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9 子育て戦争
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こどものいる生活がこんなにも大変だとは思い至らず、世のお母様方、大変に申し訳ない。
明け方、しくしくと泣く声で目が覚めた。
寝起きは悪くない。
リビングのソファから起き上がり、隣にある寝室の扉を開ける。
シングルベッドに座る三歳の女の子が泣き声の主だった。案の定だ。
驚くことに彼女の父親は、その脇でいまだにぐーすかイビキをかいて寝ている。鈍感なのか、よほど疲れているのか。普段原さんに対して感じることのない種類の苛立ちを覚える。
でも今はそれどころじゃない。
原さんを起こすのも申し訳ない。おいでと手招きすると、三歳児は何度も後ろを振り返って躊躇いながら、それでも起きない父親を最後には見切りをつけたらしい。扉を閉めても何も言わなかった。
「愛鈴ちゃん、どうしたの?」
「ままは?」
「ママはおうちにいるんじゃないかな。先にお着替えしようか?」
三歳児なりに恥ずかしさがあるようで、うんとは言わない。でも濡れたパジャマが気持ち悪いのは、奇妙な歩き方からして隠せていなかった。
扉の脇に置いてあったピンク色のリュックを物色し、着替えを見繕う。これは昨夜、彼女の父親が持ってきたお着替えセットだ。
パンツと、オムツもあった。
どっちが正解だろう。
迷ったところで未知の世界だ。どちらも持っていこう。スマホも忘れてはならない。オムツの場合、付け方を検索しなくては。
風呂場で愛鈴ちゃんにシャワーをかけ、ついでに汚れた服も洗う。脱水はあとで洗濯機にお願いしよう。
その間も愛鈴ちゃんはずっと泣いていた。
「そんなに泣かなくていいよ。おうちじゃないから、緊張…ええと、びっくりしちゃったんだよね」
しくしくしくしく。
「はい、おわり。新しいの付けようか」
「あいり、パンツがいい」
ここでまさかのオムツ拒否。
「でもね、おねしょしちゃったばっかりだから…うん。いいよ。パンツにしようパンツに!」
大泣きしそうな肩の震え具合に、すぐさまオムツを脱衣場に放り出した。
小さなお尻になんとかパンツをはかせる。
すると今度は、服を着せる段階でいきなり青がいいと言い出した。
「リュックにはこれしかなかったよ」
「ピンクいや。あおがいい」
リュックもピンクだったのに、まさかのピンク嫌い発言。
なだめすかすも頑として首を縦に振らない。
恐るべし三歳児。
すでにファッションへのこだわりが確立されているとは。
どうしたものか。
ううむと唸り、何かが脳裏に引っ掛かった。
脱衣場の棚を探り、薄手のバスタオルを引っ張り出す。リネン素材に惹かれて購入したものの、肌に合わずに奥へしまっておいたものだ。
それを愛鈴ちゃんの体にくるくると巻きつける。
「はい、アジアのお姫さまの完成ですよー」
「おひめさま?」
「そう。ほら、愛鈴ちゃんと一緒でしょ」
スマホの画面に民族衣装サリーをまとった女性を映し出し、お姫さまと偽る。秘技プリンセス作戦だ。
愛鈴ちゃんは、スマホに釘付けになった。
「あいり、きらきらもしたい」
御安い御用だ。こども服はないが、アクセサリーならある。
幸いアクセサリーは玄関脇の姿見周りに収納していたので、寝室の原さんを起こさずにすんだ。
収納箱ごと見せたら、華奢なピアスやネックレスが悲惨なことになるのは目に見えていたので、愛鈴ちゃんをソファに座らせ、その隙にパールのネックレスだけを取り出した。もちろんお手頃価格の偽物真珠なので、たとえ壊れても悔いはない。
手鏡を愛鈴ちゃんに持たせ、パールを首や頭にあてる。さらさらの黒髪に白はよく映えた。
「お姫さま、ネックレスにするのと、ティアラにするとの、どっちがいいですか?」
「あたま!」
どうやらティアラがクリーンヒットしたらしい。ご機嫌な様子で、髪をおだんごに結う間も、ついでにそのあと私が仕事着に着替え、朝食を作っている間も、聞き分けの良い良い子でいてくれた。
「なに、良い匂いー。あれ、愛鈴、かわいい。どうしたのそれ?」
「ぱぱ! あいり、おひまさまなの!」
「うんうん。お姫さま可愛いー。ちゅー」
父と娘のスキンシップは微笑ましい。
ただしそれは、昨夜の悲劇がなければの話だ。
今朝の悲劇も。
「董子さん、まじでごめん。愛鈴、ベッド汚しちゃったみたいで」
「知ってる。ベッドリネン全部、浴槽につけといてくれますか? ついでに原さんもシャワー浴びてきて」
なにを隠そうおねしょ布団で寝ていた彼のシャツはぐっしょり濡れていた。
原さんは指示通り寝室に戻り、今度はリネン類を抱えて風呂場に消えてゆく。
「あいりもいっしょがいい」
「愛鈴ちゃんは、おねえ」
おねえさんと言ってよいものか。
いや、いいだろう。何が哀しくて己をおばさん呼ばわりしなくてはならないのか。
いやいや、忘れてはならない。私には肩書きより大切な名前があるではないか。
「愛鈴ちゃんは、董子さんと朝御飯の用意しようね。手伝ってくれるかな?」
「とうこさん?」
「そう。私は董子さん。あなたは愛鈴ちゃん」
「とうこさん?」
「はい。愛鈴ちゃんは自分のスプーン並べて」
こうやるんだよ、とやって見せると、必死に真似をする。
よくできましたと誉めると、全身全霊で嬉しがる。
泣いてぐずった時はどうしようかと思ったが、笑っている間は天使だ。
そんな天使がもじもじしている。
またおねしょかと思ったが、どうやら違うみたいだ。
彼女の前に置いたお皿から、ウインナーが一本消えていた。
ちいさなほっぺが膨らんでいないところを見ると、後ろにまわした手にまだ持っているのだろう。
「愛鈴ちゃん、ウインナーはフォークにさして食べるんだよ」
「あいり、ウインナーしらない」
「でも一本足りないよ。董子さんは、愛鈴ちゃんのお皿に、二本ウインナーを載せたんだよ」
「しらない。あいりじゃない」
とたんに機嫌が悪くなっていく。
うん。まあ、そう大事にする必要もないか。ここは見なかったふりをしよう。
テレビをつけ、こども向けの番組を探すが、これといって目ぼしいものはない。仕方なく情報番組をセットし、愛鈴ちゃんをその場に残してキッチンに戻る。
子育てって、大変だ。
朝から戦争だった。
父親である原さんは良い人だが、こどもがそのまま大人に成長したような人なので、原家は二人こどもがいるようなものか。奥様はさぞ大変なことだろう。
まあ、今朝の、いや昨夜から今朝のこれは、ただのトラブルだ。
私は今朝だけお母さん気分を味わえて、良かったのかもしれない。
これから先、私が誰かのお母さんになることはないのだから。
そう考えると殊勝な気持ちになった。
寂しいという単語を深呼吸でかき消す。
三人分のお茶を淹れていると、テレビ音に隠れてガチャガチャと無視できない騒音が響いてきた。
今度は何事か。
見ると、愛鈴ちゃんが自分のリュックにお皿を、そこに載っていたウインナーやスクランブルエッグやサラダごと突っ込んでいた。
さすがに絶叫してしまった。
「何してるの!」
「ままといっしょにたべる! あいり、おうちにかえる!」
彼女に用意したのが木皿で幸いだった。割れたりはしていないが、己の口よりも大きな木皿を突っ込まれたリュックは見るも無惨。幼い手が上げようとしていたジッパーは、途中で木皿にぶちあたって動かない。
あああ、と泣き崩れる愛鈴ちゃん。
早朝の室内を大音響が占拠する。
これはもう本当にご近所から苦情がくる。
ていうか、この小さなお姫さまをどうしたら。
