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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第009話 アドンの町で意外な再会
しおりを挟むそれからアドンの町までの道すがら、小休止の度にレイク達と剣を交えるが色々工夫しても中々手応えを感じない。
『そんな一足飛びに成長なんて出来ないのじゃ』
分かってるよそんな事は。俺が小さい事を抜きにしてもコイツ等はデカいからな。何とか懐に飛び込めないか工夫してるんだけど難しい。
へこまされて戻る度にアリアとカチュアが頭を撫でて来たりする。慰めようとしてくれているんだろうとほっこりするな。まあおままごとの延長の様なものだろう。可愛いものだ。
『『……』』
「ヒヒン『リリちゃん大丈夫ー?』」
「ん、だいじょぶ」
馬車の中に入るとユニコーンのキーちゃんも2人の真似をして心配してくる。外に出ると騒ぎになるから馬車の中で動き回っているんだけど窮屈そうで可哀想だが仕方がない。
因みに馬車は2台使ってる。キーちゃんの聖素がキツいらしくて俺以外一緒に居られないのだ。だから俺とキーちゃんだけ別の馬車を使ってるのだ。
『ネネェ達もなのー!』
『居ない者扱いするななのじゃ』
はいはい、悪かったよ。
ダールトンさんがキーちゃん様の鞍を作って送ってくれるらしいから出来たら早く何処かで乗ってみたいな。けど騒ぎになるから移動の為に乗り回すのは無理だろうな。うーん、残念。
キーちゃんは俺やリリィとネネェ以外に懐かない。傍目には俺だけにしか懐いてないから俺が相手をするしかない。でも聖獣だからか、意思の疎通が出来るから凄く大人しくしてくれる。
「プルゥ『リリちゃんと一緒に居られれば良いんだよ』」
キーちゃんの聖素の所為でアリアとカチュアも、ナージャさんやミリアーナですら遠巻きに見ているだけなんだ。キーちゃん寂しくないのかな?
『聖獣じゃからの。人間とは感覚が違うのじゃ』
「ヒヒン『その通りー』」
大丈夫らしい。まあ俺としては他の人達とも仲良くして欲しい所だけど当人にその気が無いんじゃな。
『聖獣は高濃度の霊素を纏っておるからの。普通の人間には近寄りがたいのじゃ』
『精霊樹の時と同じなのー』
俺も普通の人間なんだが、まあリリィ達の所為で慣らされているからな。
『『……普通??』』
「――ヒヒン??」
レイク達との模擬戦は木剣でやっている。木剣とは言え当たれば怪我をする。俺相手だと大怪我させかねないからか他の相手の時より剣の振りが緩くなっていると思う。
舐められていると思うし不満はあるけど負けているから何も言えない。それでも相手の攻撃には慣れて来て、守りに徹すればそうそう崩されなくなった。
ここから攻撃に移るのが難しいんだけど振りの甘さに何とか付け込みたい所だ。
レイクは全く隙が見えないから無理。トマソンも槍の相手をした経験が少なくてらまだ取っ掛かりも掴めていないから慣れるのにも時間が掛かりそう。けどリックの両手剣はルトルート達の傭兵組と何度も相手しているから慣れている。
リックには何とか隙を付いて一本くらいは取りたい。
普通なら剣を弾いて体勢を崩して攻めるんだろうけど俺の力じゃそこまで軌道を変えるのは難しい。だからその力を逆にこっちの体勢を変えるのに利用させてもらう。
リックのやや大振りになった横振りの剣を、押し上げる様にして何とか体を低くして潜り込む。そのまま懐に飛び込んでっ!
ドスッ「っ!? ひゅっ」ゴロゴロッ
「「アイリスちゃん!?」さん!」
うぐぐ、息をするとお腹が痛い。――回復魔法を掛けないと……、何があった? 今のは、膝蹴りか?
『うむ、一応魔法の盾で防いだのじゃがの』
リリィには大怪我しない程度に魔法で守ってもらっている。ただ近接戦闘中、瞬時に強固な魔法の盾で防ぐのは難しいそうで、こうしてダメージを負ってしまったのだ。
『普通なら内臓がヤラれておったのじゃ』
怖っ! 手加減下手くそかコイツ!!
何とか回復魔法を掛けていくと、徐々に呼吸が楽になりお腹の痛みも和らいでいった。
駆け寄って来るナージャさんとレイクに手を振って大丈夫と伝えて引き剥が、――せない!?
「アイリスちゃん大丈夫ですか! お腹ですか!? ポンポン痛いですか!?」
ナージャさんに身体中まさぐられ撫でくり回されてから、何故かそのまま抱き抱えられてしまった。
『何時もの事なのじゃ』『なのー』
「プルルゥ!『呑気な事言ってないでちゃんと守ってあげてよ!』」
『咄嗟にやるのはアレが限界なのじゃ。実戦なら初めから結界を張っておくのじゃがの』
「プルゥ『無能ー』」
『んなっ! 実戦で守れれば良いじゃろが!』
はいはい、ケンカすんな。
しかし今のは懐に飛び込んだまでは良かったけど、即座に膝蹴りを受けてしまったんだな。……いや、寧ろ不用意に懐に飛び込んでしまったと言うべきか?
リリィのシールドで守られたけど、無かったらと思うとやっぱり恐ろしい。中に入るだけじゃ駄目だな。
『じゃが感知魔法の空間把握は上手く使えていたのではないかの?』
ダンスレッスンとかじゃまだ上手く活かせて無いけんだけどな。懐に飛び込むタイミングを取るのには使えたよ。
「上手く合わせられたな。あんなスルッと懐に入り込まれるとは思わなかったぞ」
ナージャさんに抱っこされながら思案ていると、リックが何だか気まずそうに歩いて来た。
「リック、……相手を考えろ。大怪我させるトコだったぞ?」
「いや、まあ、……すまん。でもまた魔力の盾で防がれたみたいだったな。迷宮の時もそうだけど、そんな即座に張れる物なんかね?」
トマソンの注意に気まずそうに頬をかくリック。だがトマソンも同じ事を注視していた。
無意識か意識してなのか分からないが、瞬時に魔法を発動出来るのであれば防御だけでなく攻撃にも魔法が使えるのではないかと考えたのだ。
それから何度か模擬戦を繰り返しながら、何とかリックから一本取った所で目的のアドンの町まで辿り着いた。
『アイリスに怪我させるのを恐れて剣が鈍っておったのじゃ』ボソリ
『でもちゃんと実力は付いて来てると思うなのー』ボソッ
領境の街を出て2日、馬車馬の様に馬車馬に回復魔法を掛け続け、ようやくアドンの町が見えて来た。
元々のアドンの町は2m程の高さの木の柵で囲われた小さな村だったらしい。
今は外周を広く取って3m程の高さの分厚い木の柵で囲われている。いずれ頑丈な塀にする工事を進めていく予定だそう。建築中の大きな建物も幾つもあって今まさに開発ラッシュと言う感じがする。
そのまま町中に入って10分くらい馬車を走らせると大きな建物の一つに入って行った。
建物の中で馬車を降りていくのはビアンカお姉様とナージャさんヴェルンさんに俺とミリアーナ、それと後はレイク達3人だ。
アリアとカチュアやヒストロスさん他の使用人達は馬車の中で待機となる。後キーちゃんも別の馬車内で待機してる。
馬車の乗り入れ場から施設内に入ると其処は傭兵ギルドの様だった。
「ようこそいらっしゃいましたビアンカ様。此方にどう、……ぞ?」
待ち構えていた受付嬢の人が案内しようとして此方を見て目を見開いて固まった。あれ? この金髪の女の人どっかで見た様な気がするんだけど?
『カリンじゃったかの。シラルの町で傭兵ギルドの受付嬢をしとったのじゃ』
おお! それだ。女装騒ぎの時にお世話? になったっけな。――トテテテっと駆け寄って確認、確かにカリンだ。
「えっ? アイリスちゃん?? 本当に? アレ? 髪長っ! 頬っぺが前よりぷにぷにっ!? 可愛い過ぎるっ? えっ、妹さん??」
近寄ったらカリンに撫でくり回されてしまっている。けどナージャさんで慣れてるからこの程度じゃ動じないんだぞ?
髪の毛はリリィとネネェの度重なる回復魔法の副作用だな。10ヶ月前は肩に届かないくらいだったのにもう腰まで伸びてしまった。まあ別に害は無いからどうでも良い。手入れは大変だけどナージャさんとかがやってくれるしね。
しかしそんなに驚く程変わったかな? 取り敢えずナージャさんに言われた通りギュッとして挨拶しておく。
「カリン? ……こんにちは」
「こんにちは。ってやっぱりアイリスちゃん!? 何でこんな――、って申し訳ありませんビアンカ様っ! 此方です! どうぞっ」
あれ? 挨拶終わったのに抱き締められたまま連れて行かれてしまってるぞ??
『そもそも抱き付くのがの』
『諦めるなのー』
「……ナージャが増えた」遠い目
「失礼ですねビアンカお嬢様。私はあんなっ――、くっ! 胸は大きく……、あ、ありませんよ」
疲れた様に呟くビアンカにナージャは葛藤しながらも口惜しげに抗議した。
「無理して言わないでも良いわよ」
「確かに大きい方かしらね。まあ私程じゃないけど。相変わらず可愛い感じの娘よねえ」舌舐めずり
「その獲物を見る様な目を止めなさいミリアーナ、と言うか抱き付かないで下さい」
「大丈夫よナージャ。貴女の胸も可愛らしくて大好きだからん♡」
「貴女に好かれてもっ! ってこんな所で何処触ってるんですか本当に!? んっ」
「2人共、遊んでないで行くわよ」
「あっ、遊んで無いですよビアンカお嬢様っ!? ちょっ、助けてえええええっ!」
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