【完結】氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~

雨宮羽那

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第2章

23・外出の目的は?

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 マーサと共に身支度を整えたあと、私はシリウス様の部屋の前に立っていた。
 なんだかそわそわとして落ち着かない。
 扉の前で深呼吸を一つすると、私は扉を軽く叩いた。
 
「シリウス様、セレフィアです。外出の準備ができました」

「わかりました。今行きます」

 扉の外から声をかけると、シリウス様はすぐに部屋から出てきた。
 私の姿を認めたシリウス様は、動きを止め、じっと見下ろしてきた。
 琥珀と薄水色のオッドアイが真っ直ぐに私へ向けられる。
 
「ど、どうしました?」

 シリウス様にまじまじと見られては緊張してしまう。
 
「そのドレスは?」

「これはマーサが貸してくれたのもので……」

「……なるほど」

 シリウス様はふむ、と顎に手を当てて、なにやら考え込む仕草をしている。
  それから、私が困惑していることに気づいたのか、シリウス様はわずかに目を細めた。

「いえ。先週の水色のドレスも似合っていましたが、その色も似合いますね」

「……!?」

 シリウス様からさらりと告げられた言葉に、私は思わず目を見開いてしまった。
 
 (! この人先週に私が着ていたものを覚えている!?)

 今のドレスを褒められたことよりも、先週着ていたドレスの色を覚えられていたことに驚きを隠せない。

 (……シリウス様って、結構私のことをよく見てる……?)

 その可能性に気づいてしまい、一瞬で信じられないくらい頬が熱くなる。

 (どうしよう。顔があげられない)

「……今日の参考になります」

 (……参考?)

 うつむいてしまった私の上へシリウス様のつぶやきが落ちてきて、私は小さく首をひねった。

 
 ◇◇◇◇◇◇


 馬車の中、いつものようにシリウス様と向かい合わせに座る。
 窓の外を流れていくのは、見慣れはじめた通勤ルートだ。
 恐らく城下町の方へ向かっているのだろう。

「シリウス様、行きたい場所があるとおっしゃっていましたけど……具体的にどちらへ向かうおつもりなんですか?」
 
「何件か、店を回りたいと考えておりまして」

 (……意外)

 シリウス様の部屋に以前入ったが、部屋にあるのは本ばかりだった。
 そのせいもあるのだろう。
 勝手なイメージだが、シリウス様は必要なもの以外に興味を示すタイプでは無いと思っていた。

「へぇ……。何か買われるんですか?」

 興味本位で尋ねてみる。
 シリウス様が私を連れだってまで行く店にも、買おうとしているものにも興味が湧いたのだ。
 
「……あなたへの贈り物を購入したいと思いまして」

「贈り物……?」

 (なんで……?)

 気持ちはありがたいが、私の誕生日はまだ先だ。
 贈り物をされる理由が思い当たらず、ただ瞬きを繰り返す。

 その時、シリウス様がふと窓の外へ視線を向けた。
 いつしか馬車は、城下町の大通りを走っている。
 
「止めてください」

 シリウス様の声に、御者が馬車を止める。
 迷うことなくシリウス様は馬車から降りると、私へ手を差し出した。

「降りましょう」

「は、はい」

 差し出された手を借りて、私も馬車から降りる。
 シリウス様の視線を追うように、私もそちらへと目を向けて……思わず息を飲んだ。

 通りに面したその店は、外壁が淡いクリーム色の石で統一され、扉や窓枠には繊細な金の装飾が施されていた。
 大きなショーウィンドウの中には上質そうな布地のドレスが飾られ、店先の花壇には季節の花々が静かに揺れている。

 派手さはないのだが、品が良い店構えをしていた。

 (ひえええ……お店の外観だけでわかるわ……! このお店絶対高い……!)

 そんな私の動揺を知ってか知らずか、シリウス様は店の扉を押し開ける。
 
「入りましょうか」

「えっ!? ま、待ってください!」
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