柳枝✖朱希

高梨美波

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2人で過ごした1日

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夏休みのある日

2人の少年が

共に過ごしていた

1人は、相良朱希(さがら あき)
都内の高校に通う
17歳の2年生。
身長171cm。
性格は焼きもち妬きでM気味。
母子家庭で料理上手
ちょっと他人には
なかなか言えない
性癖(*1/後術)がある。

もう1人は
渋澤柳枝(しぶさわ りゅうし)
朱希と同じ高校に通う
18歳、3年生。
身長180cm。
性格、能天気。
考えが結構短絡的
両親との3人暮らし。


この日は、朱希のリクエストの

映画を2人で見たあと

映画館そばで買ったソフトクリームを

帰り道の公園で食べることにしたようだ

『柳ちゃん』

いつものように

無邪気に柳枝を呼ぶ朱希

『ん~?どうしたの?』

と、いつもの調子で柳枝が答えると

『今日の映画、すっごい楽しかった
柳ちゃん、ありがとう!』

無邪気な笑顔で言う、朱希を

柳枝は微笑ましそうに見て・・

『キミさっきからそればっか。
ま、たいしたことじゃないし、いーよ
オレも朱希と映画見れて楽しかったし。』

そう答え、ソフトクリームを食べる柳枝

『うん』

返事をし、朱希も食べる

暫くして、ソフトクリームが朱希の口元に

ついてることに気づいた柳枝

突然朱希に顔を近づける

『ちょっ!柳ちゃん・・何』

驚き、たじろいで避けようとする朱希。

すると、柳枝は朱希の顎を

手で掴み正面に向け

『ほーら、いい子だから動かないの。
じっとしてて
すぐ済むから』と言った。

照れて頬を染めながらも

『う、うん・・』

言う事を聞くことにした朱希

柳枝の唇が迫ってきたとき

咄嗟に目を瞑った

(ペロっ)

(・・・?)

いつもの感覚がなく、目を開けて

不思議そうに柳枝を見て

朱希は質問する

『柳ちゃん。今、何したの・・?』

そんな朱希を見て愛おしそうに

意地悪な笑顔で答える柳枝

『クリーム、ついてた。
キミってガキみたい』

途端に、かぁ~・・・っと赤面し

『そ、そういうのは、ちゃんと
口で教えてよ!』と朱希は

抗議の声をあげる

少し驚いた顔で、柳枝は返す

『何が不満なの?だからちゃーんと
口で教えてあげたじゃない』

朱希の抗議は続く

『そういうことじゃなくて・・』

その答えを面白がる柳枝

『何?ハッキリ言わなきゃ
伝わるもんも伝わらないよ?』

朱希はさらに顔を赤くし

湯気が出そうな勢いだ

『分かってるくせに・・
柳ちゃんのバカ・・!』

柳枝は微笑み、答える

『あっれ~?キミ今さ、オレに向かって
「バカ」って言ったぁ?
朱希はいつから、そ~んなに
エラくなったのかなぁ?』

その言葉に、焦った朱希は

ソフトクリームを

一気に食べてしまい・・

(きーーーん)

