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第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?
第003話 何時も通り
しおりを挟むナージャさんだけじゃなくミリアーナやヴェルンさん、ビアンカお姉様にまで反対されるなんて思わなかった。何でだよ。
『リリィの予想通りじゃったのじゃ』
ふん、後からなら何とでも言えるだろ。
「全く、何を言うかと思えば。1年も経てば背なんて逆転してるんだから止めておきなさいよ」
「そうですよ! アイリスちゃんなんて直ぐに妹、弟? になっちゃうんですからおかしな事言っちゃ駄目ですよ!?」
呆れた様に言うビアンカお姉様にナージャさんが追従しておかしな事を言ってくる。思わずジト目で見てしまうけどナージャさんは真剣に言って来てるみたい。
偶におかしくなるよなナージャさん。
『偶にかの?』
「まあナージャの言う事は置いてといて、アイリスちゃんはアリアを奴隷として買ったんだからね? 責任持ってちゃんとお世話をして……、貰いなさいよ?」
するんじゃないの!? して貰うのかよ! こんな痩せこけた幼い少女に何を世話して貰う事があるんだよ!??
全く! やっぱり貴族関係の人達は常識外れだな!
『…………』
食事が出来たので皆んなで食べる。今夜の雑炊はは刻んだ乾燥果実が多めに入っていて酸味に仄かな甘味があって美味しい。アリアも美味しく食べられるだろう。
「でっ、でも私まだ買われた訳でも無いし、何も出来て無いのに……」
確かに正式にはまだ買われてはいないが貴族の居る集団に文句言って来るアホは居ないし問題無いだろう。
「子供がそんな事気にしなくても良いのですよ? ほら熱いですからね。ふうふうしてあげますね。ほらあーん」
アリアを見るとナージャさんがあーんして食べさせようとしてる。強引なナージャさんにアリアが申し訳なさそうにしながらもご飯を食べさせられていた。
そうだな。奴隷として扱う必要もないし俺も甘やかしてあげよう。
「ふふふ、可愛いですねえ。あっ、アイリスちゃんもそんな物欲しそうにしなくてもして上げますよ? はいあーん」
俺もあーんしてやりたいなあ、と見てたらナージャさんが俺にまであーんして来やがった。違うそうじゃない、何でそうなる?? あんた絶対悪ふざけだろ。
そう思ってたんだけど有無を言わせぬ圧に屈して受け入れてしまった。あーん、もぐもぐ。
『何時も通りなのじゃ』
「アイリスちゃんお風呂は入れるの?」
「んっ」コクコク
「じゃあ入るわよ。後でマッサージお願いね」
食事を終えてビアンカお姉様に連れられて馬車に向かう。
今馬車の後ろには防水製の生地で囲われていて、馬車が倍くらい縦に長くなって見えている。
囲いの中には同じく防水製生地のお風呂があってそのお風呂にはさっき俺が魔法でお湯を出していたので直ぐに入れる様になっているのだ。
この布製のお風呂はリアースレイ精霊王国製の物だ。布だから薄くて軽いし、丈夫だから持ち運びも便利でお風呂が無い宿でも使えて利便性が高い。ビアンカお姉様のお気に入りだ。
水魔法で直接お湯を出せるのは俺だけだったので、毎日お風呂の用意を俺がする事になってしまっている。まあお陰で水魔法の習熟になったけど、本当魔法ばっかり使ってるな。
『全くなのじゃ! 精霊剣の使い手が嘆かわしいのじゃ!!』
いや水をお湯にするのはリリィが教えたんじゃないか。
『そうなのじゃ! 不覚だったのじゃ!』
うがー!! と頭を抱えるリリィ。
リリィが俺の魔力を操作して教えてくれたのは水を振動させながら操っていくと言うモノで理屈は分からないけどお湯になるのだ。それを使ってるのをナージャさんに見付つかってこうなってしまったのだ。
まあそれが無くても魔法でお風呂に水を入れさせられただろうけどな。焼石を入れて温める方法もあるんだから。
『剣を振るう時間が減るのは避けられんのかのう』
何かリリィが黄昏てるけど、寧ろリリィの所為で俺が良い様に使われてるんだからな?
ビアンカお姉様がお風呂を上がるとナージャさんとアリアが入って来た。俺はビアンカお姉様と馬車の中に入って美容魔法を施しに行く。アリアはかなり汚れているみたいで、ナージャさんも時間を掛けて洗っている様だ。
暫くすると火照った顔をしたアリアがナージャさんと馬車に入って来た。お風呂なんて入った事無いだろうし逆上せたのかな?
取り敢えずアリアに水を飲ませてからナージャさんが俺の寝間着を着せていた。
「うん、ちょっと大きいけど似合っていて可愛いですね。アリアちゃんなら直ぐにサイズも合うでしょうし」
「あっ、あの、これ……」
(パジャマなんて着た事ないのに、それもこんな上等で可愛らしい服初めて見たよ? 私なんかが着て良い服じゃないのに)
「アイリスちゃん良いでしょ?」
「ん、あげる」コク
「あ、……あげるって」
元々ナージャさんが買って来た物だからな。
「あら駄目ですよ。アリアちゃんの猫さんパジャマもアイリスちゃんの熊さんパジャマもシェアして替わりばんこして着ましょうね? どっちも可愛くて見ていたいもの」
まあアリアにはお似合いだからナージャさんの言いたい事も分かるな。俺を巻き込まないでくれたら尚良かったんだけど。
『寧ろお主がアリアを巻き込んだんじゃないかの?』
アリアの体を見て回復魔法を施していく。――と言っても足を治すとバレて騒ぎになるから擦り傷や他の所を治していく。
当然美容魔法もやらない。ナージャさん曰くアリアは目鼻立ちが整っているから健康的な体になったら美人さんになると言っていたな。
村を出たらいっぱい回復魔法で癒して健康な美人さんにしてあげよう。
(ご飯にお風呂に服に回復魔法まで。やっぱり子供に甘いよね。アイリスちゃん可愛いし、出来るなら此処に買われたいな)
ナージャは当然の様に甘やかしてくるしアイリスも当然の様に希少な回復魔法を掛けてくる。周りもそれに嫌な顔をしない。
何処に売られるか分からなかったアリアにとってアイリスの所は居心地の良い理想の場所に思えて来ていた。
『衰弱しておるのう。急激な回復は体にも良くないから今回は骨の強化と弱ってる内臓の回復を程々にしておくのじゃ』
「んっ」コクリ
寝かせたアリアにゆっくりと回復魔法を掛けていくと、初めは慣れない感覚に緊張して体をピクピク動かせていたけど、次第に気持ち良さそうになってそのまま寝入ってしまった。
「あらアリアちゃん寝ちゃったのね。それじゃ私が家に送って行くわ。アイリスちゃんお風呂の入れ替えお願いね」
「ん」コクリ
ビアンカお姉様に美容魔法をしてからお風呂のお湯を入れ替えていると、ミリアーナがレーディアさんとツェツェーリアさんを引き連れて来た。
「あら? アイリスちゃん居たんだ。一緒に入るう?」
「ん、もう入った」
「ミリアーナ、もうパジャマ着てるんだから入ってるに決まってるじゃないか」
「分かってるけど乗って来ないかなあってね? こんな美女が3人も揃ってんだから眼福ものでしょ?」
そう言って眼前に胸を寄せて来るミリアーナ、俺もレーディアさんツェツェーリアさんもジト目になってしまった。
「もう、皆んな乗り悪いわねえ。軽い冗談じゃない」
「アイリスちゃんが受け入れていたら一緒に入れてただろミリアーナ」
「そりゃそうでしょ? 2人だって嫌じゃないでしょ別に」
まあクランの屋敷のお風呂で一緒になった事もあるしな。
けど何でミリアーナに付き合って俺がお風呂に2度も入らなきゃいけないんだよ。俺ってそんなに人付き合いが良いと思われてんのかね?
『そう言う事じゃなかろう』呆れ顔
「アイリスちゃんが不思議そうな顔して見てるわよ」
「もうさっさと入りましょ」
「あっ、じゃあじゃあアイリスちゃん体洗ってよ」
良い事思い付いたみたいな感じで妄言を吐いてくるミリアーナを無視して馬車の中に入る。魔法でお湯張り替えたり美容、回復魔法したりもうくたくたよ? おじさんをそんなに酷使すんなよな。
『おじさんの反応かのう?』
馬車の中では座席を倒して床を全面ベッドにしてあって、ビアンカお姉様が真ん中に寝ていた。防犯上ビアンカお姉様を端で寝かす訳にはいかないから俺が端に入る。反対側にはナージャさんが戻って来たら入るだろう。
俺がビアンカお姉様の隣りで寝るのはもう今更だ。
『あり得ん事なんじゃが、本当に今更じゃの』
因みに馬車は床が二重板になっていて、引き出してセットすると上下でも寝られる様になっている。俺達は上で、ミリアーナは下でレーディアさんとツェツェーリアと寝ているらしい。
「アリアちゃんが寝てしまったので連れて来ました」
「こっ、これはお世話を掛けました。申し訳ありません」
ナージャがアリアの家を訪ねると両親が出て来たので、母親にアリアを受け渡す。
ナージャは侍女服を着ているので貴族の関係者として恐縮されていた。
「アリアちゃんの着ている服はウチの物です。汚さない様にお願いしますね?」
クズ兄達が物欲しそうにアリアの服を見てたので釘を刺しておく。売り払おうと盗まれて一悶着なんて要らないのだ。
「はっ、はいそれは勿論! 今すぐ着替えさせます!」
「いえそのままに。なるべく清潔な状態を保って下さい」
わざわざ綺麗で可愛い服を着せたのに汚い服着せんなよ。と思ったが悪気が無さそうなので我慢する。
「では明日また迎えに上がります」
丁寧にお辞儀をして去って行くナージャ。その姿は貴族に仕えるだけあって気品あふれるモノだった。
(明日からアイリスちゃんアリアちゃん子供2人と一緒ですかぁ。甘々に甘やかしてやりますよ~!)
しかし中身は残念なモノだった。
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