迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流

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2日目③

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「臥龍――
 貴方という人は何というか……
 歯止めが利かなくなるのですね?」
「おう。
 ちゃんと自覚はあるぞ」

 ダンジョントライアル2日目。
 泥臭い戦いを繰り返すこと既に半日以上が経過――
 無事レベル10になり意識空間に来た途端、アイが呆れたように話し掛けてきた。
 見慣れたメイド姿もどこか疲れた印象を受ける。
 スタイルの良さを際立たせる容姿が、若干煤けているのは連続サポートをさせてきた訳じゃないだろう……多分。
 はあぁ、と溜息後に人差し指をピンと立てながら語るアイ。

「確かにレベルアップの重要性は説きました。
 けど、休憩なしで続けるのはどうなのです?」
「いや、凝り性というか……
 好きなんだよな、地味な作業」

 索敵し攻撃し回収し次へ。
 ゲームとかでも、まずは序盤でガチるのが癖になっている。

「安全マージンは大目に取った方がいいだろう?」
「否定はしません。
 ただ貴方の身体は一つなのです。
 特に仲間がいない現状、無理は出来ない事を自覚して下さい」
「はい、ワカリマシタ……
 んで、アイ。質問」
「なんでしょう?」
「何だか見慣れない壺がテーブルにあるけど、これは何だ?」

 俺の指摘通り大きな蒼い陶磁器の壺がテーブルに置かれていた。
 こんなもの現実の家にはないのだが……はて?

「おめでとうございます、臥龍。
 ついにレベルが10になったので【アイテム屋】が使用できるようになりました」
「アイテム屋?」
「ええ。
 今までモンスターを倒した際に出現した魔石は回収してますね?」
「ああ、この通り」

 雑嚢に大分溜まってきた魔石を上からポンポンと叩いてみせる。

「魔石を壺に入れる事でその価値に見合ったポイントが得られます。
 低階層の魔石なら微量、深階層なら高額に。
 そのポイントを使用する事でテレビ画面に映る数々のアイテムを購入する事が出来るようになったのです。
 傷や疲労だけでなく状態異常を回復させる、各種ポーション。
 開くだけで術式が発動する使い捨てスクロール。
 装備してる武具の性能を高めてくれる宝珠など。
 これらはこれから先の探索に、必要不可欠なものばかりです」
「何に使うか不明だったが……
 まさかそんな用途があったとは」
「疑問に思ったらすぐに尋ねて下さい。
 私のレベルの範疇で開示します」
「そうだな。
 レベル上げ(手段)に一生懸命になり過ぎて目的を忘れていた。
 ちゃんと反省する」
「いえ。臥龍の頑張りも無駄ではありません。
 私のレベルも共に上がったので教えることが出来ますが――
 貴方はダンジョンに挑んでいる【探索者】の中でも上位に入っています。
 生き残って2日目を迎えた中では優秀な方です」
「――生き残って?
 穏やかじゃないな……どういうことなんだ?」
「知りたいですか?」
「ああ――
 どのくらい同期の【探索者】がいるのか、現在俺は何位なのかとか。
 知ってどうなるもんじゃないだろうが……
 やっぱりモチベーションが上がる」
「臥龍の戦意を失わせる恐れがあったので控えていましたが……
 貴方の暫定順位は世界ランク182位になります」
「おお~結構上の方だな。
 何人くらい中なのか不明だが」
「昨日より全世界に出没したダンジョン――
 探索者の資格を持つ者10000名中、ダンジョンに挑んだ者8788人。
 そして今現在までに生き残って探索を続けている者7954人。
 実に千人近い834人が初日で命を落としてます」
「そいつは随分とまあ……
 ヘヴィーな結果だな……」

 淡々と述べるアイの言葉に、俺は言いようのない戦慄を抱くだった。


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