セレニティ

いちご飴

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「なぁ、ルカ。お前学院に通ってみないか?」

いつものように、SS級冒険者としての与えられた任務をこなし、ギルドに報告のために来たら突然、ギルドマスターであり師匠であるレオに提案された。

「師匠、いきなりどうしたんですか?」

「いや、戦争も終わったしこれから、SS級冒険者の出番もあんまりないだろうと思ってな。だったら青春を謳歌してきてもいいと思うぞ。丁度、アルトとゼインも入学するらしいし。お前ら仲よかったよな。」

アルトは公爵家嫡男でゼインはこの国の王太子だ。師匠と現公爵家当主と国王陛下は昔からの親友らしく、その縁で昔から度々交流があった。全員同い年ということもあり、仲は悪くない方だと思う。

しかし、アルトは一緒に戦場で戦った仲間として今も交流があるが、ゼインとは戦争が始まってからは、王太子になるための勉強や戦争での活動などでお互い忙しくて、交流は絶たれていた。

それにゼインは何故か、昔から僕に対して少し攻撃的なところがあった。昔の集まりではよく酷いことを言われていたので、個人的にかなり苦手だ。

だから正直ゼインとは関わりたくないのだが。

「学院って確か入学試験がありましたよね?僕、足し算とかけ算しか出来ませんけど。」

「それは、俺が教えてやる。入学試験に受かるための必要な知識をな。入学試験は筆記と剣術、そして魔法の試験だ。お前なら、剣術と魔法は練習しなくても大丈夫だろうし、筆記は賢いお前のことだから一回見ただけで覚えられるだろ。」

「そんな、投げやりな……。それに僕は剣術はあまり得意ではないんですけど。」

「馬鹿いえ。お前の剣術はアルトとかのオーラを扱うソードマスターに少し劣るぐらいだろうが。お前の剣術はオーラを扱えないにしては、この国の中でもかなり強い方だろ。」

魔法は魔力を使うが、ソードマスターはオーラを使う剣士のことだ。

魔法は魔力がある程度あれば、才能がなくても多少は使うことができるが、オーラは生まれ持った才能で全てが決まる。

オーラは身体にバフをかけることができるという、使いこなせれば魔法に劣ることのない破格の能力だが、生まれ持った才能がなければ一切使うことのできない代物だ。

戦場で魔法を使ってきた身としていえば、魔法は基本的に発動に時間がかかるため、遠距離でないと通用しない。近距離や中距離の場合は剣で一気に間合いを詰めた方が有利なことが多い。

また、オーラをもっと使いこなせれば、斬撃を遠くまで飛ばして遠い所を破壊するということも可能になるため、戦闘にはかなり有利だ。

「あー、でも試験の時、さすがに剣術と魔法は手加減はしろよ?そうしないと試験官の心も体も死ぬだろうから。まあ、お前の魔法の腕は国の最強クラスだから、試験官なんて相手にもならないだろうけど。」

「はぁ、わかりました。」

「ま、もし結果が不合格でも大丈夫だ。そこの学園長とは知り合いだから、脅迫……じゃなかった話し合いで、仮にお前が落ちたとしても学院に入れるように手続きをしてやる。」

「いえ、流石にコネで学院に入るのは嬉しくないので筆記は努力します。あと、SS級冒険者の肩書きは隠したほうがいいですよね?」

「そうだなー。まぁ、隠さなくても面白そうだけどな。みんなからチヤホヤされるぞ?」

SS級冒険者はこの国には一人、つまり僕しかいない。世界には僕を含めて4人しかいない。そして、SS級冒険者は国王陛下の剣と言われるほど、平民であっても発言力と権力を持っている。

「チヤホヤといか、媚を売る人が増えたり、注目されますよね?僕は目立つことは嫌いなんですけど。」

「まぁ、そこら辺は好きにしろ。でも隠すつもりなら隠し通した方がいい。いざという時の切り札として使えるからな。」

「わかりました。」

こうして、僕はSS級冒険者としての肩書きを隠して、ただの平民として学園に入学することになった。
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