『っつ~・・・頭痛い・・』

涙目になる朱希を、柳枝は笑う

『あっはっはっは!
もう何してんの~!
そんな冷たいもの
一気に食べるからだよ~
あ~、おっかし~』

朱希は涙目で抗議する

『そ、そんなに
笑わなくたっていいじゃん・・!
そもそも誰のせいだと思って…』

柳枝はどこ吹く風といった風に、微笑んで

残りのソフトクリームを食べる

柳枝が食べている間

朱希は頭痛と戦っていた

しばらくして・・

『さてと、陽も傾いてきたし・・
帰ろうか。大丈夫・・?』

ゴミを丸めながら言う柳枝

朱希も答える

『う、うん・・大丈夫・・』

こうして2人は、柳枝の家
渋澤家の方角に向かう

『・・・ねぇ朱希』

歩きながら声をかけられた朱希は

柳枝を見上げ

『何?』と答える

『今日さ・・家、親2人とも
泊まりなんだ
親父は出張、母さんは旅行。
だからさ・・
家、泊まりにおいでよ』

嬉しい誘いに

少し驚く朱希

『そう・・なんだ・・うん・・。』

柳枝も嬉しそうにし

『決まりだね。
 じゃ、一緒に帰ろう』

『うん』

そんなやりとりの後
2人は渋澤家に着き・・

カギを開ける柳枝

『お邪魔します・・』

何度か遊びに寄ったことのある
渋澤家だが

それでも朱希は

同じ挨拶を毎度している

『もう家来るの何回目?
自分家だと思って
くつろいでよ』と柳枝は言う

『うん・・ねぇ柳ちゃん
台所・・の前に、電話借りて良い?』

『うん、いいよ』

『ありがとう』

電話を借りて自宅に連絡し、
朱希は母に外泊の許可を得て

台所に入る。

『ねぇ、今日のご飯、朱希が
 何か作ってくれんの?』

『うん、まぁ・・?』

そんなやりとりをしながら

台所にカレーの材料が

すべてそろってることを確認した朱希

『何作ってくれんの~?』隣にやってきて

嬉しそうに声をかける柳枝に

『何甘えてんの?
柳ちゃん、カレー好きだったよね
一緒に作ろ?』と話す朱希

柳枝は少し驚いた顔し

『一緒に?なんで?
朱希が作ってくれんじゃないの・・?』

これには、朱希も少し驚いて

『そりゃ作るけど・・柳ちゃんさ
「働かざる者、食うべからず」って
聞いたことあるでしょ?
手伝ってくれなかったら
柳ちゃんは夕飯抜きって言ったら
どうする?』

聞かれた柳枝は、イタズラな笑みを浮かべ

『あーあ、そういうこと言うんだ?
だったら、こ~しちゃうもんねぇ』

そういうと、突然朱希の背後に行き

その耳に、軽く噛みつく

『Σひゃあ!』朱希は

素っ頓狂な声をあげ

顔を赤くして、抗議する

『柳ちゃんっ・・!
何で、そういうことすんの~?
耳はダメって・・言ったじゃん~・・』

柳枝は、特に悪びれる様子もなく

微笑んでいる

『ん~、それはねぇ・・
キミが先にオレに
あんな意地悪言うからだよ~?
だから、これはオ・シ・オ・キ
逆に、先輩に意地悪言って
タダで済むとでも思ってたの?
そんなウマイ話
あるわけナイでしょ・・?』

『う~・・』涙目で睨みつける朱希に

柳枝は真顔で

『何?その目は』と言った後

イタズラな笑みを浮かべ

『今日のキミは、本当に
イケナイ子だねぇ~。
先輩に向かって
バカ呼ばわりしたと思ったら
今度はその目。
そんな子には、もっとたくさん
オシオキしてあげないとねぇ・・』

