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CASE2:南沢由紀の場合 二
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由紀は、今まで自分に自信を持ったことが、なかった。
それは、由紀の容姿だけでなく、中身に対してもである。
そして由紀は小さい頃から、鏡を見るのが嫌いだった。
例えば朝、小学校に行く前に歯磨きをする時など、由紀は否応なしに、鏡の前に立つことがあった。その度に由紀は、
『私、なんて不細工なんだろう…。』
と、いつも思うのであった。
そしてその感情は、小学校高学年から中学生になり、また高校生になるなど、思春期が深まってくる中で、より一層強くなっていった。
そして由紀は学生時代、特にいじめられた、という訳ではないが、(由紀は、自分の見た目からして、そのことを奇跡のようだと内心思っていた。)由紀の容姿に関するコンプレックスは、一向に消えることはなかった。
また、そのコンプレックスも影響してか、由紀は、幼い時から消極的で、人前に立つのが、苦手であった。
「南沢さん、もう少し、大きな声で発表してくれません?
あなたの声、全然聞こえません。」
これは、由紀が小学生の時に、担任の教師によく言われた言葉である。実際、由紀は授業中の発表の際、全く自信が持てず、いつもか細い声しか出せなかった。そして由紀はこうなるといつも決まって、
「ごめんなさい、先生…。」
と言うのであるが、その声さえも、小さくてよく聞き取れなかった。
そんな調子の由紀であったため、由紀は今まで、男性と付き合ったことが、ほとんどなかった。
もちろん、由紀も女の子なので、今まで好きになった男子は、何人かいた。しかし、由紀は決まって、
『○○くんと、私とじゃ、釣り合わない…。
私、見た目も不細工だし、声も出ないし、暗いし、私なんか、相手にされない…。』
と考え、自分から心の中のシャッターを、下ろしてしまうのであった。
そんな由紀であるが、今まで由紀に告白をして来た男子は、何人かいた。
その時由紀は、
『何で私みたいな、不細工な子を選んだんだろう?』
と内心思ったが、相手の熱意に負けて、付き合うことになったのである。
しかし、そんな恋も、長くは続かなかった。そしてその原因は、決まって由紀の方にあった。なぜなら由紀は、
『今はうまくいっているけど、私の中の暗い部分とか、嫌な部分が見えてきたら、彼は私のことを、嫌いになるに違いない。
そうなったら私、振られちゃう…。私絶対、傷つくなあ…。
そうだ、どうせ傷つくんだったら、自分からこの恋を、終わらせたい。
…悪いけど、彼のことは振ろう…。』
といつも考え、結局、
「ごめんなさい!」
と付き合っている男性の方に伝え、せっかくの恋を自分から終わらせてしまうのであった。(そのため、由紀が男性と付き合った期間は長くて3ヶ月程度であった。)
そんな性格の由紀であったため、リョウと出会い系サイトを通して出会い、自分がこんなに積極的な気持ちになったことが、自分でも意外であった。実際由紀は、(今までの恋愛とどこが違うのか、自分でも分からないが、)リョウに対しては、ネガティブな感情ではなく、
『リョウさんと逢って、もっと、話がしたい。
それで、こんな私だけど、私の全てを、受け入れて欲しい。』
という気持ちになり、自分では考えられないほど、積極的な気持ちになっていた。
だから、リョウから、
『お逢いすることはできません。』
という内容のメッセージが来た時は、由紀はショックを隠しきれなかった。しかし、ここで諦めたら、今までとおんなじだ―。そう思った由紀は、もっと積極的に行こうと決め、リョウに再度、メッセージを送ることにした。
―リョウさんへ
突然のメッセージ、びっくりしています。
それで、私の今の気持ちを、リョウさんに伝えたいと思います。
私、リョウさんのことが、好きです。だから私、リョウさんとお逢いして、話がしたいです。
そして、好きな小説を一緒に読んだりして、2人の時間を、もっともっと共有していきたいです。
だから…、
リョウさん、1度、お逢いできませんか?もし、リョウさんに他に好きな人がいるのなら…、悲しいですが私はリョウさんのことを、諦めます。
でも、このままリョウさんに逢えないで、私はリョウさんのことを諦めることは、できません。
いいお返事、期待して待っています。
ユキより。―
それは、由紀の容姿だけでなく、中身に対してもである。
そして由紀は小さい頃から、鏡を見るのが嫌いだった。
例えば朝、小学校に行く前に歯磨きをする時など、由紀は否応なしに、鏡の前に立つことがあった。その度に由紀は、
『私、なんて不細工なんだろう…。』
と、いつも思うのであった。
そしてその感情は、小学校高学年から中学生になり、また高校生になるなど、思春期が深まってくる中で、より一層強くなっていった。
そして由紀は学生時代、特にいじめられた、という訳ではないが、(由紀は、自分の見た目からして、そのことを奇跡のようだと内心思っていた。)由紀の容姿に関するコンプレックスは、一向に消えることはなかった。
また、そのコンプレックスも影響してか、由紀は、幼い時から消極的で、人前に立つのが、苦手であった。
「南沢さん、もう少し、大きな声で発表してくれません?
