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その映像は、全世界に流出した
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【帝国歴史省 公式記録文書 第7824号】
帝国歴四〇三年、秋。
隣国フローレンス王国より、一人の令嬢が追放された。
罪状は「王太子への不敬」「聖女への暴言」「国家反逆の意図」。
処刑こそ免れたものの、彼女は国境を越え、我がヴァルトシュタイン帝国へと流れ着いた。
彼女の名は、ティアラ。
公爵家の一人娘にして、かつてはフローレンス王国の次期王妃候補。
現在は──我が帝国、皇帝陛下の「庇護下」にある。
以下の記録映像は、本来、帝国内の極秘資料として厳重に管理されるはずであった。
しかし。
ある日、一通の魔導通信が「誤送信」された。
宛先は、全世界の通信水晶。
これは、その記録である。
-----
【映像ログ001】
送信日時:帝国歴四〇三年 秋 第三の月 15日 深夜2時34分
撮影場所:ヴァルトシュタイン帝国 皇帝私室
撮影者:帝国記録官 ハインリヒ
-----
(映像開始)
暖炉の炎が、ゆらゆらと揺れている。
画面の端には、高価そうな絨毯と、天蓋付きの寝台。
これは──皇帝陛下の私室だ。
そして、画面中央。
ソファに座る銀髪の男がいた。
切れ長の瞳は氷のように冷たく、端正な顔立ちには一切の感情がない。
ヴァルトシュタイン帝国皇帝、ジークハルト。
周辺国から「氷の皇帝」「血も涙もない暴君」と恐れられる男である。
その膝の上に。
蜂蜜色の髪をした令嬢が、すやすやと眠っていた。
「……ん」
令嬢が小さく身じろぎをする。
すると、皇帝の表情が──変わった。
「寒いか?」
声が、甘い。
あの「氷の皇帝」の声が、蜂蜜のように甘い。
皇帝は傍らのブランケットを手に取り、令嬢の肩にそっとかけた。
その動作の丁寧さときたら。
まるで、世界で最も壊れやすいガラス細工を扱うかのようだ。
「……もう少し、こちらへ」
皇帝は令嬢の頭を、そっと自分の膝の中央に移動させた。
髪を撫でる。
何度も、何度も。
──これが、「氷の皇帝」?
画面の端で、記録官の手が震えているのが分かる。
(ワイプ画面:記録官の表情──完全に固まっている)
と、そのとき。
「……陛下」
令嬢が薄く目を開けた。
翠色の瞳が、皇帝を見上げる。
「起こしてしまったか。すまない」
「いいえ。……あら、ここ、陛下の膝の上ですわね」
「うむ」
「最初、書斎のソファでしたのに」
「運んだ」
「まあ」
令嬢──ティアラは、くすりと笑った。
「陛下。私、自分で歩けますのよ?」
「知っている」
「では、なぜ?」
「運びたかった」
真顔である。
帝国最強の皇帝が、真顔で「運びたかった」と言っている。
「……そうですか」
ティアラは呆れたように、しかしどこか嬉しそうに目を細めた。
「陛下は、相変わらずですわね」
「うむ。お前が来てから、余は相変わらず最高に幸福だ」
「……っ」
ティアラの頬が、ほんのり赤く染まった。
彼女は慌てて顔を背ける。
「な、何を急に。からかっているのでしょう」
「事実を述べただけだ」
「事実だとしても、そう簡単に言わないでくださいまし」
「なぜ?」
「なぜって……」
ティアラは言い淀んだ。
視線があちこちに泳ぐ。
「……その。心臓に、悪いですから」
「心臓?」
皇帝の眉がわずかに動いた。
次の瞬間、彼は真剣な顔でティアラの額に手を当てた。
「体調が悪いのか? 医師を呼ぶか?」
「違います! そういう意味ではなく!」
「では、どういう意味だ」
「だ、だから……っ」
ティアラは真っ赤な顔で起き上がり、皇帝の胸を軽く叩いた。
「陛下の言葉が、嬉しすぎて困るという意味です!」
沈黙。
皇帝の瞳が、ゆっくりと見開かれた。
そして。
「……そうか」
その声は、先ほどよりもさらに甘かった。
いや、もはや甘いを通り越して、とろけそうだ。
「余の言葉が、嬉しいか」
「……はい」
「そうか」
「何度も確認しないでください」
「確認したい。もう一度言ってくれ」
「言いません」
「なぜ」
「陛下が調子に乗るからです」
「乗らない」
「今、もう乗っていますわ」
