拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

文字の大きさ
267 / 305
第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第009話 アドンの町で意外な再会

しおりを挟む

 それからアドンの町までの道すがら、小休止の度にレイク達と剣を交えるが色々工夫しても中々手応えを感じない。
『そんな一足飛びに成長なんて出来ないのじゃ』
 分かってるよそんな事は。俺が小さい事を抜きにしてもコイツ等はデカいからな。何とか懐に飛び込めないか工夫してるんだけど難しい。
 へこまされて戻る度にアリアとカチュアが頭を撫でて来たりする。慰めようとしてくれているんだろうとほっこりするな。まあおままごとの延長の様なものだろう。可愛いものだ。
『『……』』
「ヒヒン『リリちゃん大丈夫ー?』」
「ん、だいじょぶ」
 馬車の中に入るとユニコーンのキーちゃんも2人の真似をして心配してくる。外に出ると騒ぎになるから馬車の中で動き回っているんだけど窮屈そうで可哀想だが仕方がない。
 因みに馬車は2台使ってる。キーちゃんの聖素がキツいらしくて俺以外一緒に居られないのだ。だから俺とキーちゃんだけ別の馬車を使ってるのだ。
『ネネェ達もなのー!』
『居ない者扱いするななのじゃ』
 はいはい、悪かったよ。

 ダールトンさんがキーちゃん様の鞍を作って送ってくれるらしいから出来たら早く何処かで乗ってみたいな。けど騒ぎになるから移動の為に乗り回すのは無理だろうな。うーん、残念。
 キーちゃんは俺やリリィとネネェ以外に懐かない。傍目には俺だけにしか懐いてないから俺が相手をするしかない。でも聖獣だからか、意思の疎通が出来るから凄く大人しくしてくれる。
「プルゥ『リリちゃんと一緒に居られれば良いんだよ』」
 キーちゃんの聖素の所為でアリアとカチュアも、ナージャさんやミリアーナですら遠巻きに見ているだけなんだ。キーちゃん寂しくないのかな?
『聖獣じゃからの。人間とは感覚が違うのじゃ』
「ヒヒン『その通りー』」
 大丈夫らしい。まあ俺としては他の人達とも仲良くして欲しい所だけど当人にその気が無いんじゃな。
『聖獣は高濃度の霊素を纏っておるからの。普通の人間には近寄りがたいのじゃ』
『精霊樹の時と同じなのー』
 俺も普通の人間なんだが、まあリリィ達の所為で慣らされているからな。
『『……普通??』』
「――ヒヒン??」

 レイク達との模擬戦は木剣でやっている。木剣とは言え当たれば怪我をする。俺相手だと大怪我させかねないからか他の相手の時より剣の振りが緩くなっていると思う。
 舐められていると思うし不満はあるけど負けているから何も言えない。それでも相手の攻撃には慣れて来て、守りに徹すればそうそう崩されなくなった。
 ここから攻撃に移るのが難しいんだけど振りの甘さに何とか付け込みたい所だ。
 レイクは全く隙が見えないから無理。トマソンも槍の相手をした経験が少なくてらまだ取っ掛かりも掴めていないから慣れるのにも時間が掛かりそう。けどリックの両手剣はルトルート達の傭兵組と何度も相手しているから慣れている。
 リックには何とか隙を付いて一本くらいは取りたい。
 普通なら剣を弾いて体勢を崩して攻めるんだろうけど俺の力じゃそこまで軌道を変えるのは難しい。だからその力を逆にこっちの体勢を変えるのに利用させてもらう。
 リックのやや大振りになった横振りの剣を、押し上げる様にして何とか体を低くして潜り込む。そのまま懐に飛び込んでっ!
 ドスッ「っ!? ひゅっ」ゴロゴロッ
「「アイリスちゃん!?」さん!」

 うぐぐ、息をするとお腹が痛い。――回復魔法を掛けないと……、何があった? 今のは、膝蹴りか?
『うむ、一応魔法の盾で防いだのじゃがの』
 リリィには大怪我しない程度に魔法で守ってもらっている。ただ近接戦闘中、瞬時に強固な魔法の盾で防ぐのは難しいそうで、こうしてダメージを負ってしまったのだ。
『普通なら内臓がヤラれておったのじゃ』
 怖っ! 手加減下手くそかコイツ!!
 何とか回復魔法を掛けていくと、徐々に呼吸が楽になりお腹の痛みも和らいでいった。
 駆け寄って来るナージャさんとレイクに手を振って大丈夫と伝えて引き剥が、――せない!?
「アイリスちゃん大丈夫ですか! お腹ですか!? ポンポン痛いですか!?」
 ナージャさんに身体中まさぐられ撫でくり回されてから、何故かそのまま抱き抱えられてしまった。
『何時もの事なのじゃ』『なのー』
「プルルゥ!『呑気な事言ってないでちゃんと守ってあげてよ!』」
『咄嗟にやるのはアレが限界なのじゃ。実戦なら初めから結界を張っておくのじゃがの』
「プルゥ『無能ー』」
『んなっ! 実戦で守れれば良いじゃろが!』
 はいはい、ケンカすんな。

