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シナリオ

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昼下がり。暖かな日差しが、まるで僕らを歓迎するように丸く包み込んだ。
優しい空間が、どこかふわふわとしているようで、とても心地よかった。

「明李音??」

彼女は「ハッ」とすると、恥ずかしさを紛らわせるようにこちらを向いて微笑んだ。
そのまま視線を落として小説に目を向ける。
だが、文字を読むどころか瞼を閉じてしまった。
どうやら眠いようだった。
静かに寝息をたてながら、頭がコクコクと動いている。

「明李音。」
「ね、寝てないよ。!」
「昨日眠れなかったの??」
「う、うん。最近ちょっと頭が痛くて眠れてなくて。
でも、、大丈夫。ほら、元気だよ!」

そう言うと彼女は動いて見せた。

「眠いなら眠れるかもよ。寝れる時寝ときな。」
「だって、折角暖が会いに来てくれたのに。」
「そんなのいいから。」
「私が嫌なの!
一緒にいる時ぐらい、、同じ時間過ごしたい。。」

彼女は少し拗ねた顔で上目遣いでこちらを見た。

「何それ。可愛いんだけど。」

少し頬を赤らめ照れた彼女は、まさに天使のようだった。

「いつでも来るから。大丈夫。安心して寝な。まだいるから。」
「ほんと??」
「うん。大丈夫。」

僕の言葉に安心したのか、彼女は素直に目を瞑った。

「ねぇ、暖。」
「ん??」
「私たち、付き合ってるんだよね。」
「うん、そうだよ。」
「その、、き、、
いや、やっぱなんでもない。!」

寝るどころか、目が覚めているように見える彼女の額には少しだけ汗をかいているようだった。

「き、、?」
「.........///」
「き、、
なに...?」
「き、キスとか、しないのかなって。
ほ、ほら!この小説にも出てくるし、、!」
「じゃあ、寝て。」
「え??」
「目を閉じたら、してあげる。キス。」

僕がそういうと、彼女は目を泳がせた。自分から言っておきながら、心の準備にはまだ時間がかかるようだ。また、それは僕も同じくだった。

「じ、じゃあ、おやすみ、、」
「うん。おやすみ。」

彼女はそっと目を閉じた。瞼がピクピク動く。緊張が目まで伝わっている。
僕は息を整え、眠るように目を閉じる彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた。
柔らかく、少し温かい感覚が、とても新鮮だった。
僕らの繋がりが離れると、まるで目を覚ましたように、目を開きこちらを向いた。
瞳は綺麗に輝き、まつ毛は長く、肌が白い。まるで本物のプリンセスのようだった。
いや、僕に言わせれば、彼女は本物のプリンセスだ。

手を奪われる感覚。彼女は起き上がって僕を引き寄せた。それからのことは、あまり覚えてはいない。
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