオオオオオオオオオオッ!」
一瞬後、蒼き虎は苦悶の絶叫を上げ――その巨体は、大きな地響きを立てて、崩れ落ちたのだった――。
◆ ◆ ◆ ◆
「ジャスミンさんっ! だ、大丈夫ですか?」
アズール・タイガーが倒れた後も暫くもがき続け、やっとの事でロープから抜け出したパームは、俯せで倒れたままのジャスミンの元へ駈け寄った。
「……よ、よお……生き延びたか……パーム?」
パームに助け起こされたジャスミンは、そう言うと、蒼白の顔に力無い微笑を浮かべる。
「僕は大丈夫です! 気を……気をしっかり持って……ジャスミンさん!」
「――なあ、俺、死ぬのかな……?」
そう呟くと、ジャスミンは咳き込み、夥しい血を吐いた。
「死ぬなんて――そんな事言わないで下さいよ! 貴方がついさっき、僕に言った『最後まで生きる希望を捨てるな』って言葉は嘘だったんですか!」
「……へっ、そんな古い話は……忘れた、よ」
「待ってて下さい。――今」
「……まだ、やり残した事は沢山あるのになぁ……。あの伝説の『傾城の色事師』を超えるとか、ナンパ千人斬り……とか」
「……」
一瞬、パームの顔に呆れたような表情が浮かぶ。
だが、彼に抱きかかえられたジャスミンの目には、その呆れ顔すらハッキリと見えなくなっている。
彼は、ふと中空に虚ろな目を移すと、懐かしそうな声で呟いた。
「……ああ、そうだ……もう一度……逢いたかった――アザ……」
「ジャスミンさん……もう、喋らないで。待ってて下さい……」
パームはそう言うと、意識を失ってしまったジャスミンの胸の傷に左掌を翳し、目を閉じて、精神を集中させる。
――そして、静かな声で、先ほどとは違う聖句を唱える。
『蒼き月 レムの聖き眼 宿りし左掌 雌氣を放ちて 尸氣を払はむ』
パームがそう唱えると、彼の左手に刻まれた『レムの聖眼』が、仄かに蒼く光り始め、ジャスミンの胸の傷を淡く照らした。
……やがて、
「……う……あ……暖かい……?」
ジャスミンが、閉じていた目を開いた。
「――気が付きましたか……良かった」
蒼く光る左掌を彼の胸に掲げながら、パームは安堵の表情を浮かべ、ジャスミンに微笑いかける。
状況が掴めないジャスミンは、訝しげな表情を浮かべ、パームの顔と蒼く光る掌を交互に見ながら尋ねる。
「……何やってんの、お前……」
「“ハラエ”……僕の体内の雌氣を貴方の傷口に翳す事で、傷の再生・回復を促す……一言で言えば『治癒』です。――もう少しで終わりますので、じっとしていて……」
パームが言う通り、蒼い光に照らされたジャスミンの傷は、みるみる塞がっていく。
「――はい……終わりました。これで一安心……」
「……これは、凄いな――」
ジャスミンは驚愕した。あれだけ酷かった傷口が、キレイに消えている。破れた神官服と、付着した血痕が無ければ、とても命に関わる重傷を負っていたとは信じられないだろう。
パームは、ジャスミンがすっかり元の元気を取り戻した事を確認すると、ほっと息を吐いて、その場に倒れ込んだ。
それを見たジャスミンが、慌てて飛び起き、ぐったりしたパームの身体を抱き起こす。
「――! おい、パーム! 今度は、お前が大丈夫か?」
「あ――だ、大丈夫です。少し、雌氣を使いすぎたので……。少し休めば、回復します」
「……そうか……」
顔色こそ悪いものの、命には別条無さそうなパームの様子に、ジャスミンも安堵の息を吐き、おもむろに彼の肩を軽く叩いた。
「……ありがとうな」
「――雨が降りそうですね」
「……本当は性格悪いだろ、お前」
「冗談です――こちらこそ、ありがとうございました」
パームは、ゆっくりと起き上がり、ジャスミンに頭を下げた。
「あの時――、貴方の叱咤が無ければ、僕は諦めてしまって、今頃生きてはいませんでした……」
「――そういえば、あの一撃は凄かったな。右掌から紅い光出すヤツ――大教主のアレと同じワザだろ?」
