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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第034話 アイリス誘拐事件!!……事件??
しおりを挟む「どっ、どっ、どう言う経緯で居なくなったのだ!?」
「私達がアリアちゃんカチュアちゃんをお風呂に入れて、帰って来たら居なくなっていたのです!!」
アレが居たと言う部屋の前に行くとナージャがボロボロ泣きながら俺に詰めよって来るんだけど怖い。俺がやった訳じゃないからな?
ナージャは話しにならないので他の侍女に聞くと、アレが寝ている間に子供達を風呂に連れて行ったそうだ。1人侍女が残っていた筈だがその者も居なくなっている、と。
「屋敷の外には出ていないのだな?」
「はい、確認致しました。念の為庭の方も私が直に」
「外には出ていない? 家中探したのか?」
「後はエミリアーナ姫様一行の所くらいしか……」
決まりじゃねえか! ――て言うか分かってて呼んだな!?
「エミリアーナ姫様はお眠りになっています。お引き取りを」
そしてエミリアーナ姫の部屋まで行くと白銀騎士隊の女達に止められてしまった。
「アイリス・フローディアは来ていないか?」
「知りません」
動揺も無し、こりゃ当たりだな。しかし姫様の寝所に強引に押し入る訳にはいかないしな。さて、……どうすれば良いのか分からん。全く、面倒な事をしてくれる。
「――お父様、屋敷内で要人誘拐が起きたのです。白銀騎士隊の皆様にもご協力を願っては如何かしら?」
「え? あ?」
「我がレンリート伯爵家が保護している要人に手を出したのです。家の名誉にも関わる事ですし、兵も動員して必ず見つけ出して犯人には厳罰を与えましょう。ねえお母様?」
「そうね。レンリート伯爵家として舐められる訳にはいかないもの。相手が誰であろうと到底許す事は出来ないわね。ふふふっ」
家の嫁と娘が怖いんだけど? 家族で会話している様に見えて一切白銀騎士隊から目を離さすに話している。白銀騎士隊の女達も青ざめているぞ?
レンリート家が辺境伯に陞爵される事は姫様経由で知っているだろうしな。自分達より上位の貴族家が面と向かって厳罰に処すと言っているんだから青ざめるのも当然だ。
姫様の我が儘に振り回されての事だろうし、白銀騎士隊の面々には同情しかない。家の女達に振り回されてる俺からすると既視感を感じてしまうな。
結局、エミリアーナ姫を起こしてお伺いを立てるとなってから姫様の許可を得て部屋に入る事になった。
「貴方達は其処で待っていなさい」
「あ、「「はい」」」
そんなキツい目で見なくたって俺は姫様の寝所に入る程命知らずじゃねえよ!? 息子達なんか最初から空気だぞ!!
ビアンカがエミリアーナ姫の寝所に入るとベッドの上で寝巻きのまま胡座をかいて迎え入れられた。アイリスちゃんはエミリアーナ姫の膝を枕にして寝ている。
何時もながらの呑気な寝顔に腹が立つわね。
騒動の中心にいながらこの子だけ違う世界で生きている様なズレは永遠に解消されないのかしら?
「何よもう~、人が気持ち良く寝ていたって言うのに~」
全く悪びれた様子も無いエミリアーナ姫にお母様は笑顔のまま固まっている。でも微妙に頬が引く付いているからかなり怒っているわね。
「あれ? エウレカもこの子の美容魔法を受けたのね? ビアンカと姉妹みたいになってるじゃない」
「まあ、有り難う御座います」
エミリアーナ姫の言葉にお母様の声がワントーン上がった。お母様の笑顔に喜びの色が出てしまっているわね。
でもそうなのよね。お母様、ちょっと歳の離れた姉に見えてしまうくらいになってしまって、……何故お父様はコレを見て何も言葉に出来なかったのかしら? 寧ろ才能を感じてしまうわ。
「それはそれとして、少しお転婆が過ぎるのではないかしらね? エミリアーナ姫様?」
コホン、と一息付いて改めてお母様が問い質す。若干喜びを隠せてないけど女としては仕方がないでしょう。
――まあ姫様の気持ちも分からなくは無い。と言うか私も夜はアイリスちゃんを抱き枕にしていたしね。この子の癒しパワーを知ってしまうと容易に手放せなくなるのよね。
「エミリアーナ姫は、……ご自分の立場を理解されて居ない様ですね」
「えっ? イヤちょっと、怖いんだけどエウレカ?」
「これから、徹底的に、お話し、致しましょうね?」
「いやもう夜も遅いし? 寝ちゃいたいなぁ、なんて?」
「……良いですね?」
ズズイっとエミリアーナ姫様の眼前に笑顔のまま迫って有無を言わさぬ姿勢だ。
まあ陛下と王妃様から教育を頼まれているらしいからこそ出来る力技よね。
「ううーん、ビアン……ぉ姉ぇしゃま……」
緊迫した空気を壊したのはやっぱりアイリスちゃん。
頭上で五月蝿かったからか毛布がはだけて寒かったからか、姫様の膝に潜り込む様にして丸くなって寝てしまったのだ。
「はわわ、……何これ、何これ可愛い過ぎるんだけど!?」
アイリスちゃんの仕草にエミリアーナ姫は顔を赤くして手をわたわたさせて動揺している。珍しい姿だと思う、――けど私も同じ様に動揺していて平静を装おう事で精一杯だった。
「ビアンカお嬢様と寝ている夢を見ている様ですね」ボソッ
「くっ!」
考えない様にしていたのにナージャめ、自分の名が出なかったからって嫉妬しているんじゃないでしょうね!?
「おやビアンカお嬢様、何やらお耳が赤いですわ? 頬も赤くなって、長旅でしたからお風邪を召されたのかも知れませんね」ボソッ
「それならアイリスちゃんに治して貰おうかしら。ついでに何時もの様に抱き枕にさせて貰うのも良いわね」ボソッ
「いえっ! アイリスちゃんは今日は私とっ! アリアちゃんとカチュアちゃんと一緒に寝るんです! そう言う約束だったじゃないですか!?」ボソッ
もうイジりませんからと小声で泣き付いて来るナージャ。やっぱり私をイジって来ていたのね。良い度胸だけど、アイリスちゃんが関わると途端にポンコツになるわね。
「ナージャ、アイリスちゃんを引き取って部屋に連れ帰って頂戴。お母様、後は任せて宜しいですか?」
「え? ええ、そうね。グランツには経緯だけ伝えておいて頂戴」
「分かりました。行くわよナージャ」
「はい! ビアンカお嬢様!」
エミリアーナ姫が動揺している内にナージャにさっとアイリスちゃんを回収させてさっさと撤退する。残ると一緒にエミリアーナ姫の相手をさせられそうだしね。
後はお父様にお話しするだけで私は自室で休ませて貰おうかしらね。
「父上、ビアンカには勝てそうにありません」
「……安心しろ。俺もだ」
「…………俺もです父上」
経緯を話して堂々と去って行くビアンカの背を複雑そうに見送る父親と兄弟であった。
――因みに消えた侍女は白銀騎士隊と無理矢理お茶をさせられていた。勿論無事に回収されている。
「流石に、……疲れたわ……」
「――エウレカ様、かなり怒っておいででしたからね」
ベッドに突っ伏すエミリアーナ。エウレカに深夜遅くなるまで説教をされたのだがエミリアーナは勿論、偶々護衛として側に居た騎士達も付き合わされて全員が精神的にズタボロになっていた。
「それにしても、アイリスちゃんは可愛かったな。私もお姉様と呼んで貰おうかな?」
「懲りてませんね? 仲良くなってから言って下さい」
「仲は良いだろう? 私の膝の上で寝ていたのだぞ?」
「いや、……それあの子は気付いてましたか?」
「……そう言えばずっと寝ていたな」
エミリアーナの呟きに、白銀騎士隊の少女達はもうアイリスには関わらないで欲しいと願ったが、叶いそうにないなと意気消沈していた。
翌日の朝、目が覚めるとアリアとカチュアに挟まれて寝ていた。ナージャさんも一緒に寝ている。この子達とは一緒にお昼寝する事はあっても夜寝るのは何気に初めてだった。夜は何時もビアンカお姉様と寝ているしな。
ちょっと新鮮な気持ちになったけど、起きたら何故か3人共ビアンカお姉様の子供の頃のドレスを着させられた。何故か俺もだよ? 何で??
ナージャさんが言うにはビアンカお姉様のドレスにアリアとカチュアが気後れしてるから、俺にも着せて安心させるんだって。
どうしてそれで何で安心するのか分からないけど、義娘達の為になるなら仕方がないか。
『(それで納得出来る)主は凄いなのー』
ふふん? まあな。いち早くねぇね達に会いたい所だけど場所が分からないし、馬車を出して案内してくれるらしいので受け入れたのだ。
「えへへー、お揃いだねアイリスちゃん」
「アイリスちゃん可愛い~」
「ん、アリアも可愛い。カチュアも可愛い」
アリアは赤色、カチュアは黄色、俺は白色に花型のリボンが散りばめられたドレスを各々着させられた。まあコレット達といた時も変装の為に女装させられたし慣れたもんだよ。
『それって自慢なのー?』
……そう言われると微妙な気がするな。
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