拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?

第002話 アイリスおじさん??

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 それにしても小さな女の子を見ると子供の頃のねぇねを思い出してしまうな。
『今は向こうの方が背が高いがの』
 五月蝿いな。
 しかし良く見ると擦り傷だらけだし歩き方もおかしい。足に障害があるみたいだな。――治してやるかな。
『此処で治しては騒ぎになるんじゃないかの?』
 ん? 貴族のビアンカお姉様も居るんだしどうとでもなるだろ。
『ビアンカの国と戦争したのじゃぞ? それも今はその敵国から他国に逃亡中なのじゃ。許可無く目立つ様な真似をしては怒られるのじゃないかの?』
 むむ、そう言われると確かに、……でもこの子供を見捨てるのか?
『事前に許可を取れと言うとるのじゃ』
 成る程、――ってそんな呆れ顔で言うなよ。

 少女の名はアリア。黒髪黒目の大人しそうな素朴な印象の子だ。
 魔法に興味があったみたいで声を掛けて来たそう。リリィが言うには才能は並みで火種くらいなら1月も鍛練すれば付けられる様になると言う程度らしい。
「そっか、魔法があればと思ったんだけど」
 戦闘レベルには何年も掛かるだろうね。
 まあかなり痩せてるし食べれて無いんだろうな。ウチの村より酷いもん。着てる服は同じ様なボロだったけど。
 痩せてるだけじゃなく擦り傷だらけだし、疲れきった顔をしてる。こんな村じゃ子供でも働き詰めなんだろうな。
「……私ね。売られるんだって」
 っつ!!?

 昔家を出た時の事を思い出しちゃうな。あの時はねぇねが売られそうになって、負担を減らそうと自分が家を飛び出したんだよな。――何か他人事に思えなくなって来たよ?
 少女を改めて見ると他の村人よりも更にやつれている様に見える。聞けば足の所為でまともに働けないから遠慮して食事も減らしてるそうだ。
「高く売れれば他の子供達が売られずに済むんだって。私は足が悪いけど顔が良いから少しは高く売れるかもって。大人は働き手として必要だし、私は足の所為でちゃんと働けないから村じゃ要らない子なの」
 そう言う少女は何もかも諦めた表情をしていた。
 ねぇねの場合はねぇねに話しが行く前に俺が出て行ったから防げたけど、そうじゃなかったらこんな顔をされていたのかも知れない。


 ビアンカお姉様なら何とか出来るかもと思って戻ったら何か項垂れたおっさんが居た。少女が言うには村長らしい。
「――駄目に決まっているでしょう」
「そうですね。今は逃亡中、只でさえ大人数で速度が出せないのにアイリスの回復魔法なんて露見したら確実に大勢の追っ手が掛かりますよ」
 相談したらビアンカお姉様とヴェルンさんにダメだと言われてしまった。
 アリアは俯いて俺の手をギュッと握って来る。うう~、何とか出来ないかな?
「あわわ、アイリスちゃん泣かないで。ほら貴女もそんな暗い顔しないの。きっとお嬢様が助けてくれますから」
 なっ、泣いてないわ! 酷い風評被害だよ!?
『――まあ、ちょっと涙ぐんどるだけじゃからの』
 そうだよ! 全くもう! ナージャさんは何時もからかって来るんだから!
『…………』

 村長の話しじゃ戦争で働き手が足りなくなった上に重税を掛けられてどうしようも無い状況らしい。
 だからってアリアを奴隷にする様な真似は納得いかないけど。
「ほらアイリスちゃんもプンプンしない。可愛いお顔が台無しに、……なってないですね。膨らんだほっぺが大変お可愛いらしいです!」
 何を言ってんだこの人は、ってかほっぺをツンツンすな!
「はあ、貴女は黙ってなさいナージャ」
 村を確実に救うには500万イェンくらい必要らしい。
 村はどうでも良い、とまでは言わないけどアリアを見ちゃうとな。幸いお金はあるし回復魔法があればまた稼げる。
 ねぇねを思い出しちゃって見捨てられないもんなあ。大金だけど…………寄付、するかなあ。
「駄目ですね。そんな大金が人も売らずに出てくれば不当に所得を隠していたと思われかねないですよ」
 ヴェルンさんに即否定された。
「それに普通に雇う場合でも働いた報酬としては出せますが、アリアの年齢だと住み込みでもほぼタダ働きが普通です。500万イェンなんて前借りにしても有り得ません」
 アリアを治療するのも駄目、寄付するのも駄目。結局雇う前に大金を払うのは奴隷契約以外無いそう。
 そこで何故か俺がアリアを買うと言う話しが出てしまった。
 俺が寄付するって言ったからだけど、それじゃこの子を助ける事にならないじゃないか。

「アイリスちゃんはこの少女を助けたいからお金を寄付すると言っているのですよ? 村から連れ去ってどうするのですか」
 そうだ流石ナージャさん。言ったれ言ったれ!
「アッ、アイリスちゃん!? そんなキラキラした瞳で見られたらキュンキュンしてしまいます!!」
「ふぎゅ!?」
「それで? アリアちゃんはどうしたいのかな?」
 ナージャさんは俺をぶら下げたままアリアに話し掛けた。と言うかどうしたいってこの村に居たいに決まってるじゃんか。
「私は、他の子が売られない様に、高く買って欲しいです!」
 あれ? 何か思ってたのと違う。
「アリアちゃんは村から出ても良いの?」
「私は、要らない子だから」
「アリアっ、止めなさい!?」
「それはどう言う事かな? アリアちゃん?」
 ナージャさんが俺を抱き締める力が一瞬増して村長がびくついた。多分村長を何か威圧したんじゃないかな?
『うむ、殺意増し増しだったのじゃ』

 アリアの話しを聞いていくと3人兄妹の末っ子で、両親に隠れて兄達からまともに働けない事を責められご飯を取られていたそうだ。
 両親も注意はしてたけどアリア自身が申し訳なく思っていて受け入れてしまっていたそうで、隣のおばさんやこの村長からお裾分けを貰ったりして食い繋いでいたらしい。
「でも、このままこの村に居ても足手まといは変わらないし。皆んなの負担になりたくないの」
 り、……立派だ。寧ろクズ兄達の方を売り払ってしまえば良いのに、……俺は買わんけど。
「良いんじゃない? アイリスちゃんの奴隷になるならこの村に居るより贅沢出来るし、解放されたら村に戻るなりすれば良いじゃない」
「そうですね。当面はビアンカ様の屋敷に居る事になりますし、侍女見習いとして働いても良いでしょう。貴族の侍女をしていたと言うのは奴隷から解放された後でも働き先に苦労する事は無いでしょうし」
 アリアはビアンカとヴェルンの会話を聞いて奴隷商に売られるよりこの人達に買われたいと思った。ナージャに抱き上げられているアイリスを見て子供に甘そうな人達に見えたのも大きい。

 奴隷と言うのは賃金を前借りしている様な状態で、返し終えるまで主の許可無く仕事を辞める事は出来ない。
 ただ人権は一般人と変わり無い為、非人道的な事をしたりさせたりは出来ない事になっている。
「私は町育ちの孤児だけど、子供の身売りの話しは良く聞くわね。村を出て出稼ぎに来るのも多いし、アイリスちゃんの村でもそうだったんじゃない?」
「んっ」コク
 ミリアーナの言う通り村は後継ぎさえ居れば良いから、後はいざと言う時の蓄財扱いは生活が環境に左右される村の知恵みたいなものだ。長男が結婚して子供が出来れば次男でも村を出るのが普通だ。
 だからアリアの様に村の子供達は自立心が高いんだよな。
『お主の場合も妹が売られそうになって代わりに家を出て、家計の負担を減らしたんじゃったな』
 ああ、だから俺は村長を責める気にはなれないんだよな。村長も隠れてご飯を食べさせていた様だし。
 まあ敢えてナージャさんが責めるのは止めないけど。
『それじゃ責めとるのも同じじゃろ』
 売られる子供の事を考えたらそのくらい当然だろ?
『それはそうじゃの』

 結局アリアは残っても居場所が無いと言う事で俺が買う事になった。両親から引き離されて俺なんかに買われたがるなんて不憫過ぎて泣けてくる。クズ兄達もタダなんだから愛情くらい掛けてやれよな。
『全くなのじゃ』
 リリィも憤慨してる。とは言え他国の貴族絡みの問題になるのは不味いとかでレーディアさんとツェツェーリアさんが表向き買った事にするそうだ。
 値段は500万イェン、筋書きとしては同行していた大貴族の令嬢らしき方がやり取りに苛立ってその値段で良いからさっさと手続きを済ませろと金を放り投げて来たので怒らせない様にそのまま受け入れたと言う話しになった。
 成り行きだけど探索者200人以上の護衛を雇う令嬢なんて余程の大貴族か王族絡み、正規の軍隊じゃないのはそう言う偽装をしてるだけと言う事にしておく。
 此処の貴族も面倒事を嫌って見て見ぬ振りをするだろうと言う事だ。

 て言うか500万イェン、夏休みに稼いだ分吹っ飛んだよ? 商人相手なら買い叩かれてせいぜい200万イェン程度らしいのに、冷静に考えるととんでもない散財だよ!?
『夏休みって完全に学生気分じゃのう』
 リリィ五月蝿い!
 アリアが他の子供が売られないか気にしてたから仕方がないけどさあ! 皆んな少しくらい出してくれても良いのに! 特にナージャさんにはがっかりだよ!!
『孤児院に散財しておったからの、お金がないのじゃろ』
 納得だよちくしょう! そう言や何を血迷ったのか俺にまでぬいぐるみとか服とか買ってたしな!?
『までって言うか(寧ろお主も本命の様な)』

 これで俺は奴隷持ちになってしまった。アリアは黒髪黒目120cmで10歳の少女。食生活から年齢に比べて小さいんだろうって事だけどじゃあ俺は? 10cmしか違わないんだけど??
 まあ俺の方が背が高いから良いんだけどね!?
『(10歳の幼子相手に背の高さで胸を張られてものう)』
 でもねぇねに何て言えば良いのかな?
『知らんのじゃ(どうせ細かい事は他の者が話すのじゃ)』
「アイリス、アイリスおじさんと呼ぶ」
 取り敢えずやるべき事をしておこうか。俺は自分を指差してアリアに向けてそう呼ぶ様に促す。俺の方が背が高いからか自信が漲って来るな。
 これ以上子供扱いさせない完璧な作戦だろ。
「? アイリスおじさ「止めてぇぇえええええーーーー!!!」
 ナージャさんの絶叫が響いた。




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