異世界奮闘記(仮)

NaKa

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「…大丈夫そうだね。うん、じゃあ…」
「ま、待ってください!!!置いて行かないで!!せめてお名前と出身地と家族構成と個人情報とか個人情報とか個人情報とか…!!!」


そっと手を離して離れようとすると、ハァハァハァハァ言いながら手を離さない。ちょっとキモい。

見た目は金髪碧眼の美少女。肩らへんで切られた髪は動くたびにキラキラと光って同じ人間だとは思えない…。瞳の色は曇りのない青色。まわりは長い睫毛に覆われている。

顔は女の子でも、身長は私と同じくらいあるみたいだ。

涙目で顔を赤らめて必死に私の手を握ってくる。ぞわぁ、鳥肌が。解放して。

「どうぞアルと!!どうか貴方様のお名前をお教えして頂けませんか…?」

「…東雲環だ。」

「…?」

この世界の人だと日本名は言いにくいのかもしれない。はてなが浮かんでいる。

「うーん、東雲…シノでいいよ。」
「っ!!シノ様ですね!!とても素敵なお名前です!美しい黒髪…漆黒の瞳…まさしくシノ様こそ私が探し求めていた天使様です!!」

アルが目をキラキラさせて言った。と、同時に

ぐううぅぅぅううううう

「あ。」

忘れかけていたお腹が鳴った。これは確実にアルに聞かれている。はずい…。

「…シノ様!空腹なのですね。実は私もかれこれ3日ほど何も食べていないのです。申し訳ありませんが何も持っていないのです…。魔物を1匹以上倒すまで帰ってくるなと言われたのですが…そろそろ街に戻りしょう…。シノ様もご一緒に!」

「あー、街ってあの門の?行き方わかるなら案内してくれるとありがたい。」

「はい!わかります。シノ様は冒険者様なのですか…?何故このようなところに?」

んんん、どうしよう。目覚めたら突然ここにいたなんて言えないし…。

「冒険者にでもなろうと思って田舎から出てきたんだ。そしたら道に迷って。」

とりあえずそれっぽいことを言っておく。あとでボロが出ないといいけど。

「そうなのですね!では、この街はエマ・ハミルトン、別名初心者の街と呼ばれています。
冒険者様たちの多くはこの街から登録をして旅立って行きます。」

冒険者登録とかよく分からなかったから、あとでアルに教えてもらおう。とりあえず街に行こう。
















アルについて歩いて行ったら結構早く門の前についた。うん、目の前だとでかい。
門は閉まっていて警備に騎士っぽい格好をした二人組が立っている。

「アルシア・エスタリカだ。」

アルがその二人に声をかけた。一瞬二人は顔を見合わせ戸惑っていたようだけど、頷いて門を開け始めた。


重たい扉を開けると、中は想像していたよりも賑わっていた。

私の制服を見て珍しそうにこちらを振り返る人もいるが、すぐにその雑踏に戻っていった。服替えなきゃな

「ねアル、どこかに物を売ったり交換してくれる店はない?」
「物を売る店…?ああ、ありますよ。行きますか?」
「うん、まず行きたいかな。」








案内されたのは街の一番奥の奥。店の中は照明が暗く、怪しさが半端ない。しかも小さいから一人ずつくらいでしか入れなさそうだ。

「シノ様…?本当に行かれるのですか?銀貨なら所持しておりますので何か買ってきますよ…?」
「案内ありがと 、ううん大丈夫。ちょっと行ってくるから。」
「承知いたしました。では外で待っていますね。」
「どっか行ってもいいよ。」
「ひどいっっっ!」




カランカラン






中に入っても誰もいない。店の中には服や雑貨などが無造作に置かれている。


「いらっしゃい。」
「うわぁ!!びっくりした…。この店の方ですか?」

暗闇からぬっと出てきたのはローブをかぶった女。顔は見えないから女の子かどうかもわかんないんだけどね。でも声は若い女の子っぽかった。

「失礼な男だね。お前は何を売りに来たんだ?」

男じゃないし…。

「服が欲しくて。私が今着てる服は買い取ってもらえますか?」
「うむ、これは見たことのない服だね。それに素材も滑らかで強い。いい値で買おう。金貨3枚でどうだ?」
「…おかしなこと言わないでくれますか?私にだってものの価値はわかりますよ?」
「ッチ、田舎者じゃあないんだね。仕方ない、金貨15枚でどうだ?」

金貨12枚分もちょろまかそうと思ってたのか。ちょっとふっかけてみたら見事に引っかかってくれた。

「いいですよ、お願いします。あと何か私の持ってるもので売れるものはありますか?」

「うむ…、お前のその髪はどうだ?それほど真っ黒の髪は珍しい。金貨10枚で買い取ろう。」

せめて女に見えるかなと思って伸ばし続けていた髪。まあもういらないっか。

「わかりました。自分で切ればいいですか?」
「私がやってやろう。ほれ、そこの椅子に座れ。」

椅子に座ると店主はどこからかハサミを持ってきた。

「…悔いはないね?」
「ええ、いいです。思いっきりやっちゃってください。」



シャキン、シャキンと髪を首の上あたりから切られる。
よかった。坊主にされるかと思ってちょっと怖かった。









「うん、スッキリ。」
ちょー軽い!長さはバラバラだけど。

「まいどあり、ほれ、金貨25枚だ。」
「ありがとうございます。あとあそこにある服譲ってくれませんか?」
「この服か?男物の中古だぞ。ここに置いておいても売れん。お前にくれてやる。」
「え!いいんっすか。ありがとうございます!頂きます!」
「奥で着替えておいで。サイズが合わなくても文句は言うなよ。」
「ありがとう店主さん。借りるよ。」


更衣室みたいなとこで着替えてみる。ダボダボのズボンみたいなのに上からすぽってかぶるタイプのやつ。説明むずい。
 
「おっと、まだつけっぱだったっけ。」

胸当てを持ってくるのを忘れていて、服の下にさらしを巻いていたのだ。まあほぼないから意味ないけど。
みんな男だって思ってるみたいだしつけっぱでいいかな~うん~めんどいし。

ちょっと裾が長くてずっちゃうけどこのくらい大丈夫だろう。


「店主さん、着れましたよ~。どうですか!!」
「まあまあ似合ってるんじゃない。じゃあこの服は貰っていくよ。」
「はい、服ありがとうございました!」
「はいはい、またのご来店をお待ちしております。」


カランカラン






「うわあああああああああああああああああ!?!?!?シ、シノ様!!??」



こいついたの、忘れてた。
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