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第3章 なりきり学生生活は問題だらけ?
第019話 帰還とお客様と美容魔法
しおりを挟む翌日の夕方、王都の屋敷に戻って来たら獣人の人達が来てた。確かピリララ様だったかな? お付きの人達と3人だけだ。5日間移動と迷宮探索でシャワーしか浴びれてなかったから挨拶だけしてお風呂に入った。
侍女さん達に洗われるのも慣れたもんだよ。家臣扱いだから本来なら1人で入るモンなんだけどちゃんと洗えてないだの髪が乾いてないだのやたらと子供扱いしやがって……まあ楽だから良いけど。
『……良いのか』呆れ顔
しかし俺が入浴中って知ってる筈なのに何故かピリララ様がお付きの人達を連れて入って来た。その上更にビアンカお嬢様にナージャさんとミリアーナまで、この前アリーニャさんに止められてたのに大丈夫なのかね?
まあ良く分からんけど俺がどうこう言える立場じゃ無いし、侍女さん達も何も言ってないし問題無いだろ。
『(イヤ問題あるじゃろ。侍女達は余りの事態に固まっておるのじゃ)』
それにしても獣人の人達の裸を見れたのはお得だったな。
ピリララ様は白い狼獣人だったか、胸辺りからお腹の下当たりまで毛が無くて、付き人の獣人の人達も同じだからそう言う種族なんだろうな、興味深い。
ミリアーナも興味あるのか獣人の人達に釘付けになってたし、俺も毛を乾かしたらもっふもふになってて思わず抱き締めたくなったくらいだ。
『嫌、ミリアーナはまた別じゃろう(何時も通りオナゴに欲情しとるだけなのじゃ)』
「ミリアーナ、貴女初めからピリララ様達が目当てでしたわね?」ボソッ
「人聞きの悪いわねナージャ、このハーレムに入った時点で私に負けは無いのよ?」ボソッ
風呂上がりクールダウンしているとミリアーナがはしゃいでいるのをナージャさんが抑えようとしていた。ふふっ、そんなに獣人とお風呂に入ったのが嬉しかったのか。ミリアーナの奴、まだまだ可愛いな。
『…………まあ、お主はそうじゃろうな』呆れ顔
その後ピリララ様とビアンカお嬢様に美容魔法をねだられた。これが目的か、まあ仕えてる相手だから仕方ない。て言うか風呂に入って来る意味無くない?
ちくせう、副都から馬車移動でお尻が痛くて回復魔法を使ってたのを忘れてた。結局魔力不足になってリリィの外魔力循環を使わされてしまって久々の聖女モードだよ。
「ピリララ様ちょっと毛が痛んでますねぇ? お肌も毛も、もおっと艶々キラキラにしちゃいましょうねぇ」
「えっ? えっ? ちょっ、アイリスちゃん!? あっ、ああっ! んんっ!?」
ビアンカお嬢様のお客様ですし偉い人みたいですから全力出しちゃいましょう。リリィ、もっと外魔力循環を早めて下さいね。
『おお、また暴走しておるのじゃ』焦り
「あらあら毛で隠れてるけど小さな傷が沢山ありますねぇ? ちょちょっと治しちゃいましょうねぇ」
「ちょっ!? 私達は付き人でっ、ああっ……!」
獣人さんだからかピリララ様達の体はしなやかでバランスも素晴らしいですね。皆んなが綺麗になっていくと私も嬉しくなって来ます。
「ビアンカお嬢様も侍女さん達も女の子なんだからもっと綺麗に可愛くなりましょうね?」
「「「ひぃっ」」」
……………………………。
………………。
うぐぐ、……そんなつもりなかったのにちょっと久しぶりだから暴走して付き人や侍女さん達にまでやってしまった。相変わらずエグい洗脳だ。危うく浄化される所だったよ。
『じゃから洗脳じゃないの言うとるのじゃ!』プンプン!
