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【第16章】戦闘訓練プログラム
エピソード.74
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訓練が二週目に入った日、転移者同士の模擬戦が行われることになった。
訓練場の中央に、二つのチームが向かい合う。橋本チームと田中チーム。それぞれ五名ずつだ。
観客席には、魔王軍の兵士たちが座っている。評価のためだ、とグレイスが言った。
拓海は訓練場の端に立ち、腕を組んでいた。
「両チーム、準備はいいか?」
グレイスの声が響く。
橋本が木剣を構える。後衛に魔法使いが二人。前衛に剣士が二人。そして橋本自身も魔法使いだ。
田中チームも同じような配置だ。田中が盾を構え、中村が剣を握る。
「それでは、始め!」
合図と同時に、両チームが動き出した。
橋本が魔法を詠唱する。火球が形成され、田中チームの前衛に向かって飛ぶ。田中が盾で受ける。炎が盾に当たり、火花が散った。
その隙に、田中チームの後衛が支援魔法を唱える。味方の動きが速くなる。中村が横から回り込み、橋本チームの前衛に斬りかかる。
橋本チームの剣士が受ける。金属音が響く。
陣形を組み、連携し、魔法で支援する。
それは、もう遊びなんかじゃなかった。
本物の戦闘だった。
観客席から、兵士たちの声が聞こえる。
「おお、なかなかやるじゃないか」
「陣形がしっかりしてる。基礎ができてるな」
「この調子なら、実戦でも十分使えるぞ」
拓海の胸が締め付けられる。
実戦でも使える。
その言葉の意味を、転移者たちは理解しているのだろうか。
模擬戦は十分ほど続き、最終的に橋本チームが勝利した。
両チームが握手を交わす。みんな息を切らせながら、笑顔だ。
「やったね! 連携がうまくいったよ」
「田中たちも強かった。あの支援魔法、いいタイミングだったよ」
田中が苦笑する。
「負けたけどな。でも、いい訓練になった」
グレイスが前に出て、講評を始める。転移者たちは真剣に聞いている。
拓海は、その光景を見ているしかできなかった。
休憩時間。
橋本が仲間三人と、訓練場の隅で輪になっていた。
「ねえ、なんか変じゃない?」
橋本が小声で言う。
「何が?」
一人が首を傾げる。
「この訓練……自衛のためって聞いたけど、なんでこんなに本格的なの?」
橋本が周りを見回す。誰も聞いていないことを確認して、続ける。
「陣形とか、魔法支援とか、連携とか……まるで軍隊の訓練みたい」
仲間たちが顔を見合わせる。
「確かに……言われてみれば」
「ダンジョン攻略なら、もっと違う訓練でいい気がする」
「パーティごとの個別訓練とか、罠の見破り方とか」
橋本が頷く。
「そうなの。でも今やってるのは、まるで……」
言葉が続かない。でも、みんな同じことを考えていた。
戦争の訓練みたいだ、と。
その日の訓練が終わった後。
橋本が拓海に声をかけた。
「蒼井くん、ちょっといい?」
拓海が振り返る。橋本の表情は、いつもの明るさがなかった。
「どうした、橋本」
「この訓練って……本当に自衛のためだけ?」
橋本が真っ直ぐに拓海を見つめる。
拓海が一瞬、言葉に詰まる。
「橋本……」
「私たち、何のために訓練させられてるの?」
橋本の声が震える。
「ダンジョン攻略のためじゃないよね。だって、こんなに本格的な軍事訓練、必要ないもん」
拓海は、橋本の目から視線を逸らせなかった。
この子は、気づき始めている。
真実に。
拓海が深呼吸する。
「今夜、全員に話す。食堂に集まってくれ」
「全員に?」
「ああ。みんなに、知る権利がある」
拓海が橋本の肩に手を置く。
「今は、何も言えない。でも今夜、全て話す」
橋本が不安そうな表情で頷く。
「分かった……待ってる」
橋本が去っていく。その背中が、とても小さく見えた。
拓海は訓練場に一人残り、空を見上げた。
夕日が沈んでいく。赤く染まった空が、まるで血のようだった。
今夜、真実を告げる。
そうすれば、全てが変わる。
クラスは分裂するだろう。仲間は離れるかもしれない。でも、このまま黙っていることはできない。
