拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第7章 ふわふわ空飛ぶ旅は旅行気分?

第037話 幕間 メメントリア王国その後、コクリコットの災難

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 雪が降り始めて積もって来たら一度くらいは雪の中に、外に出てみるのも良いかなと思ってはいましたが。
「おっ、お姉様っ? このっ、雪かきと言うのはっ! 王女がする事なのでしょうか!?」
「何、鍛練にもなって人の為にもなるのだ。素晴らしい事だろう?」
 スカーレットお姉様が脳筋過ぎる!!?
「わっ、私、病み上がりなのですけど??」
 確かにアイリスちゃんの治療を受けて驚く程体の調子が良くなったけど、体力が付いた訳じゃないのですよ!?
 アイリスちゃん達が去ってから10日程は体力強化の為に城の中を歩いて回ってました。それから魔法の鍛練と一緒にダンスのレッスンもする様になりました。
 しかしそれから更に20日程したら体力充分とみてスカーレットお姉様に雪の中に放り出されてこの有り様です。
「ちゃんと見ているから問題無いぞ」
「問題しかありませんよ!?」
「コクリコット、魔法にだけ傾倒していると重い病に倒れた時にまた同じ様な事になるかも知れないのだぞ? 体力を付けておけば多少の病など跳ね返せるし、重病になっても耐えられる」
「ぐっ(この、脳筋姫め!)」
 私は元々体を動かすのが好きではないのです。本を読んでもらったり刺繍を編んだり静かに過ごすのが好きなので、病対策として魔法を鍛えるのも体を鍛えるよりはマシと言うだけで好きな訳ではないのですよ!?
「慣れて来たら兵士達と雪中訓練もさせるかな」
「イヤーーーーー!!」
 顎に手を当ててぼそりと不穏な言葉を口にするスカーレット。その場に居た兵士達の憐れむ視線の中、コクリコットの絶望に満ちた悲鳴が鳴り響いたのだった。

「スカーレット、最近コクリコットに剣の鍛練もさせている様だな」
「はいお父様。最近はコクリコットも体力が付いて来ましたし、油断すると怠けるので私の鍛練に付き合わせています」
「――お前が厳し過ぎると泣き言を言って来たぞ」
「元々内向的でしたからね。怠け癖が出てしまうのでしょう」
「……手厳しいな」
「あの子の為ですよ? お父様」
 あれから1ヶ月程、11月に入り此処メメントリア王国では雪が降る様になって来た。
 兵士は雪かきをしながら雪中訓練をしているが、スカーレットによってコクリコットがそれに同行させられているらしい。
 ――1ヶ月前まではほぼ寝たきりだったのだぞ? 流石に厳し過ぎないか?
 コクリコットから聞いた時は耳を疑ったが、しかし目の前のスカーレットの揺るぎない瞳が異論を認めないと言っている様で何も言えなかった。
 ――アデール王国で大分揉まれて来た様だな。
「(頼もしい限りだが)……程々にな」
 それからの鍛練の時間は、城の中にまでコクリコットの悲鳴が聞こえる様でギリアムは思わず耳を塞いでしまうのであった。


「それにしても本当に1ヶ月で屋敷が建ったか」
 王妃アプリコットの実家であるメルート男爵家を侯爵家に陞爵させてリアースレイ精霊王国の物資、技術で新しく屋敷を建てさせたのだが、冬前に建て終わると豪語されて耳を疑ったが本当に建てられてしまったのだ。
 外から冷たい外気を入れない様に外壁に張られた断熱材と、太陽からの熱を取り入れられる大きな窓ガラス。この2つの効果で暖房の大幅な節約になっているそうだ。
 その上その大きな窓ガラスのお陰で中は明るくなり、ランプオイルの節約にもなっているらしい。一般家庭ではランプオイルも使えず厚着をして窓を開けて家に明かりを入れる場合が多く、窓ガラスが普及すれば我々だけでなく庶民の生活も一変するだろう。
 冬の長いメメントリア王国では薪の節約は本当に馬鹿にならない。冬を越す為に常に多くの木こりを抱えなければならないからだ。
 今後この様な家が増えて行けばとんでもない経済効果を産む事だろう事は想像に難くない。

