111 / 278
第3章 なりきり学生生活は問題だらけ?
第034話 幕間 コレットチーム、ぐだぐだ
しおりを挟む「おう、タニアでもそのブロックを1人で持つのは厳しいか!?」
「ふんっ、壊して良いなら持ってやろうか?」
「いや止めてくれ! 頑丈だから大丈夫だと思うがシャレにならん! 結構高いんだぞ!?」
ランドさんのあおりに乗ったタニアさんを慌てて止めるランドさん。言わなきゃ良いのに……でもそっか、高いのか。
「うえぇ~? タニアさんこれ本当に1人で持てるのお? 私達3人でもキツそうだよ~?」
「よし、その挑戦乗った!」
「乗るんじゃねえタニア! お前等もマジで弁償さすからな!!」
「飛び火した! いや余計な事言ったのはラビィでしょ!?」
「コレットは真面目過ぎぃ。私もタニアさんも冗談に決まってるじゃない。ねえタニアさん?」
「んっ? おっ、おう。そうだな! 冗談だ! 安心しろコレット! ランドもな! ははは!」
「「「………………(全然安心出来ないよ!?)」」」
ブロックより少しだけ大きめに穴を掘って行く。タニアさんはルルと、私はラビィと、でも土が固くて中々大変だ。
「よーし、こっちは終わったぞー!」……ぞー」
「「早っ!?」て言うかルル役に立ってないでしょ??」
「むう、……心外、でもない」
「にしてもタニアさん早過ぎぃ、私とコレットなんてまだ少ししか掘れてないのに、ねえコレット?」
「それは私もそう思うけど、手が止まってるわよラビィ。ますます差がついちゃうじゃない!」
「ははっ、まあ身体強化魔法を使ったけどな。無くても3人より早く出来るだろうな」
「ううっ、言い返せない。アイリスちゃんの事を思い出したよラビィ」
「ああ~、工事の手伝いの時のね? 体力無くて私達について来れなくって、回復魔法を自分に使って誤魔化そうとしてたっけ」
「無理してるの可愛いかった」
「ふふっ、ルルにまで言われるなんてね。アタシは回復魔法を使ってる聖女様らしい所しか見てないからちょっと羨ましいよ」
うーん、まだアイリスちゃんが男の子だって言えてないのよね。て言うか35歳のおじさんだっけ? 私達もイマイチ信じられてないんだけどね。でも騙すみたいになっちゃうから伝えておかないと駄目だよね。
事実を知ってたら一緒に来なかった。何て言われたら騙したみたいになっちゃうし。
「おいおいタニア大丈夫か? 初っぱなからそんな事してたらバテちまうぞ?」
「ん? 大丈夫だよランド、要所要所でしか使ってないからね」
「そうか、なら良いんだけどよ。嬢ちゃん等に良いとこ見せようとして無理してんのかと思ったぞ。しかし流石だな、慣れてる俺等でもこうは行かねえぞ」
タニアさんが1人で別の場所の穴堀をしてる間に私達3人はコの字ブロックを運んでいる。思ってたより重い、厚手の手袋してて良かった。
「ちょっと、重いよルル。力入れてる?」
「持ちにくい」
私とラビィが両端をルルが真ん中を抱えるように持ってるけどブロックが大きくて確かにルルが持ちにくそうになってる。
「コレットはそのまま、ラビィは私と左右から持つ」
「ええっ、それだと私キツくない!?」
「私とラビィ、ちょっと真ん中よりを持つ」
「あれ? 楽になった!?」
「んっ、テコの原理」
「おお~、何か分かんないけど本読んでるだけあるね。コレット本当に楽になってんの?」
「なってるわよ。これなら落とさないで大丈夫そう」
ルルの本好きもバカに出来ないわね。
それから私達はタニアさんが掘った穴にコの字ブロックを運んで雨が入り込まない様にして、上に掘った土をかけて固めて巣を作っていった。タニアさん任せなのが情けないと思ったけどこっちもかなりの重労働だった。
「アイリスちゃんの気持ちが分かる~」
「足をプルプルさせて辛そうにしてたと思ったら澄ました顔で作業に戻ったりしたからねぇ。あれで回復魔法使ってるの隠してるつもりだったんだよね?」
「稚拙、でもそれが可愛い」
「はははっ、皆んな聖女ちゃんが好きなんだねえ」
そのまま作業を続けて和やかな雰囲気で昼休憩になったんだけどそこでトラブルが起きた。
「おい、いい加減その不愉快な視線を止めな。喧嘩売ってんなら買ってやるよ」
昼休憩の食事中、魔物がいる森の中なので集まって食べていたらタニアさんがクリスさんを睨み付けて言ったのだ。いや分かるけどね? クリスさんエリックさんに惚れてるからって近づく女皆んなに睨みを効かせて来て、私達も苦手なのよね。
でもまさか格上のタニアさんにまでそんな事するとは思わなかったよ!? 命知らずと言うか何と言うか。
「ちょっと何よ! 私達に喧嘩売る気!?」
「そうだぜ! あんたが幾ら強くたって足手まといがいて俺等に勝てるとでも思ってんのかよ!!」
「あん? 試してみるかい? 丁度ここは森の中だ。死んじまってもどうとでもなるからねえ?」
リズさんラストさんが立ち上がったのに反応してタニアさんもハンマーを持って臨戦態勢に入っていった。一触即発、何でこんな事に? どうすれば良いの!?