(映像が少し揺れる──記録官が笑いを堪えている模様)
皇帝は不満そうに眉を寄せた。
しかし、その口元は微かに緩んでいる。
「……ティアラ」
「はい」
「余は、お前が幸せそうだと嬉しい」
「……」
「お前が笑うと、余も笑いたくなる」
「……陛下」
「お前がここにいてくれるだけで、余の世界は完璧だ」
ティアラは両手で顔を覆った。
耳まで真っ赤だ。
「……ずるい」
「何が?」
「そうやって、私をこんな気持ちにさせて……」
「どんな気持ちだ?」
皇帝は、本当に分からないという顔をしている。
天然なのか、計算なのか。
おそらく、天然だ。
「……っ、もう! 陛下のばかっ!」
ティアラは皇帝の胸に顔を埋めた。
皇帝は満足そうに彼女の頭を撫でる。
「うむ。余はばかだ。お前のばかだ」
「そういう返しをするから、余計に困るんですっ」
(映像終了)
-----
【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ】
……何を見せられているんだ、私は。
いや、記録官として、皇帝陛下の日常を記録するのは職務だ。
分かっている。分かっているのだが。
隣国では「悲劇の悪女」として語られ、
我が国では「皇帝に囚われた可哀想な令嬢」と同情されているティアラ嬢が、
まさかこんな……こんな……。
いや、待て。
逆に、陛下だ。
陛下こそ、何だあれは。
「氷の皇帝」?
「血も涙もない暴君」?
嘘だ。
全部嘘だ。
あれはただの、重度の愛妻家だ。
溺愛の権化だ。
そして、問題がある。
大問題がある。
今、私の手元には「送信完了」の通知が届いている。
送信先は……「全世界通信水晶(公開設定)」。
は?
待て待て待て。
なぜだ。
私は確かに「帝国内限定」を選択したはず……。
……あ。
「全」と「帝」。
魔導文字の形が似ている。
押し間違えた。
押し間違えた???
──終わった。
私の人生は、今、終わった。
-----
【同時刻 世界各地の反応】
-----
【フローレンス王国 王城】
──バンッ!
「何だこれはァァァァァァ!!」
フローレンス王国王太子、アルベルトは、通信水晶を床に叩きつけた。
しかし、映像は止まらない。
全世界同時配信である。消す手段はない。
「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!」
「殿下、落ち着いてください!」
「落ち着けるかァ!!」
アルベルトは頭を抱えた。
彼がティアラを追放したのは、つい先月のこと。
理由は「聖女マリアこそが真の婚約者」と確信したからだ。
だが、今、目の前の映像では。
あの冷酷で有名な氷の皇帝が、ティアラを膝に乗せて撫でている。
甘い言葉を囁いている。
ティアラも、幸せそうに笑っている。
「拷問……されているはずだろう!?」
アルベルトは叫んだ。
そう、彼はそう聞いていたのだ。
「氷の皇帝に囚われた令嬢は、毎日拷問を受けている」と。
「拷問どころか、ベタベタに甘やかされているではないか!!」
「お、落ち着いてください殿下……」
「うるさい! あいつは俺に捨てられて不幸になるはずだったんだ!!」
その声は、城中に響き渡った。
そして。
その様子を、壁際でじっと見つめる影があった。
聖女マリア。
純白のドレスに身を包んだ、柔らかな微笑みを浮かべた少女。
──その瞳の奥が、ぎらりと光った。
「……ふふ」
小さく、誰にも聞こえないほど小さく。
彼女は笑った。
-----
【ネルヴァス商業連合 酒場にて】
「おい、見たか今の!」
「見た見た! 氷の皇帝が女にデレデレじゃねぇか!」
「しかもあれ、追放された悪役令嬢だろ? フローレンスの」
「悪役令嬢? いや、どう見ても愛されまくってんだけど」
「だよな! 俺もあんな風に甘やかされてぇ!」
「お前じゃ無理だろ」
「うるせぇ」
ガヤガヤと笑い声が響く。
酒場の片隅では、吟遊詩人がすでに新曲を書き始めていた。
タイトルは『氷が溶けた夜』。
三日後には大陸中で大流行することになる。
-----
【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 深夜の掲示板】
-----
【緊急】陛下の映像が流出してる件
1:名無しの帝国民
は??????