「愛鈴、董子さんどうし、ぶっ!」
素っ裸同然で飛びだしてきた原さんには、とりあえずソファにあったクッションを投げつけておいた。
嗚呼、もう、お母さんって本当に大変だ。
明け方、しくしくと泣く声で目が覚めた。
寝起きは悪くない。
リビングのソファから起き上がり、隣にある寝室の扉を開ける。
シングルベッドに座る三歳の女の子が泣き声の主だった。案の定だ。
驚くことに彼女の父親は、その脇でいまだにぐーすかイビキをかいて寝ている。鈍感なのか、よほど疲れているのか。普段原さんに対して感じることのない種類の苛立ちを覚える。
でも今はそれどころじゃない。
原さんを起こすのも申し訳ない。おいでと手招きすると、三歳児は何度も後ろを振り返って躊躇いながら、それでも起きない父親を最後には見切りをつけたらしい。扉を閉めても何も言わなかった。
「愛鈴ちゃん、どうしたの?」
「ままは?」
「ママはおうちにいるんじゃないかな。先にお着替えしようか?」
三歳児なりに恥ずかしさがあるようで、うんとは言わない。でも濡れたパジャマが気持ち悪いのは、奇妙な歩き方からして隠せていなかった。
扉の脇に置いてあったピンク色のリュックを物色し、着替えを見繕う。これは昨夜、彼女の父親が持ってきたお着替えセットだ。
パンツと、オムツもあった。
どっちが正解だろう。
迷ったところで未知の世界だ。どちらも持っていこう。スマホも忘れてはならない。オムツの場合、付け方を検索しなくては。
風呂場で愛鈴ちゃんにシャワーをかけ、ついでに汚れた服も洗う。脱水はあとで洗濯機にお願いしよう。
その間も愛鈴ちゃんはずっと泣いていた。
「そんなに泣かなくていいよ。おうちじゃないから、緊張…ええと、びっくりしちゃったんだよね」
しくしくしくしく。
「はい、おわり。新しいの付けようか」
「あいり、パンツがいい」
ここでまさかのオムツ拒否。
「でもね、おねしょしちゃったばっかりだから…うん。いいよ。パンツにしようパンツに!」
大泣きしそうな肩の震え具合に、すぐさまオムツを脱衣場に放り出した。
小さなお尻になんとかパンツをはかせる。
すると今度は、服を着せる段階でいきなり青がいいと言い出した。
「リュックにはこれしかなかったよ」
「ピンクいや。あおがいい」
リュックもピンクだったのに、まさかのピンク嫌い発言。
なだめすかすも頑として首を縦に振らない。
恐るべし三歳児。
すでにファッションへのこだわりが確立されているとは。
どうしたものか。
ううむと唸り、何かが脳裏に引っ掛かった。
脱衣場の棚を探り、薄手のバスタオルを引っ張り出す。リネン素材に惹かれて購入したものの、肌に合わずに奥へしまっておいたものだ。
それを愛鈴ちゃんの体にくるくると巻きつける。
「はい、アジアのお姫さまの完成ですよー」
「おひめさま?」
「そう。ほら、愛鈴ちゃんと一緒でしょ」
スマホの画面に民族衣装サリーをまとった女性を映し出し、お姫さまと偽る。秘技プリンセス作戦だ。
愛鈴ちゃんは、スマホに釘付けになった。
「あいり、きらきらもしたい」
御安い御用だ。こども服はないが、アクセサリーならある。
幸いアクセサリーは玄関脇の姿見周りに収納していたので、寝室の原さんを起こさずにすんだ。
収納箱ごと見せたら、華奢なピアスやネックレスが悲惨なことになるのは目に見えていたので、愛鈴ちゃんをソファに座らせ、その隙にパールのネックレスだけを取り出した。もちろんお手頃価格の偽物真珠なので、たとえ壊れても悔いはない。
手鏡を愛鈴ちゃんに持たせ、パールを首や頭にあてる。さらさらの黒髪に白はよく映えた。
「お姫さま、ネックレスにするのと、ティアラにするとの、どっちがいいですか?」
「あたま!」
