ほんとうに君が好き。

カスミソウ

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二人の初めての旅行

1日目〜民泊〜

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「おはよー、ふーこっ」
「おっ、風子おはよ!可愛いじゃんその服!」

朝7時。私達松風高校の生徒は空港のロビーに集合となっていた。
今日から3泊4日の修学旅行。みんなそれぞれの期待を膨らまして、ロビーは賑わっていた。

「うん!この前遊んだ時に買ったやつ~!」

風子は腰に手を当てて、友里と香菜の前に立った。ふふん、と鼻を鳴らして、似合ってるでしょ?と自慢する。

「いや、それ選んだの私だし!!」
「ぐっ…、そうでした…!」
「いや、ふーこ面白すぎでしょ!」

友里と香菜は風子をつつきながらからかった。この頃、少しずつ風子はいじられキャラになりつつあると思われる。

「よーし、じゃあうちのクラスも点呼するぞー。相原、頼んでもいいか?」
「はい」

未来は返事をして、風子達のクラスの列に沿って歩きながら生徒の出席を確認していく。

…!相原さん!私服かっわいい~!!本当に何でも似合っちゃうんだよね~…。

…って、……っ!

デレデレする風子と凛と澄ます未来の目が合った。二人の顔が同時に赤くなり、お互いぱっと顔を背け、なかった事のように接する。

禁止令、禁止令~っ!!

悲しみを噛み締めながら、みんな北海道行きの飛行機へ搭乗した。



「やあーっと着いたぁ…」

飛行機も無事、目的地へ着陸して生徒達もロビーでクラス毎に集まっていた。
風子は飛行機に少し酔ってしまい、体がだるかった。

「大丈夫?ふーこ…」
「……ん、多分」
「とりあえずこっからバスで民泊の家まで行くけど、キツい?」
「だ、大丈夫だよ~。行かなきゃ旅行始まらないしー」

風子は口を抑えながら、二人の気遣いに答えた。

何で飛行機でも酔っちゃうかなぁ~。飛行機は大丈夫と思って酔い止め飲んでなかったのに…。

風子は次のバスのために酔い止めを飲み、時間までソファに座っておくことにした。

「……小川さん、どうしたの?」
「あ、相原っち来た~」

未来が心配そうに三人のもとへやって来た。民泊は班毎に別れて行われるので目的地が違うため、バスも班で固まって乗る必要があったからだ。

「飛行機で酔ったんだってー。酔いやすい体質なのに酔い止め飲まなかったみたいで」
「……そう。先生に体調が悪そうだからって看てあげるようお願いされたわ。だからバスでは、私が小川さんの横で座ってもいいかしら?」

…!マジで…!

「あぁ、いいよいいよー。ちょうど座席どうするかって考えてた事だし」

香菜は笑って答えた。未来は口元を緩め、ありがとうと感謝を述べた。

「あ、そろそろ行くみたいだってー。うちら4号車だよねー?」

友里と香菜は先立って歩いて行った。風子と未来は並んでその背中をゆっくり追いかけた。



「……隣に座れるとは、思ってなかった…」
「……嫌だった?」

二人はバスの1番後ろの二人席に腰掛けた。前には友里と香菜が座っている。

「い、嫌なわけないじゃん!?っていうか先生に頼まれたんでしょ?私の事看ておくようにって…」
「……あぁ、あれは嘘よ?」
「えぇ!?」
「あなたと座るための口実よ。でも、心配だからって言うのは本当だから」

相変わらずの澄ました顔で答える未来。

あ、相原さん…。結構やりますな…。
でも、私の傍にいたいって気持ちが伝わってきて、嬉しい、な…!