 しかし今のは懐に飛び込んだまでは良かったけど、即座に膝蹴りを受けてしまったんだな。……いや、寧ろ不用意に懐に飛び込んでしまったと言うべきか?
 リリィのシールドで守られたけど、無かったらと思うとやっぱり恐ろしい。中に入るだけじゃ駄目だな。
『じゃが感知魔法の空間把握は上手く使えていたのではないかの?』
 ダンスレッスンとかじゃまだ上手く活かせて無いけんだけどな。懐に飛び込むタイミングを取るのには使えたよ。
「上手く合わせられたな。あんなスルッと懐に入り込まれるとは思わなかったぞ」
 ナージャさんに抱っこされながら思案ていると、リックが何だか気まずそうに歩いて来た。
「リック、……相手を考えろ。大怪我させるトコだったぞ?」
「いや、まあ、……すまん。でもまた魔力の盾で防がれたみたいだったな。迷宮の時もそうだけど、そんな即座に張れる物なんかね?」
 トマソンの注意に気まずそうに頬をかくリック。だがトマソンも同じ事を注視していた。
 無意識か意識してなのか分からないが、瞬時に魔法を発動出来るのであれば防御だけでなく攻撃にも魔法が使えるのではないかと考えたのだ。
 それから何度か模擬戦を繰り返しながら、何とかリックから一本取った所で目的のアドンの町まで辿り着いた。
『アイリスに怪我させるのを恐れて剣が鈍っておったのじゃ』ボソリ
『でもちゃんと実力は付いて来てると思うなのー』ボソッ


 領境の街を出て2日、馬車馬の様に馬車馬に回復魔法を掛け続け、ようやくアドンの町が見えて来た。
 元々のアドンの町は2m程の高さの木の柵で囲われた小さな村だったらしい。
 今は外周を広く取って3m程の高さの分厚い木の柵で囲われている。いずれ頑丈な塀にする工事を進めていく予定だそう。建築中の大きな建物も幾つもあって今まさに開発ラッシュと言う感じがする。
 そのまま町中に入って10分くらい馬車を走らせると大きな建物の一つに入って行った。
 建物の中で馬車を降りていくのはビアンカお姉様とナージャさんヴェルンさんに俺とミリアーナ、それと後はレイク達3人だ。
 アリアとカチュアやヒストロスさん他の使用人達は馬車の中で待機となる。後キーちゃんも別の馬車内で待機してる。

 馬車の乗り入れ場から施設内に入ると其処は傭兵ギルドの様だった。
「ようこそいらっしゃいましたビアンカ様。此方にどう、……ぞ?」
 待ち構えていた受付嬢の人が案内しようとして此方を見て目を見開いて固まった。あれ? この金髪の女の人どっかで見た様な気がするんだけど?
『カリンじゃったかの。シラルの町で傭兵ギルドの受付嬢をしとったのじゃ』
 おお! それだ。女装騒ぎの時にお世話? になったっけな。――トテテテっと駆け寄って確認、確かにカリンだ。
「えっ? アイリスちゃん?? 本当に? アレ? 髪長っ! 頬っぺが前よりぷにぷにっ!? 可愛い過ぎるっ? えっ、妹さん??」
 近寄ったらカリンに撫でくり回されてしまっている。けどナージャさんで慣れてるからこの程度じゃ動じないんだぞ?
 髪の毛はリリィとネネェの度重なる回復魔法の副作用だな。10ヶ月前は肩に届かないくらいだったのにもう腰まで伸びてしまった。まあ別に害は無いからどうでも良い。手入れは大変だけどナージャさんとかがやってくれるしね。
 しかしそんなに驚く程変わったかな? 取り敢えずナージャさんに言われた通りギュッとして挨拶しておく。
「カリン? ……こんにちは」
「こんにちは。ってやっぱりアイリスちゃん!? 何でこんな――、って申し訳ありませんビアンカ様っ! 此方です! どうぞっ」
 あれ? 挨拶終わったのに抱き締められたまま連れて行かれてしまってるぞ??
『そもそも抱き付くのがの』
『諦めるなのー』

「……ナージャが増えた」遠い目
「失礼ですねビアンカお嬢様。私はあんなっ――、くっ! 胸は大きく……、あ、ありませんよ」
 疲れた様に呟くビアンカにナージャは葛藤しながらも口惜しげに抗議した。
「無理して言わないでも良いわよ」
「確かに大きい方かしらね。まあ私程じゃないけど。相変わらず可愛い感じの娘よねえ」舌舐めずり
「その獲物を見る様な目を止めなさいミリアーナ、と言うか抱き付かないで下さい」
「大丈夫よナージャ。貴女の胸も可愛らしくて大好きだからん♡」
「貴女に好かれてもっ! ってこんな所で何処触ってるんですか本当に!? んっ」
「2人共、遊んでないで行くわよ」
「あっ、遊んで無いですよビアンカお嬢様っ!? ちょっ、助けてえええええっ!」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...