不思議物語

ikura

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雪だるま

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「小さな村だな」
久しぶりに実家に帰ってきて第一声がそれだった。不思議とこの村を出る前はそこそこな広さだと思っていた。だが、今改めて見てみるとちっぽけで小さい、そして何も無い。あるものと言えば雪と子供の遊ぶ声。村の大きさでいうと小さいが人はやたらと多い。
まず家に帰り荷物を置いた。
 正月だと言うのに家の中はピリピリしている。理由は妹の受験だ。
『正月くらい帰ってこい』と言われたので帰ってきたらこれだ。
出迎えもない、歓迎もない。
(まぁ、俺的にはそれで構わないけど)
「あら!おかえり!帰って来たなら早く言ってよ!」
居間の方で喧嘩をしていたはずの母親が来た。
(もっと喧嘩しててよかったのに)
「ただいま、またちょっと外に出てくる。なんか懐かしくて」
適当な理由をつけて家を出る。
奥の方から父親が何か言っていたが聞こえないふりをして外に出た。
「さて、どこ行こう…」
なぜか誰も踏んでいない雪を踏みたくて山の方に行くことにした。

しばらく歩いていると木が生えていない広い場所にたどり着いた。その真ん中には雪だるまが作ってあった。
そこには誰の足跡もない。でも、そんなことは気にもとめずその雪だるまの方へ歩いていき
「一人はさみしいだろ?」
そう雪だるまに問いた。案の定返事はない。でも同じぐらいの大きなの雪だるまを隣に作ってやった。
だいぶ時間が経ったのかあたりが暗い
「そろそろ帰るか」
と、呟いた時だった

                     [ありがとう]

と後から聞こえたような気がして振り向いたが、やはり雪だるまが2個置いてあるだけだった。でも何故か、その雪だるまが最初の時と比べて嬉しそうな顔をしているように見えた。
(なんかいいことをした気分だ。)

はやく帰ろう。そして、家の玄関で大きな声で
            「ただいま」
を言うのだ
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