「ふふ、ありがと、相原さん!私バスもダメだから移動中はずっと隣に居てもらわなきゃだね!」
「そうね。……にしても、酔い止めを飲んでなかったなんて、バカにも程があるわ…」
「…い、今更そこ掘り返す!?折角いい感じに会話が進んでるのに!」

顔を膨らませて怒る風子を見て、未来は嬉しそうに笑った。その顔が今まで見た中で1番の幸せそうな顔で、風子はキュンと胸が高鳴る。単に、嬉しいのだ。

「そう言えば、相原さんも接近禁止令破ってるんじゃない?周りから見たら私達結構仲良さげだと思うなぁ」
「……あなたほどあからさまでは無いから大丈夫、よ…」

と言いつつも、風子に自分の行動の大胆さを指摘され、未来はかあぁっと顔が赤くなり、黙って俯いてしまった。

い、いやほんと、可愛すぎんじゃん…!ぎゅーっとか、……したい、けど…!

風子は、未来に触りたいという欲を理性でぐっと抑え、誰にもバレないよう手を繋いだ。

「…で、でも、相原さんのおかげで体調良くなったかもっ。ありがと!」
「……ええ」

未来もぎゅっと手を握り返す。
二人を乗せたバスは、山道をゆれながら走っていった。



「「「「よろしくお願いします!」」」」
「ええ、よろしくお願いしますね」

風子達の4人は無事民泊でお世話になる家に着いた。ここは野山ファクトリーという農場らしく、どうやらワインの製造まで行っているらしかった。バスをおりると、40代くらいのおばさんが迎えに来て、家に入れてくれた。

四人は三階の空室に荷物を置き、リビングに集められた。

「私は野山 美紀よ、美紀ちゃんって呼んでくれると嬉しいわ」
「は、はい…」

み、美紀ちゃん?年上にそんなんでいいのかよ…?

「あ~っ、そんなに驚かないで!仲を深めるためにみんな下の名前で呼び合いたいのよね。みんな名前教えてくれる?」

美紀ちゃんは白いテープとペンをみんなに配り始める。どうやらここに名前を書いて腕に貼れ、ということらしい。

「私、友里でーす」
「香菜ですー」
「ふ、風子ですっ」

美紀ちゃんは順々に名前を言う三人を目で追い、最後、未来を見た。他の3人も未来に集中を寄せる。

「わ、私の名前は…」
「名前は?」

美紀ちゃんが優しく笑って言葉をそのまま返す。未来は少し照れたように俯いて、再度口を開けた。

「未来です…。よろしくお願いします」
「よろしくね、未来ちゃん!」

未来、か……。そう言えば私、相原さんの事、名前で呼んだことない…。

「じゃあ、自己紹介も終わったことだし、施設の案内と、お手伝いもましょうか!」

その声に我に返った風子は、美紀ちゃんに連れられて、他の三人と共にワイナリーに足を運んだ。



「ここのタンクで寝かして、ワインを作っているのよー。みんなも成人してたら試飲させてあげれたのにね、残念!」

美紀ちゃんは自分達夫婦で作ったと言うワイナリーの中を案内してくれる。構造を半地下にしたのは、どうやらワイン造りに大切な温度を一定に保つためという事や、実は銀座にも出品していると言う事を楽しそうに説明していた。

風子の横で未来は必至に頷き、その情報をメモに取ったりしていた。

別にテストに出る訳でもないのに…、真面目だなぁ…。まあ、そうゆうとこも可愛いと思うんだけど!

風子は未来の姿をじっと見つめていた。朝の優しくて、少し大胆な未来のことや、今の真面目で可愛い未来のこと。それを思い出すと顔が熱くなってどうしようもなかったが、それでも未来の顔から目を離さなかった。