2:名無しの帝国民
なにこれ
なにこれなにこれなにこれ
3:名無しの帝国民
陛下がデレてる……
4:名無しの帝国民
デレてるとかいうレベルじゃない
完全に恋する乙女
5:名無しの帝国民
乙女は言い過ぎ
6:名無しの帝国民
>>5
じゃあなんて言うんだよ
7:名無しの帝国民
>>6
……恋する暴君?
8:名無しの帝国民
変わんねぇよ
9:名無しの帝国民
てか、あの令嬢さん可愛くない??
10:名無しの帝国民
>>9
わかる
フローレンス何考えて追放したの?
11:名無しの帝国民
聖女がどうとか言ってなかった?
12:名無しの帝国民
聖女ねぇ……
この映像見た後だと微妙な気持ちになるわ
13:名無しの帝国民
つーか陛下
「お前がここにいてくれるだけで余の世界は完璧」
とか言ってんの
いや森生える
14:名無しの帝国民
>>13
森どころか大森林
15:名無しの帝国民
世界樹生えた
16:名無しの帝国民
令嬢が「ばかっ」って言った時の陛下の顔
あれ見た?
17:名無しの帝国民
見た
完全に嬉しそうだった
18:名無しの帝国民
氷の皇帝とは
19:名無しの帝国民
氷(融解済み)の皇帝
20:名無しの帝国民
溶けすぎて蒸発してる
21:名無しの帝国民
てか、これ全世界に配信されてんだろ?
明日どうなんの?
22:名無しの帝国民
さあ……
23:名無しの帝国民
記録官、生きてるかな
24:名無しの帝国民
やめろ
笑えない
25:名無しの帝国民
いや、でもこれ
ある意味、最高の宣伝じゃね?
26:名無しの帝国民
>>25
どういう意味?
27:名無しの帝国民
>>26
考えてみろよ
「冷酷な皇帝が、追放令嬢をこんなに大切にしてる」
これ、帝国の名声が天まで届くだろ
28:名無しの帝国民
た、確かに……
29:名無しの帝国民
逆にフローレンスの面目は地に落ちたな
30:名無しの帝国民
ざまぁ
31:名無しの帝国民
ざまぁ
32:名無しの帝国民
まあ、でも
陛下がこの映像見たら、どうなるか……
33:名無しの帝国民
記録官、女神の御許へ
34:名無しの帝国民
安らかに眠れ
35:名無しの帝国民
……でも、なんか
陛下が幸せそうで、よかったな
36:名無しの帝国民
>>35
わかる
なんか、ほっこりした
37:名無しの帝国民
俺たちの陛下が、こんなに笑うなんて
38:名無しの帝国民
令嬢さん、ありがとう……
39:名無しの帝国民
これは、令嬢推しになるわ
40:名無しの帝国民
新たな崇拝者がここに誕生した
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【翌朝 ヴァルトシュタイン帝国 皇帝執務室】
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「──で」
皇帝ジークハルトの声が、執務室に響いた。
低く、冷たく、地の底から響くような声。
記録官ハインリヒは、床に額をこすりつけていた。
人生で最も長い土下座である。
「貴様は、余の私室の映像を」
「は、はい」
「全世界に」
「……はい」
「配信した、と」
「申し訳ございませんっっっ!!」
ハインリヒの声が裏返った。
完全に泣いている。
「弁明の余地もございません! どのような罰でもお受けいたします! 処刑でも追放でも何でも!」
「…………」
沈黙。
長い、長い沈黙。
ハインリヒは死を覚悟した。
いや、死よりも恐ろしいことが待っているかもしれない。
なにせ相手は「氷の皇帝」。
どんな残酷な刑罰が待っているか──
「ティアラ」
皇帝が、隣の椅子に座る令嬢に声をかけた。
「はい、陛下」
「お前は、どう思う」
ティアラは、優雅にティーカップを置いた。
昨夜の映像の当事者であるにもかかわらず、彼女は涼しい顔をしている。
「そうですわね……」
彼女は小首をかしげた。
翠色の瞳が、かすかに笑っている。
「あら、良い宣伝になったのではなくて?」
「……宣伝?」
「ええ」
ティアラは微笑んだ。
それは、公爵令嬢にふさわしい、完璧に上品な微笑み。
