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一章 一年目なつの月
09 なつの月11日、泉の女神①
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主人として認めた人間だからなのか、シルキーはイーヴィンにとても懐いているようだ。
朝、彼女が目覚めた時から、親鴨を追いかける子鴨のようにその背後から離れない。
朝食の時間はまるで親鳥のように甲斐甲斐しく「あーん」とスプーンを差し出してくるものだから、イーヴィンはまだ午前中だというのに疲れを感じていた。
「大丈夫だよ。もう、痛くないから!」
心配そうに後をついて回るシルキーに苦笑いを浮かべながら、イーヴィンは牧場を囲む柵の向こう側へ出た。
敷地内から出ることが出来ないシルキーは、柵の前でポツンと立ちながら「本当に?」と言いたげに首を傾げている。
「本当に、大丈夫だから。ね?だからシルキーは、家のお掃除とか、お昼ご飯を用意して欲しいな」
心配性な妖精を納得させるため、イーヴィンは分かりやすくその場でぶんぶんと腕を振り回し、ぴょんぴょんと跳ねてみせた。
それでようやく納得したのか、シルキーはほのかに顔を綻ばせてコクリと頷く。
そんな彼に笑顔で手を振りながら、イーヴィンは歩き出した。
行き先はもちろん、昨日決めた通り、女神の宿る泉だ。何をしに行くかなんて、もちろん決まっている。
(女神様に事情を聞きに行く!)
湖で出会った女神と、この世界の泉の女神に繋がりがあるかは分からない。
でも、同じ神ならば何かしらは知っているのではないかとイーヴィンは思っていた。
(知り合いである確率は、限りなく低いだろうけど)
日本の神と他国の神が知り合いかといえば違うだろうと思うし、似ているところもなくはない。他国の神が日本では別の神として奉られていた、なんて話も聞いたことがあるから、知り合いではないと断言出来ないはずだ。
同じ世界ならまだしも、ここは日本という国がある世界ではない。だというのに、妙に前向きな彼女は、なんとかなるだろうと女神に会うことにしたのである。
(ま、どのみち一回は会わないといけないし)
とりあえず島民全員に挨拶をするのは、このゲームの序盤におけるセオリーである。それは、泉の女神も然り。
泉の女神に会うのは、そう難しいことではない。
妖精の森の入り口にある女神の泉へ、女神の好きなものを投げ入れる。それだけで、女神は泉に出現するのだ。なんとも気安い神である。
妖精の森に繋がる道を歩きながら、イーヴィンは周囲を見渡した。
ゲーム画面から見えていた世界よりずっと鮮やかな景色に、昨日からモヤモヤしていた気分が晴れていくようだ。
異世界への転生と同様、前世の記憶が蘇るなんて事象もあり得ない話である。
とはいえ、ほのかはイーヴィンに転生し、前世の記憶も蘇ってしまった。
記憶さえ蘇らなければ、モヤモヤすることもなかっただろう。始めたばかりの牧場生活に心躍らせながら、満喫していたはずだ。
まぁいっかと諦めはしたものの、思い出した以上、どうしてこうなったのかくらいは知りたかった。
出来ることならば、転生先を間違えてしまったことを謝罪してもらいたいと思うが、相手は神様である。素直に謝るとは思えない。
それはそれでモヤモヤしそうだが、何も知らないままよりずっと良い。
(知らないって言われたらそれまでだけど……追求して逆ギレされて、雷とか落とされたらたまったもんじゃないよね)
神様は、些細な事で怒り、理不尽な罰を与えてくるものである。触らぬ神に祟りなしとはよく言ったものだが、イーヴィンはどうしても聞かずにはいられなかった。
その代わり、イーヴィンは深く追及するようなことはしまいと決めたのだった。
朝、彼女が目覚めた時から、親鴨を追いかける子鴨のようにその背後から離れない。
朝食の時間はまるで親鳥のように甲斐甲斐しく「あーん」とスプーンを差し出してくるものだから、イーヴィンはまだ午前中だというのに疲れを感じていた。
「大丈夫だよ。もう、痛くないから!」
心配そうに後をついて回るシルキーに苦笑いを浮かべながら、イーヴィンは牧場を囲む柵の向こう側へ出た。
敷地内から出ることが出来ないシルキーは、柵の前でポツンと立ちながら「本当に?」と言いたげに首を傾げている。
「本当に、大丈夫だから。ね?だからシルキーは、家のお掃除とか、お昼ご飯を用意して欲しいな」
心配性な妖精を納得させるため、イーヴィンは分かりやすくその場でぶんぶんと腕を振り回し、ぴょんぴょんと跳ねてみせた。
それでようやく納得したのか、シルキーはほのかに顔を綻ばせてコクリと頷く。
そんな彼に笑顔で手を振りながら、イーヴィンは歩き出した。
行き先はもちろん、昨日決めた通り、女神の宿る泉だ。何をしに行くかなんて、もちろん決まっている。
(女神様に事情を聞きに行く!)
湖で出会った女神と、この世界の泉の女神に繋がりがあるかは分からない。
でも、同じ神ならば何かしらは知っているのではないかとイーヴィンは思っていた。
(知り合いである確率は、限りなく低いだろうけど)
日本の神と他国の神が知り合いかといえば違うだろうと思うし、似ているところもなくはない。他国の神が日本では別の神として奉られていた、なんて話も聞いたことがあるから、知り合いではないと断言出来ないはずだ。
同じ世界ならまだしも、ここは日本という国がある世界ではない。だというのに、妙に前向きな彼女は、なんとかなるだろうと女神に会うことにしたのである。
(ま、どのみち一回は会わないといけないし)
とりあえず島民全員に挨拶をするのは、このゲームの序盤におけるセオリーである。それは、泉の女神も然り。
泉の女神に会うのは、そう難しいことではない。
妖精の森の入り口にある女神の泉へ、女神の好きなものを投げ入れる。それだけで、女神は泉に出現するのだ。なんとも気安い神である。
妖精の森に繋がる道を歩きながら、イーヴィンは周囲を見渡した。
ゲーム画面から見えていた世界よりずっと鮮やかな景色に、昨日からモヤモヤしていた気分が晴れていくようだ。
異世界への転生と同様、前世の記憶が蘇るなんて事象もあり得ない話である。
とはいえ、ほのかはイーヴィンに転生し、前世の記憶も蘇ってしまった。
記憶さえ蘇らなければ、モヤモヤすることもなかっただろう。始めたばかりの牧場生活に心躍らせながら、満喫していたはずだ。
まぁいっかと諦めはしたものの、思い出した以上、どうしてこうなったのかくらいは知りたかった。
出来ることならば、転生先を間違えてしまったことを謝罪してもらいたいと思うが、相手は神様である。素直に謝るとは思えない。
それはそれでモヤモヤしそうだが、何も知らないままよりずっと良い。
(知らないって言われたらそれまでだけど……追求して逆ギレされて、雷とか落とされたらたまったもんじゃないよね)
神様は、些細な事で怒り、理不尽な罰を与えてくるものである。触らぬ神に祟りなしとはよく言ったものだが、イーヴィンはどうしても聞かずにはいられなかった。
その代わり、イーヴィンは深く追及するようなことはしまいと決めたのだった。
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