「……あら、風子ちゃん?熱い?」
「……えっ?」

風子は声をかけられ、ばっと視線を美紀ちゃんに戻す。

「いや、顔が赤いから。半地下だし、外よりは暖かいから、かしら…」
「ほんとだ、ふーこどしたの?」
「ありゃ、耳まで真っ赤じゃん!」
「……あ、…うぅ…」

みんなに見られ、風子は恥ずかしくなってごもってしまった。未来はその姿を見て心配そうな顔をする。

「……おが…」
「え?」

声をかけようとした未来が途中でやめたのを風子は気づいた。暫く未来の方を見たが、目を逸らされたので、諦めていじってくる他の2人に愛想笑いを浮かべた。

結局その後は、少し農場の手入れの手伝いをしてから、美紀ちゃんの家族と夕食の時間を楽しんだ。



「じゃあ、順々にお風呂に入ってもらおうかしら」

食後のデザートも終わり、一息ついたところで、時刻は20時半を回っていた。そこで美紀ちゃんはある提案を持ちかけた。

「2人組に別れてもらって、片方は先お風呂、もう片方は明日のお昼のおやつのお手伝いをしてもらいたいんだけど、いいかしら?」
「「「「分かりました!」」」」

1度荷物を置いた3階の部屋に戻って、風子&未来ペアが先にお風呂、友里&香菜ペアが先にお手伝いと決めた。二人はまた階段を降りて美紀ちゃんのいるキッチンへ向かった。

「あなたは今日体調が良くなかったんだから、先に入りなさい」
「あ、ありがと~っ」

風子は未来のお言葉に甘えて、洗面用具を持ってリビングの横に位置する風呂場へ移動した。

外は北海道の真冬なので、洗面所は少し寒かったが、湯船に浸かると温かい熱気が風子の身体を取り囲んだ。あまりの気持ちよさに少し寝落ちしてしまって、慌ててお風呂から出ることになってしまったのだが。

「…っわ!」

着替えを終え、濡れた髪のまま洗面所を出ると目の前に未来が立っていた。

「…遅いわ」
「ご、ごめんなさいっ」
「先に入りたいから、部屋で乾かしてもらってもいい?」
「う、うん!」

風子がぱっぱと支度をして洗面所から出ると、未来は入れ替わりにすっと洗面所に入っていった。

風子はピシャッと閉まったドアに振り返った。唾をごくっと飲む。

い、今から相原さん、服脱ぐんだよね…?は、裸っ、に…!!

風子は真っ赤な自分のほっぺたをバチバチ叩いて足早に部屋に戻った。

風子は髪を乾かし、全員分の布団を引いておいた。そして自分の布団に寝転び、携帯を触って暇を持て余していた。

「~♪」
「あがったわ」
「…っわわ!」

ばっと体を起こすと、階段のそばにお風呂を終えた未来が立っていた。

「…何を見てたの?」
「ん、最終日の小樽の事調べてたんだ~。やっぱ準備しとかないと楽しめないし!」

ほら、と風子は携帯の画面を見せる。未来はそのまま風子の傍にやって来てぴとっとくっついた。

……っ!

「ありがとう。私も、すごく楽しみだわ…」

未来は頭を風子の肩にのせた。ふわっと未来の髪が風子の頬を触る。
未来は安心したように風子に体重をかけてきた。

い、いや、まだ若干湿ってるし…!っていうかシャンプー何使ってんだろ…?超いい匂いだし…。

「…私、最終日の自由行動。あなたと二人きりって事になって、…凄く嬉しかったわ」
「…え?」
「ダメよね、生徒会で規律を守るよう言わなければいけない立場なのに…」
「……」
「修学旅行で二人きりの時間が欲しいって言う我儘な欲が出てしまって…」