リリィがプンプン頬を膨らませて飛び回っているけどアレは無理だ。無理矢理価値観を作り変えられる感じが気持ち悪い。
『お主が善性の存在なら問題無いのじゃ。むしろ心地良くなる筈なのじゃ!』
何が善性だ、そんなんでこの世界で生きていけるかよ。
その夜はそのままビアンカお嬢様とピリララ様に挟まれて寝る事になった。何故だろう? ……まあビアンカお嬢様は前にも一緒に寝ようとしてたし父親と歳の近い俺に父性を感じてるのかも知れないが。
イヤ、……だとするとピリララ様もビアンカお嬢様と歳が近いし同じような気持ちかもな。
『…………ええ……』ドン引き
因みにアイリスが自重なく身体だけでなく精神も癒やしてしまった為2人共離れられなくなってしまったのだった。流石に付き人と侍女達は耐えたがナージャとミリアーナは恨めしそうに見ていてアリーニャに引きずられながら出て行った。
本来ならビアンカも止めたい所だったけどピリララと言う上位者が許してしまっている以上アリーニャもどうしようも無かったのだ。
後日ビアンカとアイリスにはアリーニャの説教が待っているであろう。――効果があるとは限らないが。
「んあぁぁ~、んにゅうぅ……」
翌朝ピリララ様の付き人に起こされた。残念、暖かいぬいぐるみを抱いてるみたいでピリララ様は抱き心地良かったのに。……イヤぬいぐるみ抱いて寝た事なんて無いからな?
『誰に言い訳しとるのじゃ』呆れ顔
お前だよリリィ、何でそんな呆れたような目で見るんだよ。全く、失礼な奴だな。
顔を洗って食卓に着く、けど何で俺だけビアンカお嬢様とピリララ様と朝食を摂ってんの? 偉い人に混ざって食事って緊張すんだけど?
『それを言うなら風呂も寝る時もそうじゃろ。何を今更言うとるのじゃ?』
イヤそうなんだけどさ、マナーとかあるし風呂はいっぱい人がいたじゃん? そんな雰囲気じゃ無かったし、寝る時はさっさと寝ちゃったから良く覚えて無いし。
『全く同意出来んのじゃ。風呂なんて全裸のオナゴ共に囲まれておったのじゃぞ? 何でそっちをスルー出来て食事如きで不満を言うのじゃ?』
偉い人だけだから何か緊張するんだよ!
『全く似合わんのじゃ。何時も通りのほほんとしておれば良いのじゃ!』
何だよ、人が何にも考えて無いお馬鹿の様に言いやがって失礼な。
『(お主は何もかもズレとるから緊張するだけ無駄なのじゃ)大丈夫なのじゃ、何かして怒るようならお主は席に呼ばれないのじゃ』
まあ確かに、……それもそうだな。良い事言うじゃないかリリィ。
『…………はあ』やれやれ
「ビアンカ、今日は私の馬車で行きましょう。貴女の教室まで一緒に行くわ」
「はい、ありがとうございますピリララ様」
ふーん、2人も仲良くなったみたいだね。
俺の通う第二学院の制服は薄い灰色に黒いラインが入っているブレザータイプの制服だ。因みに貴族は黒じゃなく赤いラインになっている。
「あら似合うじゃないアイリスちゃん」
「んっ、……ありがと」
「男装してるようにしか見えないけど可愛いわよ」
「……あ、りがと??」コテ
ピリララ様からは普通に、ビアンカお嬢様からは褒められてるのか貶されてるのか良く分からない言葉を貰った。
第一学院は俺が通う第二学院より少し遠いからビアンカお嬢様とピリララ様は先に出る事になる。
「アイリスちゃん、問題を起こさなかったら夕食にスイーツを出してあげるから頑張ってね?」
「んっ、問題? ……んと、頑張る」コテリ
何故かビアンカお嬢様が子供に言い聞かせるように言って人差し指で俺の鼻の頭をチョンとしてきた。謎の子供扱い、……良く分からんがスイーツは夕飯って事だろ全く。
『やれやれ』
ほらリリィも呆れてるじゃねえか、なあリリィ。
『………………』
リリィ?
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