しかし、その目の奥には──何か、底知れないものがあった。
「陛下が私を大切にしてくださることが、世界中に知れ渡りましたわ」
「うむ」
「つまり、私に手を出そうとする不届き者は、陛下を敵に回すということ」
「……なるほど」
「フローレンスの愚か者たちも、少しは考えるでしょう」
ティアラは窓の外を見た。
朝日が、彼女の蜂蜜色の髪を輝かせている。
「それに」
「それに?」
「……私も、嬉しかったですから」
「何が」
「陛下のお言葉が、世界中に届いたこと」
その声は、わずかに震えていた。
「私は、悪役令嬢と呼ばれてきました。国を追われ、罵られ、石を投げられました」
ティアラの指先が、わずかに震える。
しかし、彼女はすぐにそれを隠した。
「でも、陛下は。陛下だけは、私を大切にしてくださる。それが、世界中に証明されたんです」
沈黙。
皇帝の瞳が、静かに揺れた。
「……ティアラ」
「はい」
「余は、お前のためなら世界を敵に回せる」
「存じております」
「だが、その必要はない」
「え?」
皇帝は立ち上がった。
そして、窓際に立つティアラの傍に歩み寄る。
「余が、世界を味方につける」
「……陛下」
「お前を傷つけた者には、相応の報いを与える。お前を愛する者には、相応の恩恵を与える」
皇帝の手が、ティアラの頬に触れた。
「お前は、余の隣で笑っていればいい」
ティアラの目に、涙が浮かんだ。
しかし、彼女はすぐにそれを拭い、笑った。
「……陛下は、本当にずるいですわね」
「うむ。お前のためなら、いくらでもずるくなる」
(記録官、この光景を記録しながら号泣中)
-----
こうして。
「氷の皇帝の誤送信」事件は、世界中を駆け巡った。
ある者は笑い、ある者は涙し、ある者は怒り狂った。
しかし、誰もが一つのことを理解した。
──あの「氷の皇帝」は、一人の令嬢を、狂おしいほどに愛している。
そして。
これは、ほんの始まりに過ぎなかった。
-----
【極秘ログ──送信者不明】
-----
記録日時:帝国歴四〇三年 秋 第三の月 15日 深夜3時00分
ファイル名:[解析不能]
送信元:[解析不能]
送信先:[解析不能]
-----
(音声のみ)
「……ふふ」
女の声。
甘く、穏やかで、どこか楽しげな声。
「全世界配信、成功ですわね」
くすくすと、笑い声が響く。
「まさか、本当に『全』と『帝』を押し間違えてくださるとは。記録官殿は、とても優秀ですわ」
声が、少しだけ低くなる。
「さて。次は、どの映像を『流出』させましょうか」
ノイズ。
そして──
「あら、陛下。どうかなさいまして?」
声が、一瞬で上品な令嬢のものに変わる。
「……いや、今、誰かと話していなかったか?」
「まあ、陛下ったら。私、独り言を言う癖がありますの。お恥ずかしい」
「そうか。……可愛いな」
「もう、陛下ったら」
甘いやり取りが続く。
しかし。
映像の端、ほんの一瞬だけ。
令嬢の唇が、意味深に弧を描いた。
(ログ終了)
(このファイルは自動消去されました)
-----
【次回予告】
「追放令嬢救出作戦」と銘打たれた、元婚約者による奇襲計画が発動。
しかし、帝国の「自動防衛システム」が、予想外の方法で彼らを迎え撃つ。
その様子は──もちろん、全世界に生中継された。
第2話「救出作戦は、全世界に中継された」
帝国歴四〇三年、秋。
隣国フローレンス王国より、一人の令嬢が追放された。
罪状は「王太子への不敬」「聖女への暴言」「国家反逆の意図」。
処刑こそ免れたものの、彼女は国境を越え、我がヴァルトシュタイン帝国へと流れ着いた。
彼女の名は、ティアラ。
公爵家の一人娘にして、かつてはフローレンス王国の次期王妃候補。
現在は──我が帝国、皇帝陛下の「庇護下」にある。
以下の記録映像は、本来、帝国内の極秘資料として厳重に管理されるはずであった。
しかし。
ある日、一通の魔導通信が「誤送信」された。
宛先は、全世界の通信水晶。
これは、その記録である。
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【映像ログ001】
