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ぽじしょんシンドローム
ぽじしょんシンドローム 13(完結)
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「もう、食べないのか?」
祠堂に話かけられた風祭は彼が手に持つ皿にこんもり盛られた料理に目を丸くしながらふんわりと笑いかけた。
「うん、もうお腹一杯、祠堂も腹を壊さない程度に食べろよ」
手に持つ飲みかけのジンジャエールを机に置く風祭が祠堂の口の横についたソースに気付き、ナプキンで拭ってやる。
目撃した4組の生徒達は少し慌てて目を逸らしたり、横腹をつつき合っていたが1組の面々は何時もの事なので気にもかけてない様子だった。
最近はあまりに普通に皆に受け入れられていたので当たり前のように祠堂の面倒をみてしまった風祭が、周りのざわめいた空気に気付き慌てて手をひっこめる。
「ちょっと、風祭最近変…だぞ、何か悩みでもあるのか?」
好物のケサディーヤを箸で摘みパクンと口に放り込む祠堂の言葉に、言い淀む風祭が楽しげに如月と談笑している銀の髪を遠くに見つけぐっと拳を握った。
寮の台所で一宮が忠告してくれた言葉を自分の中で数回反芻する。
……何か引っかかる事があれば本人に聞け、自分の中で考えるだけでは正しい答えは出せないぞ
「えっと…、俺は祠堂と離れても……誰かに…心移したりは…しない…」
どう言えば上手く伝わるのか…もどかしく思いながら下を向き拙く言葉を綴る風祭は顔を上げたそこに思わぬ近さの祠堂の顔を見つけぼぉっと頬を赤らめた。
「えっと…風祭がちょっと側から離れたからって、オレの事嫌いになるとか恋人を作ったりするとかは、全然思ってないよ
勉強頑張ったのは離れる事で風祭が心代わりをする事を心配したんじゃなくてさ…
風祭の為に自分が頑張れる事をしたかったからなんだけど
言葉足りなくて、心配させてごめんな」
「ううん、俺もちょっと考えすぎて ごめん
えっと、勉強…俺のために頑張ってくれたんだ?」
「うんそう、風祭だけの為に頑張ったんだよ」
断言する祠堂にさらに上がる頬の熱を隠すように風祭が両頬を抑える。
その額に、コツンと自らの額をくっつける祠堂がニコニコするのに、風祭も蕩けそうな笑顔で「ありがとう」と、答えた。
その二人のやりとりを遠くから見やる春崎が微妙な笑みで水谷に話かける。
クラブの練習の最中にはふたりとも厳しくてあんな甘ったるい雰囲気は殆ど見せない。
「何時もあんなんなの?あの二人」
「うん、イッツもあんなだよ~あ、ダメダメ!とっちゃダメぇ 春崎!!それ、もう残り少なかったんだからな!!」
自分の皿からさらわれるミルクレープに、水谷が悲鳴をあげる。
「クレープなら、あっちに一杯あるじゃないか」
綺麗に一口大に切り分けたミルクレープを野々宮の口に運ぶ春崎は水谷の抗議についと近くの机をフォークで指す。
「あっちは生クリームとイチゴのやつなの!それサーモンだよ!」
「1番奥にもあったと思うよ、まだ、沢山あったからとってきてあげようか?」
綺麗な赤い色のジュース片手に話かけてきた佐野に「自分でとって来る!ありがとう!」と勢い良く駈けてゆく水谷の癖っ毛がぴょんぴょんと跳ねる。
「祠堂と風祭って、寮ではあんな感じじゃないんだ」
楽しげな水谷の後ろ姿を愛おしそうに見送る佐野の言葉に、器用にエビの殻を剥きソースに絡め野々宮の口元に持っていく春崎が小首を傾げた。
「どうだったかな…何時も練習が終わったら疲れてすぐ寝ちゃうし、休憩の時間は殆ど野々宮くんの部屋に僕はいるから良くわらないけど…」
「何時もあんな感じだよ彼奴等は、ていうか自分で食えるから」
先ほどから甲斐甲斐しく自分の面倒を見る春崎に、1組の生徒達に注目されるのを野々宮が恥ずかしがって差し出された好物から顔を逸らす。
こちらも、やはり何時もの事なので4組の面々は気にかけない。
「ダメだよ!ソースで包帯が汚れるよ、利き手まだ完治してないんだから!
そっちの串焼きは良いけど、これは、はい、あ~ん」
仕方なさげな風を装いながらも、好物と春崎に構ってもらうのが嫌いではない野々宮が口を開く。
どっちもどっちも熱々だなぁと苦笑する佐野の元に、「これね、凄く美味しいから佐野のぶんも持って来たよv」と、水谷が戻ってきた。
水谷に微笑み返す佐野はクラスどろか学校でも名物になってしまっているバカップル達と同じ笑を自分自身が浮かべている事実には気づかないふりを決め込んだ。
心地良い風の吹く初夏の日差しの下で行われる祝賀会が楽しく続く。
パーティ会場の一角で皆の姿が1番良く見える屋敷中央の階段で私服の白いドレスを纏った由梨奈が自分の横に立つ如月に手に持つグラスを近づけた。
「あっちも、こっちも丸く収まって良かった事」
はしゃぐ同級生達の姿を満足そうに見守る如月も、由梨奈のグラスに自分のグラスを近づける。
「大変な事もあったが、収穫も大きかったな…
皆の笑顔が何よりの褒美といった所か」
「そうね」と綺麗に笑う由梨奈に見惚れながら如月が差し出されたガラスにガラスを合わせる音が、青空に拭き上げる一陣の風に乗って涼やかに響き渡った。
END
祠堂に話かけられた風祭は彼が手に持つ皿にこんもり盛られた料理に目を丸くしながらふんわりと笑いかけた。
「うん、もうお腹一杯、祠堂も腹を壊さない程度に食べろよ」
手に持つ飲みかけのジンジャエールを机に置く風祭が祠堂の口の横についたソースに気付き、ナプキンで拭ってやる。
目撃した4組の生徒達は少し慌てて目を逸らしたり、横腹をつつき合っていたが1組の面々は何時もの事なので気にもかけてない様子だった。
最近はあまりに普通に皆に受け入れられていたので当たり前のように祠堂の面倒をみてしまった風祭が、周りのざわめいた空気に気付き慌てて手をひっこめる。
「ちょっと、風祭最近変…だぞ、何か悩みでもあるのか?」
好物のケサディーヤを箸で摘みパクンと口に放り込む祠堂の言葉に、言い淀む風祭が楽しげに如月と談笑している銀の髪を遠くに見つけぐっと拳を握った。
寮の台所で一宮が忠告してくれた言葉を自分の中で数回反芻する。
……何か引っかかる事があれば本人に聞け、自分の中で考えるだけでは正しい答えは出せないぞ
「えっと…、俺は祠堂と離れても……誰かに…心移したりは…しない…」
どう言えば上手く伝わるのか…もどかしく思いながら下を向き拙く言葉を綴る風祭は顔を上げたそこに思わぬ近さの祠堂の顔を見つけぼぉっと頬を赤らめた。
「えっと…風祭がちょっと側から離れたからって、オレの事嫌いになるとか恋人を作ったりするとかは、全然思ってないよ
勉強頑張ったのは離れる事で風祭が心代わりをする事を心配したんじゃなくてさ…
風祭の為に自分が頑張れる事をしたかったからなんだけど
言葉足りなくて、心配させてごめんな」
「ううん、俺もちょっと考えすぎて ごめん
えっと、勉強…俺のために頑張ってくれたんだ?」
「うんそう、風祭だけの為に頑張ったんだよ」
断言する祠堂にさらに上がる頬の熱を隠すように風祭が両頬を抑える。
その額に、コツンと自らの額をくっつける祠堂がニコニコするのに、風祭も蕩けそうな笑顔で「ありがとう」と、答えた。
その二人のやりとりを遠くから見やる春崎が微妙な笑みで水谷に話かける。
クラブの練習の最中にはふたりとも厳しくてあんな甘ったるい雰囲気は殆ど見せない。
「何時もあんなんなの?あの二人」
「うん、イッツもあんなだよ~あ、ダメダメ!とっちゃダメぇ 春崎!!それ、もう残り少なかったんだからな!!」
自分の皿からさらわれるミルクレープに、水谷が悲鳴をあげる。
「クレープなら、あっちに一杯あるじゃないか」
綺麗に一口大に切り分けたミルクレープを野々宮の口に運ぶ春崎は水谷の抗議についと近くの机をフォークで指す。
「あっちは生クリームとイチゴのやつなの!それサーモンだよ!」
「1番奥にもあったと思うよ、まだ、沢山あったからとってきてあげようか?」
綺麗な赤い色のジュース片手に話かけてきた佐野に「自分でとって来る!ありがとう!」と勢い良く駈けてゆく水谷の癖っ毛がぴょんぴょんと跳ねる。
「祠堂と風祭って、寮ではあんな感じじゃないんだ」
楽しげな水谷の後ろ姿を愛おしそうに見送る佐野の言葉に、器用にエビの殻を剥きソースに絡め野々宮の口元に持っていく春崎が小首を傾げた。
「どうだったかな…何時も練習が終わったら疲れてすぐ寝ちゃうし、休憩の時間は殆ど野々宮くんの部屋に僕はいるから良くわらないけど…」
「何時もあんな感じだよ彼奴等は、ていうか自分で食えるから」
先ほどから甲斐甲斐しく自分の面倒を見る春崎に、1組の生徒達に注目されるのを野々宮が恥ずかしがって差し出された好物から顔を逸らす。
こちらも、やはり何時もの事なので4組の面々は気にかけない。
「ダメだよ!ソースで包帯が汚れるよ、利き手まだ完治してないんだから!
そっちの串焼きは良いけど、これは、はい、あ~ん」
仕方なさげな風を装いながらも、好物と春崎に構ってもらうのが嫌いではない野々宮が口を開く。
どっちもどっちも熱々だなぁと苦笑する佐野の元に、「これね、凄く美味しいから佐野のぶんも持って来たよv」と、水谷が戻ってきた。
水谷に微笑み返す佐野はクラスどろか学校でも名物になってしまっているバカップル達と同じ笑を自分自身が浮かべている事実には気づかないふりを決め込んだ。
心地良い風の吹く初夏の日差しの下で行われる祝賀会が楽しく続く。
パーティ会場の一角で皆の姿が1番良く見える屋敷中央の階段で私服の白いドレスを纏った由梨奈が自分の横に立つ如月に手に持つグラスを近づけた。
「あっちも、こっちも丸く収まって良かった事」
はしゃぐ同級生達の姿を満足そうに見守る如月も、由梨奈のグラスに自分のグラスを近づける。
「大変な事もあったが、収穫も大きかったな…
皆の笑顔が何よりの褒美といった所か」
「そうね」と綺麗に笑う由梨奈に見惚れながら如月が差し出されたガラスにガラスを合わせる音が、青空に拭き上げる一陣の風に乗って涼やかに響き渡った。
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