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冬に咲く華
冬に咲く華 05
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効いてきた痛み止めに身体を起こし、シャツだけなくズボンとトレーナーに手を通し春崎は顔を上げた。
まだ残る鈍い痛みに、心の中で繰り返す。
--- 後悔はしていないもの…自分だけの野々宮くんを手に入れたから…
確かめた自分の部屋も廊下も洗面所さえ綺麗に片付けられ、自分の犯した罪の痕は何処にも残っていなかった…
--- 暫くはギクシャクするだろうけれど、ナンにもなかった振りをして、数日をやり過ごせばその内野々宮くんも悪い夢みたいに忘れるよね。 ---
風祭にはそのうち何かお礼を兼ねて奢ろうとかつらつら考えつつ冷蔵庫を開けると、ブルーミントのゼリーが紙袋ごと置かれていた。
しかし、それ以外に食べれそうなものが何もない、確かまだピザの残りと小さなオニギリがあったはずだと小首を傾げる春崎は仕方なく近くのコンビニに行くため腰を上げる。
「ゼリーじゃお腹は満たされないしね…食べたくはないけど練習を休むわけには行かないし…」
ここで休んで野々宮は勿論、チームメイトに心配かけたくはなかった。
財布を手にドアの鍵を開けると、瞬間頬を掠める冷たい風、それと共に、暮れなずむ夕方のオレンジを目にする事を予想していた春崎は目の前の影に息を飲んだ。
「なんで?」
大きく見開かれた瞳に映った青年の切なげな顔は、春崎から直ぐに見えなくなった。
遠ざかったからでは無く強く抱き締められ自分のうなじに顔を埋める彼の表情を春崎からは伺い知る事が出きない…
「野々宮くん?」
空調がきいていたとはいえまだ寒い季節に薄着をしていた身体が、触れる野々宮の熱でゆっくりと暖められる心地よさに縋り付く為に上げた両腕を春崎はきつく握り締める。
「風祭が玄関が空くのを待ってろって言ったんでイベントから帰ってきてからずっとここにいた、冷蔵庫の中空っぽにしておいたから動けるようになったらお前が出てくるだろうって…」
自分が目を覚ました時台所から顔を出した風祭の姿が春崎の脳裏を掠める。
「その、すまん…傷付けて本当にすまなかった」
くぐもったその声が繰り返す謝罪に、春崎は拙く首を横に振った。
「野々宮くんが悪いんじゃないよ…僕のせいだから全部僕のせいだから野々宮くんが傷付く事は無いんだ…それより、僕に触ったら野々宮くんが汚れるよ…」
「ナンで?汚しちまったのはオレの方だろうが!」
自分を抱き締める野々宮の声に、春崎が細く笑い答える。
「そう…思わせるように仕向けたんだよ僕が…わざとさ…」
「じゃあ、ナンでそのまんまオレにそう思わせておかなかったんだよ。オレを騙すのなんか簡単だろ?」
「簡単じゃないよ!だって野々宮くんを騙すと僕の心が壊れそうになったんだ!体の痛みなんかどうでも良いくらい!心が痛くてたまらなくなったんだよ!!」
叫ぶ春崎を抱く腕に野々宮は力を込めた。
大きく息を付き、野々宮が一言一言噛み締めるように言葉を選び春崎に語り掛ける。
「オレはバカだから上手くいえねーけど…笑ってるお前より今のお前のが好きだ。身体を傷付けちまったのは何回でも謝る、けど…抱いた事は謝らねぇ…だってお前がお前を欲しかった気持ちは本当だから…」
肩を掴み自分を覗き込む野々宮の真摯な瞳に、春崎は震えた…喉に絡まって声が上手く出せない…
「幾ら綺麗だって可愛くたっって男相手に…好きでもないのに立てられる程オレ器用じゃねぇ」
「のの…むら…くん?」
名を呼ぶと春崎を戒めていた野々宮の腕が解ける。そのまま野々宮は握られていた自分の両手を包み込むように握り、頬に滑らせる唇でそっと春崎の唇を塞いだ。
--- しょっぱい…
絡める舌に感じる潮の味に、春崎は自身が涙を流していたことを知る。
--- 始まりは何でも良い…
---- 欲しかったのものは、ここにある… --
「オレは…祠堂みたいに、お前の事守ってやるなんて言い切れない…でも一緒に歩いていきてーと思うんだお前と…二人…」
ふたりで…
口の中で何度も繰り返した春崎が心から嬉しそうに笑う
その笑顔は眩しい程綺麗で、見ているだけは我慢できずもう1度野々宮は春崎を自分の腕の中に引き寄せた…
まだ残る鈍い痛みに、心の中で繰り返す。
--- 後悔はしていないもの…自分だけの野々宮くんを手に入れたから…
確かめた自分の部屋も廊下も洗面所さえ綺麗に片付けられ、自分の犯した罪の痕は何処にも残っていなかった…
--- 暫くはギクシャクするだろうけれど、ナンにもなかった振りをして、数日をやり過ごせばその内野々宮くんも悪い夢みたいに忘れるよね。 ---
風祭にはそのうち何かお礼を兼ねて奢ろうとかつらつら考えつつ冷蔵庫を開けると、ブルーミントのゼリーが紙袋ごと置かれていた。
しかし、それ以外に食べれそうなものが何もない、確かまだピザの残りと小さなオニギリがあったはずだと小首を傾げる春崎は仕方なく近くのコンビニに行くため腰を上げる。
「ゼリーじゃお腹は満たされないしね…食べたくはないけど練習を休むわけには行かないし…」
ここで休んで野々宮は勿論、チームメイトに心配かけたくはなかった。
財布を手にドアの鍵を開けると、瞬間頬を掠める冷たい風、それと共に、暮れなずむ夕方のオレンジを目にする事を予想していた春崎は目の前の影に息を飲んだ。
「なんで?」
大きく見開かれた瞳に映った青年の切なげな顔は、春崎から直ぐに見えなくなった。
遠ざかったからでは無く強く抱き締められ自分のうなじに顔を埋める彼の表情を春崎からは伺い知る事が出きない…
「野々宮くん?」
空調がきいていたとはいえまだ寒い季節に薄着をしていた身体が、触れる野々宮の熱でゆっくりと暖められる心地よさに縋り付く為に上げた両腕を春崎はきつく握り締める。
「風祭が玄関が空くのを待ってろって言ったんでイベントから帰ってきてからずっとここにいた、冷蔵庫の中空っぽにしておいたから動けるようになったらお前が出てくるだろうって…」
自分が目を覚ました時台所から顔を出した風祭の姿が春崎の脳裏を掠める。
「その、すまん…傷付けて本当にすまなかった」
くぐもったその声が繰り返す謝罪に、春崎は拙く首を横に振った。
「野々宮くんが悪いんじゃないよ…僕のせいだから全部僕のせいだから野々宮くんが傷付く事は無いんだ…それより、僕に触ったら野々宮くんが汚れるよ…」
「ナンで?汚しちまったのはオレの方だろうが!」
自分を抱き締める野々宮の声に、春崎が細く笑い答える。
「そう…思わせるように仕向けたんだよ僕が…わざとさ…」
「じゃあ、ナンでそのまんまオレにそう思わせておかなかったんだよ。オレを騙すのなんか簡単だろ?」
「簡単じゃないよ!だって野々宮くんを騙すと僕の心が壊れそうになったんだ!体の痛みなんかどうでも良いくらい!心が痛くてたまらなくなったんだよ!!」
叫ぶ春崎を抱く腕に野々宮は力を込めた。
大きく息を付き、野々宮が一言一言噛み締めるように言葉を選び春崎に語り掛ける。
「オレはバカだから上手くいえねーけど…笑ってるお前より今のお前のが好きだ。身体を傷付けちまったのは何回でも謝る、けど…抱いた事は謝らねぇ…だってお前がお前を欲しかった気持ちは本当だから…」
肩を掴み自分を覗き込む野々宮の真摯な瞳に、春崎は震えた…喉に絡まって声が上手く出せない…
「幾ら綺麗だって可愛くたっって男相手に…好きでもないのに立てられる程オレ器用じゃねぇ」
「のの…むら…くん?」
名を呼ぶと春崎を戒めていた野々宮の腕が解ける。そのまま野々宮は握られていた自分の両手を包み込むように握り、頬に滑らせる唇でそっと春崎の唇を塞いだ。
--- しょっぱい…
絡める舌に感じる潮の味に、春崎は自身が涙を流していたことを知る。
--- 始まりは何でも良い…
---- 欲しかったのものは、ここにある… --
「オレは…祠堂みたいに、お前の事守ってやるなんて言い切れない…でも一緒に歩いていきてーと思うんだお前と…二人…」
ふたりで…
口の中で何度も繰り返した春崎が心から嬉しそうに笑う
その笑顔は眩しい程綺麗で、見ているだけは我慢できずもう1度野々宮は春崎を自分の腕の中に引き寄せた…
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