拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第1章 うろうろ迷子と運命の出会い?

第017話 6日目、スタンピードへ向けて

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 翌朝、最早日課になった鍛練をしていく。しっかし昨日はミリアーナにオモチャにされて酷い目に遭ったな。
『普通オナゴに抱き付かれれば喜ぶものと聞くのじゃがな?』ボソッ
「アイリスさん、今回の件の説明がされるので集まって欲しいそうです。行きましょう」
 村の隅で鍛練しているとレイク達に呼ばれた。汗を拭って一緒に広場に行くと続々と人が集まって来ている。
「兵士が60人くらい……冒険者が200はいかない、170くらいか」 
「傭兵は30もいないけどな」
「ヤッホー、アイリスちゃーん」
 傭兵達が集まってる所からミリアーナが声を掛けて来てレイク達はそっちに歩いて行った。
 俺はうんざりして遠巻きに見てる村人達の中に入って行った。……のにミリアーナは満面の笑みで走って来た。お前を避けてるのが分かんないのかよ。心臓強いな。
「もうっ、呼んでるんだから来てよねアイリスちゃん! ほら行こ? 皆んないるんだから」
「…………いや」フルフル
 説明なら此処で十分聞けるだろ? 行っても見せ物になるだけだろうしな。
「そんな事言わないで行くの。皆んなとの連携だってあるんだから。顔合わせもしないとだし」
「知ってるから良い」ぷいっ
「アイリスちゃんは普段フードで顔を隠してるでしょ? 皆んなアイリスちゃんだって気付かないわよ?」
 って引っ張るなよ! 俺はソロだし連携なんてする気ないんだから良いんだよ!
 是が非でも連れて行くつもりか強引に引っ張って来る。全力で抵抗するけどミリアーナの方が力が強くてずんずん進んでしまう。うぐぐ……。

「やだやだー、行きたく無いー!」
「おお~、今の子供っぽくて愛らしいわよアイリスちゃん!?」
 くっ、こっちは真剣なのに駄々を捏ねる幼児みたいに扱いやがって。ミリアーナに変なスイッチ入ってしまったようだ。思わず顔が引き攣ってしまうけど余裕は無い。
 変な目で見てくるグリーストのような奴等とかリズ達だっているし本当に行きたくないのに。
「やだー、やだぁーー!」
 全力で抵抗するけどニヤニヤして全く聞いて無い。けど意外な所から助けが来た。
「ちょっと、アイリスちゃん本気で嫌がってるじゃない」
「そうですよ、可哀想ですよ」
 村の若い娘達が割って入ってくれた。そして周りにいた村人達もミリアーナを厳しい目で見ていく。
 俺は恐る恐るミリアーナを見上げると明らかにイラついてるのが分かる。流石に村人相手にバカな事しないだろうけど後々俺に八つ当たりが来そうな気がする。
 くっ……仕方が無いのか? ……屈辱だが……自分に力が無いのがこれ程悔やまれる事になるなんて……。
「……ミッ、ミリアお姉ちゃん……ホントに行きたくないの。許して……」
 ミリアーナの方が背が高いから自然と上目遣いになって、更に恥辱で涙目になってのお願いになってしまった。
「!! うんうん、お姉ちゃん許しちゃう! ごめんねぇ、お姉ちゃんもちょーっと強引だったかなぁ? ちょっと反省するよ、てへっ」
『――効果は抜群なのじゃ』呆れ顔
 ぎゅうぎゅう抱き付いて撫でくり回してくるミリアーナに、若干死んだ目になったアイリスだった。
 

