生き急がない二人

ゆるふわ詩音

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キス

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ある朝。

白ご飯はしょー、わかめと豆腐のみそ汁はしぃが盛り、テーブルの上のそれぞれの前に置く。

しぃが左側、しょーが右側のイスに座った後、手を合わせていただきますをした。

「な~ぁ~」

独特な発音で高い間延びした声でしぃに話しかけるのは芸能人のしょー。

声とは裏腹に茶色のレンズと黒縁のサングラス、髪型は黒のソフトモヒカンだから、見た目はいかつい。

「ん? どうしたの?」

付属のタレを入れてから酢をかけ、しょーに目もくれずに混ぜ続けるしぃ。

黒髪ショートでかわいい顔をしているが、かなりのドライな女の子。

「なにしとんの?」

「酢納豆」

「ほぇ~、美味しいん?」

「美味しいよ、昔これで痩せたからね」

しぃは白いパックから納豆を少し摘まんで食べ、ご飯をかきこむ。

それを見たしょーは苦虫を噛み潰したような顔をする。

「ああ~、懐かしい味がする~」

美味しさのあまり、目を閉じるしぃ。

そこにしょーはキスをしにいく。

チュッ。

「なにしてんの?」

「味わかるかなって」

「にんにくプラスされたじゃない」

しょーのご飯の上にはにんにくに粒みそがついたものがこんもり乗っていた。

「あ~、悪ない味やわ」

「私は最悪だけど」

そう言いながらにんにくみそをかじったしぃはしょーにキスをする。

チュッ。

「ウェーイ」

しょーのテンションが上がったのか、両手でグッドサインをする。

「まぁ、悪くないかもね」

しぃも少し笑みを浮かべた。

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