どうやらティアラがクリーンヒットしたらしい。ご機嫌な様子で、髪をおだんごに結う間も、ついでにそのあと私が仕事着に着替え、朝食を作っている間も、聞き分けの良い良い子でいてくれた。
「なに、良い匂いー。あれ、愛鈴、かわいい。どうしたのそれ?」
「ぱぱ! あいり、おひまさまなの!」
「うんうん。お姫さま可愛いー。ちゅー」
父と娘のスキンシップは微笑ましい。
ただしそれは、昨夜の悲劇がなければの話だ。
今朝の悲劇も。
「董子さん、まじでごめん。愛鈴、ベッド汚しちゃったみたいで」
「知ってる。ベッドリネン全部、浴槽につけといてくれますか? ついでに原さんもシャワー浴びてきて」
なにを隠そうおねしょ布団で寝ていた彼のシャツはぐっしょり濡れていた。
原さんは指示通り寝室に戻り、今度はリネン類を抱えて風呂場に消えてゆく。
「あいりもいっしょがいい」
「愛鈴ちゃんは、おねえ」
おねえさんと言ってよいものか。
いや、いいだろう。何が哀しくて己をおばさん呼ばわりしなくてはならないのか。
いやいや、忘れてはならない。私には肩書きより大切な名前があるではないか。
「愛鈴ちゃんは、董子さんと朝御飯の用意しようね。手伝ってくれるかな?」
「とうこさん?」
「そう。私は董子さん。あなたは愛鈴ちゃん」
「とうこさん?」
「はい。愛鈴ちゃんは自分のスプーン並べて」
こうやるんだよ、とやって見せると、必死に真似をする。
よくできましたと誉めると、全身全霊で嬉しがる。
泣いてぐずった時はどうしようかと思ったが、笑っている間は天使だ。
そんな天使がもじもじしている。
またおねしょかと思ったが、どうやら違うみたいだ。
彼女の前に置いたお皿から、ウインナーが一本消えていた。
ちいさなほっぺが膨らんでいないところを見ると、後ろにまわした手にまだ持っているのだろう。
「愛鈴ちゃん、ウインナーはフォークにさして食べるんだよ」
「あいり、ウインナーしらない」
「でも一本足りないよ。董子さんは、愛鈴ちゃんのお皿に、二本ウインナーを載せたんだよ」
「しらない。あいりじゃない」
とたんに機嫌が悪くなっていく。
うん。まあ、そう大事にする必要もないか。ここは見なかったふりをしよう。
テレビをつけ、こども向けの番組を探すが、これといって目ぼしいものはない。仕方なく情報番組をセットし、愛鈴ちゃんをその場に残してキッチンに戻る。
子育てって、大変だ。
朝から戦争だった。
父親である原さんは良い人だが、こどもがそのまま大人に成長したような人なので、原家は二人こどもがいるようなものか。奥様はさぞ大変なことだろう。
まあ、今朝の、いや昨夜から今朝のこれは、ただのトラブルだ。
私は今朝だけお母さん気分を味わえて、良かったのかもしれない。
これから先、私が誰かのお母さんになることはないのだから。
そう考えると殊勝な気持ちになった。
寂しいという単語を深呼吸でかき消す。
三人分のお茶を淹れていると、テレビ音に隠れてガチャガチャと無視できない騒音が響いてきた。
今度は何事か。
見ると、愛鈴ちゃんが自分のリュックにお皿を、そこに載っていたウインナーやスクランブルエッグやサラダごと突っ込んでいた。
さすがに絶叫してしまった。
「何してるの!」
「ままといっしょにたべる! あいり、おうちにかえる!」
彼女に用意したのが木皿で幸いだった。割れたりはしていないが、己の口よりも大きな木皿を突っ込まれたリュックは見るも無惨。幼い手が上げようとしていたジッパーは、途中で木皿にぶちあたって動かない。
あああ、と泣き崩れる愛鈴ちゃん。
早朝の室内を大音響が占拠する。
これはもう本当にご近所から苦情がくる。
ていうか、この小さなお姫さまをどうしたら。
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