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06 施設
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「次の場所は、けっこう怪しいわね」
一ノ瀬が次に向かった場所は、将来は太陽光発電の候補地にする予定だったが、計画が頓挫した登記上では只の山林だった。
しかし、衛星写真では道らしき線と建物の一部が見えていたのだ。
今までも似た物はあったが、建設が途中で中止された様なものだった。
だが今回は、何となく違和感があったのだ。
記者の。いや、女の勘は侮れない。
今回も衛星写真を頼りに、周辺のバイパス道路との接点を探すと、朽ち果てた一軒家があった。
家の両側は樹木が生い茂り、家が森に飲み込まれている様だ。
観音開きの扉付きガレージが道路に面した田舎風の家だが、おかしな事に送電線が百メートル程で切れていた。
「この家の近くだけ見たら、違和感ないけど、異様よね」
玄関は釘で固定され、ガレージには錠前がはめられている。
試しにガレージの扉の隙間から覗くと、中には外光らしき光があった。
「電気が来てないし、向こうの壁が壊れて居るのかしら?」
周りを気にしつつ、大きめのワイヤーカッターで、錠前ではなく取り付け金具の方を切断して扉を開いた。
「これはビンゴね?」
ガレージの奥には、朽ちているが舗装された道路が続いていた。
明らかに偽装された入り口だ。
ただ、本来はガレージの奥側にも扉があったのが、風化で壊れて道路を塞いではいたが。
「これくらいなら、簡単にどけられるわ」
作業用手袋をはめて、彼女は残骸を森へ投げ込み、足で釘などを脇へ寄せていく。
「レンタカーに傷が付かない様に、無理はしない方が良いわね」
道路は広いが、長い月日のせいか樹木の枝が左右から延びているのが見えた。
一ノ瀬は、車をガレージ内にバックで入れると、ガレージの外扉を閉めて、風で開かない様に紐で簡単に止めた。
「距離は2キロくらいだったかしら?」
携帯の衛星写真を見ながら彼女は、ひび割れた舗装道路を進んでいく。
やがて見えてきたのは、小さな三階建てアパートの様だったが、周囲の森には人間の生活の跡が見え隠れしていた。
既に森に飲み込まれたコンビニの残骸が見てとれる。
「只のアパート?なんで、こんな所に?」
鉄筋コンクリート製アパートの背後には小高い丘があり、何か変だ。
「他は平地なのに、ここだけ盛り上がってる?」
ちょっと見は、雑木林のある丘だが、他と違って大型の樹木が生えていない。
逆に、そのせいで遠目には盛り上がって見えないのだろう。
一ノ瀬は、丘の周りを一周してみた。
「別に入り口らしいのは無いけど、人工物みたいな感じよね。繋がりがあるとすれば」
彼女は再びアパートに帰ってきたが、もう日が暮れはじめたので、無理をせずに車へと戻った。
車内泊を終えて、彼女が車から持ち出したのは、バッテリー式の金属カッターとバールなどだ。
ツナギに着替え、ヘルメットとゴーグルを付けて、怪しい扉の蝶番を切り落としていく。
鍵の方を切っても、蝶番が錆び付いて動かない事が多いからだ。
それに、蝶番は鍵と違って外に出ているので切りやすい。
あとは、倒れる方向を気にしつつ、バールでこじ開けた。
カッターのバッテリーを変え、朝から夕方までかけて開けた三つ目の扉の先には、暗い地下通路が広がっていた。
「ここは怪しいわね」
だが、既に彼女は体力の限界を迎えていて、そのまま崩れる様に眠りについてしまった。
「あれっ?こんな所で寝落ちしたんだ?午前2時か!」
熊などに襲われなかったのは幸いだった。
いや、場所が地下だけに、単なる酸欠だったのかも知れない。