送信日時:帝国歴四〇三年 秋 第三の月 15日 深夜2時34分
撮影場所:ヴァルトシュタイン帝国 皇帝私室
撮影者:帝国記録官 ハインリヒ
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(映像開始)
暖炉の炎が、ゆらゆらと揺れている。
画面の端には、高価そうな絨毯と、天蓋付きの寝台。
これは──皇帝陛下の私室だ。
そして、画面中央。
ソファに座る銀髪の男がいた。
切れ長の瞳は氷のように冷たく、端正な顔立ちには一切の感情がない。
ヴァルトシュタイン帝国皇帝、ジークハルト。
周辺国から「氷の皇帝」「血も涙もない暴君」と恐れられる男である。
その膝の上に。
蜂蜜色の髪をした令嬢が、すやすやと眠っていた。
「……ん」
令嬢が小さく身じろぎをする。
すると、皇帝の表情が──変わった。
「寒いか?」
声が、甘い。
あの「氷の皇帝」の声が、蜂蜜のように甘い。
皇帝は傍らのブランケットを手に取り、令嬢の肩にそっとかけた。
その動作の丁寧さときたら。
まるで、世界で最も壊れやすいガラス細工を扱うかのようだ。
「……もう少し、こちらへ」
皇帝は令嬢の頭を、そっと自分の膝の中央に移動させた。
髪を撫でる。
何度も、何度も。
──これが、「氷の皇帝」?
画面の端で、記録官の手が震えているのが分かる。
(ワイプ画面:記録官の表情──完全に固まっている)
と、そのとき。
「……陛下」
令嬢が薄く目を開けた。
翠色の瞳が、皇帝を見上げる。
「起こしてしまったか。すまない」
「いいえ。……あら、ここ、陛下の膝の上ですわね」
「うむ」
「最初、書斎のソファでしたのに」
「運んだ」
「まあ」
令嬢──ティアラは、くすりと笑った。
「陛下。私、自分で歩けますのよ?」
「知っている」
「では、なぜ?」
「運びたかった」
真顔である。
帝国最強の皇帝が、真顔で「運びたかった」と言っている。
「……そうですか」
ティアラは呆れたように、しかしどこか嬉しそうに目を細めた。
「陛下は、相変わらずですわね」
「うむ。お前が来てから、余は相変わらず最高に幸福だ」
「……っ」
ティアラの頬が、ほんのり赤く染まった。
彼女は慌てて顔を背ける。
「な、何を急に。からかっているのでしょう」
「事実を述べただけだ」
「事実だとしても、そう簡単に言わないでくださいまし」
「なぜ?」
「なぜって……」
ティアラは言い淀んだ。
視線があちこちに泳ぐ。
「……その。心臓に、悪いですから」
「心臓?」
皇帝の眉がわずかに動いた。
次の瞬間、彼は真剣な顔でティアラの額に手を当てた。
「体調が悪いのか? 医師を呼ぶか?」
「違います! そういう意味ではなく!」
「では、どういう意味だ」
「だ、だから……っ」
ティアラは真っ赤な顔で起き上がり、皇帝の胸を軽く叩いた。
「陛下の言葉が、嬉しすぎて困るという意味です!」
沈黙。
皇帝の瞳が、ゆっくりと見開かれた。
そして。
「……そうか」
その声は、先ほどよりもさらに甘かった。
いや、もはや甘いを通り越して、とろけそうだ。
「余の言葉が、嬉しいか」
「……はい」
「そうか」
「何度も確認しないでください」
「確認したい。もう一度言ってくれ」
「言いません」
「なぜ」
「陛下が調子に乗るからです」
「乗らない」
「今、もう乗っていますわ」
(映像が少し揺れる──記録官が笑いを堪えている模様)
皇帝は不満そうに眉を寄せた。
しかし、その口元は微かに緩んでいる。
「……ティアラ」
「はい」
「余は、お前が幸せそうだと嬉しい」
「……」
「お前が笑うと、余も笑いたくなる」
「……陛下」
「お前がここにいてくれるだけで、余の世界は完璧だ」
ティアラは両手で顔を覆った。
耳まで真っ赤だ。
「……ずるい」
「何が?」
「そうやって、私をこんな気持ちにさせて……」
「どんな気持ちだ?」
皇帝は、本当に分からないという顔をしている。
天然なのか、計算なのか。
おそらく、天然だ。
「……っ、もう! 陛下のばかっ!」
ティアラは皇帝の胸に顔を埋めた。
