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はじまり
すれ違い
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2つの時計の針が12のところで重なった。
風子は興奮の余り寝付けず、ベッドに転がって天井を眺める。
鞄の中に入っている宿題に手をつける事は当然無く、今日の放課後の出来事を何度も何度も繰り返し思い返していた。
あの感触…。相原さんの…。
唇が触れた時の、その優しさを思い出すたびに頭がどうにかなりそうで、手のひらで何度も頬を叩く。
あ~…!相原さん、マジかよ…っ!
っでも、やっぱそーゆうことだよね⁉︎
期待しちゃっていいのかなぁ…。
「おっはよー…ん?」
朝、風子は登校してきた教室に違和感を覚えた。
相原さんいないじゃん…。
未来の机には鞄とコートがかかっており、一度ここに来た事は見て伺える。しかし、本人だけがいないのだ。
キーンコーンカーンコーン
予鈴のチャイムとほぼ同時に、教室に未来が滑り込んできた。
クラスのみんなが一斉にそちらを見る。
「珍し~ねー、相原っちがこんなギリギリに来んの」
「…ん、だね」
その時、ふと未来と目が合った。するとその瞬間、すぐに目を逸らされた。
…!……いや、気のせいだよね~、あはは。
昼休み。風子は昼食を取り終え、トイレへと向かって廊下を歩いていた。
午前中の未来はいつもより調子がおかしく、先生からの質問にスパスパ答えるいつもの未来の姿は無かった。
風子は、昨日の一件から未来の気持ちが知りたくてウズウズしていた。早く会って話したいと考えていた、その時だった。
「うぉっ⁉︎」
「…!」
ちょうどトイレから出てきた未来と危うくぶつかりそうになったのだ。しかし、未来は風子をスルーして廊下を歩いていく。
「ちょ、ちょ!相原さん!」
いつもなら名前を呼ばれるとなんだかんだ反応する未来だったが、今日ばかりはそれも無く、あっという間に影も見えなくなった。
その後も教室では、未来は常に風子の対極の位置で行動したり、休み時間になると、すぐ教室から出て行ったりするなど、風子と関わることのないよう努めた。
あからさまな避け方は風子でも簡単に気づいた。
これは、完璧に避けられている…。
風子は未来と接点を持つことが無いまま、12月中盤へ突入してしまった。
結局あれは幻想だったのか、と言うほど現実味を持つことが出来なくなっていた。
風子はあれから何度も話しかけようと試みたが、巧みにスルーされ、うまくいく事はなかった。
「あ~、もう何なんだよ!」
「おー、ふーこ怖っ!」
友里が不貞腐れる私を面白そうに笑う。
私はもう限界なんだよ!
「どーしたん風子。お姉さんが話を聞いてあげようか?」
「香菜姉さ~ん!」
風子は香菜に抱きついた。よしよし、と香菜は慰める。
悩みを打ち明けれるもんならそーしたいけど、さすがに相原さんを恋愛対象として見てる、なんて言えないよなぁ。
でも吐き出さないと、自分がいつか壊れてしまう気がする…。よし。
「えっと。もし、自分の好きな人が思わせぶりな事をしてきて、でもその後ずっと避けてくるのってどう思う?」
「…え、風子好きな人いんの?」
…!やばい、突っ込まれる…?
「いや、そりゃいるっしょ!だってふーこも高2だよー?」
「やっぱそっかー。いやぁ、純粋な女の子だって思ってたからちょっとびっくりしちゃってさー」
「やっぱ前の学校の人だったりしちゃうわけ?」
はあ、友里が突っ込んでくれたおかげで、なんとか質問攻めに合わず済んだ。
風子は適当にそーだよーと言っておくことにした。
「んー、思わせぶりな態度を取られて、その後避けられている、か…」
香菜は腕を組んで、もしかしたらだけど、と続けた。
「その人、風子の気持ちを確かめたかったとか?でも恥ずかしくなっちゃって向き合えなくなっている、みたいな」
あーそれあるかもー、と友里も同調する。
なるほど、それなら嬉しいことこの上ないんだけど…。でも、もうあの日から1ヶ月経っちゃったから、確認するのが難しいんだよなぁ…。
風子はさらっとお礼を言って、机に突っ伏した。納得のいっていない風子の姿を見て、香菜は満足できないようだったが、続いて始まった友里の彼氏の愚痴にすぐにかかりきりになった。
どうにか未来と話せないものか。ずっと念じてきた風子はもう疲れ切っていた。
「ねーねー、クリスマスイブに今年忘年会的な打ち上げも兼ねて、クラスで食べに行かない?」
ある日の休み時間、クラスのリーダー格である一人の女子が提案の是非を求めてきた。
「いーじゃんやろーぜ!」
「やば、楽しそー!」
クラスの雰囲気がわっと華やいだ。未来はその空間を無視して、読書を進める。
「相原さん!相原さんも行くよね?」
一人の女子生徒が未来に声をかけた。
「い、いや私は…っ」
「行こ!絶対だよ!生徒会の友達が24日は仕事ないって言ってたし!」
未来はその言葉にグッとなって、言い返すことができなかった。
「…わかった、わ」
その光景を終始見ていた風子は、胸が高なった。
チャンスだ…!相原さんと話せるかも!!
疲れ切っていた風子の心に微かな希望の光が見えた。
風子ももちろん打ち上げの計画に賛同し、24日を心待ちにする事になった。
風子は興奮の余り寝付けず、ベッドに転がって天井を眺める。
鞄の中に入っている宿題に手をつける事は当然無く、今日の放課後の出来事を何度も何度も繰り返し思い返していた。
あの感触…。相原さんの…。
唇が触れた時の、その優しさを思い出すたびに頭がどうにかなりそうで、手のひらで何度も頬を叩く。
あ~…!相原さん、マジかよ…っ!
っでも、やっぱそーゆうことだよね⁉︎
期待しちゃっていいのかなぁ…。
「おっはよー…ん?」
朝、風子は登校してきた教室に違和感を覚えた。
相原さんいないじゃん…。
未来の机には鞄とコートがかかっており、一度ここに来た事は見て伺える。しかし、本人だけがいないのだ。
キーンコーンカーンコーン
予鈴のチャイムとほぼ同時に、教室に未来が滑り込んできた。
クラスのみんなが一斉にそちらを見る。
「珍し~ねー、相原っちがこんなギリギリに来んの」
「…ん、だね」
その時、ふと未来と目が合った。するとその瞬間、すぐに目を逸らされた。
…!……いや、気のせいだよね~、あはは。
昼休み。風子は昼食を取り終え、トイレへと向かって廊下を歩いていた。
午前中の未来はいつもより調子がおかしく、先生からの質問にスパスパ答えるいつもの未来の姿は無かった。
風子は、昨日の一件から未来の気持ちが知りたくてウズウズしていた。早く会って話したいと考えていた、その時だった。
「うぉっ⁉︎」
「…!」
ちょうどトイレから出てきた未来と危うくぶつかりそうになったのだ。しかし、未来は風子をスルーして廊下を歩いていく。
「ちょ、ちょ!相原さん!」
いつもなら名前を呼ばれるとなんだかんだ反応する未来だったが、今日ばかりはそれも無く、あっという間に影も見えなくなった。
その後も教室では、未来は常に風子の対極の位置で行動したり、休み時間になると、すぐ教室から出て行ったりするなど、風子と関わることのないよう努めた。
あからさまな避け方は風子でも簡単に気づいた。
これは、完璧に避けられている…。
風子は未来と接点を持つことが無いまま、12月中盤へ突入してしまった。
結局あれは幻想だったのか、と言うほど現実味を持つことが出来なくなっていた。
風子はあれから何度も話しかけようと試みたが、巧みにスルーされ、うまくいく事はなかった。
「あ~、もう何なんだよ!」
「おー、ふーこ怖っ!」
友里が不貞腐れる私を面白そうに笑う。
私はもう限界なんだよ!
「どーしたん風子。お姉さんが話を聞いてあげようか?」
「香菜姉さ~ん!」
風子は香菜に抱きついた。よしよし、と香菜は慰める。
悩みを打ち明けれるもんならそーしたいけど、さすがに相原さんを恋愛対象として見てる、なんて言えないよなぁ。
でも吐き出さないと、自分がいつか壊れてしまう気がする…。よし。
「えっと。もし、自分の好きな人が思わせぶりな事をしてきて、でもその後ずっと避けてくるのってどう思う?」
「…え、風子好きな人いんの?」
…!やばい、突っ込まれる…?
「いや、そりゃいるっしょ!だってふーこも高2だよー?」
「やっぱそっかー。いやぁ、純粋な女の子だって思ってたからちょっとびっくりしちゃってさー」
「やっぱ前の学校の人だったりしちゃうわけ?」
はあ、友里が突っ込んでくれたおかげで、なんとか質問攻めに合わず済んだ。
風子は適当にそーだよーと言っておくことにした。
「んー、思わせぶりな態度を取られて、その後避けられている、か…」
香菜は腕を組んで、もしかしたらだけど、と続けた。
「その人、風子の気持ちを確かめたかったとか?でも恥ずかしくなっちゃって向き合えなくなっている、みたいな」
あーそれあるかもー、と友里も同調する。
なるほど、それなら嬉しいことこの上ないんだけど…。でも、もうあの日から1ヶ月経っちゃったから、確認するのが難しいんだよなぁ…。
風子はさらっとお礼を言って、机に突っ伏した。納得のいっていない風子の姿を見て、香菜は満足できないようだったが、続いて始まった友里の彼氏の愚痴にすぐにかかりきりになった。
どうにか未来と話せないものか。ずっと念じてきた風子はもう疲れ切っていた。
「ねーねー、クリスマスイブに今年忘年会的な打ち上げも兼ねて、クラスで食べに行かない?」
ある日の休み時間、クラスのリーダー格である一人の女子が提案の是非を求めてきた。
「いーじゃんやろーぜ!」
「やば、楽しそー!」
クラスの雰囲気がわっと華やいだ。未来はその空間を無視して、読書を進める。
「相原さん!相原さんも行くよね?」
一人の女子生徒が未来に声をかけた。
「い、いや私は…っ」
「行こ!絶対だよ!生徒会の友達が24日は仕事ないって言ってたし!」
未来はその言葉にグッとなって、言い返すことができなかった。
「…わかった、わ」
その光景を終始見ていた風子は、胸が高なった。
チャンスだ…!相原さんと話せるかも!!
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