ココまででこじ開けたのは、アパートの管理人室と地下倉庫、地下倉庫に隣接していた扉の三つだ。
それなりの騒音はしていたし、いまだに焼けた金属の臭いが漂っているので、動物も警戒したのだろうか。
深夜の森は、明かりがなければかなり静かだが、無音という訳ではない。
木々の枝葉が風でぶつかる音や、虫の音などが耳に入る。
だが、鉄筋コンクリートのアパートの中に、それらは殆ど伝わってこない。
恐ろしい程の静寂が、その中には生まれている。
いや、その筈なのだ。
だが、一ノ瀬を目覚めさせたのは、廃墟にあるまじき低周波の振動音だった。
「小さいけど、これってモーター音?なんで廃墟に?でも、本当に聞こえるし」
一応、彼女は音源が自分の持ち込んだ道具でない事まで再確認した。
夜は遅いし、身体は疲れているが、音が気になって、再び眠れる状態ではない。
さりとて、夜中にレンタカーまで戻るのも、リスクがある。
野性動物や倒木などに遭遇すれば、独り身の彼女は死ぬかも知れないし、ここは携帯も繋がらない。
「様子見くらいはしとくべきよね」
彼女は深入りしない事を心に決め、最初に持ち込んだ報道用具の鞄からライトを出して開口部の奥を照した。
穴は、コンクリートで成型された通路で、あの丘に向かって伸びている様だった。
天井には照明もあるが、スイッチらしきものは見当たらない。
「やっぱり、丘は人工物だったみたいね」
あの丘の中に何かの施設があって、このアパートは作業員とかの宿舎になっていたに違いないと彼女は考えた。
水の溜まった足元を用心しながらしばらく進むと、また扉があって、何かが書かれている。
「『B1F』?確かに地下1階ってのは間違いないけど」
空気が淀んでいるせいか、体が疲れているせいか、意識が朦朧としてきたが、彼女はドアのノブを回してみた。
「これ、開くわ」
少し固くなっていたが、特に施錠もされておらず、扉は手前に開いた。
アパート側の扉が、腐食を防いでいたのかも知れない。
「きゃっ!」
途端に、眩い光が彼女の視界を襲う。
だが、特に何もなく、目が慣れると、そこは非常階段の様なものだった。
恐らくは、動体センサーによるスイッチングで、踊り場にある照明が、彼女の居る階層だけを照らしている。
ライトの近くには換気口があり、ファンが音をたてて回っている。
「モーター音の正体はコレね?アパートの方で排気してるのかしら?でも、いったい、何処から電力が?」
階段の上下を覗くが、照明が消えていて見えない。
「もし、偉い人が居るとすれば上の階。ヤバイ物は下の階って相場が決まっているのよね。施設だけが生きていたとしても、丁寧に隠蔽しているからには、何か有るわ」
どう見ても、ここは非常口で、本来の出入口は地上にあったに違いないのだ。
一ノ瀬は、ワクワクが止まらなかった。
好奇心が抑えられず、テンションが爆上がりなのが自分でも分かる。
「スクープの臭いしかしないわよ」
一ノ瀬はカメラに非常階段の映像を納め、その階段を降りていった。
この時、一ノ瀬は気付かなかったのだ。
センサーライトに小さなカメラも内蔵されていた事に。
最下層は地下4階だった。
フロアに出ると、やはりセンサーライトで照明が点灯した。
「地上部分の丘も大きかったけど、地下はもっと広いわね」
壁に描かれたフロアマップによると、かなり広い様だった。
階層の中央部には、【原子炉】と描かれた区画が有り、全体の一割以上を占めている。
「過去にフルオートの原発が開発されたけど、核融合発電の登場で廃棄されたはず。電源の出所は分かったけど、これだけでもスクープものだわ」
この森には中規模の川が流れていたが、それを冷却水に使っていたのか?
