【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

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第49章 結婚式の準備

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 春が、もうすぐそこまで来ている。

 カイルとの結婚式も、あと1ヶ月。

 フェルゼン中が、私たちの結婚を祝福してくれる。

 貴族会議から一ヶ月が過ぎた。

 王国改革は、順調に始まっていた。

 各領地への通達も済み、準備が進んでいる。

 そして、春の足音が聞こえてきた。

 フェルゼンの街には、花が咲き始めている。

 窓から見える景色が、美しかった。

 私は、執務室で書類を整理していた。

 マリアが、ノックして入ってくる。

「お嬢様、お時間よろしいですか?」

 私は、顔を上げた。

「ええ、どうぞ」

 マリアが、嬉しそうな顔をしている。

「ウェディングドレスの準備を始めましょう」

 私の胸が、高鳴った。

 ついに、その時が来たのだ。

「もう、そんな時期なのね」

 マリアが、頷く。

「はい。あと一ヶ月ですから」

 私は、立ち上がった。

「では、行きましょう」

 マリアと一緒に、別室へ向かう。

 そこには、真っ白なドレスが用意されていた。

 レースと刺繍が施された、美しいドレスだった。

 私は、息を呑んだ。

「これが……」

 マリアが微笑む。

「王都の最高級仕立て屋に作らせました」

「カイル閣下が特別に注文されたものです」

 私の目から涙が溢れそうになる。

 カイルが、私のために。

「試着してみましょう」

 マリアが、ドレスを手に取る。

 私は、ドレスを着た。

 鏡の前に立つ。

 そこには、見たこともない自分がいた。

 白いドレスが、体に完璧に合っている。

 レースが、柔らかく肌に触れる。

 私は、本当に結婚するのだ。

 カイルと。

 涙が、頬を伝った。

 その日の夕方、カイルがフェルゼンに来た。

 相変わらず、毎日訪問を続けている。

 私は、領主館の応接室で彼を待っていた。

 扉が開き、カイルが入ってくる。

 その顔を見ると、胸が温かくなった。

「エリナ」

 カイルが、私に近づく。

 そして、優しく抱きしめた。

「今日も、美しいな」

 私は、カイルの胸に顔を埋めた。

「カイル、ドレスを見たわ」

「とても、素敵だった」

 カイルが、私の髪を撫でる。

「君に似合うものを選んだ」

「当日が、楽しみだ」

 私は、カイルを見上げた。

「私も」

 カイルが、私にキスをする。

 長い深いキスだった。

 離れると、カイルが微笑んだ。

「結婚式の準備、順調か?」

 私は、頷いた。

「ええ。グレンとオスカーが手伝ってくれているわ」

 カイルが、椅子に座る。

「招待客は、どれくらいだ?」

 私は、リストを取り出した。

「国王陛下、貴族の方々、そしてフェルゼンの代表者たち」

「約千人になると思うわ」

 カイルの目が、大きく見開かれた。

「千人……それは盛大だな」

 私は微笑んだ。

「私たちの結婚式は、住民と共に祝いたいの」

「この人たちが、私を支えてくれたから」

 カイルが、優しく頷く。

「君らしい」

「では、会場の準備は?」

 私は、地図を広げた。

「中央広場に、特設会場を作ります」

「そこで、式を挙げるの」

 カイルが、満足そうに微笑んだ。

「素晴らしい計画だ」

 翌日、グレンとオスカーが執務室に来た。

 二人とも、書類を抱えている。

「お嬢様、結婚式の最終確認です」

 グレンが、書類を広げる。

 そこには、詳細なスケジュールが書かれていた。

「式は、午前十時に開始」

「国王陛下のご臨席もあります」

 オスカーが、別の書類を見せる。

「予算は、金貨二十枚です」

「装飾、食事、音楽、全て含まれています」

 私は、頷いた。

「完璧ね。お二人とも、ありがとう」

 グレンが、照れくさそうに笑う。

「お嬢様の結婚式、最高のものにします」

 オスカーも、頷いた。

「私たちにとっても、特別な日です」

 私の目が、潤んだ。

「本当に、ありがとう」

 二人が、退出する。

 私は、窓の外を見た。

 フェルゼンの街が、春の陽光に輝いている。

 この街で、カイルと結婚する。

 幸せだった。

 数日後の夜、思いがけないものが届いた。

 使者が手紙を持ってくる。

 封筒には、王家の紋章が刻まれていた。

 だが、差出人の名前を見て、私は息を呑んだ。

「リオン……」

 マリアが、心配そうな顔をする。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

 私は、頷いた。

「ええ。大丈夫よ」

 手紙を開く。

 そこには美しい筆跡で言葉が綴られていた。

「エリナ、結婚おめでとう」

 その一文だけで、胸が締め付けられた。

 私は、続きを読む。

「君が幸せなら、それでいい」

「僕は、間違っていた」

「君を手放したことを、一生後悔する」

「だが、今さら何も言えない」

「カイルは、君に相応しい男だ」

「どうか、幸せになってくれ」

 手紙は、そこで終わっていた。

 私の手が、震えていた。

 涙が溢れてきた。

 だが、それは悲しみではなかった。

 複雑な感情だった。

 リオンは、ついに私を認めたのだ。

 だが、もう遅い。

 私の心は、カイルのものだった。

 マリアが、私の肩に手を置く。

「お嬢様……」

 私は涙を拭った。

「大丈夫よ、マリア」

「これは、終わりの手紙だから」

 その時、扉が開いた。

 カイルが、入ってくる。

「エリナ、何かあったのか?」

 私は、振り返った。

「カイル」

 カイルが、私の手を取る。

「リオン……」

 カイルの顔が、一瞬強ばった。

 だが、すぐに優しい表情に戻る。

「そうか……」

 カイルが、手紙を読む。

 その目が、複雑な色を帯びた。

「彼も、ついに分かったのだな」

 私は、カイルの手を取った。

「でも、私はもう振り返らない」

「私の未来は、カイルと共にあるから」

 カイルの目が、優しくなった。

 そして、私を強く抱きしめた。

「エリナ……」

 その声が、震えていた。

「ありがとう」

 私は、カイルの胸に顔を埋めた。

「私こそ、ありがとう」

「あなたが、私を幸せにしてくれたから」

 二人で、窓の外を見た。

 春の風が、優しく吹いている。

 花びらが、舞い散っていた。

 カイルが、私の手を握った。

「エリナ、君を幸せにする」

「一生、君を守り続ける」

 私は、カイルを見上げた。

「私も、カイルを幸せにします」

「一生、あなたのそばにいる」

 二人で、静かに誓い合った。

 春の風が、私たちを包んでいた。

 温かく、優しい風だった。

 リオンの手紙は、机の上に置かれたまま。

 それは、過去との決別を意味していた。

 もう、振り返ることはない。

 私の未来は、カイルと共にある。

 その確信が、胸に満ちていた。

 カイルが、私の額にキスをした。

「あと一ヶ月で、君は私の妻になる」

 私は微笑んだ。

「ええ。楽しみだわ」

 二人で、抱き合ったまま春の景色を見つめた。

 フェルゼンの街が、夕日に照らされている。

 オレンジ色の光が、美しかった。

 この景色を、カイルと一緒に見られる。

 それが、何より幸せだった。

 その夜、私は日記を書いた。

「今日リオンから手紙が来た」

「彼は私を手放したことを後悔していると書いていた」

「でも私はもう何も感じない」

「心は全てカイルのものだから」

 ペンを置く。

 窓の外を見ると星空が広がっていた。

 美しい星々が輝いている。

 あの星空の下で私はカイルに告白された。

 あの夜から私の人生は変わった。

 幸せな方向へ。

 マリアがお茶を持ってくる。

「お嬢様、お休み前のお茶です」

 私は微笑んだ。

「ありがとう、マリア」

 お茶を飲みながら考えた。

 あと一ヶ月で結婚式。

 カイルの妻になる。

 そして新しい人生が始まる。

 王国経済顧問として王国を導く。

 カイルと共に。

 大変なこともたくさんあるだろう。

 だがカイルがいれば乗り越えられる。

 そう信じていた。

 お茶を飲み終えベッドに入る。

 柔らかい布団が体を包んだ。

 目を閉じるとカイルの顔が浮かんだ。

 優しい笑顔。

 愛しい人。

 私は幸せな気持ちで眠りについた。

 夢の中でも、カイルがいた。

 二人で、手を繋いで歩いている。

 春の花が咲く道を。

 その先には、明るい未来が待っていた。

 そして、運命の日が近づいていた。
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