「……“ミソギ”ですか……?」
「ミソギっていうのか……。つーかさ、それ出来るんじゃないかよ? だったら、あのデブに囲まれた時にも使ってくれれば……」
「……あの時は使えませんでした。言ったと思いますけど……」
「へ――? じゃ、じゃあ、何で今日は……?」
「……分かりません」
パームは、そう言って、照れ臭そうに頭を掻く。
「……でも、多分、今までの僕は、心の底で力を抑えようとしてしまっていたのだと思います。それで、キチンと雄氣を籠める事が出来なくて、失敗ばかりしていたんだな、と」
「――で、あの時に、極限まで追い込まれた結果、無意識に掛けていたリミッターを外せて、成功した――てことか」
「ええ、多分、そんな感じではないかと……それも含めて、ありがとうございました」
パームは、再び頭を下げた。
「……もういいよ。俺は、男にしつこく感謝されて喜ぶ趣味は無えし」
ジャスミンは、手を軽く振ると、立ち上がった。
「さ――て、じゃ、始めるか!」
「――え? 何をですか?」
「何を……って、決まってるじゃん」
ナイフを取り出し、舌なめずりし、言葉を継いだ。
「――肉料理の、下ごしらえ!」
「…………え! 本気で食べるんですか? ア、アズール・タイガーを!」
「あったりまえじゃん! 何の為にここまで苦労したと思ってるんだよ?」
「ぐ……た、確かに」
ニッコリと微笑むジャスミンに、パームは何も言えなかった。
目の前で唖然とするパームにも構わず、ジャスミンは、上機嫌で嬌声を上げる。
「丸焼きにするもいいし、干し肉にして長期保存もいいし、燻して燻製にするも良し――あ、毛皮も上手く剥がして、後で売り払えば、いいカネになるんじゃね? あ~、楽しみ~っ!」
頭を打った衝撃で、視界はグラグラと揺れ、胸の辺りはぐっしょりと血で濡れている。ややもすれば失ってしまいそうな意識を必死で繋ぎ止めながら、ジャスミンは、霞む目を凝らして、若い神官の姿を探す。
そして、ぼやけた視界の片隅に、彼の纏う神官服の若草色を見つけた。――そして、その若草色のすぐ隣にじりじりとにじり寄る、深い蒼……。
「――パーム……!」
徐々に、ジャスミンの視力が回復する。その眼に飛び込んできたのは、恐怖で歪んだ表情で、前方を凝視するパームの姿と――牙を剥いて、今にも飛びかからんとしている、アズール・タイガーの姿だった。
(ま――マズい……!)
ジャスミンは、スコップの柄を握り直し、再び蒼い虎に打撃を与えようとするが――彼の両足は、その意に従わず、ガクガクと痙攣するだけだった。
(くそ、動け……動け、動けぇ!)
ジャスミンは、何とかパームの元に近づく為、足を動かす事を諦め、腹這いでジリジリ進もうとするが――。
(間に……合わねえ)
アズール・タイガーは、今にも獲物に飛びかかろうと、その背中を丸めていた。
(……パームは――!)
彼は、パームの方に視線を移す。
パームは、唯一自由になった右腕を、アズール・タイガーにまっすぐ向け、目を閉じて、何やら呟いている。
(アイツ……諦めちまったのか……!)
パームの行動は、死を前にしての、神への祈りに見えた。ジャスミンは、先程のように、『生きる希望を捨てるな!』と叫ぼうとした。
その時……パームの呟く言葉が、彼の耳に届く。
『……――ブシャムの聖眼 宿る右の掌――』
……その言葉の並びに、ジャスミンは聞き覚えがある……。
『――紅き月 集いし雄氣――』
(! そうだ、あの夜……最初に大教主と出会った時の――!)
『――邪気を滅するッ!』
ジャスミンが思い出したのと同時に、パームの詠唱が終わる。
次の瞬間――パームの右掌に刻まれた、紅月神ブシャムの聖眼が、目映い紅い光を放った。
その紅い光は凝集して、大きな光の球となり、前方――アズール・タイガーへ向かって放たれる!