インフラが届かない地区では、人間の飲料水も必要だろう。
「もしかすると、あの道以外にも搬入出経路があるのかも?」
地下に、車両用のトンネルが有るのかも知れないわ」
一ノ瀬が通ったルートは、どう見ても非常口ぽかった。
食料などの搬入が有るなら、トラックで、あのガレージを通るのには無理がある。
そう考えていると、何やら話し声が聞こえてきた。
「(まさか、人が居るの?)」
アパートは完全に廃墟だったので、たまたま動力が生きていたのだと思い込むのも仕方がない。
一ノ瀬は、通路の分岐路に隠れ、携帯端末のカメラだけを出して、相手の姿を覗いた。
「(突き出た鼻と口、尖った耳?あれって公表された誘拐犯のキメラノイド?)」
狭山暁達が倒した誘拐犯は、動物と人間の遺伝子を合成した【キメラノイド】と呼ばれるものだった。
特に多かったのが、犬と合成された雑用タイプで、あまり知能が高くない者らしい。
他には牛と合成された戦闘タイプと思われる者も居たが、それらと同じような犬顔の二人が、こちらに向かっていたのだ。
「(マズイ!。どこかに隠れなきゃ)」
彼女は、とっさに目についた【EPS】と書かれた壁の扉を開いて、その中に滑り込んだ。
息を殺して潜んでいると、二人はEPSの前で鼻をひくつかせている様だ。
「yes!master.I'm go there」
何か通信が有ったらしく、二人は何処かに駆け出して行った。
「英語だったわね?米国なの?」
イギリスなどの可能性も捨てきれないが、海外の勢力らしい。
「でも、ちょうど良い場所に飛び込んだわね」
EPSとは、Electric Pipe Spaceの略で、電気や通信の配線や配管を通すスペースの事だ。
ライトで照すと、電源や点検用通信端子が幾つか見えている。
そもそもが、廃棄された施設から資料を集める目的だったので、彼女は予備電源やパソコン、ハッキングの装備も持って来ていたのだ。
予備電源はドアを切り破るのに使いきってしまったが、ここには電源も揃っていた。
勿論だが、ハッキングの技術も磨いている。
昨今の新聞記者は、この手の事もできないと、他社を追い抜くことなどできない。
一ノ瀬は、パソコンの電源を入れ、施設のLANシステムに有線接続をした。
一ノ瀬が次に向かった場所は、将来は太陽光発電の候補地にする予定だったが、計画が頓挫した登記上では只の山林だった。
しかし、衛星写真では道らしき線と建物の一部が見えていたのだ。
今までも似た物はあったが、建設が途中で中止された様なものだった。
だが今回は、何となく違和感があったのだ。
記者の。いや、女の勘は侮れない。
今回も衛星写真を頼りに、周辺のバイパス道路との接点を探すと、朽ち果てた一軒家があった。
家の両側は樹木が生い茂り、家が森に飲み込まれている様だ。
観音開きの扉付きガレージが道路に面した田舎風の家だが、おかしな事に送電線が百メートル程で切れていた。
「この家の近くだけ見たら、違和感ないけど、異様よね」
玄関は釘で固定され、ガレージには錠前がはめられている。
試しにガレージの扉の隙間から覗くと、中には外光らしき光があった。
「電気が来てないし、向こうの壁が壊れて居るのかしら?」
周りを気にしつつ、大きめのワイヤーカッターで、錠前ではなく取り付け金具の方を切断して扉を開いた。
「これはビンゴね?」
ガレージの奥には、朽ちているが舗装された道路が続いていた。
明らかに偽装された入り口だ。
ただ、本来はガレージの奥側にも扉があったのが、風化で壊れて道路を塞いではいたが。
「これくらいなら、簡単にどけられるわ」
作業用手袋をはめて、彼女は残骸を森へ投げ込み、足で釘などを脇へ寄せていく。
「レンタカーに傷が付かない様に、無理はしない方が良いわね」
道路は広いが、長い月日のせいか樹木の枝が左右から延びているのが見えた。
