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第1章 うろうろ迷子と運命の出会い?
第019話 小さな揉め事
しおりを挟む「ああ~、アイリスちゃんと別々になっちゃうよー」
「邪魔するなミリアーナ、じゃあ先に行くからな」
ミリアーナとは別々になった。どうも昨日からの絡みに他のメンバーが不安を感じたらしい。――当然だな。
「何よマット、アンタ等が隠れて付き合ってたから気を使って一緒にしてあげたんでしょうが。バレバレなのよ、私がどんだけ気まずかったと思ってんのよ」
「それは……、すまん」
「全く、タチアナもマリーもお詫びに私に体開くくらいしてよね」
「しないわよ!」「本当何言ってんのよアンタ!!」
「はあ、もう良いから行くぞ。お前等、ゴブリンが出たら俺等が倒すから勝手に動くなよ」
「はい」「「………」」
「返事出来ないなら来るな」
「わっ、分かったよ!」「おう、任せろ」
イリアが返事したけど少年2人が渋っていた。慌てて返事してたけど本当にコイツ等大丈夫かよ。男2人にイリアの3人チームなんだけど女1人で大丈夫かね、コッチも色々不安なチームだな。
「あはは、大丈夫だよアイリスちゃん。だって私達兄弟だもん」
「……そう」
「うん。上にまだ2人いて私達は家を継げないから3人でチーム組んだんだ」
イリアが喋りたそうにコッチを見てくるから気まずくなって適当に話しを振ったら止まらなくなっちゃったな。若い女の子と話すって大変だよ。
「ふふっ、でもちゃんと大事に扱われてる? 女にしか分からない苦労とかもあるから味方になる女の先輩も何人か作っておいた方が良いわよ? 私やミリアーナ、マリーでも良いしアイリスも居るんだから皆んな仲良くしましょ?」
「はいっ、ありがとうございますタチアナさん。アイリスちゃんも宜しくね?」
タチアナの奴、今ワザと俺を女グループに入れやがったな?
『まあ口下手なお主の間に入ってくれたのじゃから良いではないか』
「良いわねー、アイリス。イリアちゃんに慕われてるみたいだねぇ」
揶揄うような視線を送ってくるタチアナがウザい。それに一緒に来たマットの視線がムカつく。タチアナが俺に話し掛けてくる度に不愉快な視線を向けて来やがって。
因みに少年2人が台車を引いて後ろから俺とイリアが押している。タチアナとマットはその護衛だ。ランクが上の奴等がいざと言う時に動けるようにしておかないとイケないし仕方がない。こんな所でも低ランクの弊害が出るんだよな。
「タチアナ来たぞ。ゴブリン2匹だ。右を任せた」
「了解」
向かって来たゴブリンをあっさり倒して再び進んで行く。
「2人共簡単に倒しちゃったね。コレなら安心かな?」
イリアがボソッと呟いたけど人型の魔物を倒す忌避感は感じてないようだな。まあ自分が倒すとなったら別かもしれないけど。
「アイリスどうする? 良かったら交代して次来たら戦っておく?」
「良い、……もう戦った」
長期化するかもしれないし少しでも体力温存しないとな。
「えっ、アイリスちゃんゴブリンと戦ったの?」
「元々アイリスがゴブリンを発見してこの依頼になったのよ? その時見つけた8匹はその場で倒したんだっけ?」
「んっ」コクッ
「そうだったの? えっ、8匹も倒したの? えっ、一度に??」
「洞窟で……まとまってた」
「ふふっ、アイリス思ったよりやるでしょ? 弱々なイメージなのに」
「……弱々……」愕然
「ああゴメンゴメン、悪かったわよ他意は無いのよ?」
――それって本音って事だよね?
「おい、それより本当に戦えるって言うなら一度見せておけよ?」
「……まあ、別に……良いよ」
「ちょっと言い方、アイリスの方が先輩なのよ?」
「……ふん!」
「もうっ、ごめんねアイリス。こいつガキなトコがあってさ」
マットの方はどうせ俺の言ってる事を信用して無いんだろ。その試すような目線くらい隠せよな、不愉快だ。
『と言うか嫉妬じゃろ。タチアナがお主ばかり構うから』ボソッ
「アイリスちゃんが……先輩??」
イリアが何か言ってるけど俺の事何歳だと思ってんの? って言うか流石にオッサンってのは分かってるよね?
タチアナと代わって警戒に当たる。ゴブリンは近くにいるか?
『いや、この辺にはいないの。その内現れるじゃろ。それよりも姿勢、ちゃんと背筋を伸ばさんか』
黙って背筋を伸ばす。素直に従っておかないと永遠五月蝿いんだよなコイツ。
「おい、ちゃんと警戒してるのか?」
「してる」
「……チッ」
何だコイツ、舌打ちにイラッときたんで舌打ちで返しといた。良くこんなのと付き合うなタチアナも、趣味悪いんじゃないの? 空気の悪さを感じたのか皆んな静かになって歩いて行った。――やっぱソロが1番だね。
『右前方からゴブリンが来るのじゃ。3匹じゃぞ』
「……来る、3匹」
「はっ? 何処だ?」
「チッ、……無能」
更にキッチリ煽り返してからゴブリンに向かって行く。
「お前は左」
「クソッ、待て俺が指示を出す!」
アホが何か言ってるけどもう目の前だ。木の棒を振り上げたゴブリンに突っ込んで心臓を細剣で突き刺す。更にその勢いのまま脇を抜けてもう1匹の首を切り裂いてアホに任せた1匹を見る。
ゴブリンの腕を斬ってから肩に上から斬り下ろして倒していた。ゴブリンが死んだのを確認してから戻って行った。
「何よアイリス、本当に戦えるじゃない」
「ん」コクリ
『うむ、今のはまあまあ良かったぞ』
「おいお前! 何で勝手に突っ込んで行った! 俺が指示を出すって言っただろ!!」
皆んなの所に戻って話しているとマットが肩をイカらせて怒鳴り付けてきた。
「ちょっと何言ってんのよ。倒したんだから良いじゃない」
「どっちの味方なんだよ! お前は黙ってろ! ランクが上の奴の指示を聞くのは当たり前だろうが!」
「お前が遅い。ボケっとするな」
『お主ちょっと喋れとるではないか』
怒りパワーかね、怒りが怠惰を凌駕したみたいだ。
『怠惰って言うか人見知りじゃろ』
「何だと!」
「ちょっとマット! 大声出さないでよ、ゴブリンが集まって来ちゃうでしょ」
マットが続けて騒いでるけどタチアナに止められていた。俺が無視して台車に戻って黙って押して行くと皆んなも釣られて台車を動かして行った。ああ言うのとは関わらないのが一番だからな。
「アイリスちゃん本当に強かったんだね。ビックリしちゃった。何でランク2なの?」
「……ソロだから」
「チーム組まないの?」
「んっ、面倒」コクリ
「アイリス、ごめんね? アイツ悪い奴じゃないんだけど、ちょっと嫉妬深くって……」
「別に良い」
タチアナが謝っても意味がないしな。何でそんな奴と付き合ってんだか、コイツも見る目無いよな。って言うか嫉妬深いって言うならコッチ来んな、お前もアイツを煽ってんのか?
マットに睨まれながら微妙な空気の中進んで行くと単発だけどゴブリンが多く出て来るようになって来た。
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