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四章 一年目はるの月
50 はるの月30日、花まつり④
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泉では、すでに花まつりが始まっていた。
泉に浮かぶ小島に住む魔女は、鬱陶しそうな顔をして窓からまつりの様子を見ていたが、鼻にしわを寄せて引っ込んでいく。
その様子を遠目に見ながら、イーヴィンはそういえばと前世の記憶を思い起こす。
(たしか、魔女は女神様と仲が良くないのよね)
それならどうしてそこに住むんだと突っ込みたいが、あの泉の水は彼女が作る妙薬に必要だからだとネタバレサイトに書いてあった気がする。
残念ながら、男主人公ルートじゃないと確認出来ない情報なので、前世も女主人公でプレイしていたイーヴィンには、確かめようもない。
「さて。出店から回るか、それともダンスに混じるか、悩みどころね」
うーむと悩むイーヴィンの肩を、誰かが軽く叩いてくる。婿候補の誰か、それとも全員かーー「なに?」と振り返った彼女は、目の前の人物にテンションを下げた。
「リアン」
「よっ!まつり、楽しんでるか?」
「楽しむもなにも、今来たばかりよ。リアンは?もう、ダンスした?出店回った?」
「あー……それがなぁ……」
つつつ、とリアンの視線が泳ぐ。
つられるように彼の視線の先を見れば、たくさんの男女が手に手を取って踊っていた。
軽快なメロディに合わせて、名もない島民の男女がクルクル回る。
「ダンスがどうかしたの?」
「……だよ」
「なに?聞こえない」
「ダンスしたいけど、相手がいないんだよ!」
「え?どうして?」
イーヴィンの知る『ハーモニーハーベスト』の花まつりは、必ず伴侶候補の一人とイベントが起きるようになっていた。泉のエリアに入ってすぐに、誰を選ぶか選択肢が出るのである。
男主人公であるリアンも当然、嫁候補のうちの誰かを選択できるはずだった。
「どうしてもなにも、みんな断られた。リサはローナンと約束があるって言うし、モアはファーガル誘ってたし、魔女様はあの通り、家から出てこない。踊らないわけにもいかないし、かといって一人じゃダサいし。なぁ、おまえ、踊ってくれよー」
「えぇぇ……」
選ぶどころか全滅だと聞いて、イーヴィンは唖然とした。
袖を摘んでグイグイ引っ張るリアンから手を振りほどきつつ、彼女はどうしてこんなことが起きているのかと思考を巡らせる。
泉に浮かぶ小島に住む魔女は、鬱陶しそうな顔をして窓からまつりの様子を見ていたが、鼻にしわを寄せて引っ込んでいく。
その様子を遠目に見ながら、イーヴィンはそういえばと前世の記憶を思い起こす。
(たしか、魔女は女神様と仲が良くないのよね)
それならどうしてそこに住むんだと突っ込みたいが、あの泉の水は彼女が作る妙薬に必要だからだとネタバレサイトに書いてあった気がする。
残念ながら、男主人公ルートじゃないと確認出来ない情報なので、前世も女主人公でプレイしていたイーヴィンには、確かめようもない。
「さて。出店から回るか、それともダンスに混じるか、悩みどころね」
うーむと悩むイーヴィンの肩を、誰かが軽く叩いてくる。婿候補の誰か、それとも全員かーー「なに?」と振り返った彼女は、目の前の人物にテンションを下げた。
「リアン」
「よっ!まつり、楽しんでるか?」
「楽しむもなにも、今来たばかりよ。リアンは?もう、ダンスした?出店回った?」
「あー……それがなぁ……」
つつつ、とリアンの視線が泳ぐ。
つられるように彼の視線の先を見れば、たくさんの男女が手に手を取って踊っていた。
軽快なメロディに合わせて、名もない島民の男女がクルクル回る。
「ダンスがどうかしたの?」
「……だよ」
「なに?聞こえない」
「ダンスしたいけど、相手がいないんだよ!」
「え?どうして?」
イーヴィンの知る『ハーモニーハーベスト』の花まつりは、必ず伴侶候補の一人とイベントが起きるようになっていた。泉のエリアに入ってすぐに、誰を選ぶか選択肢が出るのである。
男主人公であるリアンも当然、嫁候補のうちの誰かを選択できるはずだった。
「どうしてもなにも、みんな断られた。リサはローナンと約束があるって言うし、モアはファーガル誘ってたし、魔女様はあの通り、家から出てこない。踊らないわけにもいかないし、かといって一人じゃダサいし。なぁ、おまえ、踊ってくれよー」
「えぇぇ……」
選ぶどころか全滅だと聞いて、イーヴィンは唖然とした。
袖を摘んでグイグイ引っ張るリアンから手を振りほどきつつ、彼女はどうしてこんなことが起きているのかと思考を巡らせる。
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