皇帝は満足そうに彼女の頭を撫でる。
「うむ。余はばかだ。お前のばかだ」
「そういう返しをするから、余計に困るんですっ」
(映像終了)
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【帝国記録官 ハインリヒの私的メモ】
……何を見せられているんだ、私は。
いや、記録官として、皇帝陛下の日常を記録するのは職務だ。
分かっている。分かっているのだが。
隣国では「悲劇の悪女」として語られ、
我が国では「皇帝に囚われた可哀想な令嬢」と同情されているティアラ嬢が、
まさかこんな……こんな……。
いや、待て。
逆に、陛下だ。
陛下こそ、何だあれは。
「氷の皇帝」?
「血も涙もない暴君」?
嘘だ。
全部嘘だ。
あれはただの、重度の愛妻家だ。
溺愛の権化だ。
そして、問題がある。
大問題がある。
今、私の手元には「送信完了」の通知が届いている。
送信先は……「全世界通信水晶(公開設定)」。
は?
待て待て待て。
なぜだ。
私は確かに「帝国内限定」を選択したはず……。
……あ。
「全」と「帝」。
魔導文字の形が似ている。
押し間違えた。
押し間違えた???
──終わった。
私の人生は、今、終わった。
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【同時刻 世界各地の反応】
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【フローレンス王国 王城】
──バンッ!
「何だこれはァァァァァァ!!」
フローレンス王国王太子、アルベルトは、通信水晶を床に叩きつけた。
しかし、映像は止まらない。
全世界同時配信である。消す手段はない。
「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!」
「殿下、落ち着いてください!」
「落ち着けるかァ!!」
アルベルトは頭を抱えた。
彼がティアラを追放したのは、つい先月のこと。
理由は「聖女マリアこそが真の婚約者」と確信したからだ。
だが、今、目の前の映像では。
あの冷酷で有名な氷の皇帝が、ティアラを膝に乗せて撫でている。
甘い言葉を囁いている。
ティアラも、幸せそうに笑っている。
「拷問……されているはずだろう!?」
アルベルトは叫んだ。
そう、彼はそう聞いていたのだ。
「氷の皇帝に囚われた令嬢は、毎日拷問を受けている」と。
「拷問どころか、ベタベタに甘やかされているではないか!!」
「お、落ち着いてください殿下……」
「うるさい! あいつは俺に捨てられて不幸になるはずだったんだ!!」
その声は、城中に響き渡った。
そして。
その様子を、壁際でじっと見つめる影があった。
聖女マリア。
純白のドレスに身を包んだ、柔らかな微笑みを浮かべた少女。
──その瞳の奥が、ぎらりと光った。
「……ふふ」
小さく、誰にも聞こえないほど小さく。
彼女は笑った。
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【ネルヴァス商業連合 酒場にて】
「おい、見たか今の!」
「見た見た! 氷の皇帝が女にデレデレじゃねぇか!」
「しかもあれ、追放された悪役令嬢だろ? フローレンスの」
「悪役令嬢? いや、どう見ても愛されまくってんだけど」
「だよな! 俺もあんな風に甘やかされてぇ!」
「お前じゃ無理だろ」
「うるせぇ」
ガヤガヤと笑い声が響く。
酒場の片隅では、吟遊詩人がすでに新曲を書き始めていた。
タイトルは『氷が溶けた夜』。
三日後には大陸中で大流行することになる。
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【ヴァルトシュタイン帝国 城下町 深夜の掲示板】
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【緊急】陛下の映像が流出してる件
1:名無しの帝国民
は??????