「ちょっ、ちょっと待てお前等! いきなりどうした!?」
ピリついた空気に慌ててエリックさんが止めに入ったけど半分貴方の所為なのよ!? これエリックさん止められるの? クリスさんの事、解決しないと無理じゃない?
分かってるのはクリスさんと私達だけ? クリスさんがエリックさんに告白すればどんな結果になってもこの空気は解決しそうだけど、今さら自分から告白なんて出来る訳ないだろうし私達が何とかしないとイケないの!?
「ああもうっ! エリックさんの鈍感! クリスさんの気持ちが分からないの!?」
「えっ!? ……どっ、鈍感??」
エリックさんは私に何を言われてるのか分からないって顔してるしクリスさんは顔を真っ赤にして射殺す様な目で睨み付けてるし、怖いけど誰の所為で私達が迷惑してると思ってんのよ!!
「クリスさんはエリックさんの事が好きなのよ! だから私達他の女の人が近くにいるのが気に入らないんでしょ!?」
「ちょっと何言ってんですか! 勝手な事言わないで下さい!!」
「クリスさんがさっさと告白しないからでしょ!? 良い大人なんだから2人の問題に巻き込まないでよね!!」
「ぐっ、…………」
「えっ!? …………クリス??」
「「………………」」
「えっと、……クリス、本当か? 俺の事?」
「…………はぃ」
言い返せずに真っ赤なままうつ向いてしまったクリスさん、声が小さいよ! 何時もそうなら可愛いのにこの人も大概残念だな!!
「…………はぁ、お前等の、……いや、お前。クリスの事は可愛く思ってるよ」
(((おおっ!?)))
「エッ、……エリック、さん」
「本当に俺で良いのか?」
「っ、エリックさんが良いんです! エリックさんじゃなきゃ嫌です!!」
「おっ、おう。……じゃあ、……付き合うか」
「はいっ!!」
「おうエリック!目出てえじゃねえか!! とうとうと言うか、やっとだな!?」
「あっ、……ああランド、ありがとよ?」
ランドさんに肩をバンバン叩かれて照れ臭そうに頬を掻くエリックさんを私達は冷めた目で見ていた。いや確かに目出度いんだけどね!?
「ぐだぐだだったねえ」
「ロマンが無い」
ラビィもルルもこの告白に低評価、私も完全に同意だよ! エリックさんに鍛練に付き合って貰う度にクリスさんに睨まれて、それでも告げ口したらクリスさんの心証が悪くなると思って我慢してたのに結果がこれだよ!?
エリックさんの気持ちが今いち良く分からなかったけど上手くいくならもっとロマンチックなのを期待してたのに!!
「はあ、エリックさんはもうちょっと出来ると思ってたよ」
「あんた等容赦無いね。まあアタシもせめてエリックの方から告白し直せよとは思ったけどな」
と、ここで終わればぐだぐだでも良い話しで終わったんだけどね。
0
あなたにおすすめの小説
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜
☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。
しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。
「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。
書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。
だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。
高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。
本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。
その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる