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吸血鬼に熟れさせられたイチジク
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「ごめん……かなり待たせてもうたな」
スオウさんが最弱を更新している時に弱々しい声が聞こえてきた。
そこには
闇に染まったような黒い髪に裸眼
血が飛び散る白いパーカーを着た
オリベが困った顔をして立っていた。
「はぁ~めっちゃ重いわぁ」
はよ持ってってとソファに座っていたスオウの前に保冷ボックスを置くオリベ。
「コハク、アサギ……食いかすでええなら玄関にあるで」
その言葉に2人とも目をギラギラさせる。
「獲物じゃ~!!」
歪んだ笑みを浮かべて、部屋を出て言った。
「悪い菌にまみれて風邪引きそうなんで……消毒してや、看護師さん」
妖しく笑うオリベに誘われる。
「ちゃんと手助けしといたからな……まぁ、あとは好きにしてくれや」
ラシャくんは僕の両肩を2回叩いた。
頑張れか。
「あらあら、ご苦労様でした」
僕はオリベの胸に飛び込む。
「これは重症です。特別な処置を致しますので、オリベの部屋へいきましょうね」
ラシャくんに教わった猫なで声で耳元に囁くと、オリベはふはっと笑った。
「は~い、お願いします」
明るい声で言ったオリベは僕を抱きしめたまま、よしいしょと持ち上げて部屋を去る。
チュッ……クチュ
唇を食むようなキスをするオリベ。
いつもと変わらない甘いキス。
カブッ
でも、急にオリベが牙で強く僕の唇を噛んだ。
ジュッ、ジュッ
じわじわと滲み出る血を吸っていく。
「ふぁ……んふぅ……ッン」
気持ちよくて、ふわふわしてくる。
「果実を熟れさすには急いだらあかんねん。じっくり、ゆっくり育てな、な?」
出なくなると、位置を少しズラし、また噛んで吸うのを繰り返す。
「ハッぁ……アぁン、アアッ」
痛みが嫌悪より快楽に感じるのはオリベだから。
「キツく噛み付かんように優しく牙を立てて、蜜だけを吸い出せば……甘美な香りが芳しく漂うんやわ」
オリベの部屋に着いたのか、ゆっくりとベッドに下ろすと、オリベが唇を離した。
僕は力なく身体をシーツに委ねるしかない。
「これで、熟れたイチジクの出来上がり……たまらんなぁ」
白い糸に赤い血が絡み付いていて
繋がった先のオリベの瞳も
三日月になっている口元も
色っぽくて、僕はドクンと胸が高鳴った。
「優しい、吸血鬼……に熟らされ、たんだよ」
僕は息絶え絶えになりながら、なんとか言葉を紡ぐ。
「優しい? 誰がぁ?」
「優しくて綺麗なオリベに穢れた僕が救われたんだ」
理不尽な言葉や暴力で自分を滅ぼそうとしたのを止めてくれたのが、君……オリベじゃないか。
それなのに、オリベは意地悪な笑みを浮かべながらポケットからなにやら紙を出す。
「俺、さっきまで人殺ししてきたんやけどさ……証拠持ってきてもうたわ」
ニヒヒと紙を掴んで僕に見せた数秒後、突如炎に変わる。
"あ、あれは伝統のしつけ、だったの……許してぇぇぇぇ!!"
キンキン声の叫びが聞こえたけど、オリベがふぅと息を吐くと消え去っていった。
でも、ちらっと見えたんだ。
"鳥羽由和"と。
「オリベ、まさか……」
僕は嬉しいような苦しいような複雑な気持ちになる。
「俺はただ、腐った堕天使を排除しただけやで?」
でもこれでと僕の耳元へ顔を寄せてきたオリベ。
「心置きなくお前を喰える」
もう、どうにでもして……オリベ。
スオウさんが最弱を更新している時に弱々しい声が聞こえてきた。
そこには
闇に染まったような黒い髪に裸眼
血が飛び散る白いパーカーを着た
オリベが困った顔をして立っていた。
「はぁ~めっちゃ重いわぁ」
はよ持ってってとソファに座っていたスオウの前に保冷ボックスを置くオリベ。
「コハク、アサギ……食いかすでええなら玄関にあるで」
その言葉に2人とも目をギラギラさせる。
「獲物じゃ~!!」
歪んだ笑みを浮かべて、部屋を出て言った。
「悪い菌にまみれて風邪引きそうなんで……消毒してや、看護師さん」
妖しく笑うオリベに誘われる。
「ちゃんと手助けしといたからな……まぁ、あとは好きにしてくれや」
ラシャくんは僕の両肩を2回叩いた。
頑張れか。
「あらあら、ご苦労様でした」
僕はオリベの胸に飛び込む。
「これは重症です。特別な処置を致しますので、オリベの部屋へいきましょうね」
ラシャくんに教わった猫なで声で耳元に囁くと、オリベはふはっと笑った。
「は~い、お願いします」
明るい声で言ったオリベは僕を抱きしめたまま、よしいしょと持ち上げて部屋を去る。
チュッ……クチュ
唇を食むようなキスをするオリベ。
いつもと変わらない甘いキス。
カブッ
でも、急にオリベが牙で強く僕の唇を噛んだ。
ジュッ、ジュッ
じわじわと滲み出る血を吸っていく。
「ふぁ……んふぅ……ッン」
気持ちよくて、ふわふわしてくる。
「果実を熟れさすには急いだらあかんねん。じっくり、ゆっくり育てな、な?」
出なくなると、位置を少しズラし、また噛んで吸うのを繰り返す。
「ハッぁ……アぁン、アアッ」
痛みが嫌悪より快楽に感じるのはオリベだから。
「キツく噛み付かんように優しく牙を立てて、蜜だけを吸い出せば……甘美な香りが芳しく漂うんやわ」
オリベの部屋に着いたのか、ゆっくりとベッドに下ろすと、オリベが唇を離した。
僕は力なく身体をシーツに委ねるしかない。
「これで、熟れたイチジクの出来上がり……たまらんなぁ」
白い糸に赤い血が絡み付いていて
繋がった先のオリベの瞳も
三日月になっている口元も
色っぽくて、僕はドクンと胸が高鳴った。
「優しい、吸血鬼……に熟らされ、たんだよ」
僕は息絶え絶えになりながら、なんとか言葉を紡ぐ。
「優しい? 誰がぁ?」
「優しくて綺麗なオリベに穢れた僕が救われたんだ」
理不尽な言葉や暴力で自分を滅ぼそうとしたのを止めてくれたのが、君……オリベじゃないか。
それなのに、オリベは意地悪な笑みを浮かべながらポケットからなにやら紙を出す。
「俺、さっきまで人殺ししてきたんやけどさ……証拠持ってきてもうたわ」
ニヒヒと紙を掴んで僕に見せた数秒後、突如炎に変わる。
"あ、あれは伝統のしつけ、だったの……許してぇぇぇぇ!!"
キンキン声の叫びが聞こえたけど、オリベがふぅと息を吐くと消え去っていった。
でも、ちらっと見えたんだ。
"鳥羽由和"と。
「オリベ、まさか……」
僕は嬉しいような苦しいような複雑な気持ちになる。
「俺はただ、腐った堕天使を排除しただけやで?」
でもこれでと僕の耳元へ顔を寄せてきたオリベ。
「心置きなくお前を喰える」
もう、どうにでもして……オリベ。
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