迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流

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6日目⑩

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「さて――【武具屋】を使用する前に訊きたい事があるのは了承しています。
 上位職のクラス特性ですよね」
「ああ、そうだ」

 闇サイトならぬ、ボッタクリなオークションサイトに対しひとしきりツッコミを入れた俺達にアイが話し掛けてくる。
 俺は一同を代表して頷くと続きを促す。

「アイのお勧めとして俺達は各自上位職を選んだ。
 お前の上司だというアリシアとの邂逅を経て」
「いかがでした、あの方は?」
「何て言うか……掴みどころがない感じだな。
 浮世離れしていて――人知の及ばぬ超越者、仙人みたいな」
「中らずとも遠からず、ですね。
 この話は30レベルになったら開示されます。
 それまではお答えできません……残念ながら」
「無理に聞き出そうとは思わんさ。
 何か事情があるのは理解している。
 それよりアドバイザーとしてアイに訊きたいのは先の話だ」
「さすがですね、臥龍。
 よろしい。まずは貴方から説明します。
 臥龍、貴方の得た【侍】職は武技と魔技に秀でたクラスです。
 その真骨頂は武技と魔技の融合【魔現刃】になります」
「【魔現刃】?」
「はい。
 従来であれば攻撃として放たれる魔法を刃と化す業。
 それが【魔現刃】です。
 ゲーム風に分かりやすく例えるなら魔法剣が近いでしょう。
 これから先、物理だけでは対処できない敵が多くなります。
 また瑞希だけでは対処しきれぬ数に囲まれることがあるかもしれません。
 その際に貴方がこのスキルを使いこなせれていれば一騎当千と成り得る」
「ほう。具体的にはどうすればいい?」
「スキルツリーとしては隠された箇所になります。
 そう……それです。
 取得できましたね?」
「ああ」

 俺は魔狼を倒して得たポイントを使用し非常に分かり辛い位置に隠されていたスキル【魔現刃】を取得する。
 すると次の瞬間――まるで氷で出来た刃が全身を貫くような痛みを幻肢痛した後、臍の下を中心に身体がマグマみたいに活性化し始める。

「こ、これは――!?」
「おめでとうございます、臥龍。
 それが魔法を使う魔力回路とは違うオーラの経路――チャクラの覚醒です」
「チャクラ?」
「はい。
 俗に言う【気】と呼ばれるものですね。
 これを刃に纏わせることにより魔法効果を累乗させられるのです。
 臥龍、窓から見える柿の木は伐採して構いませんか?」

 アイが指し示したのはかなり太い柿の老木だ。
 すでに枯れており時間ができたら撤去したいとは思っていた。

「ん?
 ああ、別に構わないが……ってまさか!?
「早速実践です。
 頭で【魔現刃】使用を念じながらそこにある果物ナイフを構えてみて下さい」
「こ、こうか?」
「そうです。
 そうするとオーラがナイフに伝達していくのが分かりますか?」
「分かる……なんだ、これ」
「魔力による【強化】とはまた違う【闘気】による強化です。
 これ自体は無属性ですので魔力で染め上げ方向性を決めます。
 今回は【風刃】で良いでしょう。
 通常の【風刃】ならあの太さを切り倒すには数発以上が必要。
 しかし【闘気】との融合を経た今の【魔現刃】ならば――」

 アイの説明を聞き終えるよりも早く、手中で力の抑制が利かなくなった俺はナイフを放つ。
 すると薄い緑色の斬撃が回避不可避の速度で飛び、柿の木を両断。
 のみならずその背後にあった補修用金属パイプすら鮮やかに切断してしまった。

「習得しましたね?
 これが【魔現刃】レベル1【草薙】になります。
 サムライ職は闘気と魔力を自在にこなして最強に到る者。
 切るのではなく、己の魂を刃と化し斬る。
 これから先も精進を怠らぬよう願います」

 したり顔で解説するアイ。
 けど――俺達はそのあまりの力に茫然としていた。
 ただのナイフですらこの威力。
 なら――愛用のスコップならば?
 侍専用武器である【刀】ならば?
 先に待ち受けている輝く未来に、俺は武者震いを抑えきれなかった。

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