勇者の系譜とやらに異世界転生した私ですが、そんな事など関係なくメイド喫茶で働いてます

秋月静流

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探検らしいです

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「探検……ですか?」
「そう! オレらで確かめに行かねえ?
 コタチが森の奥で歩いているのを見たんだってよ!」

 野草を摘み取る手を止め尋ねた私に、
 勢いよく話し掛けてきたのはワキヤ君です。
 3~5歳で結成された幼年組のリーダーになります。
 金髪碧眼、元気いっぱいって感じの5歳の男の子ですが、
 無鉄砲というかちょっと考えなしのとこがあり、目が離せない感じです。

「アンタ、まだそれ言ってんの?」

 呆れた様にワキヤ君に言うのは銀髪赤眼のクーノちゃん。
 ワキヤ君と同じ5歳ですが、精神年齢は高く、大人達からの信頼も厚いです。
 今日もこうして村外に野草摘みに出れたのは彼女が同伴してくれたからです。
 街道と村の周辺には妖魔避けの結界があるものの、万全ではないのですから。

「なんだよ、クーノ。
 お前は別に行かなくていいぜ」
「馬鹿言わないでよ。
 アンタの引率も頼まれてんのよ。
 それにコタチもユナもしつこくしたら嫌がるでしょう?」
「わたしは……別に……」

 勝気なクーノちゃんの声におどおど応じたのはコタチちゃんです。
 翠髪翠眼の耳が少し尖がった大人しそうな女の子です。
 4歳という年齢もさることながら、先祖に混じったエルフの血の影響か凄く華奢な感じです。
 傍から見てもワキヤ君に好意を抱いてるのは確かで、当の本人も満更じゃないみたいです。

「もう! コタチは甘いんだから。
 そんなんだから馬鹿(ワキヤ)に利用されるのよ?」
「おい! 馬鹿って誰だよ!?」
「今アンタが思い浮かべてる人で正解なんじゃない?」
「んだと~!」

 そして必要以上にワキヤ君に突っ掛かるクーノちゃん。
 ……バレバレですね。
 そういう甘くて切ないラブコメは他でやってほしいものです。
 三角関係の間に立たされる者としては気まずいオレンジロードです。

「じゃあユナの意見を聞いてみようぜ!」
「いいわよ。ユナ、アンタはどっちなの?」

 事の発端はコタチちゃんが森の奥に歩く幻想種を見たという事でした。
 彼女はエルフの血筋を引くので大変目が利きます。
 昏い木立の中に見え隠れする白い鬣を持つ馬。
 ……おそらくはユニコーンかペガサスでしょう。
 近くに幻獣が住まう霊山があるせいか、稀に人里近くまで降りてくる幻想種がいるからです。
 正直にいえば興味があります。
 でも兄様達から最近は物騒だから気をつけろよ訓示を受けたばかりです。
 あう。困りました。
 思案する私ですが、コタチちゃんの必死に訴える目線を感じます。
 恋敵と書いてライバルに対し、一歩でも先に進みたいのですね?
 はあ……仕方がありません。
 私がいれば大概の事態は乗り越えられるでしょう。

「私も……興味があります」
「ええ!?」
「ほらな! これで3体1、オレらの勝ちだ!」
「う~~~……仕方ないなー。
 じゃあちょこっとだけね?
 それでいい、コタチにユナ」
「う、うん」
「異存はありません」
「オレの意見は!?」
「アンタに意見なんて求めないし」
「くそっ。
 まあいい。
 何はともあれ……フェイム探検隊、出発!」

「「おー(はいはい……)!!」」

 ワキヤ君の無駄に気合の入った掛け声。
 若干一名やる気のない返事を交えながらも、私達は森の奥を目指すのでした。


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