デバッグゲームⅡ

zax022

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6話:影のチームと父の涙

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 1. 地下水路の逃亡劇

 冷たく、汚れた水が、私の膝まで漬かっていた。アジトの床が崩落し、私たちが逃げ込んだ先は、ネオ・アーク・フロンティアの地下に広がる、広大な旧時代の地下水路だった。
「くそっ…! しつこいな!」
 カイが悪態をつく。背後からは、ゼクスが率いる『タラントゥラ』の兵士たちの足音が、不気味に響いてくる。
「兄貴、イヴ! こっちだ!」
 リナが、脇道へと私たちを導く。彼女は、ゼクスのワイヤーで受けた肩の傷を抑えながら、必死に前を走っていた。

 私のせいだ。
 私が、司令塔として覚醒したせいで、ゼクスに目をつけられた。仲間を危険に曝し、アジトを失った。
 罪悪感が、鉛のように私の足を重くする。

 敵の数はあまりにも多く、私たちは徐々に袋小路へと追い詰められていった。

 2. 影のチーム、始動

 その頃、GAIAタワーの、静まり返った書斎で。父・黒瀬耀は、、私の腕に巻かれた、彼にしか追跡できない極小のバイタルセンサーが、、危険領域(レッドゾーン)に突入したのを、静かに見つめていた。
『…やるぞ』
 彼は、極秘の通信回線を開き、かつての仲間たちに、短く、しかし鋼の意志を込めて告げた。

 モニターには、私の現在地と、追手の配置が、リアルタイムで表示されている。父の『デバッグ・アイ』が、この混沌とした状況の中から、唯一の活路をはじき出す。
『ユーナ、地下鉄A線の、第3セクターへの送電システムを特定。30秒後に、全エネルギーを一点に集中させ、強制的にオーバーロードさせろ』
『オリヴィア、交通管制AI『アリアドネ』に介入。奴らの増援ルートである、地上B-7地区の全ゲートを、大規模メンテナンスを理由に、今すぐ完全封鎖しろ』
『…そして、絶対に、娘に俺たちの存在を気付かせるな』

 3. 見えざる救いの手

「ここまでか…!」
 私たちの目の前に、分厚い防水シャッターが行く手を阻む。背後からは、十数名の兵士たちが、銃口を向けて迫ってくる。

 絶体絶命。誰もが、そう思った、その瞬間。

 **ゴウッ!**という轟音と共に、私たちのすぐ横を走る、地下鉄のトンネルが、閃光に包まれた。送電システムがショートし、この区画一帯が、完全な闇に包まれる。
 追手の兵士たちが装着していた暗視ゴーグルが、オーバーロードの閃光によって、一斉に機能を停止した。
「な、何だ!? 目が…!」

 さらに、地上からは、無数のクラクションと、金属が衝突する音が響いてくる。敵の増援部隊が、閉鎖されたゲートによって、大規模な玉突き事故を起こしたのだ。

 私たちは、その一瞬の混乱に乗じて、辛うじて追跡を振り切った。
 暗い水路の中で、私は震えていた。これは、単なる偶然ではない。
 タイミングが、良すぎる。
『誰かが…まるで、神様みたいに、私たちの動きに合わせて、助けてくれている…?』

 4. 父の涙

 モニター越しに、私たちが無事に逃げ延びたのを確認した父は、安堵の息をもらした。そして、誰もいない書斎で、一人、静かに涙を流した。

 それは、娘を救えた安堵の涙だった。
 そして、愛する娘が、自分の知らない場所で、自分の知らない仲間と、命懸けの戦いを始めているという、その事実に対する、父親としての、どうしようもない寂しさと無力さの涙だった。

 最強の英雄が見せる、初めての「弱さ」。
 彼は、もう世界の全てを救う、絶対的な神ではない。ただ、たった一人の娘の幸せを願う、一人の父親だった。
 モニターの隅で、通信をつないだままのユーナとオリヴィアが、その光景を、何も言わずに、ただ静かに見つめていた。

 5. 新たなアジトと、新たな謎

 追跡を振り切った私たちは、アキさんが遺した、もう一つの隠れ家(セーフハウス)へと、辿り着いた。
 そこで私たちは、傷を癒しながら、今後の対策を練る。私は、カイとリナに、自分を助けてくれた『見えざる手』の存在を告げた。

「そんな都合のいい話があるかよ。ただの偶然だろ」
 カイは、そう言って一蹴する。しかし、彼の脳裏には、かつて自分たちを絶望の淵から救ってくれた、もう一人の英雄――父・アキの姿が、よぎっていた。

 私は、決意を新たにした。新たな敵『タラントゥラ』。そして、謎の協力者。私は、この二つの謎を解き明かし、自分の、そして仲間たちの過去を取り戻す。

 私の、本当の冒険が、ここから始まる。

 
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