職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ

文字の大きさ
21 / 96
【第5章】ダンジョン経営の実態

エピソード.21

しおりを挟む
 二週間が経過した。

 ダンジョンの変化は、誰の目にも明らかだった。

 第二層は完全に浄化され、第一層の主要部分も清掃が進んでいる。

 モンスターの配置は最適化され、トラップも効果的に機能している。

 そして、魔力生産量は——

「信じられない……」

 リリアが資料を見つめて呟いた。

-----

魔力生産量(2週間後)

改善前:34単位/日  
現在:46単位/日

改善率:+35.3%

月間予測:1380単位(目標1000単位)  
超過達成:+38%

-----

 拓海も数字を見て、興奮を抑えきれなかった。

「予想を遥かに超えてます」

「ええ」

 リリアの声が震えていた。

「こんなこと、初めて……」

 彼女は顔を上げた。その目には、涙が浮かんでいた。

「ありがとう、本当に……」

「まだ終わってません」

 拓海は冷静に言った。

「あと二週間で、さらに改善できます」

「第三層の最適化、最深部の魔法陣修復」

「全部終われば、50単位/日も夢じゃない」

「50……」

 リリアが息を呑んだ。

「それは、標準の1.5倍よ」

「可能です」

 拓海は断言した。

「美咲とゴブリンたちの協力があれば」

 美咲が嬉しそうに頷いた。

「頑張る」

-----

 その日の午後、拓海は第三層の最深部にいた。

 玉座の間の奥、魔力結晶が生成される部屋だ。

 床一面に巨大な魔法陣が描かれているが、一部が劣化している。

 リリアが拓海の隣に立った。

「ここが、魔力結晶の生成場所」

 彼女が説明した。

「魔力がここに集まり、結晶化する」

「でも、魔法陣が劣化してるから、効率が悪い」

 拓海はスキル「情報収集」で魔法陣を分析した。

-----

魔法陣の状態

劣化箇所:北東部分(全体の15%)  
魔力損失:推定20%  
原因:長年のメンテナンス不足

修復方法:

- 劣化部分の魔力再注入
- 陣の線を再描画
- 中心部の魔石交換

-----

「修復できますか?」

 拓海がリリアに尋ねた。

「ええ」

 リリアが頷いた。

「でも、一人では時間がかかる」

「手伝います」

「え?でも、魔力がないでしょう?」

「魔石を使えば、僕でもできるはずです」

 拓海は図書館で読んだ知識を思い出していた。

「魔石に魔力を込めて、陣に配置する」

「それなら、魔力がなくてもできる」

「……試してみましょう」

-----

 リリアが魔石を取り出した。

 青く光る小さな石だ。

「これに、私の魔力を込める」

 リリアが手をかざすと、魔石が強く光った。

「これを、劣化部分に置いて」

 拓海は魔石を受け取り、魔法陣の指定された場所に配置した。

 すると、魔石から光が広がり、陣の線が修復されていく。

「できた……」

 拓海が驚いた。

「あなた、センスあるわ」

 リリアが感心した。

「初めてなのに、完璧な位置に置いた」

「スキルです」

「いいえ」

 リリアは首を振った。

「スキルだけじゃない」

「魔法陣の構造を瞬時に理解した」

「あなたには、魔法の才能もあるわ」

 拓海は何も言わなかったが、内心では嬉しかった。

 二人は作業を続け、数時間後には魔法陣の修復を完了した。

 床全体が青白く光り、魔力が力強く循環し始める。

「すごい……」

 リリアが感動の声を上げた。

「魔力の流れが、こんなにも強く……」

 彼女は拓海を見た。

「これで、結晶の生成効率が大幅に上がるわ」

「予測では、さらに10%の改善が見込めます」

 拓海が答えた。

-----

 夕方、三人は再び執務室に集まった。

 今日の成果を報告し合う。

「第三層の清掃も、ほぼ終わりました」

 美咲が報告した。

「ゴルグさんたちが、すごく協力してくれて」

「そう」

 リリアが微笑んだ。

「みんな、あなたのことが好きなのよ」

「え……?」

 美咲が驚いた。

「ゴブリンたちは、あなたを『光の巫女』って呼んでる」

「光の……巫女?」

「ええ」

 リリアが説明した。

「あなたの浄化の光を見て、そう呼び始めたの」

「彼らにとって、あなたは特別な存在よ」

 美咲の目に、涙が浮かんだ。

「そんな……私なんて……」

「いいえ」

 リリアは真剣に言った。

「あなたは特別よ」

「掃除係なんて職業、誰も評価しなかった」

「でも、ここでは違う」

「あなたは、このダンジョンの救世主なの」

 美咲は涙を拭いた。

「ありがとうございます……」

 拓海も、美咲の成長を嬉しく思っていた。

 一ヶ月前まで、彼女は自信を失っていた。

 しかし今は、誇りを持って働いている。

「さて」

 リリアが立ち上がった。

「実は、今日はお知らせがあるの」

「お知らせ?」

「明日、魔王軍の視察が来る」

 その言葉に、拓海と美咲は緊張した。

「視察……」

「ええ」

 リリアが説明した。

「月に一度、魔王軍の幹部が各ダンジョンを視察する」

「生産量を確認して、評価を下すの」

「まずい……」

 拓海が呟いた。

「俺たちのこと、知られたら……」

「大丈夫」

 リリアは安心させるように言った。

「あなたたちは私の配下」

「正式な契約よ」

「魔王軍も、それを咎めることはできない」

「でも……」

「信じて」

 リリアがまっすぐ二人を見た。

「私が守る」

 拓海は美咲を見た。

 彼女も不安そうだが、頷いた。

「分かりました」

 拓海が答えた。

「リリアさんを信じます」

-----

 その夜、拓海は眠れなかった。

 明日の視察。

 もし魔王軍が、転移者が魔王軍に協力していることを問題視したら。

 もし、クラスメイトたちにこのことが知られたら。

 様々な不安が、頭を巡る。

 ノックの音が聞こえた。

「拓海くん?」

 美咲の声だ。

「入って」

 美咲が部屋に入ってきた。

 彼女も眠れないようだ。

「怖い……?」

「少し」

 拓海は正直に答えた。

「でも、逃げるわけにはいかない」

「うん」

 美咲が隣に座った。

「私も怖い」

「でも、リリアさんを信じたい」

「ああ」

 二人は窓の外を見た。

 星空が、静かに輝いている。

「明日、何が起きても」

 拓海が呟いた。

「俺たちは、ここで頑張ってきた」

「その事実は変わらない」

「……うん」

 美咲が小さく笑った。

「一緒に、乗り越えようね」

「ああ」

 二人は夜が明けるまで、静かに語り合った。

 不安はあった。

 しかし、二人には確かな絆があった。

 そして、リリアという信頼できる仲間がいた。

 それだけで、十分戦える。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

処理中です...