あなたの声、全然聞こえません。」
これは、由紀が小学生の時に、担任の教師によく言われた言葉である。実際、由紀は授業中の発表の際、全く自信が持てず、いつもか細い声しか出せなかった。そして由紀はこうなるといつも決まって、
「ごめんなさい、先生…。」
と言うのであるが、その声さえも、小さくてよく聞き取れなかった。
そんな調子の由紀であったため、由紀は今まで、男性と付き合ったことが、ほとんどなかった。
もちろん、由紀も女の子なので、今まで好きになった男子は、何人かいた。しかし、由紀は決まって、
『○○くんと、私とじゃ、釣り合わない…。
私、見た目も不細工だし、声も出ないし、暗いし、私なんか、相手にされない…。』
と考え、自分から心の中のシャッターを、下ろしてしまうのであった。
そんな由紀であるが、今まで由紀に告白をして来た男子は、何人かいた。
その時由紀は、
『何で私みたいな、不細工な子を選んだんだろう?』
と内心思ったが、相手の熱意に負けて、付き合うことになったのである。
しかし、そんな恋も、長くは続かなかった。そしてその原因は、決まって由紀の方にあった。なぜなら由紀は、
『今はうまくいっているけど、私の中の暗い部分とか、嫌な部分が見えてきたら、彼は私のことを、嫌いになるに違いない。
そうなったら私、振られちゃう…。私絶対、傷つくなあ…。
そうだ、どうせ傷つくんだったら、自分からこの恋を、終わらせたい。
…悪いけど、彼のことは振ろう…。』
といつも考え、結局、
「ごめんなさい!」
と付き合っている男性の方に伝え、せっかくの恋を自分から終わらせてしまうのであった。(そのため、由紀が男性と付き合った期間は長くて3ヶ月程度であった。)
そんな性格の由紀であったため、リョウと出会い系サイトを通して出会い、自分がこんなに積極的な気持ちになったことが、自分でも意外であった。実際由紀は、(今までの恋愛とどこが違うのか、自分でも分からないが、)リョウに対しては、ネガティブな感情ではなく、
『リョウさんと逢って、もっと、話がしたい。
それで、こんな私だけど、私の全てを、受け入れて欲しい。』
という気持ちになり、自分では考えられないほど、積極的な気持ちになっていた。
だから、リョウから、
『お逢いすることはできません。』
という内容のメッセージが来た時は、由紀はショックを隠しきれなかった。しかし、ここで諦めたら、今までとおんなじだ―。そう思った由紀は、もっと積極的に行こうと決め、リョウに再度、メッセージを送ることにした。
―リョウさんへ
突然のメッセージ、びっくりしています。
それで、私の今の気持ちを、リョウさんに伝えたいと思います。
私、リョウさんのことが、好きです。だから私、リョウさんとお逢いして、話がしたいです。
そして、好きな小説を一緒に読んだりして、2人の時間を、もっともっと共有していきたいです。
だから…、
リョウさん、1度、お逢いできませんか?もし、リョウさんに他に好きな人がいるのなら…、悲しいですが私はリョウさんのことを、諦めます。
でも、このままリョウさんに逢えないで、私はリョウさんのことを諦めることは、できません。
いいお返事、期待して待っています。
ユキより。―
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