勇者の系譜とやらに異世界転生した私ですが、そんな事など関係なくメイド喫茶で働いてます

秋月静流

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お風呂らしいです

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 お風呂場は母屋に併設された小屋になります。
 渡り廊下を抜けると脱衣所と浴室が別になった建物が見えてきました。
 自警団の訓練時には村の人も使うので結構大きめです。
 母様は既に湯船に入ってる様子です。
 私は急ぎ衣服を脱ぎ捨てると、タオルと桶を持って扉をノックします。

「は~い」
「母様~私です」
「どうぞ~いいお湯よ~」

 反響する為かいつもより甲高い母様の返事が聞こえます。
 私は湯煙の籠る浴室の扉をそっと開き中に入ります。
 板張りの浴室に設置された陶器の風呂。
 母様は身体と髪をすでに洗い終えたのか、頭にタオルを巻いてます。

「いらっしゃい、ユナちゃん」
「失礼しま~す」

 実の親子で気兼ねはいらないのでしょうが、
 何となく気後れしてしまう私は、いつも声を掛けます。
 母様はにこやかに応じてくれますが。
 それにしても母様は綺麗です。
 お風呂で上気した肌も相まって得も知れぬ色気があります。
 何というかオトナの人、って感じです。
 私が男の人なら放っておかないでしょう。
 それに三人も産んでるのに体型がまったく崩れてないのも凄いです。
 出るとこは出て、引っ込むとこは引っ込む。
 モデルさんみたいです。
 私はこいのぼりのような自分の身体を見て溜息をつきます。
 将来このハイスペックに果たして追いつけるのでしょうか?
 私の視線に気付き溜息を聞き止めたのか、母様が苦笑します。

「大丈夫。ユナちゃん可愛いから。
 絶対美人さんになるわ」
「スタイルも良くなりますか?」
「ええ、甘いものを控えたら……だけど」

 ぐぬぬ……痛いとこを指摘されました。
 大体、核兵器クラスを二つも所持しておいて他国の武装を褒めても全然説得力がないんです。
 今現在、彼我の戦力差は絶望的でした。
 私は再度溜息を零すと、椅子に腰掛け、ポルカの実で身体を洗います。

「あ、ユナちゃん。髪の毛洗ってあげる」
「お願いします、母様」

 他人に髪を委ねるのは嫌いですが、母様は別です。
 繊細な指遣いの母様のタッチは絶妙なんです。
 指が櫛のように髪を梳き、頭皮を程好く刺激していきます。

「はい、最後にお湯を掛けて、と。
 もういいわよ」
「ありがとう、母様」

 優しく頭をタオルで拭いてもらいながら私は礼を告げます。
 そして母様と共に湯船に入ります。
 う~温かいです。
 一日の疲れが解れ、陶然とします。
 やっぱお風呂は気持ち良いですね。
 命の洗濯です。

「女の子と入るお風呂はやっぱいいわね~」
「え?」
「ミスティやシャスティアの時は大変だったし」
「そうなんですか?」
「そうよ。男の子はやんちゃだから大変よ」

 それから母様より兄様達のやらかした話を聞きます。
 クールでカッコイイ兄様達の無邪気さというか、
 意外性のあるエピソードに驚かされた内容でした。
 どんな人も幼少期から完璧ではないようです。
 まる。


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