「聞けぇーーい!! 儂はシラルの町の冒険者ギルドギルド長、サイデムだ!」
 ハゲたオッサンが机の上で話し初めた。アレが冒険者ギルドのギルド長か、何か如何にもって感じだな。
「全然可愛くないよねアレ、ウチのギルド長を見習って欲しいわ」
 ミリアーナが的外れなイチャモン付けてるけどもう放っとく。昨日同様ミリアーナに抱き上げられ足をプラプラさせながら見ていると、横から更に1人の兵士が机に乗って来た。
「今回の一件は町長からの依頼になっている! その為この依頼を受けた者は全て兵士と同じ扱いになるからそのつもりでいるように!」
「そして私が実際の指揮をとる大隊長のランドルだ! 兵士と同様の扱いと言っても分からん奴もいるだろうから説明すると、要は命令違反! 敵前逃亡は死刑に当たる場合もあると言う事だ!」
 大隊長の話しに騒然となる広場。特に冒険者達がギルド長に詰め寄っている。しかしマジかよ。あの500のゴブリンの群れだって本隊じゃ無かったんだろ?
 参加するだけで死ぬイメージしかないんだけど? くそー、逃げとくんだった。最悪だ、……どうしよう、何とか生き延びるにはどうしたら良いんだ?
「大丈夫だよアイリスちゃん? そんなプルプル震えないでも。私達傭兵は自由だから、依頼票でもそう書いてあったし」
 わざわざそんな事書いてあったのか? いや待て、そもそも俺依頼まだ受けて無いぞ? もしかして逃げれる?
「大丈夫よ。此処にいる時点で受けてる事になるだろうし、扱いはお姉ちゃんと同じ筈だから後で教えてあげるわね?」
 そんな上手い話しは無いかぁ。まあ今帰ったら傭兵としての評価が駄々下がりで仕事無くなりそうだけど。

「大まかな作戦を説明するぞ! 冒険者が中央でランク3以上が前衛だ! ランク2は討ちもらした奴等を仕留めていけ! 兵士は左右に分かれて展開する、以上だ!!」
「待て待て、何だそりゃー!?」
「そうだぜ! 俺等に前に出て死ねってのか!? ふざけんな!!」
 冒険者達が掴みかかるように騒ぎ立てるけど前に兵士が立ってそれを抑えつける。
「儂が冒険者をみすみす死なせる為にわざわざこんな所まで来るかっ!!」
「その通りだ! 中央が割れれば我々の敗北が決まってしまう! その中央に冒険者を置くのはあくまでも数が多く1番戦力があるからだ!!」
「それに左右を兵士にするのも隊列を組めて討ち漏らしを減らせるのが兵士だけだからだ!」
「危なくなったら密集して助け合え! 命を懸けろとは言わん!」
「傭兵共はどうすんだよ!」
「傭兵は数が少な過ぎて作戦に組み込めない! 一応冒険者と同じように動いて貰うつもりだが遊撃をさせる事になる!!」

 その後暫く話し合いを続けてから解散して、ミリアーナから依頼票の内容を教えて貰う。
「何をやっているんです?」
「あっレイク、アイリスちゃんに傭兵が受けた依頼内容を教えてあげてたんだよ。お姉ちゃんだからね」
 お姉ちゃん関係ねえ。そしてレイク、そこには触れてくれるなよ?
「アイリスさん、参加するつもりですか?」
「?? 何で? アイリスちゃんを仲間外れにする気?」
「何を言っているのか分かりませんが、アイリスさんはランク2だから戦闘には参加出来ませんよ?」
「「「…………」」」
「あはは……アイリスちゃんたらおっちゃめー? お姉ちゃんを揶揄うなんてイ、ケ、な、い、子、何だから♡」
 ジトっとした目でミリアーナを見る。ミリアーナが悪い訳じゃないけどこの誤魔化しかたはちょっとイラっと来るな。
「それで、アイリスさんはどうします? 支援物資の荷運びとかなら受けられますけど」
「ん、……受ける」
 今更帰れないだろ。レイクに仲介して貰って荷運びの仕事を貰い食料や弓矢等の消耗品を運び入れる。
 ただでさえ数が少ない傭兵の、更にランク2の傭兵で此処に居るのは2チーム7人しか居ない。そして皆んな若い、幼いと言っても良いくらいのも結構いる。
 若い子達に混じってオッサン1人、ソロだから仕方がないけどこういうの見ると低ランクなのが恥ずかしくなってしまうな。せめて村長の奥さんの服じゃなく自分の服に着替えておくんだった。フードで顔を隠せたのに。




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