と言う。少し怯む朱希

『おしおき・・?なにするの・・?』

笑顔を浮かべたまま答える柳枝

『さぁて、何してあげようかなぁ・・
まァ、夜はまだまだ長いから
後の、お・た・の・し・み♪』

朱希は納得いかなそうだが

『とにかく手伝って』と頼み

柳枝は、ため息諦めモードになり

『はいはい。で、オレは
何をすればいいの?』と聞く

朱希は気を取り直して

『逆に何が出来るかなんだけど・・
柳ちゃん、ご飯炊いたことある?』と

聞いた。

『ない』

『包丁握ったことは?』

『ないよ』

そんなやりとりに

朱希は言葉を失う

『・・・』

『だってさぁ?そういうのは全部
母さんがやってくれてるから
オレには無縁っていうか・・』

呆れる朱希

『あのね柳ちゃん、親だって
いつまでもは
生きてないんだよ・・?
1人になったら、ご飯
どうするつもりだったの・・?』

聞かれた柳枝は、あっけらかんと

『え・・?そうなったら
朱希がオレと結婚して
ご飯、作ってくれるんでしょ・・?』と
真顔で言う

朱希は、ため息をつき

『あのね柳ちゃん・・・
男同士は、結婚できないの』と正論

『日本ではね。
だからさ、海外に行くんだよ。
2人で』

そんな柳枝に

呆れて答える朱希は
そのまま頼みごとをする

『また、そんな甘いこと言ってぇ・・
えっと、じゃあ・・タマネギ洗って
皮剥いて?・・』

『オッケ~♪』

そう答え、洗ったタマネギを

まな板に置く柳枝

朱希はそれを持って・・

『ありがとう、タマネギはね・・
こうして、ここを切って・・
切ったところから、こうすると・・
結構スルンと剥けるんだよ。』と

剥き方を

柳枝に実演説明する

『おー、すごいね。任せて』と

柳枝は感心しながら

見よう見真似で

タマネギの皮剥きを進める

その横で慣れた手つきで

他の下準備をする朱希に

剥き終えた柳枝は

『朱希随分手馴れてるね
いい主夫になるよ』と話す

『そうかな・・?まぁ家は
僕が小っちゃいときから父さんいなくて
母さん仕事だったし・・
好きで慣れただけなんだけど
あ、さっきも言ったけど
柳ちゃんの主夫には、なれないからね』

柳枝は、真顔で

『え~・・オレ、朱希と
結婚することしか
考えてないんだけど・・』と言う

『も~、だから無理なんだってばぁ・・
柳ちゃん
手空いたなら、鍋に水入れて
コンロに置いてくれない?』

『朱希は変に決めつけるとこ
あるよねぇ』と言いながら

頼まれたことは、やる柳枝

『決めつけとかじゃなくて
実際問題・・っていうか柳ちゃんが
いつも考えが甘すぎるんだよ~・・』と
呆れながら
切った材料を鍋に入れ火にかけ

米をとぎ始め

『それより柳ちゃん、あとはもう
僕1人で大丈夫だから・・
先に入れてお風呂に・・』という朱希に

柳枝は、不満そうに答える

『え~・・せっかく朱希泊まるのに
1人で入るなんて、つまんないよ
ご飯食べたら、一緒に入ろうよ~
オレたちまだ、したことなかったでしょ?
「男同士の裸の付き合い」それに
ガスとか水道代も節約になるし』