お風呂上がりなのか、何なのか、未来の頬がピンク色に染まっていく。未来の温かさが風子の全身に伝わる。

「……相原さん、ごめん」
「…何が…?」
「私も、ちょっと、欲が我慢できそうにないや…」
「……っ、ちょっ…!」

風子は未来を布団の上に倒し、そのまま覆いかぶさって唇を被せた。優しく、でも深く、吸い付くようなキスをする。

「……やっ…」
「はぁ…、はぁっ」

風子は少し体を起こして未来の頬に触れた。ふにふにした感触が気持ち良くて、今度はそこに唇を落とす。それから鎖骨の方に移動し、ぎゅっとキスマークをつけた。

「……あっ…!」

未来の身体がビクッと震えた。顔も耳まで真っ赤にさせて、息遣いも荒い。

相原さん、反応してる…?ってか、エロすぎだよ…。

風子はその表情が可愛くて少しの間その顔を見つめていた。未来の荒い吐息が風子の肌に触れる。風子の体の熱がどんどん高くなっていく。

「相原さん、可愛い……」

風子は覆いかぶさった体勢のまま、未来の服の中に手を入れた。そのままするすると胸の方へ動かしていく。

「…っ、ちょっ…!」
「……相原さんっ、もっと…!」
「お、小川さんっ!!」

未来は手で風子の唇を塞いだ。唖然とする風子の手を服の中から抜いて、自身も体勢を起こした。

「……はあっ…。…この調子だと、あと三日間もたないわよ…?」
「…っ!あ、あぅ…。ごめんなさい…」

まさかの行為まで及ぼうとしてた事に、恥ずかしさが止まらなくなり、布団をばっと被った。

なんで、私はこう、すぐ手を出しちゃうんだろ…。相原さんも呆れてるよね…?

布団の隙間からちら、と未来の方を見る。
すると、未来はぽーっとして、風子につけられたキスマークを撫でながら顔を真っ赤にさせていた。

こ、こんな状況で…!相原さんに触れるなって言うのは地獄すぎるんだけど…!
自分の心臓もうるさいし。はああぁぁっ…、どうにかしてよぉ~…。

「おーい二人とも!お手伝い交代っ!」
「は、はーいっ」

友里と香菜が部屋に戻ってきた。風子は布団から飛び起き、未来もすくっと立った。二人はぎこちなく階段を降りていった。

「風子ちゃんと未来ちゃん。お風呂、気持ちよかった?」
「はい!気持ちよかったですっ」
「気持ちよかったです」

美紀ちゃんはにっこり笑って、ダイニングテーブルに座るよう促した。

「明日、くるみのケーキを作ろうと思っててね。くるみ割りをして欲しいのよ~」
「え⁉︎マジですか!私初めてです~」
「まあ、そういう子がほとんどよね~。あ、これもうちの農場で取れたやつよ」
「す、凄いですね!」

風子は美紀ちゃんとコミュニケーションをとりながら、器用にペンチでくるみを割っていく。未来はいまいちやり方が分からないらしく、戸惑っていた。

「あれ、相原さん分かんないの?」
「……っ、え、ええ。」

未来は風子に気づかれ、ちょっと恥ずかしそうに答えた。風子はにこっとして席を立ち、未来の後ろから手を回す。

「こーやってね、ここをペンチで切ればー…」
「……っ!」
「ほら、出来たでしょ?綺麗に割れたー!」
「……、おっ、小川さんっ…!」
「ん?なーにー?まだ分かんないとこが…」
「……もう、喋らないでっ!」

未来はばっと風子の手を払い除けた。目を見開く風子の目に真っ赤に染まった未来の耳が映る。

あっ……、もしかして、相原さん……。私の息が耳にかかって…?

風子の顔もまたまた赤く染まっていく。少し息しづらくなった呼吸を整えながら、自分の仕事に戻る。

ほんと、今日何なんなんだろ…。

疲れ切った風子の顔を見て、美紀ちゃんが困ったように笑った。

「今日はもう終わりにしましょうか。お疲れでしょう、みんな」
「え、でも…。私達全然手伝えてないですけど…」
「いいのよいいのよ、ほらゆっくり休んでちょうだい」

美紀ちゃんに背中を押され、二人は部屋に押し返された。二人とも気まずくて顔をお互い合わせられないまま、布団に潜った。

恋バナしないのー?っていう友里の声が聞こえた気がしたけど、気にかけることが出来ないくらい、深い眠りに陥った。

布団を被った未来の横顔を見て、明日はもうちょっと大人になろう、と決心した風子であった。



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