一ノ瀬は、車をガレージ内にバックで入れると、ガレージの外扉を閉めて、風で開かない様に紐で簡単に止めた。
「距離は2キロくらいだったかしら?」
携帯の衛星写真を見ながら彼女は、ひび割れた舗装道路を進んでいく。
やがて見えてきたのは、小さな三階建てアパートの様だったが、周囲の森には人間の生活の跡が見え隠れしていた。
既に森に飲み込まれたコンビニの残骸が見てとれる。
「只のアパート?なんで、こんな所に?」
鉄筋コンクリート製アパートの背後には小高い丘があり、何か変だ。
「他は平地なのに、ここだけ盛り上がってる?」
ちょっと見は、雑木林のある丘だが、他と違って大型の樹木が生えていない。
逆に、そのせいで遠目には盛り上がって見えないのだろう。
一ノ瀬は、丘の周りを一周してみた。
「別に入り口らしいのは無いけど、人工物みたいな感じよね。繋がりがあるとすれば」
彼女は再びアパートに帰ってきたが、もう日が暮れはじめたので、無理をせずに車へと戻った。
車内泊を終えて、彼女が車から持ち出したのは、バッテリー式の金属カッターとバールなどだ。
ツナギに着替え、ヘルメットとゴーグルを付けて、怪しい扉の蝶番を切り落としていく。
鍵の方を切っても、蝶番が錆び付いて動かない事が多いからだ。
それに、蝶番は鍵と違って外に出ているので切りやすい。
あとは、倒れる方向を気にしつつ、バールでこじ開けた。
カッターのバッテリーを変え、朝から夕方までかけて開けた三つ目の扉の先には、暗い地下通路が広がっていた。
「ここは怪しいわね」
だが、既に彼女は体力の限界を迎えていて、そのまま崩れる様に眠りについてしまった。
「あれっ?こんな所で寝落ちしたんだ?午前2時か!」
熊などに襲われなかったのは幸いだった。
いや、場所が地下だけに、単なる酸欠だったのかも知れない。
ココまででこじ開けたのは、アパートの管理人室と地下倉庫、地下倉庫に隣接していた扉の三つだ。
それなりの騒音はしていたし、いまだに焼けた金属の臭いが漂っているので、動物も警戒したのだろうか。
深夜の森は、明かりがなければかなり静かだが、無音という訳ではない。
木々の枝葉が風でぶつかる音や、虫の音などが耳に入る。
だが、鉄筋コンクリートのアパートの中に、それらは殆ど伝わってこない。
恐ろしい程の静寂が、その中には生まれている。
いや、その筈なのだ。
だが、一ノ瀬を目覚めさせたのは、廃墟にあるまじき低周波の振動音だった。
「小さいけど、これってモーター音?なんで廃墟に?でも、本当に聞こえるし」
一応、彼女は音源が自分の持ち込んだ道具でない事まで再確認した。
夜は遅いし、身体は疲れているが、音が気になって、再び眠れる状態ではない。
さりとて、夜中にレンタカーまで戻るのも、リスクがある。
野性動物や倒木などに遭遇すれば、独り身の彼女は死ぬかも知れないし、ここは携帯も繋がらない。
「様子見くらいはしとくべきよね」
彼女は深入りしない事を心に決め、最初に持ち込んだ報道用具の鞄からライトを出して開口部の奥を照した。
穴は、コンクリートで成型された通路で、あの丘に向かって伸びている様だった。
天井には照明もあるが、スイッチらしきものは見当たらない。
「やっぱり、丘は人工物だったみたいね」
あの丘の中に何かの施設があって、このアパートは作業員とかの宿舎になっていたに違いないと彼女は考えた。
水の溜まった足元を用心しながらしばらく進むと、また扉があって、何かが書かれている。
「『B1F』?確かに地下1階ってのは間違いないけど」
空気が淀んでいるせいか、体が疲れているせいか、意識が朦朧としてきたが、彼女はドアのノブを回してみた。
「これ、開くわ」
少し固くなっていたが、特に施錠もされておらず、扉は手前に開いた。
アパート側の扉が、腐食を防いでいたのかも知れない。
「きゃっ!」
途端に、眩い光が彼女の視界を襲う。