その言葉に赤面する朱希

『で、でも・・まぁ・・そう・・だね
そういうことなら、いい・・けど・・』

『やった、約束だからね。朱希。』

『う、うん・・じゃ・・テレビでも見て
待ってて』

頬を染め言う朱希に柳枝は

『了解。出来たら呼んでくれたら
味見するよ
・・朱希』

呼ばれて横を向いた朱希の額に

柳枝がキスを1回落とす

『~~!柳ちゃん!
不意にそういうこと・・
しないで~・・』と

朱希は赤面抗議。

柳枝は悪びれる様子もなく

『恨むなら、オレじゃなくて
カワイイ自分を恨みなよ。』

そう言って、リビングでテレビをかけ

時々朱希を見る柳枝

暫くして、朱希が声をかける

『柳ちゃん。できたよ~』

待ってました、とばかりに立ち上がり

隣に行く柳枝

『お願い』小皿に

鍋のカレーを少し分け、手渡す朱希

『うん。美味しい。ねぇ、味見、した?』

『まだだけど・・今から』

そう言って、柳枝の持つ小皿に

手を伸ばした朱希の唇に

柳枝は唇を重ね・・

少しして、(ちゅっ・・)と

淡い音を立て

唇が離れると、口に

カレーの風味が広がり

朱希は手の甲で口を覆い

赤面して

『不意打ちやめてって
さっき言ったばっかりなのに~・・』

嬉し恥ずかし

涙目になり抗議する朱希

『オレじゃなくて、カワイイ自分を
恨みな、とも
オレさっき言ったよ~』

と笑顔で言って

サラダとカレーライス、水を

食卓に運ぶ柳枝

2人は席に着き『いただきます』と

食べ始める

食後、浴室

『朱希、背中・・洗って』

『う、うん』と答え

先に柳枝に背中を洗ってもらい

湯船につかっていた朱希は

柳枝の背中を洗いながら

『僕たち、歳1つしか違わないのに・・
柳ちゃん大きいから
背中広いね・・』と言う

『そりゃさぁ・・
オレはほら、親父が・・』

『確かに、柳ちゃんって
お父さんも大きいや・・』

柳枝の父を思い出しながら

そんなやりとりをする朱希

風呂から上がると、互いに髪を

乾かし合い

2人は明かりを消し戸締りをして

柳枝の部屋に入る。

『・・・』

初めての宿泊

月明かりの差し込むだけの暗い部屋で

朱希は息を飲む

その肩と頭に柳枝はそれぞれの手を置き

『リラックス、リラックス』と声をかける

『う、うん・・』頬を染め

深呼吸する朱希

『さーてと、何から始めようかなぁ・・
悪い子には、オシオキしなくちゃ
今夜は逃がさないよ。覚悟は、いい?
オオカミに狙われた、子ウサギちゃん?』

と言って、ベッドに朱希を

仰向けに押し倒し、その上に

半分覆いかぶさり、朱希の両腕を

軽く抑え込む柳枝

『っ・・・』再び緊張する朱希の唇に

柳枝は

手始めとばかりに、少し長いキスをする

『んゥ・・!』

(ちゅっ・・)再び淡い水音を立て

離れると

朱希は、これで

少し諦めがついたのか・・

柳枝に頼み込む

『ねぇ柳ちゃん・・
いつもの・・お願い』

わざと、とぼける柳枝

『いつものって?』

朱希は少し恥ずかしそうに言う

『む・・胸・・』

『ん、おっけー。
今夜は、いつもより
トコトン責めちゃうから』

微笑みながら

そう言うと、柳枝は

朱希の服と下着を捲りあげ・・

胸板にキスをする

『・・んぁっ・・』

喘ぎ声をあげる朱希だが

顔を上げた柳枝に

色気に満ちた顔で

更に頼む

『柳ちゃん・・もっと・・
やめ、ないで・・』

柳枝は「当然」とばかりに微笑み

『やめないよ。

今夜は逃がさないって

言ったでしょ?』

そう言って、今度は

朱希の乳首を咥え、吸う。

満足そうに頬を染め

目がトロンとしている朱希

そう、冒頭に話した

朱希の性癖とは・・

『胸部性愛(*1)』

胸板周辺にキスされたり

乳首を吸われたりすることを好む

少々異常な性癖。

恋人である柳枝にしか

知られていない。

時折唇にも

ディープキスをしながら柳枝は

朱希の胸周辺を攻め、朱希は

喘ぎ声を上げながら

ひたすらに受けていた。

ほぼ、一晩中・・・

暫くして明け方、それまでで最も長い

ほぼ両者とも窒息寸前に近い

ディープなキスを

苦しくなった朱希が

柳枝の胸を押し上げて合図し、終えて

お互いに出来上がった2人

いつの間にか

どちらも上半身裸になっていた

『・・・さすがに、そろそろ
寝ようか』と提案する柳枝

朱希も満足いったのか

ただ頷いて、その夜の愉しみは

幕を閉じ、眠りにつく2人

翌朝、先に目を覚ましたのは朱希

『柳ちゃん・・』寝起きの声は

昨夜の余韻か

まだ若干喘いでおり・・

その声は柳枝の耳を刺激した

『ん・・おはよう。
もう、朝から・・
ズルいよ~。そんな声で・・』

そう言いながら起きるなり、柳枝は
目を瞑り

朱希にキスしようとし、朱希も目を瞑る

太陽光の差し込む室内で

重なり合う唇は、1分ほどで

淡い水音を立てて離れ

立ち上がり、上着を着る柳枝

『どうせ、親父たち
そう早くは帰らないけど
どうする・・?』

朱希も、立ち上がると

上着を着ながら答える

『もっと・・一緒にいたい・・でも・・
もし変なとこ見られたら・・』

不安そうに返事をする朱希を

柳枝は後ろから抱きしめ、頭を撫で

『心配しないで、朱希
誰が何と言おうと、オレは
朱希と別れるつもりなんて
ないからさ』と励ます

『うん・・』頬を染め、答え

朱希は柳枝の腕に手を重ね

開いている方の手を腰に回す

柳枝も、もう片方の手で

朱希をしっかり抱きしめ

『好きだよ』と、改めて告白をする

嬉し涙を浮かべ、朱希も

『好き・・柳ちゃん・・大好き』と

互いに改めて、愛を確かめ合い・・

2人はもう1度

目を瞑り、唇を重ね合った・・。
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