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第1章 うろうろ迷子と運命の出会い?
第009話 何故俺を入れるーっ!
しおりを挟む「しかしどうやって探す? 適当に進んで囲まれたら事だぞ?」
「アイリスさんどう思います? 先程も明らかにゴブリンを視認する前に何か感じとってましたよね?」
「そうなのか?」
うっ、皆んながコッチを見てくる。そこは流しておけよなぁ。けどソロで良かった。能力が上がっても誰も元を知らないから不審に思われないし。
「……何となく……」
「ちょっと、何かあるなら教えなさいよセコいわね」
「リズ、タダで技術を教えろって言うのは違うだろ?」
「――本当……だし」
『そうやって口を窄めてると拗ねた子供みたいじゃぞ?』
くっ、黙れ駄剣め。コイツ等と絡むと面倒臭いんだよ。
「恐らくだが経験則から感覚で判断してるんじゃないか? だとしたら確かに教えるのは難しいだろ」
おお、それそれ。それで良いだろ流石エリック。他の奴等も見習って欲しいね。
「それで、何となくでも良いので、どうすれば良いとかありませんか?」
『我も此処からでは分からんぞ』
「?」コテン
「……なら俺から良いか?」
「何だサージェス、良い方法でもあるのか?」
「いや、そこまでの事じゃないが予測は立つだろ。さっきアイリスが言った村を狩場として奴等が見てたとするなら村、洞窟、そしてこの集落を結んだ先に本隊がある可能性が高いと思う」
「成る程、ならそう仮定して本隊を確認しに行くか」
「ああ、闇雲に探して行くよりは良いと思う」
「よし、それで行こう」
疫病やゾンビ化の予防の為にゴブリンを集め、屋根に使われた枝葉を使って焼き払い土を被せて小休止してから再び同じように隊列を組んで歩き出した。
10分くらい歩いて行くと少し外れた所をゴブリンが2匹歩いていた。後を付けて行くとさっきと同規模の集落を見つけて同じように処理をする。
「ふう、またアイリスさんが見つけてくれましたね。流石です」
「そうだな。俺達は調査系の依頼を良く受けるけど肩無しだ。……なあアイリス、ソロなら良かったら俺達とチームを組まないか?」
「おっと、それなら俺達もアイリスさんは欲しいです。どうですかアイリスさん、歓迎しますよ?」
レイクとサージェスがチームに誘って来た。けどチームなんて組んだ事無いし、30半ばの何時引退してもおかしくない年齢で新しい事なんてする気が起きないんだよな。
『モテモテじゃの』
お前の能力がな。
「……ん」フルフル
「それは残念」
「うーむ、しかしその能力は惜しいんだがな。偶にでも駄目か?」
「…………偶になら」
サージェス達なら調査だろうし危険も少ないだろう、金も良さそうだ。
「俺も何度か誘ったけど断られたんだよな」
エリック、リズ達が機嫌悪くなってるぞ。そしてお前達とは偶にでも嫌だぞ。さっきの集落と同じように後処理して更に進み出す。
「さっきのゴブリンが来た方に本隊かまた小規模集落がありそうですね」
「洞窟から1つ目の集落とほぼ直線になってたしな」
しばらく歩いていると、何度かゴブリンが数体走って来ては倒していった。
「コレは……当たりかもしれませんが……」
「ああ、ゴブリンが逃げて来ているように見えるな」
「――思ったより切迫した状況かもしれん」
『む、この先じゃな。かなり大きいぞ。500は居るかもしれん』
「駄目……この先……」
500ってマジかよ、一気に血の気が引いて青ざめてしまう。ヤバい、足に力が入らない。
「本隊……か?」
「どうする?」
「確認するだけなんだろ? さっさと行っちまおうぜ。イケそうなら潰しちゃえば良いし」
ラスト、お前500匹のゴブリンに10人足らずで突っ込めるのか? 俺はゴメンだぞ。死ぬなら1人で死ねよな? って言うか500? 普通に死ぬわ。確認とか良いから逃げたいんだけど?
「本隊だとしたらこの人数は目立つ、俺とサージェス、それとアイリスさんで確認しましょう」
何故俺を入れるぅーーーーっ!?
俺の肩に手を置くんじゃないレイクーーっ!!
『我の能力を見せ過ぎたかの?』ボソッ
「ちょっと待ってよ、何でエリックじゃなくてコイツなのよ!」
「そうだぜ。ソイツはランクも1番低いしエリックは俺達のリーダーなんだぞ!」
「止めろお前等」
「でもっ!」
「この中で戦闘能力が1番高いのは俺だ。そしてサージェスはこう言った調査の専門家。そしてアイリスさんだけど彼女の索敵能力が優れているのはお前達以外皆が認めている所だろう」
剣呑な雰囲気を出してラストを睨みつけるレイク、だがちょっと待て。
「――彼女って言った」ジト目
「あっ! いや、違うんですアイリスさん。いえ、……すいません」
「ぶははっ、何言ってんだお前等、この緊急時に気が抜けちまったじゃないか」
笑ったサージェスを睨み付けるけどニヤニヤして全く堪えてなさそうだ。レイクはレイクで気まずそうに目線を逸らすだけだし。お前等完全に舐めてるよな? 確かにランクは低いけど年上だぞ。
いや待て、レイクは俺の事年下と思ってないか? 20歳程度の奴に35歳の俺が年下に見られる事なんて無いと思うけど、俺をお嬢さん呼ばわりしてくるくらいにコイツの目は節穴だからな。
『節穴、かのう?』コテリ
「まあ兎に角、そろそろ行こうぜ。此処でうだうだやってても仕方ない」
「あっ、ああそうだな。行きましょうアイリスさん」
「…………むう」
くそぅ、こんな所で怖いから嫌だなんてお嬢さんみたいな事言えないじゃないか。……怖いけど、何とか足に力を入れて歩き出す。
『やっぱり怖いんじゃの』
黙ってろ。
調査依頼の専門家でもあるサージェスを先頭に索敵能力の高いって事になってる俺、最後にレイクの順で進んで行った。単発で来るゴブリンならサージェスも俺も苦にしないからな。
『偶には突きも使わんか。実戦で使ってこそ生きた技術になるというモノじゃぞ』
五月蝿いな、とは思うけど自分の為だし我慢我慢。次に来たゴブリンが無手だったので落ち着いて心臓を狙って細剣を突き刺していく。
『戻しが遅い……が、まあ初めてとしては良いじゃろ』
ぐぐ、偉そうに、突きって戻さないといけないから立ち位置変え辛くて使い勝手が悪いんだよな。斬る方なら斬りながら移動しやすいし乱戦向きなんだけど。
『それはお主の練度不足なのじゃ。手札は多い方が良いじゃろ。それに薄皮1枚しか斬れないような硬い敵や全身鎧のような敵には突き刺す方が効果的なのじゃ』
まあ剣を振り回せないような狭い所、家の中とかでも使えそうだけど、今までそんな機会無かったしなぁ。
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