 評判を聞いて窓ガラスだけは城に取り入れたが、実際これは素晴らしい物だった。
「惜しむらくは元々の窓枠が小さい事だな」
「仕方がありません陛下。明るさよりも寒さ対策を取って出来た城なのですから」
 大陸北部の高地にあるメメントリア王国の冬は長く厳しい。その為、無駄に外気が入らぬ様に窓は小さく、外へ通じる扉ですら他国の城に比べれば随分と狭い造りになっている。
 その判断は間違いではない、……無いのではあるが多くが石造りで出来ているこの城では窓枠を拡げる事は難しいのだ。
「建て替えを検討しますか陛下」
「いやカールイス、金が無いだろう」
「しかし、リアースレイ精霊王国やフォシュレーグ王国の重鎮を迎えるには今の城は些か相応しくないかと」
「……それは分かるが、そうは言ってもな」
「城勤めの者達にとっても朗報になるでしょうし、将来的には経費節減となりますから民の理解も得やすいと思われますよ?」
「城の建て替えなんて莫大な費用が掛かるじゃねえか。将来的に経費節減策として認められるとしても、今反発を受けるのは止められないだろうが」
「……そこは王家復活の慶事として、何とかなりませんかね?」
「それ、もうお前が建て替えたいだけじゃねえのか?」
「メルート侯爵家に招待されたのです! あれはズル過ぎますよ!? 私の屋敷も建て替えたいのに我慢をしてるのです! 城より先に我がマグワイア侯爵家を建て替えさせる訳にはいかないのですから言っているのです!!」
「おっ、おう。――ってやっぱり私情が入ってるじゃねえか!」
 国王ギリアムが諌めても尚、せめて職場だけでもと言い募る宰相カールイス。新興のメルート侯爵家よりも古参の侯爵家で古くから王家に仕えて来た矜持もあるマグワイア侯爵家。それ故に代々受け継いで来た屋敷に思い入れもあるが、しかしメルート侯爵家の新築された屋敷が素晴らし過ぎたのだ。

「そう言えば、リアースレイ精霊王国は3階建て迄ならこの国でも出来ると言っていたろ」
「はあ。屋根を雪の重みで回転させ、雪下ろしの必要を無くすとか何とか。良く分かりませんでしたが」
「うむ、毎年雪下ろしで死者重傷者を出していたからな。雪下ろしが無くなるのであれば素晴らしいのだが、ソコではない」
「――と言うと?」
「庶民の家は平屋ばかりだ。全て3階建てにしてしまえば道を広くとっても空き地が増えるであろう? ソコに城を新しく建ててはと思ってな」
「平民街に、城を建てるのですか?」
「何だ、不服か?」
「城に登城するのは多くが貴族ですから、不便ですし毎日貴族の馬車で平民街の道を塞いでしまうでしょう」
「ああ~、成る程。貴族の不満も出るだろうしな。ふむ、……なら、貴族街を一部潰して城を建てるのはどうだ?」
「おおっ、確かに! 貴族もごっそり減りましたし、今後多少増えたとしても城を建てるくらいの土地を取れますな! 一部とは言え貴族街を潰すとなると民の評判にも繋がりましょう」
「民の家を優先に、だぞ?」
「ええ、この城は多くが石造りですからな。改築するにも解体するにも大掛かりなものになるでしょう。庶民の家を優先しても、いえ、先に城の場所を決めて、余った貴族街に平民の家を建ててしまいましょう。そうすれば同時進行で城も建てられますな! そうなれば此処で城を建て直すよりも早く移り住めるでしょうな、陛下!!」
「おっ、おう」
「素晴らしい案かと、城よりも民の家を優先したと噂を流せば王公貴族への評価も上がりましょう!」
「まっ、まあ何にしても春になってからの話しだがな」
「飛空挺は冬でも問題無く飛んで来ます! 今の内に必要物資の輸入を決めてしまいましょう。いち早く動ける様にするのです!」
「――そうだな」




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