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五章 二年目なつの月
61 なつの月27日、ファーガルの恋煩い①
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「じゃあさ、女の子はお姫様に憧れてるもんだし、城でも作ってプレゼントしたらどうだ?すげぇサプライズに思わずモアもドキドキとか!」
「城か……経験はないが、建築物なら俺にもなんとか出来そうだ」
イーヴィンが回想していたわずかな間に、リアンとファーガルはとんでもない計画を立て始めていた。
(え、今、城って言った?城ってあれだよね、砂浜で作る砂のお城とか可愛いやつじゃなくて、石とかレンガで出来てるやつ⁈)
盛り上がる二人の話を漏れ聞くに、お堀まである本格的な城を建てるつもりのようだ。
跳ね橋をつけたらカッコイイなんてキャッキャし始めた二人に、イーヴィンは待ったをかける。
「リアン、ファーガル。待って、ステイ、落ち着いて?プティメルバ島に城なんて建てたら、アミューズメント施設になっちゃうから。そんなの、モアだって困るよ。いや、もしかしたら商売的には有りかもしれないけど、恋愛的には無しだって」
「なに⁈それは楽しそうだな!よし、やろう、ファーガル!俺たちがプティメルバ島をテーマパークにして、観光客ガンガン呼び込もうぜ!」
「リアン……落ち着けって言ってるでしょ?それと、ファーガル。女の子はお姫様に憧れるけど、全員が全員憧れるわけじゃないから。見当違いなことする前に、深呼吸して落ち着きなさい」
さすが五人の弟を束ねていた姉といった風情で、イーヴィンは二人を黙らせた。
ずぬぅんと小さいくせに威圧感だけはたっぷりな彼女の前で、二人は神妙な面持ちでちんまりと正座する。
「ファーガル。あなたはモアが好きなのね?それを、リサとローナンの結婚式で何かがあって、自覚したと。それで合ってる?」
「あぁ」
「それで?モアとこれからどうなりたいの?」
「叶うなら、出来るだけ早く結婚したいと思っている」
真剣な表情で「モアを嫁にしたい」と言うファーガルに、イーヴィンはほんの少し寂しさを感じた。
それは、ずっと一緒だと思っていた、リアン、ファーガル、イーヴィンの三人グループから彼だけが卒業してしまうような、そんな寂しさである。
一時は結婚しても良いかもと思った人だったが、リアンを含めて三人で連むうち、婿候補としてではなく仲間や親友といった関係になっていたらしい。
(恋をするってどうすれば良いのかな。ローナンにもファーガルにも恋しなかった私は、いつか誰かに恋することが出来るの?)
そう考えてふと過ぎった人物の、薄いグレーに薄い紫を溶かしたような、不思議な色をした目を思い出して、イーヴィンは「え」と小さな声を漏らした。
(なんで、そこでシルキー?)
「イーヴィン?」
小さな声を漏らして固まるイーヴィンに、ファーガルが心配そうに声をかける。
ハッと我に帰ったイーヴィンは、今はファーガルのことだと、頭を振って気持ちを切り替えた。
「ず、随分急だね。恋人すっ飛ばして嫁にしたいんだ……?あの、どうしてそんなに急いでるのか、聞いても良い?」
「モアは、結婚式でブーケを手に入れただろう。あれを受け取った女性は、次に結婚すると聞いた。だから、一刻も早く俺のものにしなくてはならないと、思ってだな……」
(なんてこと……)
イーヴィンは、額を抑えて天井を仰いだ。
まさか、ただのジンクスを本気で信じる人が男性にいるとは思わず、彼女は助けを求めて頼りにならないリアンを見る。
リアンは、ニヤニヤと笑いながらこう言った。
「せっかく自覚したんだ、助けてやるのが友達ってもんだろ?」
(くそぅ、こんな時に限ってリアンが男らしく見える……)
「城か……経験はないが、建築物なら俺にもなんとか出来そうだ」
イーヴィンが回想していたわずかな間に、リアンとファーガルはとんでもない計画を立て始めていた。
(え、今、城って言った?城ってあれだよね、砂浜で作る砂のお城とか可愛いやつじゃなくて、石とかレンガで出来てるやつ⁈)
盛り上がる二人の話を漏れ聞くに、お堀まである本格的な城を建てるつもりのようだ。
跳ね橋をつけたらカッコイイなんてキャッキャし始めた二人に、イーヴィンは待ったをかける。
「リアン、ファーガル。待って、ステイ、落ち着いて?プティメルバ島に城なんて建てたら、アミューズメント施設になっちゃうから。そんなの、モアだって困るよ。いや、もしかしたら商売的には有りかもしれないけど、恋愛的には無しだって」
「なに⁈それは楽しそうだな!よし、やろう、ファーガル!俺たちがプティメルバ島をテーマパークにして、観光客ガンガン呼び込もうぜ!」
「リアン……落ち着けって言ってるでしょ?それと、ファーガル。女の子はお姫様に憧れるけど、全員が全員憧れるわけじゃないから。見当違いなことする前に、深呼吸して落ち着きなさい」
さすが五人の弟を束ねていた姉といった風情で、イーヴィンは二人を黙らせた。
ずぬぅんと小さいくせに威圧感だけはたっぷりな彼女の前で、二人は神妙な面持ちでちんまりと正座する。
「ファーガル。あなたはモアが好きなのね?それを、リサとローナンの結婚式で何かがあって、自覚したと。それで合ってる?」
「あぁ」
「それで?モアとこれからどうなりたいの?」
「叶うなら、出来るだけ早く結婚したいと思っている」
真剣な表情で「モアを嫁にしたい」と言うファーガルに、イーヴィンはほんの少し寂しさを感じた。
それは、ずっと一緒だと思っていた、リアン、ファーガル、イーヴィンの三人グループから彼だけが卒業してしまうような、そんな寂しさである。
一時は結婚しても良いかもと思った人だったが、リアンを含めて三人で連むうち、婿候補としてではなく仲間や親友といった関係になっていたらしい。
(恋をするってどうすれば良いのかな。ローナンにもファーガルにも恋しなかった私は、いつか誰かに恋することが出来るの?)
そう考えてふと過ぎった人物の、薄いグレーに薄い紫を溶かしたような、不思議な色をした目を思い出して、イーヴィンは「え」と小さな声を漏らした。
(なんで、そこでシルキー?)
「イーヴィン?」
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ハッと我に帰ったイーヴィンは、今はファーガルのことだと、頭を振って気持ちを切り替えた。
「ず、随分急だね。恋人すっ飛ばして嫁にしたいんだ……?あの、どうしてそんなに急いでるのか、聞いても良い?」
「モアは、結婚式でブーケを手に入れただろう。あれを受け取った女性は、次に結婚すると聞いた。だから、一刻も早く俺のものにしなくてはならないと、思ってだな……」
(なんてこと……)
イーヴィンは、額を抑えて天井を仰いだ。
まさか、ただのジンクスを本気で信じる人が男性にいるとは思わず、彼女は助けを求めて頼りにならないリアンを見る。
リアンは、ニヤニヤと笑いながらこう言った。
「せっかく自覚したんだ、助けてやるのが友達ってもんだろ?」
(くそぅ、こんな時に限ってリアンが男らしく見える……)
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