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おっさん、笑顔で弾劾
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(……おいおい、さすがに勘弁してくれ)
名高きマッケラン酒造所の最高峰ウイスキーが無料で飲み放題なんだぞ?
根が貧乏性で倹約家な俺である。
こういう機会でも無ければ一生縁がないというのに。
とはいえ――ここは交流の場。
勇者隊の潤滑な結成の為に賢王が設けた席である。
今後の事も考えると無視するのも偲びない。
まして腐れ縁とはいえ、知り合いだしな。
ウキウキ気分に水を差され――少し辟易しながら声の主に応じる事にする。
振り返った先にいたのは勿論、召喚術師ドラナー・チャンだ。
激闘の後だというのに疲れた様子もなく相変わらず春夏秋冬の雑事すら興味がない哲学者のように陰気臭い顔をしている。
「ああ、ドラナー。
さっきの戦いを見てたが、実に見事な試合運びと駆け引きだったと思う。
布石から最後の窒息への詰め方などは、特に称賛に値されて――んっ?」
話しながら俺の視線がドラナーの顔から下へと降りていき言葉が止まる。
何故なら予想もしない者がそこにいたからだ。
ドラナーの古びて擦り切れた真紅のローブの裾を片手で掴む者。
それは瑠璃色の髪に黒い瞳、愛らしい容貌を持つ5歳前後の【幼女】だった。
黒を基調とした簡素なシルクのドレスを身に纏ったその姿は可憐であり将来を期待させるに相応しいものを見る者に抱かせる。
惜しむらくはその表情か。
下を向きながら不安そうに周囲を窺う幼女。
さながらそれは迷子の様であり、場慣れしていない事が一目瞭然であった。
幼女は俺の視線に気付き赤面しながらドラナーに寄り添う。
慰めか気休めの言葉が喉元まで出掛かるが……
しかし何はさておき、まず人としてやらなければならない事がある。
こちらを見てひそひそ相談し合う女性陣に対し、俺は深く頷き同意を返す。
「……ドラナー」
「なんでしょう?」
「そこで大人しく待ってろよ?
今、衛兵を連れて来るから――」
「ちょっと待ってくださいよ、旦那!
あっしが何かしやしたか?」
「黙れ、幼女愛好家。
年端もいかない子を連れ回している時点で唾棄すべき犯罪だと気付け。
俺が勝手に定める対人尊厳ランキング順位を貴様は絶賛下降中だ」
「だから誤解ですってば!
これにはふか~い訳がありやして……」
「誤解も十階もあるか!
あ、お巡り(巡回衛兵)さ~ん、こっちでーす」
「少しは話を聞いてくれませんかねぇ!?」
「なあ、ドラナー……」
「な、なんでしょう……?」
「――安心しろ、俺はお前の事を忘れないから。
お前との思い出らしきものは……あんまりないが深く胸に閉まっておく。
その、他人に関与がバレたら嫌だしな(ぼそっ)。
だから――牢名主に苛められても我慢しろよ?
そしていつか罪を償ったら……酒でも酌み交わそう。
大丈夫、人はやり直せる。
矯正できない性癖(サガ)なんてないのだから――」
「今まであっしが見た事も無いような爽やかな笑顔で、何かいい事言ってる風なの、ちょっと止めて頂けませんかねえ!?
それだとあっしの顔が青空にフェイドアウトして消えていきそうですし!」
「まあ――冗談はさておきだ」
「どこまで本気だったんでしょう……?」
「その娘はいったい何者だ?
部外者をこんなところへ連れてきちゃ駄目だろう?」
「部外者なんかじゃありやせんぜ、旦那」
「ん? どういうことだ?」
「あ~だから当事者も当事者です。
この娘はシャドウ……
あっしが先程戦った【殺師】シャドウの、本当の姿ですよ」
「はあああああああああああああああああ!?」
「えっ嘘!?」
「マジかよ!?」
俺のみならず、一連の珍事というか……事態の成り行きを窺っていた者達の驚愕の声が広い貴賓室に響き渡るのだった。
名高きマッケラン酒造所の最高峰ウイスキーが無料で飲み放題なんだぞ?
