32 / 89
礼節、らしいです
しおりを挟む
「何者……ですか」
「何者ですか? だって!
くふふふ★
うん。可愛いねえ~その眼差し」
シャス兄様が警戒も露わに尋ねます。
誰何するその間も私を背後に庇いつつ弓をスタンバイさせてます。
鋭い矢が狙う先はローブを纏った青年の心臓。
一方青年は何がおかしいのかゲラゲラと笑い続けます。
そこに意志の疎通はありません。
ただ世界への断絶があります。
まともに交渉できないと判断したのか、
ミスティ兄様もかぶりを振って前を見据えます。
「気をつけろよ、シャスにユナ。
こいつ……多分、闇魔術師だ」
「え!?」
「それって、大戦の!?」
父様から御伽話のように聞かされた話です。
百年前の大戦時、突如復活した魔族が得意とする闇魔術。
二次元と闇を媒介とする、強大な術法。
……その中でも恐れられたのが魔族の女王です。
自在に闇を駆使するその力を前に、数多の勇者が倒れ伏したとのこと。
これが本当ならば話半分に聞いたとしても恐るべきことです。
「その中でもおそらく影を使う事に特化してる奴だ。
精神を削られるぞ」
聖霊使いとして同じく影を使うことが出来る為か、
ミスティ兄様は大よそを推察し、忠告します。
影や闇の恐ろしい所は外傷もさながら心に爪痕を残す事です。
治癒呪文で癒せない傷は心を蝕み、最悪廃人になります。
「へえ~よく分かるね、君」
「耐魔に優れた幻獣を瞬時に昏倒させたんだ。
しかも外傷もなく、な。
ならばよほど強力な拘束・麻痺系の術か、あるいは精神……
アストラルサイドから干渉する術だと推測できるさ」
「ふ~ん。詳しいね、子供なのに」
「実戦に年齢は関係ないだろ?」
「ごもっとも。
じゃあ君達は覚悟してるって事でいいんだよね?
その可憐な命を無惨に摘み取られる、ってことに」
「くっ!」
青年の影から伸び出る歪で巨大な影の腕。
苦悶し、何かを求める様に指を開閉させてます。
無詠唱でこれほどの術を操る……
最悪なことに余程の術師らしいです。
私達の命を奪う事を、何とも思ってない事も含め。
「ボクの名はパンドゥール。
偉大なる魔神皇様に仕える6魔将の一人『恐影のパンドゥール』。
以後、お見知り置きを♪」
青年……パンドゥールはおどけた様に肩を竦めると、
慇懃無礼な礼をします。
何かに仕えるとか名乗ってますが、そんなのはどうでもいいです。
私達も相手が名乗りを上げた以上、戦う者としての礼節を守ります。
「ノルン家が長男、ミスティ・ノルン」
「同じく次男、シャスティア・ノルン」
「同じく長女、ユナティア・ノルン」
「「「推して参る(ります)!!」」
「あは★ 可愛い♪
いい返事だ……それにノルン家の血脈なんだ。
これは生かして返せないな~」
私達に嬉々として語るパンドゥール。
うねりを上げる強大な魔力。
矢継ぎ早に展開されてゆく術式。
圧倒的な戦力差。
恐怖に涙が浮かびそうになるのを堪えます。
兄様達の手にも力が籠るのが見えます。
絶望的状況下、魔戦の火蓋が切られようとしてました。
「何者ですか? だって!
くふふふ★
うん。可愛いねえ~その眼差し」
シャス兄様が警戒も露わに尋ねます。
誰何するその間も私を背後に庇いつつ弓をスタンバイさせてます。
鋭い矢が狙う先はローブを纏った青年の心臓。
一方青年は何がおかしいのかゲラゲラと笑い続けます。
そこに意志の疎通はありません。
ただ世界への断絶があります。
まともに交渉できないと判断したのか、
ミスティ兄様もかぶりを振って前を見据えます。
「気をつけろよ、シャスにユナ。
こいつ……多分、闇魔術師だ」
「え!?」
「それって、大戦の!?」
父様から御伽話のように聞かされた話です。
百年前の大戦時、突如復活した魔族が得意とする闇魔術。
二次元と闇を媒介とする、強大な術法。
……その中でも恐れられたのが魔族の女王です。
自在に闇を駆使するその力を前に、数多の勇者が倒れ伏したとのこと。
これが本当ならば話半分に聞いたとしても恐るべきことです。
「その中でもおそらく影を使う事に特化してる奴だ。
精神を削られるぞ」
聖霊使いとして同じく影を使うことが出来る為か、
ミスティ兄様は大よそを推察し、忠告します。
影や闇の恐ろしい所は外傷もさながら心に爪痕を残す事です。
治癒呪文で癒せない傷は心を蝕み、最悪廃人になります。
「へえ~よく分かるね、君」
「耐魔に優れた幻獣を瞬時に昏倒させたんだ。
しかも外傷もなく、な。
ならばよほど強力な拘束・麻痺系の術か、あるいは精神……
アストラルサイドから干渉する術だと推測できるさ」
「ふ~ん。詳しいね、子供なのに」
「実戦に年齢は関係ないだろ?」
「ごもっとも。
じゃあ君達は覚悟してるって事でいいんだよね?
その可憐な命を無惨に摘み取られる、ってことに」
「くっ!」
青年の影から伸び出る歪で巨大な影の腕。
苦悶し、何かを求める様に指を開閉させてます。
無詠唱でこれほどの術を操る……
最悪なことに余程の術師らしいです。
私達の命を奪う事を、何とも思ってない事も含め。
「ボクの名はパンドゥール。
偉大なる魔神皇様に仕える6魔将の一人『恐影のパンドゥール』。
以後、お見知り置きを♪」
青年……パンドゥールはおどけた様に肩を竦めると、
慇懃無礼な礼をします。
何かに仕えるとか名乗ってますが、そんなのはどうでもいいです。
私達も相手が名乗りを上げた以上、戦う者としての礼節を守ります。
「ノルン家が長男、ミスティ・ノルン」
「同じく次男、シャスティア・ノルン」
「同じく長女、ユナティア・ノルン」
「「「推して参る(ります)!!」」
「あは★ 可愛い♪
いい返事だ……それにノルン家の血脈なんだ。
これは生かして返せないな~」
私達に嬉々として語るパンドゥール。
うねりを上げる強大な魔力。
矢継ぎ早に展開されてゆく術式。
圧倒的な戦力差。
恐怖に涙が浮かびそうになるのを堪えます。
兄様達の手にも力が籠るのが見えます。
絶望的状況下、魔戦の火蓋が切られようとしてました。
0
あなたにおすすめの小説
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
魔王城すこや課、本日も無事社畜です!
ハルタカ
ファンタジー
過労で倒れた社畜女子シオンの転生先は、まさかの魔王城。
無邪気に暴虐無人な上司(魔王)のもとで便利屋事務員としてドタバタな日々を過ごすうちに、寡黙な悪魔レヴィアスの思わぬ優しさに惹かれはじめていた。
ある日、突然変異したモンスターの暴走によって魔王城での生活は一変。
ーーそれは変異か、陰謀か。
事態を解明するために、シオンたちは世界各地で奔走する。
直面したことのない危険や恐怖に立ち向かうシオンは、それを支えるレヴィアスの無自覚で一途な愛情に翻弄されて……?
働くことでしか自分を認められないシオンが、魔王城で働く魔物たちの心をほぐしながら自分の価値を見つけていくファンタジーお仕事じれ恋ストーリー。
安全第一異世界生活
朋
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる