職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

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【第5章】ダンジョン経営の実態

エピソード.18

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 翌朝、拓海は早くから起きていた。

 窓から差し込む朝日を浴びながら、昨日作成したリストを見直す。

 今日から、本格的な改善作業が始まる。

 ノックの音が聞こえた。

「拓海くん、起きてる?」

 美咲の声だ。

「ああ、入って」

 美咲が部屋に入ってきた。すでに作業着に着替えている。

「準備できてる?」

「ああ」

 拓海も立ち上がった。

「じゃあ、リリアさんのところに行こう」

-----

 リリアの部屋では、すでに朝食の準備ができていた。

 三人で簡単に食事を済ませると、リリアが資料を広げた。

「今日から本格的に作業を始めるけど、まず現状を数値で確認しておきましょう」

 彼女が一枚の羊皮紙を示した。

 そこには、グラフと数字が書かれている。

「これが、今月の魔力生産量」

 拓海は数値を見た。

-----

魔力生産量(今月)

目標:1000単位  
現在:680単位(月初から20日経過)  
達成率:68%

予測:このペースでは850単位で終了  
不足:150単位(-15%)

-----

「……厳しいですね」

 拓海が呟いた。

「ええ」

 リリアの表情が曇った。

「このままだと、今月も未達成」

「四ヶ月連続になるわ」

「四ヶ月連続だと……?」

「解任が確実になる」

 リリアは静かに答えた。

「だから、今月中に改善の兆しを見せないといけない」

 拓海は計算した。

 残り十日で、320単位を生産する必要がある。

 一日平均32単位。

 現在のペースは一日34単位。

 ほとんど余裕がない。

「でも、改善すれば間に合う」

 拓海は断言した。

「第二層を浄化すれば、効率が10~15%上がる」

「そうすれば、一日38~40単位になる」

「本当に?」

 リリアが希望の光を宿した目で拓海を見た。

「分かりません。でも、やってみる価値はあります」

「分かったわ」

 リリアが立ち上がった。

「じゃあ、すぐに始めましょう」

-----

 三人は第二層に向かった。

 昨日、美咲が少しだけ浄化した場所を通り過ぎる。

 そこは確かに綺麗になっていて、空気も澄んでいる気がした。

「ここから始める?」

 美咲が尋ねた。

「ああ」

 拓海はリストを見た。

「まず、主要通路を優先する」

「分かった」

 美咲は深呼吸をして、手を伸ばした。

 スキル「クレンジング」発動。

 淡い緑色の光が、床と壁を包んでいく。

 黒い染み、血痕、苔。

 全てが徐々に消えていく。

 リリアが驚いたように見ていた。

「すごい……」

 彼女は床に手を触れた。

「魔力の流れが、明らかに改善されてる」

「本当ですか?」

 美咲が嬉しそうに尋ねた。

「ええ」

 リリアが頷いた。

「この調子でお願い」

 美咲は頷き、作業を続けた。

 しかし、十五分ほど経つと、彼女の顔に疲労の色が見え始めた。

「美咲、休憩」

 拓海が声をかけた。

「え、でもまだ……」

「無理するな。スケジュール通りに進める」

 美咲は少し不満そうだったが、頷いた。

 三人は通路の脇に座り、水を飲んだ。

「どう?体調は」

 リリアが美咲に尋ねた。

「大丈夫です。ちょっと疲れただけ」

「無理は禁物よ」

 リリアは優しく言った。

「長期戦なんだから」

「はい」

 美咲が笑顔で答えた。

-----

 休憩後、再び作業を開始した。

 美咲が浄化を続ける間、拓海は周囲を分析していた。

 スキル「傾向分析」で、魔力の流れを可視化する。

「リリアさん」

 拓海が呼びかけた。

「何?」

「ここの壁の亀裂、修復できますか?」

 拓海が壁を指差した。

 そこには、縦に長い亀裂があり、水が染み出している。

「ええ、できるわ」

 リリアが手をかざした。

 魔法陣が空中に浮かび上がり、光が壁を包む。

 数秒後、亀裂が塞がった。

「これでいい?」

「はい。ありがとうございます」

 拓海は確認した。

 魔力の流れが、わずかに改善された。

「小さな改善の積み重ねが、大きな成果につながる」

 拓海は呟いた。

 リリアが感心したように拓海を見た。

「あなた、本当に優秀ね」

「スキルのおかげです」

「いいえ」

 リリアは首を振った。

「スキルだけじゃない」

「あなたには、物事を冷静に分析する才能がある」

 拓海は何も言わなかったが、内心では嬉しかった。

 認められる。

 それが、どれほど嬉しいことか。

-----

 二時間ほど作業を続けたところで、美咲が限界に達した。

「ごめん……もう……」

 彼女がその場に座り込んだ。

「無理するな」

 拓海が駆け寄った。

「今日はここまでにしよう」

「でも……」

「十分だ」

 リリアも頷いた。

「これだけでも、かなりの成果よ」

 三人は居住区に戻った。

 美咲は疲れ切った様子で、自分の部屋に入っていった。

「少し休ませてあげて」

 リリアが拓海に言った。

「分かってます」

「あなたも、無理しないでね」

 リリアが優しく微笑んだ。

「あなたは司令塔なんだから」

「倒れられたら、困るわ」

「気をつけます」

 拓海は自分の部屋に戻り、今日の成果を記録し始めた。

-----

作業記録(1日目)

作業時間:2時間  
浄化範囲:第二層主要通路の約8%  
改善効果:魔力流れの改善(体感)

美咲の状態:疲労あり、休息必要  
明日の予定:同様のペースで継続

備考:

- 壁の亀裂3箇所を修復(リリア協力)
- 魔力循環の微細な改善を確認
- ペース配分は適切

-----

 記録を終えた拓海は、窓辺に立った。

 夕日が、魔法の窓を照らしている。

 一日目。

 確かな手応えがあった。

 このペースを続ければ、一ヶ月後には大きな成果が出るはずだ。

「絶対に、成功させる」

 拓海は決意を新たにした。
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