だが、特に何もなく、目が慣れると、そこは非常階段の様なものだった。
恐らくは、動体センサーによるスイッチングで、踊り場にある照明が、彼女の居る階層だけを照らしている。
ライトの近くには換気口があり、ファンが音をたてて回っている。
「モーター音の正体はコレね?アパートの方で排気してるのかしら?でも、いったい、何処から電力が?」
階段の上下を覗くが、照明が消えていて見えない。
「もし、偉い人が居るとすれば上の階。ヤバイ物は下の階って相場が決まっているのよね。施設だけが生きていたとしても、丁寧に隠蔽しているからには、何か有るわ」
どう見ても、ここは非常口で、本来の出入口は地上にあったに違いないのだ。
一ノ瀬は、ワクワクが止まらなかった。
好奇心が抑えられず、テンションが爆上がりなのが自分でも分かる。
「スクープの臭いしかしないわよ」
一ノ瀬はカメラに非常階段の映像を納め、その階段を降りていった。
この時、一ノ瀬は気付かなかったのだ。
センサーライトに小さなカメラも内蔵されていた事に。
最下層は地下4階だった。
フロアに出ると、やはりセンサーライトで照明が点灯した。
「地上部分の丘も大きかったけど、地下はもっと広いわね」
壁に描かれたフロアマップによると、かなり広い様だった。
階層の中央部には、【原子炉】と描かれた区画が有り、全体の一割以上を占めている。
「過去にフルオートの原発が開発されたけど、核融合発電の登場で廃棄されたはず。電源の出所は分かったけど、これだけでもスクープものだわ」
この森には中規模の川が流れていたが、それを冷却水に使っていたのか?
インフラが届かない地区では、人間の飲料水も必要だろう。
「もしかすると、あの道以外にも搬入出経路があるのかも?」
地下に、車両用のトンネルが有るのかも知れないわ」
一ノ瀬が通ったルートは、どう見ても非常口ぽかった。
食料などの搬入が有るなら、トラックで、あのガレージを通るのには無理がある。
そう考えていると、何やら話し声が聞こえてきた。
「(まさか、人が居るの?)」
アパートは完全に廃墟だったので、たまたま動力が生きていたのだと思い込むのも仕方がない。
一ノ瀬は、通路の分岐路に隠れ、携帯端末のカメラだけを出して、相手の姿を覗いた。
「(突き出た鼻と口、尖った耳?あれって公表された誘拐犯のキメラノイド?)」
狭山暁達が倒した誘拐犯は、動物と人間の遺伝子を合成した【キメラノイド】と呼ばれるものだった。
特に多かったのが、犬と合成された雑用タイプで、あまり知能が高くない者らしい。
他には牛と合成された戦闘タイプと思われる者も居たが、それらと同じような犬顔の二人が、こちらに向かっていたのだ。
「(マズイ!。どこかに隠れなきゃ)」
彼女は、とっさに目についた【EPS】と書かれた壁の扉を開いて、その中に滑り込んだ。
息を殺して潜んでいると、二人はEPSの前で鼻をひくつかせている様だ。
「yes!master.I'm go there」
何か通信が有ったらしく、二人は何処かに駆け出して行った。
「英語だったわね?米国なの?」
イギリスなどの可能性も捨てきれないが、海外の勢力らしい。
「でも、ちょうど良い場所に飛び込んだわね」
EPSとは、Electric Pipe Spaceの略で、電気や通信の配線や配管を通すスペースの事だ。
ライトで照すと、電源や点検用通信端子が幾つか見えている。
そもそもが、廃棄された施設から資料を集める目的だったので、彼女は予備電源やパソコン、ハッキングの装備も持って来ていたのだ。
予備電源はドアを切り破るのに使いきってしまったが、ここには電源も揃っていた。
勿論だが、ハッキングの技術も磨いている。
昨今の新聞記者は、この手の事もできないと、他社を追い抜くことなどできない。
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