「――ッ!」
紅い光球は、アズール・タイガーの眉間へ着弾し、衝撃波の様な紅い波が、アズール・タイガーの蒼い身体を舐め回すかのように広がった。
「グオオオオオオオオオオオッ!」
一瞬後、蒼き虎は苦悶の絶叫を上げ――その巨体は、大きな地響きを立てて、崩れ落ちたのだった――。
◆ ◆ ◆ ◆
「ジャスミンさんっ! だ、大丈夫ですか?」
アズール・タイガーが倒れた後も暫くもがき続け、やっとの事でロープから抜け出したパームは、俯せで倒れたままのジャスミンの元へ駈け寄った。
「……よ、よお……生き延びたか……パーム?」
パームに助け起こされたジャスミンは、そう言うと、蒼白の顔に力無い微笑を浮かべる。
「僕は大丈夫です! 気を……気をしっかり持って……ジャスミンさん!」
「――なあ、俺、死ぬのかな……?」
そう呟くと、ジャスミンは咳き込み、夥しい血を吐いた。
「死ぬなんて――そんな事言わないで下さいよ! 貴方がついさっき、僕に言った『最後まで生きる希望を捨てるな』って言葉は嘘だったんですか!」
「……へっ、そんな古い話は……忘れた、よ」
「待ってて下さい。――今」
「……まだ、やり残した事は沢山あるのになぁ……。あの伝説の『傾城の色事師』を超えるとか、ナンパ千人斬り……とか」
「……」
一瞬、パームの顔に呆れたような表情が浮かぶ。
だが、彼に抱きかかえられたジャスミンの目には、その呆れ顔すらハッキリと見えなくなっている。
彼は、ふと中空に虚ろな目を移すと、懐かしそうな声で呟いた。
「……ああ、そうだ……もう一度……逢いたかった――アザ……」
「ジャスミンさん……もう、喋らないで。待ってて下さい……」
パームはそう言うと、意識を失ってしまったジャスミンの胸の傷に左掌を翳し、目を閉じて、精神を集中させる。
――そして、静かな声で、先ほどとは違う聖句を唱える。
『蒼き月 レムの聖き眼 宿りし左掌 雌氣を放ちて 尸氣を払はむ』
パームがそう唱えると、彼の左手に刻まれた『レムの聖眼』が、仄かに蒼く光り始め、ジャスミンの胸の傷を淡く照らした。
……やがて、
「……う……あ……暖かい……?」
ジャスミンが、閉じていた目を開いた。
「――気が付きましたか……良かった」
蒼く光る左掌を彼の胸に掲げながら、パームは安堵の表情を浮かべ、ジャスミンに微笑いかける。
状況が掴めないジャスミンは、訝しげな表情を浮かべ、パームの顔と蒼く光る掌を交互に見ながら尋ねる。
「……何やってんの、お前……」
「“ハラエ”……僕の体内の雌氣を貴方の傷口に翳す事で、傷の再生・回復を促す……一言で言えば『治癒』です。――もう少しで終わりますので、じっとしていて……」
パームが言う通り、蒼い光に照らされたジャスミンの傷は、みるみる塞がっていく。
「――はい……終わりました。これで一安心……」
「……これは、凄いな――」
ジャスミンは驚愕した。あれだけ酷かった傷口が、キレイに消えている。破れた神官服と、付着した血痕が無ければ、とても命に関わる重傷を負っていたとは信じられないだろう。
パームは、ジャスミンがすっかり元の元気を取り戻した事を確認すると、ほっと息を吐いて、その場に倒れ込んだ。
それを見たジャスミンが、慌てて飛び起き、ぐったりしたパームの身体を抱き起こす。
「――! おい、パーム! 今度は、お前が大丈夫か?」
「あ――だ、大丈夫です。少し、雌氣を使いすぎたので……。少し休めば、回復します」
「……そうか……」
顔色こそ悪いものの、命には別条無さそうなパームの様子に、ジャスミンも安堵の息を吐き、おもむろに彼の肩を軽く叩いた。
「……ありがとうな」
「――雨が降りそうですね」
「……本当は性格悪いだろ、お前」
「冗談です――こちらこそ、ありがとうございました」
パームは、ゆっくりと起き上がり、ジャスミンに頭を下げた。
「あの時――、貴方の叱咤が無ければ、僕は諦めてしまって、今頃生きてはいませんでした……」
「――そういえば、あの一撃は凄かったな。右掌から紅い光出すヤツ――大教主のアレと同じワザだろ?」
「……“ミソギ”ですか……?」
「ミソギっていうのか……。つーかさ、それ出来るんじゃないかよ? だったら、あのデブに囲まれた時にも使ってくれれば……」
「……あの時は使えませんでした。言ったと思いますけど……」
「へ――? じゃ、じゃあ、何で今日は……?」
「……分かりません」
パームは、そう言って、照れ臭そうに頭を掻く。
「……でも、多分、今までの僕は、心の底で力を抑えようとしてしまっていたのだと思います。それで、キチンと雄氣を籠める事が出来なくて、失敗ばかりしていたんだな、と」
「――で、あの時に、極限まで追い込まれた結果、無意識に掛けていたリミッターを外せて、成功した――てことか」
「ええ、多分、そんな感じではないかと……それも含めて、ありがとうございました」
パームは、再び頭を下げた。
「……もういいよ。俺は、男にしつこく感謝されて喜ぶ趣味は無えし」
ジャスミンは、手を軽く振ると、立ち上がった。
「さ――て、じゃ、始めるか!」
「――え? 何をですか?」
「何を……って、決まってるじゃん」
ナイフを取り出し、舌なめずりし、言葉を継いだ。
「――肉料理の、下ごしらえ!」
「…………え! 本気で食べるんですか? ア、アズール・タイガーを!」
「あったりまえじゃん! 何の為にここまで苦労したと思ってるんだよ?」
「ぐ……た、確かに」
ニッコリと微笑むジャスミンに、パームは何も言えなかった。
目の前で唖然とするパームにも構わず、ジャスミンは、上機嫌で嬌声を上げる。
「丸焼きにするもいいし、干し肉にして長期保存もいいし、燻して燻製にするも良し――あ、毛皮も上手く剥がして、後で売り払えば、いいカネになるんじゃね? あ~、楽しみ~っ!」
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