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シナリオ

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「君のせいだ。」

「え?」

「君のせいで明李音は!こんなふうに。。」

また言われた。僕のせい。
彼女のことを不幸に導く悪魔。それが、僕。

「もう二度と、娘に近づかないでくれ。」

「僕は、ただ、明李音に笑ってほしくて。。」

「君の単純で愚かな考えのせいで、娘は倒れた。
そもそも、君との待ち合わせに出かけなければ!娘は記憶をなくさずに済んだ。
彼氏だかなんだか知らないが、君の存在は俺たち家族にとって不要だ。
娘は君のものじゃない。俺たち夫婦の大切な宝物だ。例え記憶がなくてもそれは変わらない。
失望したよ。
金輪際、二度と、俺たち家族の前に顔を見せるな。いいな。」

そういうと、明李音の父親は愛する娘の病室に入っていった。
思えば、白石に「お前のせいだ。」と言われたあの時。あの時に、関係を切ればよかったんだ。もう、傷つけたくない。大好きな人に、これ以上苦しい思いをしてほしくない。
検査を終え、明李音が病室に戻った頃には日をまたいでいた。
そして僕はたった一人、病室の前のベンチで、泣くことしかできなかった。
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