2:名無しの帝国民
なにこれ
なにこれなにこれなにこれ
3:名無しの帝国民
陛下がデレてる……
4:名無しの帝国民
デレてるとかいうレベルじゃない
完全に恋する乙女
5:名無しの帝国民
乙女は言い過ぎ
6:名無しの帝国民
>>5
じゃあなんて言うんだよ
7:名無しの帝国民
>>6
……恋する暴君?
8:名無しの帝国民
変わんねぇよ
9:名無しの帝国民
てか、あの令嬢さん可愛くない??
10:名無しの帝国民
>>9
わかる
フローレンス何考えて追放したの?
11:名無しの帝国民
聖女がどうとか言ってなかった?
12:名無しの帝国民
聖女ねぇ……
この映像見た後だと微妙な気持ちになるわ
13:名無しの帝国民
つーか陛下
「お前がここにいてくれるだけで余の世界は完璧」
とか言ってんの
いや森生える
14:名無しの帝国民
>>13
森どころか大森林
15:名無しの帝国民
世界樹生えた
16:名無しの帝国民
令嬢が「ばかっ」って言った時の陛下の顔
あれ見た?
17:名無しの帝国民
見た
完全に嬉しそうだった
18:名無しの帝国民
氷の皇帝とは
19:名無しの帝国民
氷(融解済み)の皇帝
20:名無しの帝国民
溶けすぎて蒸発してる
21:名無しの帝国民
てか、これ全世界に配信されてんだろ?
明日どうなんの?
22:名無しの帝国民
さあ……
23:名無しの帝国民
記録官、生きてるかな
24:名無しの帝国民
やめろ
笑えない
25:名無しの帝国民
いや、でもこれ
ある意味、最高の宣伝じゃね?
26:名無しの帝国民
>>25
どういう意味?
27:名無しの帝国民
>>26
考えてみろよ
「冷酷な皇帝が、追放令嬢をこんなに大切にしてる」
これ、帝国の名声が天まで届くだろ
28:名無しの帝国民
た、確かに……
29:名無しの帝国民
逆にフローレンスの面目は地に落ちたな
30:名無しの帝国民
ざまぁ
31:名無しの帝国民
ざまぁ
32:名無しの帝国民
まあ、でも
陛下がこの映像見たら、どうなるか……
33:名無しの帝国民
記録官、女神の御許へ
34:名無しの帝国民
安らかに眠れ
35:名無しの帝国民
……でも、なんか
陛下が幸せそうで、よかったな
36:名無しの帝国民
>>35
わかる
なんか、ほっこりした
37:名無しの帝国民
俺たちの陛下が、こんなに笑うなんて
38:名無しの帝国民
令嬢さん、ありがとう……
39:名無しの帝国民
これは、令嬢推しになるわ
40:名無しの帝国民
新たな崇拝者がここに誕生した
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【翌朝 ヴァルトシュタイン帝国 皇帝執務室】
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「──で」
皇帝ジークハルトの声が、執務室に響いた。
低く、冷たく、地の底から響くような声。
記録官ハインリヒは、床に額をこすりつけていた。
人生で最も長い土下座である。
「貴様は、余の私室の映像を」
「は、はい」
「全世界に」
「……はい」
「配信した、と」
「申し訳ございませんっっっ!!」
ハインリヒの声が裏返った。
完全に泣いている。
「弁明の余地もございません! どのような罰でもお受けいたします! 処刑でも追放でも何でも!」
「…………」
沈黙。
長い、長い沈黙。
ハインリヒは死を覚悟した。
いや、死よりも恐ろしいことが待っているかもしれない。
なにせ相手は「氷の皇帝」。
どんな残酷な刑罰が待っているか──
「ティアラ」
皇帝が、隣の椅子に座る令嬢に声をかけた。
「はい、陛下」
「お前は、どう思う」
ティアラは、優雅にティーカップを置いた。
昨夜の映像の当事者であるにもかかわらず、彼女は涼しい顔をしている。
「そうですわね……」
彼女は小首をかしげた。
翠色の瞳が、かすかに笑っている。
「あら、良い宣伝になったのではなくて?」
「……宣伝?」
「ええ」
ティアラは微笑んだ。
