7 / 89
朝の一幕らしいです
しおりを挟む
私の朝は早いです。
まだ日も差さぬ早朝、家人の誰よりも早く起床します。
「ふああ~……よく寝ました」
小さい頃から寝てる事が多い私でしたが、最近は落ち着いてきました。
それでも9時間睡眠は基本です。
私は手早く寝具を片付けると台所へ向かいます。
ノルン家は有力者だけあって部屋数も多いです。
10LDK……日本だったらお金持ちの家と呼ばれるでしょう。
まあ非常時における自警団の詰所も兼ねてるので、この大きさも当然かもしれません。
転生してきた当初、私がいた部屋は私専用の部屋になってます。
他に父の書斎、母の診察室、兄達の私室。
客部屋は勿論の事、変わったところでは武具や薬草の倉庫などもあります。
……話が逸れました。
台所についた私は、井戸に併設された水瓶に水を汲み出します。
顔を洗い口を濯ぎ準備OK。
腕まくりをして朝食の準備に取り掛かります。
まずは竈に薪をくべて火を燈します。
本当なら火を起こすのは重労働なのですが、ノルン家には点火の魔導具がある為一瞬です。
昨日の残り物である大豆と鶏肉のスープの鍋をセッティングすると、外に出ます。
まだ宵闇が支配する早朝、肌寒さに少々震えます。
いえ、これは戦慄だったのかもしれません。
何故なら私の前にはおぞましい眼光を光らせるモノが鎮座してたのですから!
……まあ家で飼ってる鶏なんですけどね。
「今日は負けませんよ……」
宣言し、構えを取ります。
鶏は小馬鹿にしたように「クア!」と啼くと羽根で手招きします。
むむ。生意気です。
しかし哀しいかな、私の卵奪取勝負は78勝189敗。
圧倒的に負け越してます。
何だか無駄に強いんです、この鶏。
父様から鍛えられてる私が及ばないってどんだけなんでしょう?
まあいいです。
宣言通り、今日は引きません。
ノルファリア練法の真髄を見せてさしあげます!
……別に卵が無くても、人間は死にはしませんよね?
私は兄様達が取ってきてくれてた野菜をサラダにすべく刻みながら泣きそうになるのを堪えます。
「おはよう、ユナちゃん」
「おはようございます、母様」
そんな私に優しく声を掛けてくれたのは母様です。
寝起きだというのに輝くばかりの美貌。
ささくれた心が癒されます。
「いつもお手伝いしてくれてありがとうね」
「いえ、私が好きでしてるんです」
頭を撫でる母様に笑顔で応じます。
母様に褒められると何だか嬉しくておかしくなってしまいます。
でも、あれ?
「母様……ソレ?」
「ああ、これ?
スープとサラダだけじゃ寂しいから卵料理を加えようと思って」
にこやかに答える母の手には産み立ての卵が数個、握られてました。
そっと外を窺うと、ボロボロになった鶏が痙攣してます。
こ、こわー!!
私は絶対母を怒らせない事を再度誓い直します。
サラダを皿に盛り付け、塩をフリフリ。
ドレッシングなんて気の利いたものはありません。
でも野菜の美味しさが全然違うので問題ありません。
「ユナちゃん、スープもお願い」
「は~い」
宙を舞い次々と並べられていくオムレツを横目に、私は木のお椀にスープをよそおいます。
うん、いい香りです。
「おはよう、マリーにユナ」
「おはよう、アナタ」
「おはようございます、父様」
昨夜も遅くまで書類仕事をしてた父様が寝惚け眼で起き出してきました。
最近は自警団の仕事も忙しく、多忙な日々を過ごしてるのが心配です。
「おはようございます」
「ふあ~おはよー」
シャス兄様とミスティ兄様も起き出してきました。
二人とも食事の匂いがするといつもピッタリ起きてきます。
育ち盛りですからね。
食いしん坊バンザイなのでしょう。
「おお、今日も美味そうだな」
「今朝もユナちゃんが手伝ってくれたのよ」
「ユナは偉いですね」
「まったくだ。毎朝よく続くな」
「私は別に……」
「出来のいい子供達に恵まれて私は幸せだよ」
「フフ……一緒です」
「それってボク達は含まれてるんでしょうか、兄さん」
「どうだかなー」
「さて、冷めない内に頂戴しよう。
皆、準備はいいかな?
じゃあ……いただきます」
「「「「いただきます!!!!」」」
父様の声に皆の声が唱和します。
異世界でも変わらない感謝の言葉。
私は母様のオムレツに舌鼓を打ちながら、新しい家族にも感謝するのでした。
ユナティア・ノルンの一日はこんな感じで始まります。
まだ日も差さぬ早朝、家人の誰よりも早く起床します。
「ふああ~……よく寝ました」
小さい頃から寝てる事が多い私でしたが、最近は落ち着いてきました。
それでも9時間睡眠は基本です。
私は手早く寝具を片付けると台所へ向かいます。
ノルン家は有力者だけあって部屋数も多いです。
10LDK……日本だったらお金持ちの家と呼ばれるでしょう。
まあ非常時における自警団の詰所も兼ねてるので、この大きさも当然かもしれません。
転生してきた当初、私がいた部屋は私専用の部屋になってます。
他に父の書斎、母の診察室、兄達の私室。
客部屋は勿論の事、変わったところでは武具や薬草の倉庫などもあります。
……話が逸れました。
台所についた私は、井戸に併設された水瓶に水を汲み出します。
顔を洗い口を濯ぎ準備OK。
腕まくりをして朝食の準備に取り掛かります。
まずは竈に薪をくべて火を燈します。
本当なら火を起こすのは重労働なのですが、ノルン家には点火の魔導具がある為一瞬です。
昨日の残り物である大豆と鶏肉のスープの鍋をセッティングすると、外に出ます。
まだ宵闇が支配する早朝、肌寒さに少々震えます。
いえ、これは戦慄だったのかもしれません。
何故なら私の前にはおぞましい眼光を光らせるモノが鎮座してたのですから!
……まあ家で飼ってる鶏なんですけどね。
「今日は負けませんよ……」
宣言し、構えを取ります。
鶏は小馬鹿にしたように「クア!」と啼くと羽根で手招きします。
むむ。生意気です。
しかし哀しいかな、私の卵奪取勝負は78勝189敗。
圧倒的に負け越してます。
何だか無駄に強いんです、この鶏。
父様から鍛えられてる私が及ばないってどんだけなんでしょう?
まあいいです。
宣言通り、今日は引きません。
ノルファリア練法の真髄を見せてさしあげます!
……別に卵が無くても、人間は死にはしませんよね?
私は兄様達が取ってきてくれてた野菜をサラダにすべく刻みながら泣きそうになるのを堪えます。
「おはよう、ユナちゃん」
「おはようございます、母様」
そんな私に優しく声を掛けてくれたのは母様です。
寝起きだというのに輝くばかりの美貌。
ささくれた心が癒されます。
「いつもお手伝いしてくれてありがとうね」
「いえ、私が好きでしてるんです」
頭を撫でる母様に笑顔で応じます。
母様に褒められると何だか嬉しくておかしくなってしまいます。
でも、あれ?
「母様……ソレ?」
「ああ、これ?
スープとサラダだけじゃ寂しいから卵料理を加えようと思って」
にこやかに答える母の手には産み立ての卵が数個、握られてました。
そっと外を窺うと、ボロボロになった鶏が痙攣してます。
こ、こわー!!
私は絶対母を怒らせない事を再度誓い直します。
サラダを皿に盛り付け、塩をフリフリ。
ドレッシングなんて気の利いたものはありません。
でも野菜の美味しさが全然違うので問題ありません。
「ユナちゃん、スープもお願い」
「は~い」
宙を舞い次々と並べられていくオムレツを横目に、私は木のお椀にスープをよそおいます。
うん、いい香りです。
「おはよう、マリーにユナ」
「おはよう、アナタ」
「おはようございます、父様」
昨夜も遅くまで書類仕事をしてた父様が寝惚け眼で起き出してきました。
最近は自警団の仕事も忙しく、多忙な日々を過ごしてるのが心配です。
「おはようございます」
「ふあ~おはよー」
シャス兄様とミスティ兄様も起き出してきました。
二人とも食事の匂いがするといつもピッタリ起きてきます。
育ち盛りですからね。
食いしん坊バンザイなのでしょう。
「おお、今日も美味そうだな」
「今朝もユナちゃんが手伝ってくれたのよ」
「ユナは偉いですね」
「まったくだ。毎朝よく続くな」
「私は別に……」
「出来のいい子供達に恵まれて私は幸せだよ」
「フフ……一緒です」
「それってボク達は含まれてるんでしょうか、兄さん」
「どうだかなー」
「さて、冷めない内に頂戴しよう。
皆、準備はいいかな?
じゃあ……いただきます」
「「「「いただきます!!!!」」」
父様の声に皆の声が唱和します。
異世界でも変わらない感謝の言葉。
私は母様のオムレツに舌鼓を打ちながら、新しい家族にも感謝するのでした。
ユナティア・ノルンの一日はこんな感じで始まります。
10
あなたにおすすめの小説
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
魔王城すこや課、本日も無事社畜です!
ハルタカ
ファンタジー
過労で倒れた社畜女子シオンの転生先は、まさかの魔王城。
無邪気に暴虐無人な上司(魔王)のもとで便利屋事務員としてドタバタな日々を過ごすうちに、寡黙な悪魔レヴィアスの思わぬ優しさに惹かれはじめていた。
ある日、突然変異したモンスターの暴走によって魔王城での生活は一変。
ーーそれは変異か、陰謀か。
事態を解明するために、シオンたちは世界各地で奔走する。
直面したことのない危険や恐怖に立ち向かうシオンは、それを支えるレヴィアスの無自覚で一途な愛情に翻弄されて……?
働くことでしか自分を認められないシオンが、魔王城で働く魔物たちの心をほぐしながら自分の価値を見つけていくファンタジーお仕事じれ恋ストーリー。
安全第一異世界生活
朋
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる