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第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?
第013話 剣の鍛練とこれまでとこれから
しおりを挟む「いやぁ抱き付いて来たと思ったら直ぐ寝ちゃったからね。ちょっとの間毒気が抜かれちゃったわよ」
「ちょっとの間ってどう言う事ですか!? 貴女やっぱり!」
朝からナージャさんがミリアーナの部屋に来て何か騒いでる。相変わらず仲良いなこの2人。
『(相変わらず節穴なのじゃコヤツは)』ジト目
「うへへぇ、アイリスちゃん一度寝ると中々起きないのよねえ?」
「ぐっ、な、何をしたのですか貴女は! アイリスちゃんは今日から私達と寝ますからね!?」
「いやいや、あのベッド大きいけど4人はキツいでしょ?」
「ぐぬぬぬ……」
「子供達は一緒にしてぇ、貴女は私と寝れば良いんじゃないかな? かな?」
「なっ、何で私が貴女と!」
ガバッと後ろに下がって腕を組んで体を隠すナージャに更にミリアーナは詰めよって耳に息を吹き掛ける様に話し掛ける。
「アイリスちゃんやっぱり可愛いのよねえ? でーも、ナージャが子供達の為に、代わりに生け贄になるって言うなら私は構わないわよう?」
「生け贄って言った!?」
「うへへ、どっちも私には美味しいからねえ?」
「くっ、うぐぐ……」
ビアンカお姉様マリアンヌ様と朝食を摂った後は勉強してから剣の鍛練、ミリアーナは相変わらず動きがおかしい。何と言うか獣人みたいにうねうね躱して行くし、ばびゅんとビュンビュン動いて付いて行けない。
『体が柔らかくて使い方も上手い、瞬間的に身体強化魔法で瞬発力を爆発的に引き上げて戦う様は正に獣人の様なのじゃ』
うんそれ、ピリララ様もそんな感じだったな。ミリアーナも手合わせしてたし、それでコツでも掴んだのかな。
『まだ荒いが実戦ならミリアーナの方が上かも知れんのう』
ピリララ様より? 鍛練じゃピリララ様の方が完全に上だったろ。
『まだ身体強化魔法を覚えたてだったからの。今は実戦経験の差もあって良い勝負すると思うのじゃ。まあミリアーナの魔力量はそこまで多くないから短期ならと付くがの』
ナージャさんとも手合わせ、今日はヴェルンさんは居ない。ビアンカお姉様がマリアンヌ様を連れてスカーレット姫様の所に行っていて、それに護衛として参加しているのだ。
因みに俺の魔力量は45、リリィに会う前は18で魔法使いは大体30くらいらしい。ミリアーナやナージャさん達は20前後、ピリララ様達は70超えらしい、凄いな獣人。
『いや獣人は本来魔力量は少ないのじゃ。あ奴等の努力と才能じゃろ』
ナージャさんはこっちの攻撃を最低限の動きで躱して行く。フェイントを絡めても中々崩せない。最近特に守りが固くなってるイメージだ。
うぬぬ、ストレスが溜まるぅ!
『あっ、おい』
「んなっ、びゅべっ!」ズザザッ!
「「アイリスちゃん!?」」
無理して低い体勢で回り込もうとして足を捻りそのまま転がってしまった。痛いより恥ずかしい。顔を上げたくないんだよ?
「んもう、ナージャが守ってばっかだからアイリスちゃんが焦れて無理しちゃったんじゃない」
「あ、あわわ、そんなつもりは無かったのよアイリスちゃん!? アイリスちゃんが強くなっていて、攻撃すると手加減が難しそうで……」
「ああ~確かに、私も怪我させちゃってるしねえ?」
「そっ、そうですよ! 貴女は遠慮が無さ過ぎです!!」
「甘やかして成長出来ないより良いじゃない?」
わーわー言ってるナージャさん達を余所に回復魔法、少し頭を擦ったからか頭がぐらんぐらんする。
一息ついて辺りを見渡す。この屋敷はアデール王国での屋敷より一回り小さい子爵級の屋敷らしい。急遽用意されたものなので仕方ないと言ってるけど鍛練に走り回れる位には広い、庶民とは感覚が違うな。
「アッ、アイリスちゃん大丈夫ですか?」
「んっ、だいじょぶ」
地べたに腰をおろしたままぼうっとしてたらナージャさんが心配そうにして来る。何でもないと立ち上がろうとしたら抱き上げられてしまった。流石に過剰じゃ無かろうか。
「キリも良いですし丁度良いですからオヤツにでもしましょうか」
「んっ!」
『良い返事じゃの』呆れ顔
庭のテーブルで蜂蜜クッキーを食べながら蜂蜜入り紅茶を飲んで一息つく。小休止のつもりだけど一度休んじゃうと再開するのが億劫になるなぁ。
『ならオヤツ等食うななのじゃ!』
世知辛い、て言うか何時までこんな生活続けないとイケないんだろうな。
『んあ?』コテリ
いやアデール王国の学院を辞めたのに勉強は続くし、何でか音楽の練習にダンスまで付いただろ? 剣や魔法の鍛練もあるし何の為にやってるのか分からなくなってんだよなあ。
『元々はお主の身元を隠す為じゃったろ』
……そうだっけ?
『故郷でお主に聖女騒ぎが起きて、隣領のビアンカの所に逃げ込んだんじゃろ! 権力者共の目から逃れる為に隣国までビアンカの従者として来て、更に学生となる事で件の聖女からかけ離れた地位を得たのじゃろが! 騒ぎの中心人物じゃろが!!』
何かリリィがふんがぁーー! って言っているけど聖女騒ぎってリリィの回復魔法が原因だろ?
『それはお互い様なのじゃ! 精霊剣の回復魔法に当てられたお主が聖女ムーヴをしてしまった事が原因じゃろが! お主の体質の事まで知るかなのじゃ!!』
器用に空中で地団駄を踏むリリィ、何だか怒らせてしまった様だ。
「さあどうでしょう。直ぐにこの国を出られるかも分かりませんし、もしかしたらこの国で学院に通う可能性もあるかも知れません」
ナージャさんに聞いても分からない様だった。一応一年契約の雇用で未だ半年しか経ってないけど、情勢不安で何時帰れるか分からないってのは不安だな。
ねぇねに早く会いたいけどビアンカお姉様が耐えているんだし、アリアとカチュアも居るし不安不満は口に出来ないよなぁ。
――ただ当分勉強は続きそうな事は分かった、残念。
「昨日傭兵ギルドに行ってみたけど、王様の評判はそこそこ良いみたいね。アデール王国の時は不満が渦巻いてたけどそこまでじゃなかったわ。ただ庶民はアデール王国との戦争に不安を感じてたみたいね」
ミリアーナの話しじゃこの国は色々とそれなりに安定してるらしい。不安定な国に居るよりマシだから良かったかな。ビアンカお姉様から給金は貰ってるけど此処でも治癒院で小銭稼ぎは出来れば良いんだけど。
ナージャさんが手加減出来ないくらいに腕が上がってると言われて、何とかやる気を絞り出して重い腰を上げて鍛練を再開する事にした。
『攻撃すると手加減し辛いと言ったのじゃ。防御に徹すれば手加減出来るし手加減しなければ圧倒出来ると言う事なのじゃ。図に乗るでないのじゃ』
折角出たやる気を根こそぎ奪うなよ、歌やダンスで食って行くぞ。
『ぬぐ、お主そこまで自信があるのか?』
知らんけどビアンカお姉様もマリアンヌ様も皆んな褒めてくれたからな。貴族の令嬢が褒めてくれるんなら大丈夫じゃないか?
『ぬぐぐ……(それは見目の良い幼い子供の拙さが可愛らしいと言うだけなのじゃ! 何でコヤツは自身の見た目に自覚が無いのじゃ!?)』
空中地団駄に加え頭を抱えて悶えるリリィ。可愛い妹の姿で止めてくれないかな。
『リリィの精霊剣としてのアイデンティティーが崩壊してしまうのじゃぞ! 歌にダンスじゃと回復魔法すら使われんのじゃ! リリィの存在意義まで消え去ってしまうのじゃぞぉ!?』
いやリリィが才能無いみたいな事言ったからじゃないか。まあ自衛に剣術や魔法はあった方が良いし、回復魔法はビアンカお姉様達が囲ってくれたら安全で良い稼ぎになるから手放す気は無いぞ?
『…………本当か?』
歌だの楽器だのダンスだのって、どんどん新しいのを覚えていかないと飽きられるだろうしな。流石に面倒臭いしやっぱりリリィの回復魔法が一番稼ぎが良いんだよな。
『うんうん、確かにそうじゃな。お主はリリィが居ないと何も出来ないからの』
うんうん、……ってそこまで言ってないよっ!??
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