夜 行 街

壱(いち)

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stop! In the Name of Love

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えー、なんだこの展開。
エレベーターに乗って現れた男に壁へ追い詰められてるんですけどー。

「見ない顔だな」
「そりゃそうでしょ、今日転校してきたばっかだし」
「へぇ」

いや、感心してないで退いてくれ。
ピクリと自分の片眉が反応するのが判る。

「退いてくんない」

つか、初対面だろ。なに勝手に人の腕掴んでんだこの男。

「いや」
「……あ、そ」

壁まで追い詰められてる俺の片腕を掴んで放さない男はそらもう巷で言うイケメンだな。
あれ、イケメンてもう死語か。
なんつうか、男の色気ってフェロモン垂れ流し。
ムンムンです、奥さん!

髪は某芸人を思い出させるような赤色。
片耳だけにピアスが5個以上付いてて痛そうなボディーピアスまである。
顔のパーツは程よく集めて完成させたような…目つきが若干悪いが、二重の切れ長。
大き過ぎず、小さすぎない鼻はすっととおり唇は厚くもなく薄すぎることもない。

男としてはムカつく合コンキングは間違いない。
あー、年上の模様です隊長。

「いい加減放して貰えませんかねー、行くとこあるんで」
「どこ」
「寮です」
「……行くぞ」
「は?ここに用があってきたんじゃ」
「対した用じゃない」

そう言われてエレベーターに連れていかれる。掴まれていた腕は放され、いまは手を繋がれてたりして。
有り得ないから!

「ちょ、なに」

偉く強引にエレベーターに押し込められる。

「早く乗れ。厄介な奴が来たら面倒だ」
「はぁ?」

さり気に恋人繋ぎにした指を動かすな。擽ったい。

「九鬼!」

俺をエレベーターへ押し込め、自分も乗り込んだ男は声をした発する方を向きニヤリと笑った。
うっわ、悪そうな笑いかたするなー。

「悪い、野暮用が出来た」

ぽちっと閉を押す。
俺は声がする方へ、傍若無人な俺様の横からひょっこり顔を出し覗く。

「あ」
「君はっ、九鬼降りろ!」

俺に気づいたその人は一瞬目を見張り、ワンテンポ出遅れた。

「遅ぇよ」

奥からこっちに走ってくるけど間に合わない。ドアは閉まる一歩手前だ。
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