【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ

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第51章 新婚生活の始まり

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 昨日、私はカイルと結婚した。

 今朝、目覚めると隣にカイルがいる。

 夢ではない。これが、私の現実。

 朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。

 私は、ゆっくりと目を開けた。

 隣に、カイルの寝顔がある。

 穏やかな表情だった。

 胸が温かくなる。

 指が、そっと彼の頬に触れた。

 カイルの目が開く。

「おはよう、妻」

 その言葉に、顔が熱くなった。

「おはようございます、夫」

 カイルが微笑む。

 そして、私を抱き寄せた。

「まだ、実感が湧かない」

 私も同じだった。

「私もです。昨日、結婚式を挙げたなんて」

 カイルの腕の中、温かい。

 幸せだった。

 心の底から、幸せだった。

 朝食の時間。

 マリアが、にこにこしながら料理を運んできた。

「新婚さん、おめでとうございます」

 私は、少し恥ずかしくなった。

「ありがとう、マリア」

 カイルも笑っている。

「これから、よろしく頼む」

 マリアの目が潤んでいた。

「お嬢様が、こんなに幸せそうで」

「私も、嬉しいです」

 三人で、朝食を囲んだ。

 パンと卵、野菜のスープ。

 シンプルだが、美味しかった。

 カイルが、私の皿にベーコンを置く。

「しっかり食べろ」

 私も、カイルの皿にパンを置いた。

「あなたもです」

 二人で、笑い合った。

 午前中、カイルは財務省の仕事をしていた。

 領主館の書斎で、書類を読んでいる。

 私も、隣で王国経済改革の計画書を見ていた。

 二人とも、黙々と作業をする。

 でも、時々目が合う。

 そのたびに、微笑み合った。

 静かな時間だった。

 でも、幸せな時間だった。

 カイルが、ペンを置いた。

「エリナ、少し休もう」

 私も、書類から顔を上げる。

「そうですね」

 二人で、窓の外を見た。

 フェルゼンの街が、見える。

 住民たちが、忙しそうに動いていた。

 畑では、農作業が進んでいる。

 商会の建物からは、活気のある声が聞こえてくる。

 カイルが、私の手を取った。

「この街を、一緒に守っていこう」

 私は、頷いた。

「ええ。ずっと、一緒に」

 昼過ぎ、グレンとオスカーが訪ねてきた。

「お嬢様、カイル閣下、おめでとうございます」

 二人とも、満面の笑みだった。

 私は、微笑んだ。

「ありがとう。二人のおかげよ」

 グレンが、照れくさそうに笑う。

「いえ、お嬢様とカイル閣下の幸せが、私たちの喜びです」

 オスカーも、頷いた。

「領地は、順調です」

「新婚のお二人に、心配をかけないよう頑張ります」

 カイルが、二人の肩を叩いた。

「頼りにしている」

 グレンとオスカーが、出ていった後。

 カイルが、私を見つめる。

「君には、素晴らしい部下がいる」

 私も、微笑んだ。

「私の宝物です」

 夕方、住民たちが領主館の前に集まっていた。

 何事かと思い、カイルと一緒に外に出る。

 住民たちが、拍手をしていた。

「お嬢様、カイル閣下、おめでとうございます!」

「新婚さん、お幸せに!」

 子供たちが、花束を持ってきた。

「お嬢様、これ!」

 私は、花束を受け取った。

 目が潤む。

「ありがとう、みんな」

 カイルも、深くお辞儀をした。

「皆さんのおかげで、私たちは幸せです」

 住民たちが、さらに拍手をする。

 温かい声が、響いていた。

 私は、カイルの手を握った。

 カイルも、握り返してくれた。

 この街の人々と、共に生きていく。

 それが、私たちの幸せだった。

 夜、二人で庭を散歩していた。

 月が、明るく輝いている。

 星も、美しかった。

 カイルが、立ち止まった。

「エリナ」

 私も、足を止める。

「はい?」

 カイルが、私の方を向いた。

 その目が、真剣だった。

「次の目標は、何だ?」

 私は、少し考えた。

「王国全土への改革普及です」

「四圃制も、肥料技術も、まだ一部の領地でしか使われていません」

「もっと広げたいんです」

 カイルが、頷く。

「それは、素晴らしい目標だ」

「では、私も協力しよう」

 私は、嬉しくなった。

 でも、言葉が続く。

「でも……それだけではありません」

 カイルが、眉を上げた。

「他に何を?」

 私は、深く息を吸った。

 そして、カイルの目を見つめる。

「子供を、授かりたいです」

 カイルの目が、大きく開いた。

 固まったように、動かない。

「……子供?」

 私は、頷いた。

「ええ。私たち二人の、子供」

 カイルの顔が、ゆっくりと緩んでいく。

 そして、優しく微笑んだ。

「それは……私も望んでいた」

 私の心臓が、高鳴る。

 カイルが、私を抱きしめた。

「エリナ、君と子供を持てるなんて」

「これ以上の幸せはない」

 私も、カイルを抱きしめ返した。

 涙が、溢れてきた。

「カイル……」

「私も、あなたとの子供が欲しいです」

 二人で、しばらく抱き合っていた。

 月の光が、私たちを照らしている。

 温かい夜だった。

 部屋に戻り、二人でベッドに座った。

 カイルが、私の手を取る。

「子供ができたら、どんな名前にする?」

 私は、少し考えた。

「男の子なら……」

 カイルが、目を輝かせる。

「男の子なら?」

「あなたのお父様の名前を」

 カイルの目が、潤んだ。

「父の……名前を?」

 私は、頷いた。

「ルドルフ。素敵な名前です」

 カイルが、私の手を強く握る。

「ありがとう、エリナ」

「父は、きっと喜ぶ」

 私も、微笑んだ。

「女の子なら……」

 カイルが、期待した目で見る。

「女の子なら?」

「私の母の名前、エレナ」

 カイルが、優しく微笑む。

「エレナか。美しい名前だ」

 二人で、未来を語り合った。

 子供が生まれたら、どんな生活になるのか。

 どんな風に育てるのか。

 幸せな想像が、膨らんでいく。

 だが、その時。

 遠く、隣国ヴェルハイム王国では。

 密かな会議が開かれていた。

 大きな会議室、重々しい空気。

 国王が、玉座に座っている。

 その前には、数人の大臣たちが並んでいた。

「フェルゼンの技術、必ず奪う」

 一人の大臣が、低い声で言った。

 国王が、頷く。

「リーゼンハイト王国の繁栄を、座視できない」

「我が国も、あの技術を手に入れねば」

 別の大臣が、地図を広げた。

「フェルゼン領は、ここです」

「国境から、さほど遠くない」

 国王が、地図を見つめる。

「スパイを送り込め」

「技術の詳細を、全て盗み出すのだ」

 大臣たちが、深くお辞儀をした。

「御意」

 会議室に、不穏な空気が満ちていた。

 フェルゼン領では。

 カイルと私は、幸せな時間を過ごしていた。

 まだ、隣国の陰謀には気づいていない。

 ただ、二人の未来を語り合っていた。

 窓の外、星が輝いている。

 美しい夜空だった。

 でも、その星空の向こうでは。

 新たな脅威が、忍び寄っていた。
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