みんなを、侵略の兵士にするわけにはいかない。
拓海が拳を握る。
覚悟を決めた。
今夜、運命が動き出す。
訓練場の中央に、二つのチームが向かい合う。橋本チームと田中チーム。それぞれ五名ずつだ。
観客席には、魔王軍の兵士たちが座っている。評価のためだ、とグレイスが言った。
拓海は訓練場の端に立ち、腕を組んでいた。
「両チーム、準備はいいか?」
グレイスの声が響く。
橋本が木剣を構える。後衛に魔法使いが二人。前衛に剣士が二人。そして橋本自身も魔法使いだ。
田中チームも同じような配置だ。田中が盾を構え、中村が剣を握る。
「それでは、始め!」
合図と同時に、両チームが動き出した。
橋本が魔法を詠唱する。火球が形成され、田中チームの前衛に向かって飛ぶ。田中が盾で受ける。炎が盾に当たり、火花が散った。
その隙に、田中チームの後衛が支援魔法を唱える。味方の動きが速くなる。中村が横から回り込み、橋本チームの前衛に斬りかかる。
橋本チームの剣士が受ける。金属音が響く。
陣形を組み、連携し、魔法で支援する。
それは、もう遊びなんかじゃなかった。
本物の戦闘だった。
観客席から、兵士たちの声が聞こえる。
「おお、なかなかやるじゃないか」
「陣形がしっかりしてる。基礎ができてるな」
「この調子なら、実戦でも十分使えるぞ」
拓海の胸が締め付けられる。
実戦でも使える。
その言葉の意味を、転移者たちは理解しているのだろうか。
模擬戦は十分ほど続き、最終的に橋本チームが勝利した。
両チームが握手を交わす。みんな息を切らせながら、笑顔だ。
「やったね! 連携がうまくいったよ」
「田中たちも強かった。あの支援魔法、いいタイミングだったよ」
田中が苦笑する。
「負けたけどな。でも、いい訓練になった」
グレイスが前に出て、講評を始める。転移者たちは真剣に聞いている。
拓海は、その光景を見ているしかできなかった。
休憩時間。
橋本が仲間三人と、訓練場の隅で輪になっていた。
「ねえ、なんか変じゃない?」
橋本が小声で言う。
「何が?」
一人が首を傾げる。
「この訓練……自衛のためって聞いたけど、なんでこんなに本格的なの?」
橋本が周りを見回す。誰も聞いていないことを確認して、続ける。
「陣形とか、魔法支援とか、連携とか……まるで軍隊の訓練みたい」
仲間たちが顔を見合わせる。
「確かに……言われてみれば」
「ダンジョン攻略なら、もっと違う訓練でいい気がする」
「パーティごとの個別訓練とか、罠の見破り方とか」
橋本が頷く。
「そうなの。でも今やってるのは、まるで……」
言葉が続かない。でも、みんな同じことを考えていた。
戦争の訓練みたいだ、と。
その日の訓練が終わった後。
橋本が拓海に声をかけた。
「蒼井くん、ちょっといい?」
拓海が振り返る。橋本の表情は、いつもの明るさがなかった。
「どうした、橋本」
「この訓練って……本当に自衛のためだけ?」
橋本が真っ直ぐに拓海を見つめる。
拓海が一瞬、言葉に詰まる。
「橋本……」
「私たち、何のために訓練させられてるの?」
橋本の声が震える。
「ダンジョン攻略のためじゃないよね。だって、こんなに本格的な軍事訓練、必要ないもん」
拓海は、橋本の目から視線を逸らせなかった。
この子は、気づき始めている。
真実に。
拓海が深呼吸する。
「今夜、全員に話す。食堂に集まってくれ」
「全員に?」
「ああ。みんなに、知る権利がある」
拓海が橋本の肩に手を置く。
「今は、何も言えない。でも今夜、全て話す」
橋本が不安そうな表情で頷く。
「分かった……待ってる」
橋本が去っていく。その背中が、とても小さく見えた。
拓海は訓練場に一人残り、空を見上げた。
夕日が沈んでいく。赤く染まった空が、まるで血のようだった。
今夜、真実を告げる。
そうすれば、全てが変わる。
クラスは分裂するだろう。仲間は離れるかもしれない。でも、このまま黙っていることはできない。
みんなを、侵略の兵士にするわけにはいかない。
拓海が拳を握る。
覚悟を決めた。
今夜、運命が動き出す。
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