それは、公爵令嬢にふさわしい、完璧に上品な微笑み。
しかし、その目の奥には──何か、底知れないものがあった。
「陛下が私を大切にしてくださることが、世界中に知れ渡りましたわ」
「うむ」
「つまり、私に手を出そうとする不届き者は、陛下を敵に回すということ」
「……なるほど」
「フローレンスの愚か者たちも、少しは考えるでしょう」
ティアラは窓の外を見た。
朝日が、彼女の蜂蜜色の髪を輝かせている。
「それに」
「それに?」
「……私も、嬉しかったですから」
「何が」
「陛下のお言葉が、世界中に届いたこと」
その声は、わずかに震えていた。
「私は、悪役令嬢と呼ばれてきました。国を追われ、罵られ、石を投げられました」
ティアラの指先が、わずかに震える。
しかし、彼女はすぐにそれを隠した。
「でも、陛下は。陛下だけは、私を大切にしてくださる。それが、世界中に証明されたんです」
沈黙。
皇帝の瞳が、静かに揺れた。
「……ティアラ」
「はい」
「余は、お前のためなら世界を敵に回せる」
「存じております」
「だが、その必要はない」
「え?」
皇帝は立ち上がった。
そして、窓際に立つティアラの傍に歩み寄る。
「余が、世界を味方につける」
「……陛下」
「お前を傷つけた者には、相応の報いを与える。お前を愛する者には、相応の恩恵を与える」
皇帝の手が、ティアラの頬に触れた。
「お前は、余の隣で笑っていればいい」
ティアラの目に、涙が浮かんだ。
しかし、彼女はすぐにそれを拭い、笑った。
「……陛下は、本当にずるいですわね」
「うむ。お前のためなら、いくらでもずるくなる」
(記録官、この光景を記録しながら号泣中)
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こうして。
「氷の皇帝の誤送信」事件は、世界中を駆け巡った。
ある者は笑い、ある者は涙し、ある者は怒り狂った。
しかし、誰もが一つのことを理解した。
──あの「氷の皇帝」は、一人の令嬢を、狂おしいほどに愛している。
そして。
これは、ほんの始まりに過ぎなかった。
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【極秘ログ──送信者不明】
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記録日時:帝国歴四〇三年 秋 第三の月 15日 深夜3時00分
ファイル名:[解析不能]
送信元:[解析不能]
送信先:[解析不能]
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(音声のみ)
「……ふふ」
女の声。
甘く、穏やかで、どこか楽しげな声。
「全世界配信、成功ですわね」
くすくすと、笑い声が響く。
「まさか、本当に『全』と『帝』を押し間違えてくださるとは。記録官殿は、とても優秀ですわ」
声が、少しだけ低くなる。
「さて。次は、どの映像を『流出』させましょうか」
ノイズ。
そして──
「あら、陛下。どうかなさいまして?」
声が、一瞬で上品な令嬢のものに変わる。
「……いや、今、誰かと話していなかったか?」
「まあ、陛下ったら。私、独り言を言う癖がありますの。お恥ずかしい」
「そうか。……可愛いな」
「もう、陛下ったら」
甘いやり取りが続く。
しかし。
映像の端、ほんの一瞬だけ。
令嬢の唇が、意味深に弧を描いた。
(ログ終了)
(このファイルは自動消去されました)
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【次回予告】
「追放令嬢救出作戦」と銘打たれた、元婚約者による奇襲計画が発動。
しかし、帝国の「自動防衛システム」が、予想外の方法で彼らを迎え撃つ。
その様子は──もちろん、全世界に生中継された。
第2話「救出作戦は、全世界に中継された」
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