根が貧乏性で倹約家な俺である。
こういう機会でも無ければ一生縁がないというのに。
とはいえ――ここは交流の場。
勇者隊の潤滑な結成の為に賢王が設けた席である。
今後の事も考えると無視するのも偲びない。
まして腐れ縁とはいえ、知り合いだしな。
ウキウキ気分に水を差され――少し辟易しながら声の主に応じる事にする。
振り返った先にいたのは勿論、召喚術師ドラナー・チャンだ。
激闘の後だというのに疲れた様子もなく相変わらず春夏秋冬の雑事すら興味がない哲学者のように陰気臭い顔をしている。
「ああ、ドラナー。
さっきの戦いを見てたが、実に見事な試合運びと駆け引きだったと思う。
布石から最後の窒息への詰め方などは、特に称賛に値されて――んっ?」
話しながら俺の視線がドラナーの顔から下へと降りていき言葉が止まる。
何故なら予想もしない者がそこにいたからだ。
ドラナーの古びて擦り切れた真紅のローブの裾を片手で掴む者。
それは瑠璃色の髪に黒い瞳、愛らしい容貌を持つ5歳前後の【幼女】だった。
黒を基調とした簡素なシルクのドレスを身に纏ったその姿は可憐であり将来を期待させるに相応しいものを見る者に抱かせる。
惜しむらくはその表情か。
下を向きながら不安そうに周囲を窺う幼女。
さながらそれは迷子の様であり、場慣れしていない事が一目瞭然であった。
幼女は俺の視線に気付き赤面しながらドラナーに寄り添う。
慰めか気休めの言葉が喉元まで出掛かるが……
しかし何はさておき、まず人としてやらなければならない事がある。
こちらを見てひそひそ相談し合う女性陣に対し、俺は深く頷き同意を返す。
「……ドラナー」
「なんでしょう?」
「そこで大人しく待ってろよ?
今、衛兵を連れて来るから――」
「ちょっと待ってくださいよ、旦那!
あっしが何かしやしたか?」
「黙れ、幼女愛好家。
年端もいかない子を連れ回している時点で唾棄すべき犯罪だと気付け。
俺が勝手に定める対人尊厳ランキング順位を貴様は絶賛下降中だ」
「だから誤解ですってば!
これにはふか~い訳がありやして……」
「誤解も十階もあるか!
あ、お巡り(巡回衛兵)さ~ん、こっちでーす」
「少しは話を聞いてくれませんかねぇ!?」
「なあ、ドラナー……」
「な、なんでしょう……?」
「――安心しろ、俺はお前の事を忘れないから。
お前との思い出らしきものは……あんまりないが深く胸に閉まっておく。
その、他人に関与がバレたら嫌だしな(ぼそっ)。
だから――牢名主に苛められても我慢しろよ?
そしていつか罪を償ったら……酒でも酌み交わそう。
大丈夫、人はやり直せる。
矯正できない性癖(サガ)なんてないのだから――」
「今まであっしが見た事も無いような爽やかな笑顔で、何かいい事言ってる風なの、ちょっと止めて頂けませんかねえ!?
それだとあっしの顔が青空にフェイドアウトして消えていきそうですし!」
「まあ――冗談はさておきだ」
「どこまで本気だったんでしょう……?」
「その娘はいったい何者だ?
部外者をこんなところへ連れてきちゃ駄目だろう?」
「部外者なんかじゃありやせんぜ、旦那」
「ん? どういうことだ?」
「あ~だから当事者も当事者です。
この娘はシャドウ……
あっしが先程戦った【殺師】シャドウの、本当の姿ですよ」
「はあああああああああああああああああ!?」
「えっ嘘!?」
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俺のみならず、一連の珍事というか……事態の成り行きを窺っていた者達の驚愕の声が広い貴賓室に響き渡るのだった。
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